瀟洒な召し使い   作:グランド・オブ・ミル

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原作前、無印編・10

 

 

 

 

 

 

原作ではあまりそういった描写はなかったため、意外かもしれないが、フリーザ軍での仕事は結構書類仕事が多い。私の1日の仕事の大半はこのデスクワークに持っていかれる。やはり全宇宙を支配する軍のトップともなるとそんじょそこらの会社とは比較にならない程の書類がまわってくるらしい。

 

そして今日の書類仕事は特に多かった。机の上に積み重なった書類が高いタワーをつくっており、いつ卓上雪崩が起きても不思議ではない状態だ。これをすべて今日中にやれというのだから無茶な話だ。

 

あまりにも多いのでフリーザやドドリア、ザーボンにも手伝ってもらっている。フリーザ曰く、毎年大体決まってこの時期に書類仕事が多くなるらしい。昨年まではフリーザとザーボン、ドドリアの3人で片付けていたので、今年は私がいる分幾分かマシなようだ。

 

これでマシって……。フリーザも苦労してたんだな…。

 

しみじみとそう思ってしまった。

 

「毎年のことですが、何とかならないですかね…。」

 

「えぇ、やはり奴らは消してしまいましょうか?」

 

「そうだな、こちらの被害も出るだろうが、それでもこの仕事がなくなるなら安く見えてきたぜ。」

 

フリーザが呟くとザーボン、ドドリアもそれに同調した。彼らが言う「奴ら」とはこのフリーザ軍とためをはっている「銀河防衛隊」のことだ。彼らはこの宇宙すべてを守り、全宇宙人に平和をお届けすることを企業理念にかがけた良く言えば正義の味方、悪く言えば偽善者の集まりだ。

 

宇宙のすべてを守るなど、何とも勝手な思想である。そんなの迷惑でしかない。特にサイヤ人などからしたらたまったものではないだろう。戦闘ができなくなるのだから。はっきり言って私もそういった連中は嫌いだ。実際は余計なことをしているのにさも自分は善人かのように振る舞う。そしてそのことを指摘すると理不尽に怒りだしたり、こちらを呆れた顔で見てくる。

 

自分が悪いことを自覚できない一番メンドくさいタイプだ。悪事をしていると自覚している分、フリーザ軍のほうが可愛く見える。

 

そんな銀河防衛隊が毎年フリーザ軍に「悪事もいい加減にしろ」だの「宇宙はみんなのものだ」だのという気持ち悪いキャッチコピーとともに文句を送りつけてくる。その処理がこの書類仕事というわけだ。

 

銀河防衛隊はとある大きな惑星を居住としたやたら兵士の数が多い軍隊だ。悲しい思考を持った人が宇宙にはそんなにたくさんいるのかと思うと嘆かわしい。まあ、とにかく数だけやたら多く、フリーザは「面倒くさい」という理由でいつも放置している。まあ、多分さすがのフリーザもあんな奴らの相手はしたくないのだろう。

 

それをどう勘違いしたのか、奴らは自分達がフリーザ軍より上だと思っているらしい。だからこそ宇宙の帝王フリーザに文句を送りつけるなんて愚行ができるのだ。

 

そしてついに頭にきたフリーザが奴らを消すことを考え始めたようだ。これは私も今から身構えておいたほうがいいかもしれない。

 

「そういえば咲夜。」

 

「何でしょう?」

 

不意に私の向かいに座って仕事をしていたザーボンが話しかけてきた。

 

「惑星の征服を終えたサイヤ人のガキどもがまた惑星べジータに帰って来たらしいぞ。」

 

「そうですか。分かりました。」

 

ザーボンからのお知らせを聞いた私は机から立ち上がる。一応私の分は終わっているので少し席をはずしても問題ないだろう。

 

「会いに行くのですか?咲夜さん。」

 

「えぇ、すみませんフリーザ様、少し席をはずさせていただきます。」

 

「お前も物好きな奴だな。わざわざサイヤ人のガキに会いに行くとは。」

 

「戦い終わった戦士のケアは大切ですから。失礼します。」

 

私はフリーザに礼をしてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 


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