短冊の願い事は12年連続、『お嫁さんになれますように』
現在ソファに座って月9ドラマを見てる。隣にはホットミルクを啜る冬夏。本来テレビはニュース、書物は小説しか嗜まないヤツだが、最近ドラマとマンガを見始めた。キッカケは先週あたりの放課後。
俺が体型がほぼ男な女友達と月9やマンガのことで話していると、ついつい盛り上がってしまい、話に入れず冬夏を1時間ほど蚊帳の外にしてしまったことがあった。それに気づいた時はどれだけ機嫌を損ねてしまったかと冷や汗を書いたが、意外に嵐のような罵詈雑言を飛ばしてくることはなく(いつも通りの罵詈雑言は飛んできた)、ただ旬のドラマやマンガを教えてほしいとのこと。
「で、どうだった?人生初のドラマは」
「どうだったと言われても、まだ物語がなんにも進んでないじゃない。起承転結の起だけ見て面白いと感じるのは、もはや思考停止の条件反射、すべてのドラマが面白く感じるドラマ狂いだわ」
「分かりづらい言葉を並べるなよ、俺頭悪いんだから」
「あら、自覚があるだけマシじゃない。自覚がないお馬鹿さん程救えない存在だったらどう養おうかと思っていたけれど、そんな心配はなかったわね」
「いや、そこは流石に男のプライド見せさせてくれよ・・・」
「あら、今のあなたを見ている限りだと到底私を養えるようになるとは思えないのだけれど。朝は起きない料理も洗濯もしない勉強も私に頼り切り。一体どこに隠している甲斐性を私に見せてくれるつもりなのかしら」
「・・・今日もよく舌が回るな・・・折角なんだからドラマの話しようぜ」
「・・・そうね。まぁ作品として出す以上一辺倒の純愛物語では視聴者も食傷気味、盛り上がりもかけて人気は出ないんでしょうけど・・・少し回りくどいわよね。消化不良を次話への餌とするんでしょうけど、分かっていてもなんだ煮えきらないわ」
「そのもどかしさこそドラマの醍醐味だろ。これを1週間溜めて見るからドラマはおもしれーんだよ」
「なるほどね。確かに上手い商売ではあるわ。ただどうにも、こういう恋愛ものの主人公とかを見てると苛苛するものがあるわ。どこかの誰かさんを見てるみたい」
「え?俺煮えきらない?結構お前好き好きオーラでてるとおもってるんだけど」
「んぐっ・・・・・・けほっ、ちょっと、貴方気が利かないくせに全然鈍感じゃないのはなんなの?不意打ちは止めなさい。気管に入ったじゃない。せめて5分くらいは気持ちの準備をさせて頂戴」
「普段から不意打ちしかしない人が何言ってるんですかねぇ・・・」
「全く・・・突然過ぎるわよ。こっちに攻めっけしかないのだから、突然の攻撃には無防備なのよ。今度からそういう嬉しくなること言う時には前置きしなさい。あと、周囲に人がいないか確認しなさい」
「よし、じゃあ言うわ」
「ふぇ?ちょ、ちょっと待っ」
「好きだ。愛してる。いつもありがとう」
「〜〜〜〜〜っっ!み、見ちゃダメっ!」
「ふげっ!」
顔をグイグイ押される。くっ、顔みたい!絶対可愛い!今が攻め時なんだ!!
「み、見たら怒るわよ!すっごく怒るわ!」
テンパりすぎて悪口すら出てきてない!攻めろ・・・!逆襲だ・・・!後ろから抱きつけ!
「よし、これなら顔見えないし、いいだろ?」
「あぅ!・・・い、ふ・・・きゅう」
カクン。気絶した。