戦いの基本は格闘だ。魔法や道具に頼ってはいけない   作:imuka

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なぜか次の話がすぐに完成しました。


ではどうぞ。


秘密の部屋
休みから学校が始まるまで


 夏休みの宿題を終わらせ魔法の研究と新しい武術の研究に勤しんでたイーニアに一通の手紙が届く。

 

『イーニアへ

 元気にしているかい?ぼくらは元気にしている。

 さっそく本題に入るんだけど、残りの夏休み、ウチの【隠れ穴】で過ごさないか?ハリーやハーマイオニーも誘ってる。

 いい返事を待ってるよ。

 ロナルド・ビリウス・ウィーズリーより』

 

 手紙を読み、ひとまずアリシアへ連絡を取る。許可をもらいロンへの返事を書こうとペンを取るとインターホンが鳴った。玄関へ行き扉を開ける。

 

「はーい。どちらさ…ま…。」

 

 そこにはフレッドとジョージ、ロンがいた。

 

「「「これからハリーを奪いに行こうぜ☆」」」

 

「いいよ。うん、うん……とりあえずそこに正座して?」

 

 思考が停止しそうになったが何とか動かし、笑顔を向ける。ロンはその笑顔に凍りついたが双子はどこ吹く風だった。

 説教を終え、荷物をまとめたイーニアはアリシアに早く行くことになったことを伝え、車に乗る。

 

「まったく、なんで手紙が届いて数分も立たずに来るかな。」

 

「その話はさっきもしたじゃないか。」

 

 ぶつぶつ文句を言うイーニアに申し訳ない顔をしているロン。

 

「そういえばこの車大丈夫なの?」

 

「…?――普通に問題ない奴だが?」

 

「そうじゃないよ。勝手に使って大丈夫かってこと。魔法かかってるんでしょ?これ。」

 

「……まー、そのなんだ。」

 

「見つかる前に片付ければ問題ないさ。」

 

「私、擁護しないからね。」

 

「ひどい!!」

 

「冷たい!!」

 

「年上の男2人が私に泣きつくな!!」

 

 そんな話をしながらハリーが住む家に着く。

 

「ハリーに連絡してあるんでしょ?」

 

「いや、たぶんハリーは何も知らない。」

 

「なんで?」

 

「途中まで連絡できてたんだけど途中から返事が来なくなった。だからハリーを攫いに来たんだ。」

 

「攫いにって…ま、いいよ。私が普通に呼びに行く。」

 

「「なに!?」」

 

「え?何か問題あるの?」

 

 双子の突然のオーバーリアクションに思わず引くイーニア。

 

「ハリーの部屋は2階らしい。」

 

「うん。」

 

「2階の窓の横に車をつけて。」

 

「はい。」

 

「「お姫様っぽく救出!!」」

 

「ハリーは男だしここはマグルが住む場所なんだからそんな非常識なことしないで?」

 

「「もちろん車は見えない!!」」

 

「そういう問題じゃない!!」

 

 はーっとため息を吐くとロンに肩をポンッと叩かれ、さらにため息が出る。1年の中頃、ジョージとフレッドの行為につい突っ込みを入れたら2人はそれが楽しかったらしく、ちょくちょく漫才をさせられる羽目になっていた。

 双子との漫才をやめ、車を降りると家のインターホンを鳴らす。すると大柄の男が出てきた。

 

「誰だ?お前は。」

 

「ハリーの友達のイーニアです。初めまして。ハリーいますか?」

 

 魔法に関するすべてが嫌いとハリーから聞いていたので、できる限り常識的に話をしていく。

 

「小僧ならいるが…会ってどうする。」

 

「残りの夏休み、友達の家で泊まり込みしようって話になってるんです。」

 

「残りの夏休み…?」

 

 バーノンはその期間にピクッと反応した。

 

「なら連れて行って構わん。だだし来年まで返すなよ。小僧は上の一番左だ。」

 

 そういうとバーノンはどかどかと奥へ行ってしまった。

 

「お邪魔します。」

 

 イーニアは階段を上り、一番左の部屋の扉の前に着く。扉は板で打ちつけられ出られないようになっていた。

 

「酷いことをする…。」

 

 怒りつつもここで事を起こしては元も子もないのでイーニアは怒りを収める。板を外し中に入るとハリーがかなりやつれた状態で部屋にいた。ハリーは突然のイーニアの登場に驚いている。

 

「イーニア…?どうして…ここに…。」

 

「説明は後でする。とりあえず荷物まとめて。ここを出るよ。」

 

 まともに食事をしていないのか動きが鈍いハリーの代わりにイーニアはどんどん荷物をまとめ、部屋を出た。玄関を出る際、バーノンたちがいたが軽く頭を下げ"お邪魔しました"というとハリーの手を取り、家を出た。イーニアはあそこに居たくなかった。なによりハリーを居させたくなかった。

 

「ハリーをなんだと思ってるのよ。」

 

 小声だったが強く怒りの籠った声だった。

 少し離れた場所に車を止めていたロンたちはイーニアとハリーの姿を確認すると車から降り荷物を受け取る。荷物を車に乗せ、隠れ穴へ向かった。

 

「ひどいやつれ様だな。大丈夫か?」

 

「あんま食事をしてなくってね。――そうだ。ヘドウィックに何か食べさせたいんだ。なにかない?」

 

「バナナならあるよ。ハリーも食べて。」

 

「うん。ありがとう。」

 

 その後バナナを食べ終わったハリーは手紙を返せなかった原因はドビーと言う屋敷しもべ妖精が邪魔をしていたと話した。その屋敷しもべ妖精はハリーをホグワーツに行かせたくないらしい。なんでも罠があるとか。変な話ではあったが隠れ穴に着いたのでその場は話が終了した。

 着くと玄関でロンたちの母親モリー・ウィーズリーが腕を組み待っていた。

 

「「「げ。」」」

 

「もう一度言うけど私、擁護しないから。」

 

 イーニアは車から降りながらそういうと荷物を下す。ハリーの分をロンたちに持たせ玄関に向かう。

 

「こうして話すのは初めてですね。初めまして。イーニア・シュツベルです。」

 

「いらっしゃい、イーニア。モリー・ウィーズリーよ。ウチの馬鹿どもがごめんなさいね。」

 

「ええ、手紙とほぼ同時に来られたのは驚きました。」

 

「ま!!なんてことを!!3人は後で説教!!――ハリーもいらっしゃい。」

 

「お世話になります。モリーおばさん。」

 

 モリーの熱い抱擁を受けたハリーとイーニア。ハリーは離れるとヘドウィックを籠から出し空へ放った。

 

「モリーおばさん、すいません。ハリーに柔らかい食べ物用意してもらえますか?まともに食事してないみたいで。」

 

「わかったわ。馬鹿3人を説教したら用意するからそれまで休んでいて。」

 

 家に入るとハーマイオニーが出迎えてくれた。

 

「イーニア!!ハリー!!」

 

 飛び込んできたハーマイオニーを受け止めきれず倒れそうになるハリーを支えるイーニア。

 

「ハーマイオニー、嬉しいのはわかるけどハリー疲れてるから無茶しないで上げて。」

 

「ああ、ごめんなさい。私ったらつい。」

 

「いいんだ。ハーマイオニー、ぼくも会えて嬉しいよ。」

 

 3人は抱き合うとハーマイオニーの指示で荷物を運び、ハリーは食事ができるまで休むことにした。

 

 

* * *

 

 

 数日後、ダイアゴン横丁にて教科書を買うために各自並ぶ。教科書を買い終わり集合場所の書店の前に来るとすごい数の人がいた。

 

「これはなんの集まり?」

 

「サイン会だってさ。ギルデロイ・ロックハートの。」

 

「ああ、あの人の。」

 

「知ってるの?」

 

「本を読んだことがある。私の肌には合わない書き方だったけど。」

 

 つまらなそうに言うイーニアの態度にハリーとロンはそれ以上ロックハートに対し興味を持たなかったが3人がよく見るとサイン会の列にハーマイオニーが混ざっていることに気が付いた。

 

「ハーマイオニー、彼のファンなんだ。」

 

「趣味は人それぞれだからいいんじゃない?」

 

「そうだね。ぼくたちが何か言うことじゃないね。」

 

 3人はハーマイオニーがこちらに戻ってきてもそれには触れず、これからの授業について話していた。

 サイン会が終わりロックハートが店から出てくるとハリーを見つけ駆け寄ってくる。

 

「もしやハリー・ポッターでは!?」

 

 あまりの勢いに少し引き気味になったハリーはなんとか肯く。そしてハリーを抱きしめ高らかに言う。

 

「今日は記念日ですよ!私とハリー・ポッターが出会った日なのですから!

――そうですね。せっかくなのでここで発表させていただきます。私はホグワーツ魔法魔術学校にて、9月から【闇の魔術に対する防衛術】担当教授職をお引き受けすることになりました!!」

 

歓声が沸く中、イーニアはロックハートの腕の中にいるハリーがつらそうな顔をしていたのでひとまず助け舟を出す。

 

「ロックハート先生(・・)、腕の中の生徒が苦しんでいます。」

 

「おお!これは失礼。大丈夫かね?ハリー。」

 

 頭をくらくらさせたハリーを受け止めジド目でロックハートを見るイーニア。

 

「私の魅力に酔ってしまったようだね!はっはっは!!」

 

 "男が男の魅力に酔うか"と心の中で思いつつ、ハリーを連れてロンたちとひとまずその場を離れた。人だかりから少し離れた店の前で休憩しているとロンの父親アーサー・ウィーズリーがやってくる。

 

「すごい人だな。これなら集合場所を変えておくべきだったか。」

 

 他の皆も集まり出し、そろそろ帰ろうとしているとドラコの父親、ルシウス・マルフォイがやってきた。

 

「これは、これは、これは。Mr.ウィーズリー。相も変わらず魔法族の面汚しな顔をしている。」

 

「魔法族の面汚しな顔ってどんな顔だよ。」

 

 イーニアの突っ込みも無視し、喧嘩を始める大人2人。隣を見るとドラコが来ており、ため息を吐いていた。

 

「みっともない。なぜMr.ウィーズリーを前にすると冷静でいられないのか。」

 

「それを言ったらウチのパパもそうだよ。いつもならあんな風に言われても気にしたりしないのに。」

 

 息子2人は盛大にため息を吐くと"お互い気苦労が絶えないな"と慰め合っていた。

 

「喧嘩するほど仲がいいっていうけど?」

 

「「良くない!!」」

 

 すごい形相で言われて驚いたイーニアは少し怒りながら"仲いいじゃない"とつぶやいた。

 

 

* * *

 

 

 翌日、忘れ物が続出する中なんとか遅刻せずキングズ・クロス駅に着いた一向は汽車に乗りホグワーツへと向かった。ホグワーツに着くと馬車に乗り城へと向かう。

 

「これは…セストラル…だっけ?」

 

「イーニアはこれが見えるの?」

 

「私は両親の死を見てるからね。セストラルは死を見た事のある人間にしか見えないから。」

 

「ハリーが見えないのは?」

 

「幼すぎて死を認識できなかったんじゃないかな?」

 

 その言葉に3人は肯くと馬車は城に着き大広間へと入る。

 去年の自分たちと同じように組み分けが行われ、食事後いくつか注意事項をダンブルドアから告げられる。

 話が終わると寮へと戻り荷物の整理を行うとその日は寝ることにした。

 




コメディ回でした。
ロンとドラコの関係を近づけるためどうしようもない父親を持つ子という視点で意気投合させました。少しずつドラコの活躍の場を増やしていこうと思います。
フレッドとジョージのキャラは好きなのでイーニアとどう絡ませるか悩んでいたのですが漫才をさせる形で絡ませることにしました。和みます。




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