潤③ 幸せを日常の中で
最近やたらとつまらん。大学行くようになって環境が変わって、馬鹿騒ぎもしてる時は楽しい気がするけど、なーんかつまらんのよなぁ。
そんなこんなを考えながら大学の飲み会から終電で帰ったら、なんかベッドがもっこりしてた。
「・・・え?なに、不審者?」
「・・・おかえり」
にょきっと潤が布団から顔を出した。
「おう、ただいま。亀かお前は」
「亀じゃないもん、とりあえず入りなよ。ボクがあっためといたから」
「あー、いや、汗とタバコ臭いだろうしシャワー浴びてくるわ」
「ダメ。はいって。シーツと掛け布団明日洗濯したげるから。」
有無を言わさぬプレッシャーだった。潤が久々におこモードだった。すごすごとはいると、ぎゅっとひっついてくる潤。
「・・・くさい」
「だから言ったのに・・・」
「思った以上だった・・・」
「ばーか。・・・それで、どうしたんだよ潤。連絡もなしに」
「・・・とりあえず、頭なでてよ」
「・・・はいよ。とりあえずな」
とりあえず言われるがままに。
「なぁ、どうしたよ急に」
「・・・・・・」
「・・・黙ってちゃわかんねーぞ」
「・・・一週間、寂しかったんだ」
「一週間?」
「・・・キミがね、大学が始まって、サークルとかバイトとか、色々忙しいのは知ってるよ。だから、あんまりボクが邪魔をしちゃいけないと思ってたんだ」
やっと潤がしゃべりだした。目が赤くなってる。
「・・・お前、泣いてたのか?」
「・・・だって、だってね?ボク、ずっとキミと一緒にいたから・・・もうダメなんだ・・・寂しいよ、君と話せないと、苦しいよ、君と触れていられないと・・・ボク、もう我慢がヘタになっちゃったみたいなんだ・・・大好きって言わないと、不安になっちゃう、キミがボクを一番って言ってくれたことが全部夢になっちゃいそうで・・・そんなことばっかり、考えちゃって・・・」
「あー、いや、もう一週間会えてなかったっけ」
「・・・うん」
「なるほどなるほど、道理でな」
「やっぱり、ボクがいないと、自由な時間がたくさんあって楽しい・・・?ぼ、ボク・・・キミと、いないほうが、いい・・・?」
やだよぉ・・・、と、嗚咽混じりに潤がすがりついてくる。こりゃあ彼氏失格だな・・・。
「今日の帰りさ、漠然と思ったんだ」
「・・・な、なにを?」
「お前がいねぇとつまんねぇんだ、何してても」
「はぇ・・・?」
「一週間も放置しちゃったのは謝る。でも、ほんとにいろいろ重なって忙しかっただけだし、潤がいない方がいいなんて思ったことは1秒もない。むしろずっと、潤がいたらなぁって思ってた」
「・・・そ、そうなんだ」
「そうなんだよ。やっぱり再確認できたわ、俺はお前がいないとダメだ。今までどおり、お前が隣にいない人生なんて有り得なくなっちまった」
「う、うぅ・・・わかった、わかった・・・から、その・・・・・・嬉しすぎちゃうから、ね?」
「いやまだ言い足りねぇ。俺も一週間溜まってたみたいだ。潤、これから先、一生、出来る限り俺の傍に、近くにいてくれないか?美味いもん食った時も、綺麗なモンみたときも、お前と一緒じゃなかったらぜんぶ空っぽでしかないんだ。」
「そ、そのくらいでっ・・・」
「だから潤、お前の一生俺にくれ。さすがに早いかもしれねぇけど我慢出来ねぇ」
下を向いて、耳まで真っ赤にしている潤の顔を両手で挟んで、顔をあげさせる。潤んだ目が、あちこちに飛んで・・・それから、俺の目と合う。
「結婚しよう、潤」
「・・・・・・」
目を見開いて、ぱちぱちと瞬きをする。かわいい。
「け、けっこん・・・?」
「おう。第一俺も心配なんだよ、お前がどこぞの男に狙われないかとな」
「ぼ、ボク、キミと、けっこ・・・けっ、けっこん・・・」
「あれ、聞いてる?潤ちゃーん?」
「ぅぅ・・・うぇぇ・・・」
「ちょ、泣くなよ!」
「ら、らってぇ・・・ずっと、ずっと、キミと・・・夫婦になるの・・・夢だったの・・・うれしいよぉ・・・・・・」
「はいはい、撫でてやるからとりあえず泣きやめ、な!」
「うぇえぇ〜〜!だいすきぃぃ〜〜!!」
「わはは、きたねぇな、鼻水まみれでぶさいくになってるぞ」
「ぶさいくって言うな・・・・・・」
泣き止むまで、泣き止んでからも、ずっと傍にいてやった。
ロマンチックな演出とか、ライバル出現とか考えてたんですけど、やっぱりこの2人は日常の中でシンプルにがいいと思ったので。
投稿遅れてすいません;;今日の夜もう一本あげます。