遊園地に来ました。付き合って初めてのデートです。
「うむ・・・改めてデートとなると、どう過ごしていいかわからん・・・」
「そう?いつも通りでいいんじゃないの?」
「そ、そうは言ってもだな!今は私とお前は、か、彼女彼氏の関係なんだぞ・・・?いつも通りというのは、いささか色気が無さすぎるだろう・・・」
「花火の色気・・・ちょっとドキドキしてきた・・・!パンツ見せてもらって・・・いいかなっ!?」
「お前は平常運転だな」
いいわけないだろ、と思いっきりお尻を蹴られた。クソッ、色気は一体どこに・・・
「まぁまずは鉄板絶叫系でしょ!」
「ジェットコースターだな、久しぶりだなぁ・・・」
ガタンゴトン。隣に乗っている花火は涼しい顔をしていた。ノリノリで乗った俺は落ちる前から後悔していた。高所恐怖症なことを失念していたYO!!
「ヨォオオオオオオオオオオオ!!!」
「いやっふぅーーー!!!!」
五分後。
「ま、まぁ余裕かなっ!」
「私に全体重預けながら言うな。情けないヤツだな・・・」
「よ、よし!次はお化け屋敷やで!」
「・・・お前はホラーだめだろうに・・・」
いざゆかん戦〇迷宮!
『イヤダァァァァァアァァシニタクナイイイィィイイ!!!!!』
「イヤぁぁぁぁぁあ花火助けてええええええ!!!」
「ちょっ、うるさっ、ていうかどこ触ってるんだバカ!」
四十分後。
「まままままぁ余裕のよっちゃんですわわわわ」
「椅子から立ち上がることもできなくなってるぞ・・・」
クソっ!今日は華麗にエスコートをキメてやるつもりだったのにッ!今のとこ俺が介護されてるだけじゃないかッ!
その後もコーヒーカップでは酔って吐きそうになっては花火に背中をさすってもらい、空中ブランコではチビりそうになって半泣きでトイレに駆け込みと散々なデートとなってしまった。
かくなるうえはっ!観覧車で強引にムードを作るしかない!
そんなこんなで、向かい合って観覧車。太陽も沈みかけて正に黄金シチュ・・・!これは濃厚チッス不可避・・・!
「・・・花び」
「なぁ」
「は、ハイ!」
み、見透かされたか・・・!?
「その・・・すまん」
「え、なにが?」
「いや、・・・つまらなかっただろう?私なんか、今日だって女らしい反応の一つもできない、話が上手いわけでもない・・・お前はずっと、一緒にいてくれて、私を楽しませてくれるけれど・・・。私はお前に、何もしてやれてない気がするんだ・・・やっぱり、色恋沙汰には向いていないと思ってな・・・」
「俺は幸せだよ」
「・・・」
花火が、すこし涙の滲んだ目をこっちに向ける。
「別に女の子らしい反応も、面白い話が出来なかったとしても、一緒に居てくれるだけで大好きだって、幸せだって言えるくらいには俺はお前が銀河レベルで好きだからな!」
「・・・よくそんな、歯の浮くようなセリフがすらすらと言えるな・・・私より上手いんじゃないか?演技」
「演技なんかじゃないからな」
花火が隣に席を移してきた。
「とことん私を惚れさせて・・・にがさんからな・・・?釣った魚は重たいんだぞ・・・?」
「はいはい、一生飼わせてもらうよ」
「・・・なぁ、景色が綺麗だな」
「・・・あぁ、そう・・・だ・・・あっ、ちょっと待って、お腹キュってなってきた」
「なっ!お前、今はそういうんじゃなかっただろ!」
「ご、ごめんって!下見ないようにしてたけど花火がそんな事言うから!あっやばい冷や汗出てきた」
「ばか!阿呆!すかたん!背中さすってやるから!あと半周頑張れ!」
「・・・うごごごご・・・腹が・・・痛く・・・」
黄金シチュでも甘くならない、俺達の先が思いやられる初デートとなった。
本人達はイチャついてる気ないのに傍から見るとゲロ甘な幼馴染あるある