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フリーザは咲夜を惑星フリーザへと連れ帰り、食事を与え回復させた。もともと不死身なだけあって回復力は凄まじく、咲夜はたった数日で完治した。
回復してみれば咲夜はますます美しかった。ただでさえ綺麗だった銀髪は回復したことでハリとツヤが増し、青い瞳も強い光が宿っている。
充分に回復した咲夜は現在フリーザの玉座の前で跪いている。
「では咲夜さん。あなたの戦闘力を見せてもらいましょう。ザーボンさん。」
「はっ。」
ピピピピピピ…………
フリーザに指示されたザーボンがスカウターで咲夜の戦闘力を測りはじめた。無機質な電子音が部屋に響く。
「こっ……これは!!」
「どうしました?」
「故障だとは思いますが……この者の戦闘力は、30000です。」
「なにっ!?」
ザーボンが告げた結果にドドリアも驚愕の声をあげる。戦闘力30000とはべジータ王はおろか、フリーザ軍エリート戦士と言われるキュイや、自分やザーボンを上回る力なのだ。それだけに信じられない。スカウターの故障だと思ったドドリアも自分で計測してみるが結果は同じ。スカウターの画面には間違いなく30000と表示されていた。
「ほっほっほ。そうですか。やはり私の目に狂いはなかったようですね。さすがはツフルの科学力と言ったところでしょうか。咲夜さん。あなたは不死身の肉体だけではなく、優秀な戦闘力も兼ね備えているのですね。すばらしいです。」
「……勿体なきお言葉。」
「フリーザ軍に入って間もないあなたですが、あなた程の人材を劣兵として使うのは勿体ないですね。もう少し上の位を与えてもいいかもしれません。」
フリーザは別として、この宇宙に万を越える戦闘力の持ち主は結構少ない。万を越える戦闘力とは、その気になれば惑星一つを破壊できるほどの力だ。そんな強力な力の持ち主がそうそういては宇宙のバランスが崩れてしまう。
だからこそフリーザは咲夜のような人材は積極的にスカウトする。彼女のような優秀な人材を自身の手元に置いておけば、自軍の強化だけではなく、自分に逆らう危険因子を減らすことにもなる。そして優秀な者にはそれなりの地位も与える。それがフリーザのやり方なのだ。
「しかし、戦闘力の数値だけであなたを昇格させるわけにはいきませんからね。少しテストをしてみましょう。」
「はい。」
「この惑星フリーザからおよそ100光年程の位置にドライヤ星という星があります。その星は我が軍に物資を提供していただいてる星なのですが、今少々荒れてるみたいでしてね。国民による革命が起きているようなのですよ。ドライヤ王はその革命を抑えきれず、私に救援を求めているのですが、私は少し別件で手が放せません。そこであなたの初仕事です。わかりますね?」
「………はっ。了解いたしました。」
「ほっほっほ。とてもいい返事ですね。では行ってきなさい。宇宙船は確か倉庫に丸型のものが余っていたはずです。」
「はっ。失礼します。」
そう言って咲夜は立ち上がり、フリーザに深い礼をして部屋から出ようとする。
「おい!スカウターを忘れてるぞ!」
「ご安心くださいドドリア様。搭載済みです。」
咲夜がスカウターを忘れていることに気づいたドドリアが叫ぶが咲夜は振り返って自分の右目を指さした。咲夜は戦闘マシンミュータントとして開発されたため、スカウターのような「戦闘能力数値化装置」は標準装備なのだ。さらに、右耳につけたイヤリングでスカウターとの通信も可能である。
「では行ってまいります。」
咲夜はそう言って部屋を後にした。