戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない 作:imuka
暗くなく、明るく。
ではどうぞ。
イーニアとハリーがグリフィンドールの談話室に行くと大騒ぎだった。
「我らがポッターがやったぞ!!」とか、「さすが我らの姫!!」とか。お祭り騒ぎだった。あまりにも大騒ぎだったのでイーニアは面倒事になる前に部屋へ戻ろうとしたがハリーが見つかり、その流れでイーニアも捕まる。
「おっと、逃がさないぜ。主役がどっか行っちゃダメだろ。」
「そうだぜ。―――主役席へご案内ー!!」
「はーなーせ!!こういうときだけ力を発揮するな!!」
フレッドとジョージに両腕を掴まれ、足を浮かしながら連行される。2人はイーニアを椅子に座らせると椅子を使って持ち上げようとしたので思わず叫ぶ。
「ちょっと!?スカートだから持ち上げないで!!」
「む、それなら仕方ない。――ひとまず、インタビューでもするから目立つ位置に!!」
「よしよし。ちゅうもーく!!」
イーニアはため息を吐きつつも、ハリーと違い自分で参加することにした手前、見世物にされるのは仕方ないと腹を括り、部屋の中央へと行く。イーニアとハリーが中央へ集まると部屋は静かになる。
「さーて、2人とも。今の気持ちは?」
「かなり戸惑ってる。」
「うんうん。ハリーは仕方ない。―では次、イーニア。」
「ここまでお祭り騒ぎの皆に動揺してる。」
「「大会への気持ちを表せよ!!」」
2人の突っ込みに笑いが起きる。
「イーニアが年齢線を越えたのはここに居るほとんどが見てるから問わないとして…、ハリーの名前が出てきたのはなんでだと思います?イーニア先生?」
「存在しない4校目としてハリーの名前が入れられた、て言う可能性かな。」
「なるほどなるほど。そんなことできるのかは置いといて…――。」
ジョージがそこまで言うと視線をハリーに移し、皆もハリーを見る。
「な、なに?」
「こうやって過去を踏まえてハリーを見ると、本当に不幸だな。」
ジョージが言い、フレッドがハリーの肩にポンッと手を置くと皆が肯く。ハリーは皆が肯くのを見てショックを受けたような顔をした。
「皆して肯くのは酷くない!?」
「まあまあ、優勝すれば賞金手に入ることだし、戸惑ってるかもしれないがこの逆境を乗り越えるんだぞ!!生き残った男の子よ!!」
笑いながらフレッドがバシッバシッとハリーの肩を叩く。ハリーは少し不満そうな顔をしたが、グリフィンドール生の誰もがハリーが不正をしたと思っていないことにハリーは安堵を覚えた。
「インタビューを続けよう!!――2人は優勝する気は?」
「よくわからず選ばれたけど、やるからには全力で挑むよ。」
「おお!ハリーから強気の発言が出た!!これは期待できる!!」
「私は元々優勝する気でゴブレットに入れてる。」
「イーニアからは優勝宣言だ!!」
それからマクゴナガルが訪れるまで大騒ぎだった。
――――――
「凄い騒ぎだったね。」
マクゴナガルに怒られ、解散となった談話室。散らかった部屋を片付けながらイーニアは少し疲れた顔していた。
「本当、皆、お祭りが好きよね。」
「経緯はどうあれ、2人も代表に選ばれたんだ。そりゃ大騒ぎさ。」
ハーマイオニーは呆れたように言うとロンが少し苦笑いしながら言う。
「ハリーの名前が出てきたのは本当にびっくりしたわ。私たち、ずっとゴブレットの前には居たけどイーニアの付き添いしてただけで何もしてないのに。」
「でも、皆それをわかってたからハリーを疑わなかったんだろ?」
「僕は…少し心配だったよ。不正したんだろって責められるんじゃないのかって。」
「不正を疑わられるならあれだけ構築式を書いてた私だと思うけどね。」
少し暗い表情で言ったハリーにイーニアは少し笑いながら答えると3人も確かに、と笑った。
「あんまり周りを気にするなよ、ハリー。――隣の芝生は青く見えるっていうから。」
「ロンもそう見えてるのかい?」
「ジョーダン。賢者の石の時やバジリスクの時、去年は手助けできなかったけど、ずっと君を見てきたんだぜ?君の苦労は理解しているつもりだよ。」
「…ありがとう。」
2人は笑い合い、手を握り、そして抱き合った。そんな光景を微笑ましく見ているイーニアは椅子を元の位置に戻し一息吐く。
「よし。これくらいかな。――お互い頑張ろうね。ハリー。」
片付けを終わらせ寝ることにしたイーニアはハリーに声をかけるとハーマイオニーと共に部屋へと向かった。
ハロウィンから数日が経ち、他の寮生からのハリーの印象はいいものではなかったが、それでもグリフィンドール生はハリーのことを疑っていなかったのでハリーはそこまで落ち込むことなく、日常を送っていた。
イーニアは優秀な4年生としてどこに行ってもチヤホヤされていたので逆にうんざりしていた。
* * *
過去の資料を探した結果、第一の課題は魔法生物から生き残るものが多いとわかったある日の闇の魔術に対する防衛術の授業。ムーディが服従の呪文をかけると言い出し、ハーマイオニーが反論したがダンブルドアから許可をもらっていると言われ黙る。
1人ずつ並び、ムーディが服従の呪文をかける。ダンスを踊らされたり、スクワットしたり、動物のマネをさせられていく中、ハリーの番が回って来た。ハリーはかけられた後、抵抗するようにもがいていたが、膝をついたので皆、ハリーでも無理だったかと諦めかけていた。しかし膝をついたまま動かず固まっていると突然叫ぶ。
「嫌だ!!」
するとハリーは立ち上がる。ムーディはそれを見て褒め称えた。
「よくやった!!ポッター!!お前たちも見たか?ポッターが服従の呪文を破ったぞ!!」
褒められながら後ろに戻るとクラスメイト達に揉まれていた。楽しそうな光景を見つつ、イーニアの番が回ってくる。ムーディがイーニアに服従の呪文をかけるとイーニアは笑みを零したまま、特に動く気配はない。
「どうしました?」
ニコニコと笑いながらイーニアはムーディに話しかける。ムーディはいくらやっても服従の呪文が効かないイーニアに聞く。
「シュツベル、お前何をした?」
「どういう意味です?」
「服従の呪文は少なくとも抵抗してるのはこちらにもわかる。それなのにお前は抵抗もなく、しかし従うこともない。」
イーニアはその言葉を聞くと、どこか妖艶に笑った。
「自分に服従の呪文をかけました。」
「ッ!!?――――お前は今何に幸福感を感じているのだ。」
「自身の身体が思う様に動くこと、そして先生にそんな顔をさせたことですかね。」
頬を紅く染めとても楽しそうに笑うイーニアを見て男子生徒たちは思わずドキッとなる。ムーディは対応したことを認め、次の生徒を呼ぶ。イーニアは笑いながら後ろに行きつつも、ハリーたちの元に戻るころにはいつもの顔に戻っていた。
「よくあんなことやるわね。」
「幸福感を感じるって言ってたから自分でかけたらどうなるか気になるじゃない。――ぶっつけ本番ではあったっけどね。」
いつもの様子のイーニアに安堵するハリーたち。
「特に問題なさそうでよかった。――――でもあの顔は……。」
「ああ、あれは人前で見せていい顔じゃないな。」
「え?そんな変な顔してた?」
ハリーとロンは顔を見合わせると一度ハーマイオニーの方を見る。ハーマイオニーが知らないと言った顔でそっぽを向いてしまったのでロンが仕方なく口を開く。
「なんていうか……その………エロかった……。」
「エロッ!?」
思わず大きな声が出そうになり自分で口を塞ぐイーニア。ハーマイオニーはため息を吐き、次からは気を付けるのね、と言って再びそっぽを向いた。
* * *
代表選手の杖を調べるとかで、イーニアとハリーは集合する部屋へと向かった。
部屋に入るとすでにクラムとデラクールは到着しており、他にもバグマンや新聞記者と思われる魔女が居た。全員が集まったところでバグマンが話を始める。
「競技に出るにあたり、君たちの杖が万全であるかを確かめる。専門家がダンブルドアと話をしているが直に来るだろう。来るまでの間、ちょっと写真を撮る。ああ、こちらはリータ・スキータさんだ。」
スキータは軽く頭を下げるとイーニアとハリーを凝視している。写真を撮ったが、まだ専門家がまだ来ないようだったのでスキータがイーニアたちに話しかけてきた。
「2人は最年少の2人でしたわね。んんう、素敵ざんす。」
言葉のどこか気色悪い感触を覚えたイーニアは後ろに下がる。ハリーも嫌な顔をしていた。視界の端に映ったクラムとデラクールが同情したような顔をしていたところを見ると2人もこれの猛襲を受けたようだった。
イーニアとハリーはスキータのねっちょりとした取材にうんざりしたころ、杖の専門家、オリバンダーが訪れ杖を見せることになる。
「これは……この杖はわしが売った記憶は無いが知っておる。」
イーニアが杖を渡すと感激したように杖を持った。
「それは私が…シュツベル家に代々受け継いでいるもので、父が亡くなるときに受け継ぎました。」
「やはりか!青龍の牙を芯にセッコク……。うむうむ、よく手入れされている。」
オリバンダ―はそういうと杖を軽く振る。すると龍が飛びだしイーニアの周りを回ると消えた。
「この杖は君のことを完全に主人だと認識しておる。――生きている間に、この杖を見ることができてよかった。代々、いい主人にめぐり合えている。」
満足そうな顔をしたオリバンダ―はイーニアに杖を返した。
杖点検が終わり、イーニアはバグマンを捕まえようとすると、すでに姿はなく逃げられていた。内心舌打ちをしつつもスキータにまた捕まるのも面倒なのでイーニアはハリーを連れて部屋を足早に出た。
―――――――
第一の課題が後、2週間後と迫ったある日。イーニアは気分転換にノーバートの背に乗り空を飛んでいた。2人くらい乗せても大丈夫な大きさまで成長したノーバートはロイたちの話だと人間でいう成人らしい。
そんなロイたちは何処か忙しそうに働いているとハグリッドから話を聞いている。ノーバートもここ数日、どこか落ち着きがなかった。その状況からイーニアは第一の課題はほぼドラゴンであるとあたりをつけていた。ドラゴンの生態については熟知しているイーニアは確認を含みつつ、気分転換にノーバートと空の散歩を楽しんでいる
「ねぇ、貴方の仲間が近くにいるみたいだけど会いに行きたい?」
ノーバートはイーニアが行ってはいけないと言った場所には飛んはいかない。勝手に何処かへ行くこともないので、繋いでる鎖はグレイプニルではなく、ただの鎖である。約束事をしっかりと守っているノーバートにイーニアは聞いたがノーバートは特に反応はしなかった。
「貴方も淡泊ね。―――向こう側行ってみよ。」
少し呆れつつ、いつもとは違うルートを指示して飛ぶ。
10分くらい飛んだところでノーバートが速度を落とし、地上に意識がいっていることに気が付いた。
「なにかいた?」
ノーバートにつられイーニアは地上の様子を覗き込む。良く目を凝らすと森の中に人の集団があり、ドラゴンが目に入った。ロイやサーベイもいる。どうやらドラゴンは火を噴いてご乱心の様だった。
「なるほどね。――どうする?」
イーニアがノーバートに聞くとノーバートは森の木のギリギリの高さまで降り飛ぶ速度を上げた。
風の切る音がイーニアの耳に届く。ノーバートはドラゴンの居た場所へと近づいていくと、そのまま凄まじい速度でノーバートはドラゴンのいた上空を振り返ることなく飛んで行った。
いつものルートに戻ってきて速度もいつも通りになる。
「あんなのでよかったの?」
ノーバートのした行動にイマイチ理解ができなかったイーニアは聞く。ノーバートはガゥッと短く返事をすると小屋へと戻っていった。
その日の夜。談話室でのんびり読書をしていたイーニアは時間外にも関わらず外から戻ってきたハリーに話しかけられる。
「おかえり。何か用事あったの?」
「うん、まぁね。――そうだ、イーニア。第一の課題だけど――ド「ドラゴン?」――なんで知ってるの!?」
「ノーバートが少し落ち着きがなかったし、ロイたちが忙しそうにしてたからね。――それに今日ノーバートと飛んでたら見たわ。」
「あー、そっか。―――第一の課題はイーニアの圧勝になりそうだね。」
「必ずしもノーバートみたいに言うこと訊いてくれると限らないからわからないよ?」
「どうだろ、バックビークの件とかあるからなぁ。」
ハリーがイーニアをジト目で見るとイーニアは困ったように頭に手を置いた。2人はその後も少しドラゴンについて話すと寝るために部屋に戻った。
ようやくイーニアの杖の話題が出ました。
服従の呪文を自分にかけるというのはオリジナルです。実際は知りません(笑
次回から三大魔法学校対抗試合。
そして始まるイーニア無双!!←
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