黒髪ポニーテール。有乳。
「りーん、おい、鈴!起きろよ、時間だぞ」
「・・・ぅん、あと5分」
「それ5分前に聞いたよ。ほら、起きるの」
「・・・むぅ・・・起きたくないよぉ・・・」
「ダメだよ、体調悪くないんでしょ?頑張ろ?」
「や〜だ〜」
「生徒会、大変だろうけど僕も手伝うからさ。ね?」
「うぅ〜・・・」
のっそりと起き上がる鈴。髪はボサボサで、目がむくんでる。
「・・・洗面所まで連れてってぇ・・・」
「はいはい」
毎朝おんぶで洗面所連れていくまでが僕の仕事。シャワーを浴びるとアラ不思議。
「おはよう。今日もありがとう」
「ううん、学園祭も近いし、頑張ろうね」
「あぁ、そうだね」
キリっとした我らが生徒会長の誕生である。
登校。
背筋はピンとのび、半開きだった目はキリっと開かれ、歩く速度は男子よりも速い。
「あ、会長さんだぁ!おはようございまーす!」
「あぁ、おはよう」
「会長さぁーん!」
「おはよう、あぁおはよう」
容姿もあいまって、鈴は男子にも女子にも人気の生徒会長だ。登校時には常に声をかけられている。僕はその3歩前を毎日慎ましく歩く。
「あの、副会長さん、おはようございます」
誰にも声をかけられず密かに悲しんでいると、書記の後輩の佐藤さんが声をかけてくれた。
「おはよう、佐藤さん」
「相変わらず会長はすごいですね」
「そうだね」
「そういえば、今日の仕事のことなんですけど・・・」
そのまま、声をかけられ続ける鈴の後ろで、仕事の話をしながら登校した。
「さて、副会長。備品のチェックだけ朝してしまおう」
学校に到着するや否や、そう言う鈴。
「うん、わかった」
「あの!私もご一緒しましょうか?」
「いや、佐藤さんは大丈夫だ。そこまで量があるわけじゃないからな」
「そ、そうですか・・・」
シュンとして、佐藤さんは自分の教室に向かった。
「佐藤さん、真面目ないい子だよね。仕事もできるし」
「・・・そうだな」
2人で倉庫に向かう。すこしいつもより歩くのが早い。倉庫につくと、僕は昨夜渡されていた備品リストを鞄から出して、チェックを始める。すると、後ろから扉の鍵を閉める音が聞こえた。どうしたのかと振り向くと、突然鈴が抱きついてきた。
「・・・」
「・・・り、鈴?どうしたの?」
「・・・楽しそうだった」
「え、な、なにが?」
「さっき。登校してる時、佐藤さんと楽しそうにしてたもん」
「え?そ、そうかな?普通に生徒会の話してただけだよ」
「・・・私だって」
そこで、いっそう抱きつく腕の力が強くなった。
「・・・昔は、ずっとあなたとお話しながら登校できてたのに・・・」
「・・・鈴」
「・・・うぅん、ごめんなさい。その、今日も私頑張るから、もう少しこのままでいさせて?」
「・・・もちろんいいよ」
僕も鈴の背中に手を回して、背中を少しさすってあげる。
「・・・ふふっ、あなたにこうされると、安心するなぁ」
「昔から、泣いてる時とかはこうしたよね」
「も、もう、昔の話はやめてよ・・・恥ずかしいなぁ・・・」
「泣き虫だった鈴が、今はみんなのあこがれの生徒会長だもんね」
「・・・あなたが・・・かっこいい女の人が好きって・・・」
「え?なに?」
「・・・なんでもないもん!」
額を僕の胸に擦り付けてくる鈴。犬みたいで可愛い。
「鈴、そろそろ、ね?」
「・・・うん」
ちょっと名残惜しいけど、生徒会長と副会長が遅刻でもしたら流石にまずい。
「また、これやってね?」
「はいはい、お易い御用だよ」
結局、放課後にもしてあげた。