黒髪セミロング、前髪で目が隠れている。巨乳。
バスケ部の朝練があるので、まだ空も少し暗いなか家を出る。すると、ちょうど隣からも出てくる女の子が。
「あぅ・・・お、おはよ・・・ございます・・・」
「おす、おはよ」
相変わらず長い前髪が目を隠してる。毎日ながら何をそんなに怖がってんだこいつは。歩き出すと、美陽は同じ距離でついてくる。そこそこ歩くスピードはやいのについてくる。
「・・・オイ」
「はいぃ・・・!な、なに・・・かな?でしょうか・・・」
「なんか尾行されてるみたいで嫌だから後ろを歩くな」
「・・・・・・はい」
「横、歩けよ」
「っ!は、はいっ!」
小走りで横まで来た。
「お前、毎朝このやりとりするの疲れるんだけど」
「あ・・・ごめんね?・・・なさい」
「まずそのナゾ敬語をやめろって。なんか虐めてるみたいだろ、俺」
「・・・ごめんなさい」
「謝るのも禁止」
「うぇっ・・・あう・・・」
「鳴き声禁止」
「・・・」
ご覧の通り、コミュニケーション能力に若干(多大)に問題がある美陽。幼馴染の俺ですらこれ、クラスのヤツらにはもっとひどい。ハイしか言えない。心配すぎる。
「お前、よくそれでマネージャーなんかやろうと思ったな」
「・・・」
「・・・いや、喋れよ」
「・・・だって、敬語と、謝るの、出ちゃう、ま、う」
うまう?何語?
「いつも言ってっけど、俺でちゃんと喋る練習しようぜ。思ってる事口に出す練習。別に何言っても怒んねぇからさ」
「ほ、ほんと?」
「ん・・・あーいや、怒る時は怒るかも」
「・・・うぅ・・・・・・」
「いやいや、俺お前に怒ったことないだろ?」
「・・・小学生、の、時とか・・・」
「小学生って。ありゃ好きな子にはちょっかいかけてぇってヤツだろ」
「そ、そうなんだ・・・・・・・・・え?」
「今はあまりに酷くなきゃ怒んねぇよ」
「え、え?す、す、え?」
「なに、暗号?啜え?なにを?」
「ち、ちがっ・・・さ、さっき・・・」
「あ、ついた。じゃあまた後でな」
男子更衣室に寄ってから体育館。マネは体育館直行。
「・・・ま、またね」
いつも顔赤くしてるやつだけど、今日はゆでダコみたいになってた。あとで保健室連れてこう。
朝練中もゆでダコのままあうあう言ってて、コーチも変なモノを見る目をしてた。許可とってお姫様抱っこで保健室まで運搬した。なかなか抱き心地がいいヤツなので抱っこはただしたかっただけ。
「・・・ふわぁ」
「ゆでダコ越えて逆に青くなってきてるぞ」
口がぱくぱくしている。
「あぁゆーのも嫌なら断らなきゃいけないんだぞ。俺相手なら練習だと思ってがんがん言いたいこと言えって」
「ば、ば、ば、」
「馬場婆?」
「ばかぁあぁ〜・・・」
ぽふぽふ胸を叩かれる。
「なに、嫌だったの?」
「嫌、じゃない、けどぉ・・・・・・」
シャイなやつだ。だがこうして他のヤツらに俺が保護者であることをみせとかんとな。こいつが変なヤツに目をつけられたら面倒だ。
「てか体超熱いじゃん、寝とけよ」
「・・・・・・だれの、せいよ」
頭を撫でてたら寝た。そのまま愛でて1限サボった。