やっぱりコックリさんなんかやるもんじゃないね 作:hotoke 814
体が重い。
朝っぱらからこんな感想を抱くのは今どきの学生ならば当然のことだろう。
…恐らくのとの場合はもっと別の要因があるのだが。
「いやー、今日もいい天気ですねー」
「曇りだぞ」
曇天の空をいい天気という馬鹿は天邪鬼。妖がこちらに留まるには強い未練か契約が必要とのことで、数日前の狐宜しく接吻によって新しくのとと契約した妖になった。
その際に狐が妙に不機嫌になったが気のせいだろう。
「今日は降り出さないらしいが、この世は何が起こるかわからんからのう」
「全くだよ…」
数日前にコックリさんで狐を召喚してからというもの、色々な方面から疲れが押し寄せてきている。
お陰で登校もいつも以上に重いものとなっている。
契約を許したのはのとだがここまでとは思わなかった。
やっとの思いで登校した時には朝のショートホームルームギリギリだった。
のとが登校し、席に着いた時にちょうど担任が入ってきた。
「うーっし、じゃあ、始めっぞー。日直、号令」
相変わらず気だるそうな声での1日の開始の合図が教室に響く。
ーーーーーーー
今日1日ギリギリ雨が振らない、と言った感じの空である。
もはや、朝なのか昼なのか、広がる灰色の雲によって認識出来なかった。
キーンコーンカーンコーン。
「ん?あぁ、もう時間か。んじゃあ、今日はおしまい、日直、号令」
授業終了の合図が鳴り響き、授業が終わる。
授業が終われば、教室はこれでもかというほど騒ぎ出す。
先ほどの授業の復習を多少やる生徒もいれば、今話題のゲームやらテレビ番組やらの話をする生徒もいる。
それはもう十人十色という言葉がお似合いな感じである。
「のとー!飲み物買いに行こうぜー!」
「一人で行ってろ」
元気の塊といった感じの了を放っておいて、のとは机に突っ伏す。
今までの授業時間の全てを周りに浮かぶ妖2体に費やし、神経をすり減らした結果、限界がきた。というところである。
単純に考えれば、1体妖が取り憑いたということは心配事が1人分増えたわけだからその分神経をすり減らすのは当然のことと言えた。
当の2人は学校のものに興味津々であった。
いつ問題を起こすか気が気じゃない。
「なにー?また、突っ伏してんのー?昨日夜ふかししたんでしょー」
「うるせぇな、こっちにも色々あんだよ…」
「とか言っちゃってー。ほんとは夜遅くまで遊んでたんでしょー」
そう言って葉桜は突っ伏している頭をぐりぐりと肘で押してきた。かなり強めに。
正直、かなり痛いのでやめてもらいたいが、怒る気力すら残っていない。
「あらら?ほんとに疲れきってるみたいね?」
「なんかあったのかよ?話は聞くぞ?」
二人の優しさが身に染みる。基本的にバカで限度を知らない2人だが優しい時は優しいのだ。
「…いんや、なんでもねーよ。ただの疲れ」
「そうか、ならいいんだが…」
これでもかなり心配してくれてるようだ。
素直に感謝しておこうと思う。
「のとさんのとさん」
「あ?」
天邪鬼に呼ばれて、呼ばれた方を向くと青空を背景に立つ天邪鬼と狐の姿があった。
「晴れたようじゃな、いやー、これで気分も多少は晴れるのう」
そう言って、狐は腕を振り上げ思いっきり体を伸ばした。
確かに狐の言う通りに、幾分かは気分が晴れたように思えた。
お疲れ様です、ほとけです。
ペースアップしてお届けできたのではないでしょうか。できたと思います多分。
さて、次回の話では割と真面目な話を書こうと思います。では、次回お会いしましょう。ありがとうございました!