戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない   作:imuka

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ほのぼのとした感じ。


ではどうぞ。


忍び地図とクィディッチ

 

 

 イーニアが魔法を使えるようになったことはクラスメイトだけではなく多くの人が祝ってくれた。イーニアはそれだけ周りに心配されていたことを再認識する。夕食はちょっとしたパーティーになって皆で楽しく食事をした。

 それを見ていたセルが蜘蛛をイーニアの前に出した。もちろん本物ではないが、アラゴグサイズの大きなものだった。

 

「ひゃぃ!!」

 

 イーニアがそれを見て怯み、椅子から落ちたのを見てセルは大笑いしていたが、それを見たハリーやロン、他、多くの生徒が席から立ち上がる。学年クラス問わずにセルを取り囲み、マクゴナガルが止めに入るまで縛りあげていた。ハーマイオニーは魔法で変身した蜘蛛を排除し、イーニアに手を貸す。

 

「大丈夫?――まったく、どうしてあんなことするのかしら。」

 

「う、うん。びっくりしただけだから。椅子から落ちた後に本物じゃないってわかったし。」

 

 手を借りて起き上がったイーニアは付いた埃を払う。縛り上げから戻ってきたハリーたちが席に座る。何故かやられた本人より怒っていた。

 

「ハリー、ロンも。私、大丈夫だから。そんなに怒らないで。」

 

 怒りすぎてイーニアが宥める始末だった。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「「イーニア!!」」

 

「どうかした?」

 

 授業が終わり、珍しく1人で寮へと戻っていると後ろからフレッドとジョージが話しかけてきた。

 

「なんだなんだ。」

 

「用がなければ話しかけちゃいけないのか?」

 

「そんなことはないけど…基本的に何かあるときじゃない。声かけるの。」

 

 教科書を胸に抱えたイーニアは少し意地の悪い返しに、ため息を吐いて返す。フレッドが"用事はあるんだけどな"と付け加えるとやっぱりと言う顔でイーニアは2人を見た。

 

「「これを君にあげよう!!」」

 

 2人は羊皮紙をイーニアに渡す。受け取り捲ると何も書かれていない。

 

「これは?」

 

「いいものさ!!」

 

「そう、とてもいいものだ!!」

 

 首を傾げるイーニア。フレッドが杖を構え羊皮紙に当てる。

 

「われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり。」

 

 すると羊皮紙に地図が浮かび上がって来る。しかも人の名前が書いてあり、それに連動するように足跡が動いている。

 

「なに、これ。」

 

 思わず言葉を失うイーニア。

 

「俺たちが1年の時にフィルチの部屋からくすねてきた【忍びの地図】だ。」

 

「こいつを使えばどこに誰がいるか一目瞭然、隠し通路もわかる。」

 

「なんで私に?」

 

「復活祝いさ。」

 

「それに俺たちには必要ない。」

 

 そういうと二つ、羊皮紙を取り出した。

 

「複製したの?」

 

「おう。こいつを解析するのに3年、複製に2年もかかったけどな。」

 

「もう一つはハリーに渡そうと思ってる。」

 

「そっか。…くれるなら貰っておくよ。何かに使えるかもしれないし。」

 

「おう、うまく使ってくれ。」

 

「ちなみに閉じる方法は いたずら完了! だ。」

 

 地図が消えてただの羊皮紙に戻っていく。皆には秘密にしとけよ、と告げると2人は去って行った。

 

 

 

* * *

 

 

 クリスマス休暇をアリシスと過ごしたイーニア。

学校であったことを話すとルーピンをヤリに行くと言い出したり、抱きついて放してくれなかったり。ちょっとだけに前に進めたことを話すとアリシスも思っていたことを話してくれた。

 事件後、アリシスを心配させないように頑張って取り繕ったのは知っており、アリシス自身その状態を放っておいたことを後悔していたこと。あれから何年もたち笑顔が戻り、ハリーたちの出会いでさらに笑うようになったこと。

 

「ごめんなさい。貴女のことをもっと見てあげなきゃいけないのに…結局私はイーニアに甘えてるわね。」

 

「大丈夫だよ?確かに辛かったけど、今は皆のおかげで勇気が持てるもん。あんまり自分を責めないで?」

 

 謝るアリシスに大丈夫だと告げるイーニア。

 イーニアはアリシスがどうしても外せない仕事があることを知っている。それはとても大切なことだと言うことも。だからイーニアはアリシスを責めるようなことはしない。むしろ、そんな忙しい中、暇を見つけてイーニアのことを見てくれている。それは間違いなくイーニアの支えであった。

 

 

――――――――

 

 

 クリスマス休暇が終わり、学校の箒を借りて試合に出ていたハリーにのもとにファイアボルトが送られてきた。差出人は不明。ハリーやロンはそれを見て浮かれたが、あまりにも不自然だったのでマクゴナガルのもとへ持っていき、調べてもらうことにした。

 

「調べてもらってからでも遅くないでしょ。ほら、行く。」

 

 少しでいいから飛びたいと主張するハリーの背中を押し、マクゴナガルのもとへ連れて行く。調査の結果、細工は一切されておらず、使っても問題ないと許可が下りた。許可が下りるとハリーは練習に向かった。

 

 その後、ハリーは手に入れた箒で次々と試合に勝っていった。しかしスリザリンも負けておらず勝ち点は同じに並ぶ。そして最終試合。優勝を賭けた試合でイーニアは何故か実況席にいた。

 

『さあ、試合が開始されました!!本日のゲストはこの人!!狼の守護霊を出す!!我らが姫!!イーニア・シュツベルだぁ!!』

 

『姫って愛称流行らせるつもりなの?普通にイーニアって呼んでほしい。』

 

『おっと!!いきなり激しいぶつかり合い!!いいぞ!!もっと攻めろ!!』

 

『実況なんだから応援はしないほうがいいんじゃない?』

 

『ポッター選手はファイアボルトに乗っています!!これで勝ちを取ってきたと言っても過言ではない!!』

 

『箒が全てではないのがクィディッチだけどね。』

 

『おお!入れた!先制しました。グリフィンドール!!10対0!!』

 

『やっと実況らしくなってきた…。』

 

『ちっくそ!!防ぎやがった!!』

 

『暴言も吐かないほうがいいよ?』

 

『スリザリンも負けてはいない!!腹が立つが良い連携をする!!』

 

『ウッドも相当クィディッチ馬鹿だけど、リーもだよね。』

 

『負けるな!!行け!!そこだ!!ああー!!くそ!!点が入ってしまった!!』

 

『マクゴナガル先生がすごい顔でこっち見てるよ?』

 

『実況します!!』

 

『今のはいいパスだね。今年は両チームとも最高だと言えるんじゃないかな。』

 

『お互い10点ずつ取り激しい攻防が続く!!これほどの接戦は今まで見たことがない!!』

 

『こうなるとシーカーが大きなカギになるね。』

 

『ポッター選手もマルフォイ選手もまだスニッチを見つけられていないようです!!』

 

 そんなお互い点を取らない状態が長く続いたがドラコがスニッチを見つけ加速を始める。2人は並びドッグファイトを始める。ぶつかり合いロールしたりと凄まじい。スニッチも加速していく。

 

『まるで戦闘機みたい…。』

 

 どこか美しく競い合う2人の動きを見てイーニアは呟く。上空を飛んでいた2人が一気に地面に向かって加速を始める。スニッチが下へと向かったようだった。

 

『これはお互いの度胸が試される!!一直線に落ちていく!!』

 

 減速せず地面に向かう2人。一応怪我をしないように隣で杖を構えているマクゴナガル。2人とも手を伸ばしスニッチまであと少し。地面まではもう10mもない。少し減速したドラコに対し、ハリーはそのままの速度で向かった。

 

「なっ!?」

 

「この勝負はもらうよ!!ドラコ!!」

 

 減速しないハリーに驚き、加速しなおしたドラコだったがすでに遅く、体一つ分前に出たハリーが地面スレスレでスニッチを掴むと、地面にぶつかることはなく上空に上がった。

 

『やりました!!スニッチを掴みました!!グリフィンドールの勝利です!!』

 

 歓声が会場を包む。グリフィンドール選手は抱き合い喜びを分かち合っている。特にウッドがすごく、雄たけびをあげていた。ドラコは仰向けで腕を目元にやり悔しそうにしている。そんなドラコのところにチームメイトが来て一言、二言、言うと起き上がらせた。

 

 選手全員が箒から下り、握手をする。両チームのキャプテンは暴言を吐きながら抱き合っていた。

 宿敵同士だがクィディッチと言うスポーツを通してお互いを讃え合っている。

 リーは横で号泣しながら"お前ら最高だーー!!"と叫んでいた。イーニアはさっきまでの暴言はどこにいったのだという突っ込みは野暮だったので言わなかった。

 

 

 

 

 




愛されイーニア。
リーのキャラがまったく思い出せず妄想等々で補いました(笑)

イーニアも忍びの地図をもらいましたがシナリオに影響させるかは何も考えてません。
また描写はありませんでしたがハリーはルーピンに守護霊の呪文を教わったり、忍びの地図を没収されたりしてます。

クィディッチをすごいかっこよく描写したかったのですが私には無理でした orz


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