「復活のF」で、フリーザの部下達が生き返らせたのがコルド大王の方だった••という話です。

※pixivとのマルチ投稿作品です。

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復活のC

08/21 15:30 晩夏の夕暮れ。

 

蝉の鳴き声が響くブルマ家の庭。バーベキューパーティーが開かれている。悟空とベジータを除いて、皆が集まり悟飯の退院を祝っていた。

 

(悟飯は数日前に心臓病ウィルスに感染し、緊急搬送されていた。しかし特効薬を投与され、回復。無事にこの日を迎えることとなる)

 

大きな焼き鳥を頬張っているクリリン。車椅子に座っている悟飯に声をかけた。

 

 

クリリン「良かったなあ悟飯。一時はどうなることかと思ったぞ」

 

悟飯「僕も、まさか父さんと同じ病気になるなんて思ってもいませんでした」

 

クリリン「親子揃って同じ心臓病ウィルスに感染するなんて、笑えないぞ」

 

 

しかしまだ完全回復とは言い難い悟飯。車椅子から起きようとするだけで息切れを起こしてしまう。ビーデルが駆け寄る。

 

ビーデル「駄目よ。お医者様からあと数日は安静にしてるよう言われてるんだから無理しないで」

 

悟飯「はぁ。はぁ。あははは!やっぱりまだ起き上がるのはちょっと早かったね」

 

 

チチは機嫌がわるい。悟空が来てないことが不満なのだ。

 

チチ「まったく悟空さったら!こんな時にもビルス様の星に帰っちまうだなんて。瞬間移動でパパッとくればいいのに!」

 

悟飯「今日だけは大事な特訓があるって言ってたから仕方がないよ」

 

チチ「こういう時ぐらい悟空さがパンちゃんの面倒みねえでどうすんだべ」

 

悟飯「は•••ははは」

 

 

そこにパーティーの主催者であるブルマがグラスを片手にやってきた。

 

ブルマ「はいはいチチさんも落ちついて。ウチのベジータもビルス様の星に行っちゃって戻ってこないし。サイヤ人なんてそんなものよ〜」

 

 

悟飯はブルマに感謝の意を伝える。

 

悟飯「すいませんブルマさん。わざわざこんな立派なパーティーを開いてもらって」

 

クリリン「そんな気を使わなくてもいいよ〜悟飯。何かと理由つけてパーティーやりたい人なんだから」

 

ブルマは笑顔でクリリンの頭を殴った。

 

クリリン「イデッ」

 

ブルマ「おほほほ!そんなこと気にせずに食べて食べて!食事制限とかあるの?」

 

悟飯「あ、いや。もうなんでも食べていいらしいんで」

 

するとブルマは悟飯の前にドッサリと豪華なフルーツやステーキを並べさせた。一部はクリリンの食べ物を取り上げて悟飯に回す。

 

悟飯「うわーっ。これは凄いなあ。頂きます!」

 

ブルマ「じゃあ皆、遠慮しないで食べてね〜。私はちょっと用事があるから」

 

そう言うとブルマは別棟のガレージの方に消えて行った。

 

今日は夏らしい良い天気で、バーベキュー日和だ。悟飯親子にも幸せな時間が訪れる。

 

 

○○○

08/21 16:30

 

場面は変わって宇宙空間。地球から200億光年も離れた場所を宇宙戦艦が移動している。艦内では不機嫌そうに玉座に座っている者がいた。その者は、フリーザと瓜二つの姿をした男、コルド大王だ。

 

彼は部下を厳しく問いただしている。

 

コルド大王「私は腕試しができる相手を探せと言ったはずだがな」

 

コルド大王の前で震えているのは、小柄なフリーザ軍の幹部•ソルベだ。

 

ソルベ「お、お許しください大王様!あれでも全宇宙で一番強いはずなんです。もちろんサイヤ人どもと魔人ブウを除けばですが••」

 

コルド大王は人差し指をペロッと舐めた。その爪には緑色の血の跡が残っていた。

 

コルド大王「まるで詐欺だな。3秒ももたずに死んだカスが、宇宙有数の戦士とは」

 

ソルベ「し•••しかし、あやつは魔界の王ということに嘘偽りはありませぬ。しかもダーブラという強者達と同格の実力者と聞いております。トランクスなどものの数ではありません!」

 

 

幹部のソルベはフリーザ親子を地球で討ち取られて以来、常に地球を監視対象にしていた。

 

その成果の甲斐があり、フリーザ親子の宿敵が、未来から来たベジータの息子であったことも判明している。そして孫悟空が超サイヤ人ゴッドの力を得ていたことも。

 

 

ソルベ「さ•••最新スカウターによる計測結果からも、大王様のお力は既に超サイヤ人ゴッドの遥か上に到達したと判明しております」

 

コルド大王「それは良かった。その報告がなければ、お前を重力加速度室に入れて処刑してしまうところだったよ」

 

ソルベ「ひいいっ••。どうかお許しを大王様。100万倍の重力加速度室だけは•••それだけは•••」

 

怯えるソルベの脇には一人の戦士達が直立している。彼はフリーザ軍の幹部のタゴマという男である。彼はソルベにコッソリと耳打ちした。

 

 

タゴマ「ソ•••ソルベ様。やはり最低でも魔人ブウ並の相手をご用意してさしあげねば大王様はお怒りは解けませぬぞ」

 

ソルベ「そんなこと言っても、その魔人ブウは地球におるんだから仕方がなかろう!」

 

 

コルド大王が座っている椅子の側には供物台が立てられている。そこには大王が殺害したばかりの魔界の王の頭蓋骨が飾られていた。

 

その頭蓋骨を大王は座したまま手で掴むと、指先でクルクル回しだした。まるでバスケットボールを回すように。

 

 

コルド大王はしばらく考え込んでいた。そして決断を下す。

 

 

コルド大王「これ以上は時間の無駄だ。すぐに地球にワープせよ。復讐すべき時が来た」

 

ソルベ「はっ!はい!ではすぐに装置を起動させます。地球へは10分もかからずに到着いたします」

 

 

コルド大王は立ち上がり、窓から星々が煌めく宇宙空間を眺める。

 

そして魔界の王の頭蓋骨をグシャリと握り潰す。

 

コルド大王「待ってろよゴミどもよ。すぐに本当の地獄を見せてやるからな」

 

 

慌ただしく準備するフリーザ軍の兵士達。タゴマも地球侵攻の準備に走る。

 

タゴマ「フハハ。怖え〜怖え!まあ大王様にかかれば2時間後には全てが消え失せてるだろうな!」

 

 

○○○

08/21 16:45

場面は変わってブルマの家の庭へ戻る。

 

悟飯は車椅子に乗ったまま、パンを抱っこしてあやしている。悟飯一家の安らぎの時が訪れる。

 

 

悟飯「パンちゃん!べろべろば〜」

 

パン「キャハハ!」

 

ビーデル「くすくす」

 

 

呆れるクリリン。

 

クリリン「あいつも立派な馬鹿親だなー」

 

ピッコロ「親バカだろ••」

 

しかし突如として大地震が発生し、一同を襲った。時は午後4時52分。

 

ピッコロ「皆、気をつけろ!こ••これは大きいぞ!」

 

ブルマ「みんなテーブルの下に隠れなさい!ほらチチさんも、トランクスも」

 

 

大きな地割れが発生し、ビーデルとベビーカーに乗るパンを襲う。

 

ビーデル「きゃああ」

 

悟飯「ビーデルさん!掴まって」

 

車椅子から急いで起き上がった悟飯。両手でビーデルの手と、ベビーカーを掴んだ。すんでのところで、二人は地割れに飲み込まれずに済んだ。

 

20秒ほど揺れてようやく地震は収まった。ビーデルとベビーカーを軽く持ち上げる悟飯。

 

 

悟飯「ふう。ようやく収まった••」

 

ブルマ「これは大きな被害が出てそうね••」

 

大地震の衝撃で、皆はショックを受けている。

 

ピッコロはすぐさま上空に飛び立って、西の都の様子を確認した。

 

 

ピッコロ「な•••なんだアレは!」

 

 

ピッコロの目に映ったのは、底知れぬ巨大なクレバスによって分断されている西の都だった。

 

その巨大なクレバスは東の地の果てから伸び、西の地の果てに向って進んでいた。

 

 

ピッコロ「数千キロはあるぞ••。こんなものは自然現象で生まれるものではない。まさか••」

 

 

そこにクリリンがやってきた。

 

クリリン「な••なんだこりゃ••。地球が裂けたのか?」

 

 

次の瞬間、東の空が赤く染まった。巨大な光柱が成層圏に向って聳え立っている。

 

クリリン「あ••あれは東の都の方角だぞ」

 

しばらくして轟音がピッコロの耳に届くや否や、再び大地震が発生する。

 

ピッコロ「何者かが東の都を破壊しているようだな!その衝撃がここまで伝わってきやがる」

 

クリリン「だけどピッコロ!たいした気は感じないぜ••」

 

眼下に広がる西の都は、度重なる地震で壊滅的な打撃を受けてしまっている。

 

クリリンとピッコロは地上に降りて、たった今、目にしたことを皆に伝えた。皆は驚きを隠せない。

 

ブルマ「嘘でしょ••一体誰が?」

 

 

するとこの話を聞いた悟天とトランクスが興奮してしまった。

 

悟天「一体なんだろうね!トランクス君」

 

トランクス「面白そうだな!行ってみようぜ悟天!」

 

 

クリリンが制止する。

 

クリリン「おいおい。子供はここで大人しくしてなさ•••」

 

だがクリリンが言い終わる前に二人は東の都に向けて猛スピードで飛び立ってしまう。

 

ピッコロ「待て悟天!トランクス!」

 

クリリン「ば、ばかやろう!言ってるそばから」

 

 

 

悟飯は胸を手で押さえながら、車椅子から立ち上がった。

 

悟飯「ハァ••ハァ。分かりました。僕が二人を追います」

 

苦しそうな表情を浮かべる悟飯に、ピッコロは心を痛める。

 

 

ピッコロ「••フン。悟飯が出るまでもない。俺が二人を見てきてやる。ついでに東の都で暴れてる奴らも片付けてきてやるさ」

 

ピッコロが東の都に向かって勢いよく飛ぶ。そしてクリリンもピッコロを追いかける。

 

クリリン「待てよピッコロ!俺も行く!」

 

悟飯もそれに続こうとするが、ビーデルが両腕を伸ばし、体を張って止める。

 

ビーデル「追いかけちゃだめよ悟飯くん!安静にしてて」

 

悟飯「何か嫌な予感がするんだ。僕が行かなきゃ••」

 

チチ「ちょっと!悟飯さ何考えてるだ。ピッコロの言う事を聞いてなかっただか!?」

 

皆の制止を振り切り、悟飯はヨロヨロと空中に飛び出し、悟天、トランクス達を追いかける。

 

ビーデル「駄目!悟飯くん!」

 

 

○○○

場面は変わってビルス星。悟空とベジータが組手をしている。二人はビルス星で修行をするようになっていたのだ。

 

悟空「はっはー!ずいぶん強くなったじゃねえかベジータ」

 

ベジータ「ククク。顔に青痣ができてるぜカカロットさんよ」

 

悟空「おめえは鼻血が出てんぞ」

 

ベジータ「くそっ。い、いつのまに!」

 

超サイヤ人になることなく激しい戦闘を行う2人。全くの互角だ。そこにウイスがやってきた。

 

ウイス「はいはい。組手は、お終いにしてください。今から城の大掃除という大事な修行をしますからね」

 

悟空「え!大事な修行ってそれなのウイスさん!?オラ、悟飯の退院祝いをすっぽかしてこっちに来たんだぜ!」

 

ウイス「ああ。そういえば息子さんが病気でしたっけ。じゃあ頑張ってください。これまでの修行がキチンとできていれば30分で終えられるはずですから。はいっ!ブラシを渡しましたよ」

 

 

ウイスがパンっと手を叩くと、悟空とベジータは大急ぎで城に向った。大急ぎでブラシをかける。

 

ベジータ「くそっ。これが戦闘民族サイヤ人の姿とは情けない」

 

悟空「本当に修行になってんのかなコレ?掃除は上達してっけどさ」

 

 

○○○

08/21 16:55

ワープによってコルド大王軍は悟飯たちの気づかない内に地球に侵入していた。

 

舞台は灰塵と化した東の都へ変わる。コルド大王と大勢の部下達は上空から、破壊の成果を眺めていた。

 

 

ソルベ「す•••素晴らしい。軽く手刀を振るっただけで、地球を輪切りにしまうとは••」

 

【コルド大王は、数分前に東の都を消そうと、上空から手刀を振った。だが勢い余って、地球を斜めに輪切りにしてしまった。大地には巨大なクレバスが生まれ、それが地の果てまで続いている】

 

 

コルド大王「ククク。危うく地球ごと消してしまうところだったぞ。力の加減が難しいわ」

 

 

大王の側に控える幹部たちが、称賛の言葉を送った。

 

タゴマ「しかしトランクスがいないのが残念ですなあ大王様」

 

ソルベ「スパイロボットがいくら探しても怨敵トランクスは見つかりませんでした。どうやらそう都合よくこの時代には戻ってきてはいないようです」

 

 

コルド大王は不敵な笑みを浮かべる。

 

コルド大王「トランクスはもう一人いるだろ」

 

ソルベ「へ!?あれは大王様とは無関係のトランクス••」

 

コルド大王が睨む。

 

 

ソルベ「は!そ••そうです。子供のトランクスは確認できてます」

 

 

ソルベはコルド大王の狂気に、少し怯える。

 

ソルベ「も••もう一つご報告します。残念ながら孫悟空やベジータも地球にいないようです。3日前はいたのですが••」

 

コルド大王「そう慌てるなソルベ。じきに連中は地球にかけつけてくるはずだ。宇宙のどこにいようとな」

 

 

コンクリートの瓦礫が散らばる大地にコルド大王の軍は降り立つ。

 

 

コルド大王「さ〜て。ゴミどもが駆けつける前に、次はどの街を潰してやろうか•••。おや?何者かが超スピードでコチラに近づいておるな」

 

 

その時、空の果てから金色の戦士達がやってきた。西の都から飛んできたやってきた、悟天とトランクスだ。

 

ソルベ「なっ!あれはこの星の超サイヤ人ども!もう駆けつけてきたのか」

 

 

コルド大王達の前に着地する二人。異様な姿の連中を前に不思議がる。

 

 

トランクス「な••なんだコイツら?地球の奴らじゃないぞ」

 

悟天「ちょっと••ヤバそうじゃないかなトランクス君」

 

トランクス「へっ!たいした気は感じないけどな」

 

コルド大王は邪悪な笑みを浮かべる。子供とは言え宿敵トランクスが目の前にいるからだ。

 

 

コルド大王「こいつはトランクスじゃあないか。何も知らずに、わざわざ来おったぞ。フハハハハ!アッハハハハハハ!」

 

ソルベ「す•••素晴らしい幸運ですな。大王様のご武運たるや宇宙一!」

 

怖いもの知らずの二人も、なんだか気味が悪くなって来た。

 

 

悟天「なんでトランクス君の名前を知ってるんだろう••」

 

トランクス「気持ち悪い奴らだな••。このままでも勝てるけど、とっととフュージョンするぞ悟天!」

 

悟天「よし!いくよトランクス君」

 

トランクス•悟天「フュージョン!はっ!」

 

 

コルド大王軍の前にゴテンクスが出現する。しかも超サイヤ人3形態だ。その激しいオーラに、コルド大王軍の兵士達も動揺する。

 

 

タゴマ「おお!これはヤバそうな奴が登場しだぞ••」

 

ソルベ「大王様!お気をつけください。あれが超サイヤ人3です!魔界の王とは比較にならない恐ろしさですぞ」

 

 

だがコルド大王は邪悪な笑みを浮かべたまま、まるで動揺していなかった。

 

 

コルド大王「よし。お前達は下がっていろ。こんなガキは、私の前ではゴミに等しいことを見せてやろう」

 

大王の言葉に挑発されるゴテンクス。

 

ゴテンクス「なんだと〜!ゴミはお前だクソ爺!」

 

 

ゴテンクスは猛然とコルド大王に殴りかかった。

 

 

○○○

 

トランクス達を追いかけていた、ピッコロ達は、やや遅れて東の都上空に到達する。というのも悟飯の体調が優れず、スピードを出せなかったのだ。

 

空中を移動するピッコロは、併走して飛ぶ悟飯の体調を心配する。(悟飯は既に道着を纏っている。背中には「魔」の文字。ピッコロの魔術で服を道着に変えてもらっている)

 

ピッコロ「お前は帰れ悟飯!既に呼吸が乱れてるぞ」

 

 

胸を押さえながら飛ぶ悟飯。

 

悟飯「ハァハァ。だ•••大丈夫ですよ。ピッコロさん」

 

クリリン「見てらんないぞ悟飯••やっぱり帰った方がいいよお前は」

 

 

東の都跡に接近する3人。20分前まで東の都があった場所には瓦礫の山だけが残っている。その凄惨な光景に緊張感が高まる。

 

 

悟飯「街が•••消えている••」

 

クリリン「あれを見ろ‼」

 

 

クリリンは、巨大な宇宙戦艦と、武装した大勢の異性人達を発見する。

 

ピッコロ「この街を破壊したのはあいつらか••」

 

クリリン「あれは••フリーザ軍の宇宙船だぞ!?あいつらフリーザ軍かよ!」

 

ピッコロ「おい待て。地上の様子がおかしいぞ!誰が倒れているぞ」

 

悟飯「あれは••悟天だ!じゃあトランクスくんはどこだ!?」

 

 

ピッコロ達が到着するまでの僅かの時間で、ゴテンクスはコルド大王の前に敗れてしまっていた。

 

意識を失ったと思しきゴテンクスは、悟天とトランクスの二人に戻ってしまったようだ。

 

 

 

ソルベ「さっそくお守りどもが、現れたようです。大王様」

 

3人はコルド大王達の前に降り立つ。着地の瞬間によろける悟飯。すぐに悟天のもとに駆け寄る。全く動かないが、死んではいないようだ。

 

悟天「に•••兄ちゃん••。トランクス••君••が。死ん••じゃ••う」

 

悟飯「くっ・・・酷い傷だ。骨が折れてる」

 

 

クリリン「まさか••。ゴテンクスが負けたのかよ!?こんな奴らに!?」

 

 

悟天は酷い傷だった。しかしトランクスの方がより激しく負傷している。

 

なにしろコルド大王とタゴマは悟飯達が来たにも関わらず、地面に倒れたトランクスをサッカーボールのようにずっと蹴り続けている。何発も何発も。

 

 

コルド大王「どうしたトランクス。もう死んでしまったか?フハハハ!」

 

コルド大王は、トランクスをタゴマの方に蹴る。タゴマはトランクスの体を足で受ける。

 

タゴマ「はーい!ナイスパス!そらリフティングだ。1.2.3。おっしゃ大王様にパス!」

 

悟飯「やめろー!」

 

 

 

悟飯の叫び声で、ようやくトランクスへの暴力をやめたコルド大王。

 

コルド大王「邪魔するなよゴミめ••。貴様から死にたいのか?」

 

悟飯「まだ子供だろ••。このクズ野郎ども••」

 

 

悟飯は頭に血が上っているようだ。

 

 

一方、ピッコロは目の前に対峙しているコルド大王を見て驚く。その姿はフリーザの第二形態にそっくりだからだ。

 

 

ピッコロ「どうなってるんだ••。フリーザが生きてやがるぞ」

 

 

ソルベは大王に注進する。

 

 

ソルベ「大王様。悟飯の奴がいますぞ。孫悟空の息子です!非常に強力なサイヤ人ですからご注意を」

 

コルド大王「ほお。それは楽しみだな」

 

コルド大王は3人に向けて、紳士的に自己紹介をはじめた。

 

コルド大王「お初におめにかかる。私はフリーザの父で、コルドというものだ。訳あって現世に蘇った」

 

ピッコロ「な••。フリーザの父だと!?」

 

しばし目を瞑り、記憶を手繰り寄せる悟飯。コルド大王の存在にピンときた。

 

 

悟飯「思い出したぞ••。フリーザと一緒にいたデカイ気の持ち主だな••!」

 

ピッコロ「そいつか!だがそいつはトランクスに殺されたはずだぞ!」

 

 

動揺を隠せない悟飯達に、ソルベが解説する。

 

ソルベ「ククク。半年前に地球のドラゴンボールを使わせてもらったのだ。この天才戦士のタゴマにかかれば気を消す技なぞ容易いからな。ボール集めなど、やすやすとやってのけたのさ」

 

タゴマ「もっともドラゴンボールレーダーってのは、地球のガキ3人(ピラフ一味)から拝借したけどな」

 

ソルベ「ドラゴンボールの力で大王様は再びこの世に舞い戻られ、その上に半年もの間、厳しい鍛錬も積まれた。全宇宙はコルド大王様の元にひれ伏すのだ。この星を滅ぼした後は新ナメック星へ行き、フリーザ様も復活させる」

 

 

悟飯は納得する。

 

悟飯「•••そういうことか」

 

 

フリーザの事を思い出したクリリンは、コルドも変身するのか疑問に思った。

 

クリリン「なあピッコロ。アイツから全然気を感じないけど、フリーザみたいに変身すんのかな?」

 

ピッコロ「そんなの分かるわけなかろう••」

 

 

コルド大王がクリリンの問いに答える。

 

コルド大王「クク。私は変身などせぬ。必要ないからな」

 

 

胸を押さえて苦しそうな表情を浮かべる悟飯。トランクスを踏みつける足をどけようとしないコルド大王に苛立つ。

 

悟飯「はやく、その汚い足をどけろよ••」

 

コルド大王はわざとグリグリとトランクスの背中を踏みにじる。

 

 

コルド大王「邪魔するなカスが。私にどれだけ恥をかかせたか、まだまだトランクスに思い知らせなきゃならん」

 

 

クリリンは恐怖を感じた。顔から血の気が引く。

 

クリリン「な••何を言ってんだアイツ」

 

悟飯は逆に熱くなった。

 

悟飯「だから•••相手は何も知らない子供だろうがぁ!」

 

 

怒りに燃える悟飯は一気にアルティメット状態に変貌した。

 

ソルベの最新スカウターが反応し、計測の上限値に近づく。

 

ソルベ「す•••凄まじい。最終形態フリーザ様の数百倍の戦闘力を放っておる••」

 

タゴマ「ス••スゲェ!なんてエネルギーを発散してんだよ••。まるで超新星だぜ!」

 

アルティメット悟飯はそのまま超スピードでコルド大王めがけて突進。だがパンチは空振りに終わる。気づけばコルド大王の姿が見えない。

 

アルティメット悟飯「バカな消えた••!?」

 

 

ピッコロが叫ぶ

 

 

ピッコロ「後ろだ悟飯!」

 

 

アルティメット悟飯は慌てて振り返る。背後にコルド大王が立っていた。

 

 

アルティメット悟飯「なっ!」

 

コルド大王「見たところお前、病気のようだな?だが負けても言い訳にはならんぞ」

 

一瞬茫然とする悟飯。しかしすぐに怒りのスイッチが入り、再びコルド大王に殴りかかる。

 

 

アルティメット悟飯「お前こそ負けても言い訳するんじゃないぞ!」

 

 

コルド大王「かぁっ!」

 

コルド大王が軽く気合を発しただけで、アルティメット悟飯は吹っ飛ばされる。そのまま巨大クレバスに落下しそうになるが、踏みとどまった。

 

 

アルティメット悟飯「ハァッ!ハァッ••。ば••化け物かコイツ••」

 

 

悟飯をして歯が立たない。この光景にタゴマはホッとする。(何しろ悟飯を怒らせてしまっているから)

 

 

タゴマ「大王様スゲえ•••。あの化物サイヤ人が手も足も出ねえぞ!フハハ!」

 

 

コルド大王は仁王立ちして笑う。

 

 

コルド大王「お前らなぞに恨みはないが、死んでもらうぞ。恨むならトランクスと孫悟空を恨め」

 

クリリン「おいおい。無茶苦茶言ってやがるぞ••」

 

コルド大王「しかし諸君らのような貧弱なゴミ戦士どもは、苦境に際して時間稼ぎに走るのが常だ。それは私の望むところではない」

 

 

コルド大王は、倒れているトランクスの方向に、ピッと指を伸ばして差した。すると意識不明のトランクスは球状のバリヤーに包まれる。

 

このトランクスを閉じ込めた球体バリヤーはコルド大王の念動力によって、フワリと浮く。それをコルド大王は右の手のひらの上に浮かべる。

 

クリリン「あいつ、トランクスをどうする気だ!」

 

その態勢のままコルド大王は、その大きな体をフワリと宙に浮かせる。部下達もそれに続く。100メートルほど上昇したところで止まる。

 

ピッコロ「な、なんだ!?何をする気だ」

 

 

コルド大王は、左の手を天にかざす。その手の平から眩い光を放つエネルギーボールが発生する。かつてフリーザがナメック星に撃ち込んだデスボールと同じものだ!

 

 

コルド大王「ずあっ!」

 

大王は大地に向けてデスボールを撃ち込んだ。一帯が光につつまれて爆発する。3人は急いで防御の姿勢をとる。

 

悟飯「くっ!」

 

クリリン「うわぁ!」

 

ピッコロ「おいおい!いきなり地球を消す気かコイツ!」

 

しばらくして噴煙が収まると、大地には巨大なクレーターができていた。そのクレーターの中心部分には、直径100メートルほどの巨大な穴が空いていて、底が見えないほどに深い。地殻を貫通し、マントルまで穴が達しているようだ。

 

 

ピッコロ「奴は何をしやがったんだ!」

 

 

上空から見下ろすコルド大王はニヤリと笑う。

 

コルド大王「なあに大したことはない。地球の中心核にちょいと時限爆弾を撃ち込ませてもらっただけだ」

 

悟飯「!!」

 

コルド大王「私が放ったデスボールは30分もすれば大爆発を起こす。そしてこの地球を消し去るということだけ覚えておいてくれれば良い」

 

 

アルティメット悟飯「な•••なんだって!?」

 

クリリン「地球ごと消し去るだって!?冗談言えよ!」

 

 

コルド大王はさらに付け加える。

 

コルド大王「たとえ私を殺したところで、時限爆弾のカウントダウンは止まらない。もはや私の意思の及ぶところではないからな」

 

 

クリリン「う••嘘だろ!?なんだよそれ!」

 

 

コルド大王「つまりだな。宇宙空間で生きられない諸君らは、どうあっても死の運命から逃がれられないわけだフハハ!」

 

ピッコロ「そんなバカな••」

 

 

ここでタゴマが補足する。

 

タゴマ「もちろん貴様達にも助かる方法はある。30分以内に我々の戦艦を奪うことぐらいだがな。ククク。だがお前達にワープ装置を起動させる方法など分かるはずない!」

 

クリリン「そ•••そもそも分かったところで地球は助からない••」

 

コルド大王「面白いだろ?実に簡単な死のゲームだ。ついでにもう一つゲームをプレゼントだ」

 

バリヤーに閉じこめられているトランクスが僅かに意識を取り戻した。

 

トランクス「ご••悟飯••さん••」

 

コルド大王「クク。意識を取り戻さない方が幸せだったろうに」

 

コルド大王はトランクスが入った球体バリヤーを、巨大なクレーターの中に勢い良く撃ち込んだ。

 

 

コルド大王「だぁっ!」

 

アルティメット悟飯「なっ!」

 

クリリン「トランクス!」

 

トランクスは地球のコアに向かって飲み込まれていく。

 

 

コルド大王「私のコントロールが正しいければ、デスボール側の特等席に糞ガキは落下したはずだ!フハハハハ」

 

アルティメット悟飯「あの••野郎!」

 

コルド大王「それでは諸君らの健闘を祈ろう。絶望的な危機を30分で何とかしてみるがいい。フハハハハ!」

 

 

クリリンは唇を噛みしめる。

 

 

クリリン「な••なんて奴だよ!親子揃ってめちゃくちゃじゃないか」

 

ピッコロ「くそっ。こいつは一体どうすればいいんだ」

 

 

ここで悟飯がピッコロに提案する。この極限的な苦境から脱するただ一つの方策を。

 

アルティメット悟飯「僕がアイツらの気を引きますから、ピッコロさんはその隙に時限爆弾を回収し、トランクス君を助けてください」

 

 

ピッコロはしばし考える。しかし他に方法がないので、了承した。

 

クリリン「マジかよ!地球の中心核にあるってんだぞ。今からで間に合うのか?」

 

ピッコロ「知るか!やるしかない!」

 

 

アルティメット悟飯はコルド大王の方を向き、徐々に戦闘力を上げていく。

 

 

アルティメット悟飯「ハァッハァッ。それじゃあピッコロさん。頼みます!」

 

クリリン「でも悟飯だって立ってるのもやっとじゃないか!」

 

アルティメット悟飯「僕なら大丈夫です。雑魚達はクリリンさんに任せます!」

 

 

クリリン「わ••分かった。あのスキンヘッドだけはぶっ飛ばしてやる」

 

悟飯は燃え盛るような激しいオーラを噴き出す。悟飯の急激な戦闘力の膨張。計測中のソルベのスカウターが爆発した。

 

ソルベ「うわっ!最新スカウターが••。なんという戦闘力だ。直接計測が不可能とは••」

 

 

だがコルド大王は全く動じない。

 

 

コルド大王「ククク。毎度よく壊れるな」

 

アルティメット悟飯「降りてこい!俺が相手だ!」

 

 

アルティメット悟飯が必死にコルド大王とその部下達の気を引いてる間に、ピッコロはクレーターの中心部の穴に飛び込もうと試みた。

 

だが、上空のコルド大王は見逃さない。指先からデスビームを放つ。ビームはピッコロの右腕を切り落とした!

 

ピッコロ「ぐあああっ!」

 

アルティメット悟飯は驚いてピッコロの方を振り返った。自分がコルド大王による妨害を許してしまったことに気づけてなかったのだ。

 

アルティメット悟飯「ば••ばかなっ!奴は今何かやったのか!?全く見えなかったぞ」

 

 

コルド大王は笑う。

 

コルド大王「先に私を消さぬ限り、地球は救えぬぞ」

 

クリリン「こ、こりゃあマズイぞ••」

 

 

○○○

08/21 17:10

 

場面はブルマの家に変わる。ブルマは庭で、ご馳走を天に掲げ、必死にビルス達とコンタクトをとろうと試みる。

 

ブルマ「ウイスさーん!ビルス様〜!ごちそうよ〜」

 

 

だが全く返事はない。

 

ブルマ「やっぱりダメか••。ベジータと孫くんに伝えたいのに!」

 

○○○

08/21 17:12

 

 

場面は灰塵と化した東の都に戻る。腕を切断されたピッコロのもとに悟飯がかけよる。

 

アルティメット悟飯「大丈夫ですかピッコロさん!」

 

ピッコロ「だ、大丈夫だ。心配するな」

 

ピッコロを再生能力を使って腕を治す。

 

 

コルド大王「どうした?残り28分で世界は終わりだぞ。もう諦めたのか正義の味方よ?フハハハハハ!」

 

上空から見下ろすコルド大王を、睨むアルティメット悟飯。

 

アルティメット悟飯「くっそぉ!よくもピッコロさんを!」

 

大地を揺るがすほど猛烈なキックを放ってジャンプし、コルド大王に襲いかかるアルティメット悟飯。だが••殴った相手は残像だった。

 

アルティメット悟飯「ちっ!またか」

 

何百発と大王を殴っても殴っても残像しか残らない。気づけはコルド大王はアルティメット悟飯の背後に回っていた。

 

 

アルティメット悟飯「ハァハァ••。ふざけやがって••」

 

コルド大王「ククク。これが孫悟飯ね•••」

 

 

コルド大王が右手を前に突き出し、悟飯の背中に当てる。そして手をピストルのような形にして、弾を撃つような真似をした。

 

 

コルド大王「死ね」

 

するとコルド大王が指先から発した気合だけで、アルティメット悟飯は木の葉のように吹きとばされてしまう。

 

アルティメット悟飯「ぐああっ!」

 

そのまま凄まじい勢いで落下し、再びクレバスの壁に激突してしまった悟飯。意識朦朧となり、さらに奈落の底に向って落下してゆくも、なんとか壁に捕まる。

 

ピッコロ「ばかな!悟飯が!」

 

クリリン「ピッコロ!余所見するな!」

 

 

上空からコルド大王軍の一団がピッコロとクリリンを襲う。(タゴマはソルベと共に推移を見守っている)

 

 

 

 

飛んで地上に戻ったアルティメット悟飯。苦しい胸を押さえながら襲ってくるコルド大王の手下達を見上げる。

 

 

アルティメット悟飯「ハァッ。ハァッ。時間がないってのに次から次と••。」

 

 

○○○

08/21 17:20

 

再び場面はブルマ家の庭。悟飯達の闘いで起きた振動が、地震となって伝わってくる。

 

必死にご馳走を天に掲げるブルマ。ようやくウイスがブルマからの着信に気づき、ビルス星との通信がつながった。だがこの通信は声のみ。ブルマには、ウイスの声だけが聞こえてくる。

 

ウイス「あら〜ブルマさん!どうしたんですか、そのご馳走!」

 

ブルマ「つながった!」

 

ウイス「それってもしかして高級なパイナップルというやつですか〜?」

 

ブルマは全力で叫ぶ。

 

ブルマ「ご馳走ならいくらでもあげるから、今すぐベジータと孫くんをそこに呼んで!大変なの」

 

ウイス「ほお。なんだか大変そうですね〜。ブルマさんが用があるそうですよ。二人とも掃除を一休みして、こっちに来てください」

 

しばらくして悟空の声が聞こえてくる。

 

悟空「どしたブルマ。オラは城を全部掃除しなきゃいけねえから忙しいんだぞ」

 

ブルマ「孫くん、ベジータを連れてすぐに地球に来て!とんでもない事が起きてるみたいなの」

 

悟空「何があったんだ〜?ブルマ」

 

悟空は割と呑気だ。

 

ブルマ「そ••それが、よく分からないの。ピッコロが言うには何者かが東の都を攻撃してるって」

 

 

ブルマの話を聞いた悟空は、地球の方角を向いて気を探る。巨大なパワーがぶつかり合ってるのを感じ取った。

 

 

悟空「こ•••こりゃあ•••大事だな。でも敵は誰なんだ?」

 

ベジータの声も聞こえてくる。

 

ベジータ「悟飯の奴が本気で戦ってるな••。相当な敵のようだな」

 

ブルマ「止めたのに行っちゃったのよ悟飯くん!早くしないと死んじゃうわよ彼!」

 

悟空の表情が曇る。

 

悟空「悟飯の奴••」

 

ベジータ「急がないとマズイぞ」

 

悟空「オラに掴まれベジータ!地球に行くぞ!」

 

 

ブルマは思い出したように付け加える。

 

 

ブルマ「あっ!そうだ。ちょっと待って。私も連れてきなさい」

 

ベジータ「な・・・何を言ってるんだブルマは!」

 

 

ブルマ「いいからっ!連れてって!」

 

 

○○○

08/21 17:20

 

場面は東の都跡へ。

 

コルド軍の兵士達の大半はピッコロとクリリンが倒した。

 

 

だかコルド大王と戦うアルティメット悟飯は既にボロボロになって、地面の上に倒れている。病のために未だ全力が出せていないのだ。

 

クリリン「悟飯が指一本触れられないなんて、どうなってるんだよ!」

 

ピッコロ「クッ••。恐ろしい奴がいたもんだ」

 

上空から闘いを観戦しているタゴマ。野次を飛ばす。

 

タゴマ「あと20分だぞ〜!頑張れ孫悟飯ちゃんよ!」

 

苦しい胸を押さえ、必死に立ち上がろうとする悟飯。

 

アルティメット悟飯「ハァッ。黙れ。黙らないと••」

 

だが起き上がれずに再び倒れてしまう。意識を失ったようだ。一方のコルド大王は傷一つない。

 

コルド大王「ちっ。根性なしめ。何が戦闘民族だ」

 

倒れた悟飯に興味を失ったコルド大王、雑魚兵士を倒した終えたばかりのピッコロとクリリンをターゲットにする。構えるピッコロ。

 

ピッコロ「きやがれ化け物め••」

 

クリリン「勝ち目ないけどな••」

 

コルド大王「直ぐにクタバるんじゃないぞ虫ケラども。孫悟空が駆けつけるまでは死ぬなよ?」

 

 

ピッコロはコルド大王に飛びかかった。

 

 

ピッコロ「舐めるなよ!」

 

ピッコロは一瞬でコルド大王を数十発も殴るも、まったく効いていない。逆にピッコロの手の骨が折れ、血だらけになってしまう。

 

コルド大王「まるで話にならん!」

 

ピッコロ「ぐあっ••。俺の腕が!おのれ••」

 

コルド大王「おいおい。そんな汚い腕でもう私に触れるんじゃないぞ虫ケラ」

 

コルド大王はピッコロの頭を掴んでそのままボールのように放り投げた。ピッコロはビルの残骸に何度もブツかり、大の字に倒れこむ。

 

ピッコロ「••ぐはぁ!」

 

クリリン「ピ•••ピッコロも一発で••」

 

次の瞬間にはクリリンの背後に回ったコルド大王。

 

コルド大王「人の心配してる場合かお前?」

 

クリリン「なにっ!いつのまに」

 

 

腕組みしたままのコルド大王は、背後からクリリンに軽く、足払いをする。するとクリリンの左足からゴキッと嫌な音がする。

 

クリリン「ぎゃあっ!」

 

 

クリリンの左足の骨は粉々に砕けた。そのまま地面に倒れこむ。呆れるコルド大王。

 

コルド大王「ゼリーより脆いクズどもだな。生きる価値なぞあるのか?」

 

 

そこにソルベが地上に降りてきて、コルド大王に進言する。

 

ソルベ「大王様。このまま地球を消滅させてしてしまうと、孫悟空と未来トランクスの所在が分からなくなってしまいますが、宜しいでしょうか」

 

 

コルド大王は笑う。

 

 

コルド大王「心配するな。連中などその気になればいつでも見つけ出せる。宇宙のどこにいようとな」

 

ソルベ「はっ!」

 

 

コルド大王の一言で地球破壊は続行されることとなる。

 

 

コルド大王「まずは虫ケラどもに退場してもらうとしようか」

 

ピッコロ「く••くそっ。殺される••」

 

クリリン「ぐううっ。まずいぞ••。せめて逃げないと。だが逃げてももうすぐ地球は•••」

 

 

だがその時、コルド大王の背後にアルティメット悟飯が立っていた。

 

アルティメット悟飯「いい加減にしろ・・」

 

 

振り返るコルド大王。

 

 

コルド大王「おやおや〜?こいつは死に損ないの孫悟飯くんじゃないか」

 

 

エネルギー弾を打つ方向を悟飯に定めたコルド大王。悟飯の心臓を狙って撃った。アルティメット悟飯は鬼にような形相で、そのエネルギー弾をはじき返す。弾は猛烈な勢いで上空に向かい、タゴマにかする。(タゴマはまったく反応できていない)

 

タゴマ「ぐあっ!」

 

ギリギリでエネルギー弾の直撃を免れたものの、服が一部破けたタゴマ。

 

タゴマ「あ、危ねえっ!食らったら死んじまってた」

 

少し驚くコルド大王。

 

コルド大王「おかしいな。お前程度のゴミならば、その腕がちぎれてしかるべきなのだが••」

 

 

コルド大王は悟飯の戦闘力が爆発的に上がっていることに気づく。

 

心臓病のためにパワーが制限されていたが、ここにきて強い怒りが限界を超えた力を引き出す。ただし代償をもたらして••。

 

ニヤリと笑うコルド大王。

 

コルド大王「ほぉ••!一寸の虫にもなんとやらと言うが、なかなかのものだよ」

 

 

ピッコロは少しだけ体を起こし戦いを見守る。

 

ピッコロ「悟飯••無理しやがって」

 

 

コルド大王が、悟飯に拍手する。

 

 

コルド大王「ゴミにしては素晴らしい戦闘力だ。褒美に大王の力をほんの少しだけ披露してやろう。20分の1程度だがな」

 

胸の苦しさで顔を歪めるアルティメット悟飯。だが堪える。

 

アルティメット悟飯「時間がないんだ••。すぐに終わらせてもらうぞ」

 

コルド大王「そうか。では特別に大サービスしてやる。私は目を閉じててやるから思う存分にかかってくるがいい。フリーザ一族の格ってものを教示してやろう」

 

 

大王は目を閉じた。そのふざけた態度に激昂する悟飯。

 

 

アルティメット悟飯「ならば、そのまま死んでいけ!フリーザもどきめ」

 

悟飯は最後の力を振り絞って突撃した。先ほどとは比較にならないスピードだ。猛烈な勢いでパンチや蹴りを繰り出している。しかし全部かわされてしまった。コルド大王は目をつむったまま一歩も動いていないにも関わらず。

 

アルティメット悟飯「な••なに!これでも••当たらない••」

 

ピッコロ「バカな!悟飯のスピードはずっと上がってるはずだ••」

 

目を開くコルド大王。

 

コルド大王「ククク。これじゃ〜話にならんな。ところで、まさかお前が超サイヤ人ゴッドって奴じゃないよな?」

 

 

ソルベが叫ぶ。

 

ソルベ「そやつはゴッドではありません!」

 

コルド大王「安心したよ。こんなに弱かったら、せっかくの修行が無駄になるところだ」

 

 

悟飯は悔しさで体を震わせる。

 

アルティメット悟飯「く••くそ。くそっ!こんな奴に一発も入れられないなんて••」

 

次の瞬間、テレポートしたかのように悟飯の後ろに回ったコルド大王。

 

コルド大王「そらっ!」

 

悟飯の背中に膝蹴を入れ、ふっとばす。この時、悟飯の背骨が折れた。

 

アルティメット悟飯「ぐああ」

 

倒れたまま胸をかきむしる悟飯。コルド大王は瞬間移動したように悟飯の側に現れる。

 

コルド大王「なんだ?胸が苦しいのか?それは大変だな。楽にしてやるよ」

 

コルド大王は悟飯の胸にドスンと巨大な足を乗せる。

 

アルティメット悟飯「ハァッハァッ。貴様••」

 

コルド大王「まあそう心配するなよ雑魚。全員仲良く殺してやるんだから、寂しくないだろ?」

 

アルティメット悟飯「クソッ。俺はパンちゃんを守らないといけないんだ!こんな奴に負けるわけには••。うおおおお!」

 

コルド大王の足を掴んで、必死に持ち上げようとする悟飯。しかし次元の違う力で踏みつけるコルド大王を前になす術もない。

 

アルティメット悟飯「ゲバァッ!」

 

ついに吐血した悟飯。

 

コルド大王「ククク。早く死ね。ゴミが」

 

○○○

08/21 17:23

 

場面はビルス星に変わる。

 

ベジータ「どうやらただ事じゃないみたいだな。気を引き締めろよカカロット」

 

瞬間移動のために必死に気を探る悟空。

 

悟空「コイツは悟飯達か?どうなってんだ。随分弱ってるぞ!」

 

ベジータ「ちっ。それにしても、こんな時に何故ブルマの元にいかなきゃならんのだ」

 

ベジータは悟空の肩に手を置いた。

 

ウイス「仕方ないですねえ。では城のお掃除はブルマさんの用事が済んでから、やってもらいますよ」

 

悟空「サンキュー!ウイスさん」

 

悟空とベジータの姿が消える。まずはブルマの元に向かう。

 

○○○

08/21 17:24

 

舞台はコルド大王との闘いの場へ。

 

 

コルド大王は悟飯の胸を容赦無く踏みつける。悟飯の肋骨が折れる。

 

アルティメット悟飯「ぐああああ!」

 

悟飯が踏み殺されそうになるもピッコロはまだ動けない。

 

ピッコロ「このままでは悟飯が••殺されてしまう」

 

ピッコロが絶望したその時だった。突如として、コルド大王を制止する孫悟空の声が響く。

 

悟空「やめろー!」

 

ピッコロが顔を上げると、悟空とベジータとブルマの三人が、瞬間移動によって現れていた。

 

ピッコロ「やっと来たのか••」

 

三人の出現に気づいたコルド大王は、悟飯を踏む足を上げた。ソルベが叫ぶ。

 

ソルベ「大王様!孫悟空と裏切り者のベジータが来ました!」

 

コルド大王「ククク。待ちくたびれたぞゴミどもよ」

 

 

悟空「悟飯••悟天••ピッコロ••クリリン。みんな酷い怪我じゃねえか」

 

 

コルド大王を睨みつける悟空。

 

だがナメック星にてフリーザの第二形態を目にしていない悟空には、コルド大王に心当たりがなかった。

 

悟空「誰だよおめえは。その格好はフリーザの仲間か?地球になんの用だ!」

 

 

元フリーザ軍のベジータが敵の正体を伝える。

 

ベジータ「や•••奴はコルド大王。フリーザの父親だ。トランクスが殺したはずなんだが生き返ってやがる」

 

悟空「フリーザの父親だって!?」

 

ベジータ「クソッ。どうなってるのか知らんが、とんでもないパワーを持ってやがる••」

 

悟空はさっそく倒れてる悟飯の元へ。

 

悟空「大丈夫か悟飯!おめえ病み上がりなのに無茶すんなよな。死んじゃったらパンちゃんが悲しむだろ?」

 

悟飯「ハァッ、ハァッ。すいま••せん」

 

 

倒れている悟飯の体に触れた悟空。別の場所に倒れている悟天の元に瞬間移動する。

 

 

コルド大王「ん?2人が消えおったな」

 

悟天を抱きかかえた悟空。悟天の傷は悟飯よりも軽いようだ。

 

悟空はニッコリと笑った。

 

悟空「仙豆はねえけど、その代わりに二人をデンデのところに連れてってやるから、安心しろ悟飯」

 

倒れたままの悟飯。無念の思いを口にする。

 

悟飯「ちくしょう••あの野郎に全く太刀打ちできませんでした」

 

悟空「••喋らなくてもいい。後はオラに任せろ。すぐに片付けてやっからな」

 

 

フッと消える3人。コルド大王も悟空による立て続けの瞬間移動には驚く。

 

コルド大王「ほう。これが噂の瞬間移動術か」

 

 

次の瞬間には悟空が一人でコルド大王の前に現れる。

 

 

悟空「さあ。誰だか知らねえけど、オラに用があんだろお前。勝負してやるぞ、来いよ」

 

コルド大王「フフフ。お前が孫悟空か。会えて嬉しいよ」

 

 

倒れていたクリリンが体を起こして叫ぶ。

 

クリリン「ご••悟空!ちょっとヤバイんだ。トランクスが死にかけてる。それにあと15分もすれば地球ごと爆発してしまう。」

 

悟空「え?」

 

ベジータ「なに!?」

 

ブルマ「な••なによそれ!トランクスがどうなったってのよ!?」

 

 

クリリンはこれまでの経緯を簡単に説明した。

 

 

ブルマ「な••なんてことを••」

 

ベジータの表情が怒りに変わる。

 

ベジータ「あの••ゲス野郎。今のトランクス相手に復讐のつもりか」

 

時限式のデスボールが地球の中心に撃ち込まれていること。そしてトランクスがその側に閉じ込められてること。悟空は突然の話に混乱する。

 

悟空「な••なんだよそりゃあ!?オラ一体どうすりゃいいんだよ」

 

 

コルド大王の真意が分からない悟空。

 

悟空「くっ。おめえはオラと勝負したいんじゃないのか!?」

 

コルド大王が笑う。

 

コルド大王「フハハ。バカか貴様は?我々はお前達を絶滅させるためにワザワザきたんだ」

 

悟空「か•••勝手な事を言いやがって〜」

 

 

まず悟空は瞬間移動術でトランクス救い出そうと、気の場所を必死に探る。だが見つからない。

 

 

悟空「どうなってんだ••。トランクスの気が見つからない。これじゃあ瞬間移動できねえぞ」

 

 

クリリンは両手で地面を叩いた。

 

クリリン「そうか••さっきのバリヤーが邪魔してるのか!クソッ!」

 

 

ベジータ「ちっ••」

 

トランクスを閉じ込めているバリヤーが、トランクスの気を外界に伝わらないように遮断していた。

 

 

苦悩する悟空にベジータが提案する。

 

ベジータ「カカロット!貴様はコルド大王を倒せ。余計な心配はいらん!トランクスと時限爆弾は俺が何とかする」

 

悟空「ど••どうやんだよ」

 

ベジータ「俺が地球のコアまで行ってくるしかなかろう。今の俺なら10分もあれば行って戻ってこられるはずだ」

 

 

ソルベとタゴマがベジータの作戦を密かに笑う。

 

 

タゴマ「軍のシミレーション結果では、ベジータごときはコアの高圧高温に耐えられず2分で死ぬんでしたっけ?」

 

ソルベ「その通り。奴らは作戦を間違えたのだ。コアに向かうならば孫悟空が行くべきだった。もっともベジータでは大王様を止められないがな!」

 

 

ブルマが叫ぶ。

 

ブルマ「ベジータ早く!トランクスが死んじゃうわ!」

 

ベジータ「トランクス••待ってろよ。すぐに行ってやる」

 

 

改めて悟空はコルド大王と対峙する。

 

 

悟空「すまねえなベジータ••。そんじゃ頼むぜ。こっちは任せろ。絶対にアイツをぶっ飛ばしてやる」

 

ベジータは忠告する。

 

ベジータ「貴様も分かってるだろうが、奴はまだとんでもない力を隠している。俺が戻るまで死ぬんじゃないぞカカロット」

 

悟空「ああ•••。分かってるさ」

 

ベジータ「いくぞ!」

 

ベジータは超サイヤ人となり、飛ぶ。そしてクレーターに向かい、中心にできた穴に飛び込もうとする。

 

 

コルド大王「バカかお前達は。私がそんなことを許すと思うのか?」

 

 

大王はベジータめがけて超スピードの気功波を撃つ。それも何発も。

 

だが赤い光を放つ男が、すぐさま間に入る。ベジータに向けられた気功波を全部弾き飛ばした。

 

コルド大王「な•••なに!?」

 

男の正体は超サイヤ人ゴッドとなった悟空だった。

 

ゴッド悟空「どこを向いてるんだ!お前の相手はオラだろ」

 

ソルベが慌てて代わりのスカウターを装着して悟空のパワーを計測する。

 

ソルベ「せ•••戦闘力0••。あれがサイヤ人の神か!」

 

タゴマ「ついに出やがったぜ••。さっきのサイヤ人とは桁が違うな••」

 

 

しかし悟空の力を前にしても、コルド大王に動揺はなかった。

 

 

コルド大王「ほお?その赤いのが超サイヤ人ゴッドというやつなのかな?三流戦士にしては上出来だ」

 

足を折られているクリリンは、顔を苦痛で歪ませながらも悟空を応援する。

 

クリリン「よし!いいぞ」

 

ピッコロ「さすがだな孫は••。あの化け物相手に一歩も引かんとは」

 

 

ゴッドとなった悟空は笑う。

 

ゴッド悟空「そんじゃやってみっか!」

 

 

ベジータは無事穴に突入し、地球外の中心核を目指して進むことになった。

 

ブルマは天に祈る。

 

 

ブルマ「爆発するまであと10分ってところかしら••。後は孫くんとベジータに全部を任せるしかないわ」

 

ゴッド悟空「下がってろよブルマ!危ねえぞ」

 

 

ブルマはクリリンのところにまで下がる。そしてポイポイカプセルを使って、道具を取り出し、骨折したクリリンの足を固定し、手当をする。

 

 

クリリン「いつつっ!ブルマさん。お手柔らにぃぃ!」

 

ブルマ「我慢してよ!私だってトランクスが心配で気が気じゃないのよ」

 

そこに少し回復したピッコロも駆けつけ戦いを見守る。

 

ピッコロ「孫••。後はお前だけが頼りだ」

 

 

ゴッドとなった悟空はコルド大王の元にズンズン進んで行く。大王はパチパチと拍手をする。

 

コルド大王「下級戦士にしてはなかなかのものだよ」

 

ゴッド悟空「まだ余裕か。てえした自信だな••」

 

コルド大王「期待してるぞ孫悟空。さっきのガキども程度じゃ、修行したのが全て無駄になってしまうからな」

 

 

ついに気の解放をはじめるコルド大王。宇宙全域を震わせるようなパワー。その力はゴッドとなった悟空にも想定外のものであった。

 

ゴッド悟空「なっ••。」

 

コルド大王「最後に教えてくれないか孫悟空。私に恥をかかせてくれた未来のトランクスはどこにいるのだ?この場に連れてこれるならお前の命だけは助けてやるぞ?」

 

 

額に汗が滲むゴット悟空

 

ゴッド悟空「••オラがそんなことを喋ると思うか?」

 

コルド大王「じゃあ貴様も惨めに死ぬがいい」

 

 

ゴッド悟空がコルド大王に殴りかかるが、それは悟飯の時と同様に大王の残像であった。

 

コルド大王の本体は背後に回って悟空を殴る••。しかし手応えはない。殴った相手はゴッド悟空の残像であった。

 

 

コルド大王「残像か!」

 

 

次の瞬間、大王の背後にゴッド悟空が現れた。コルド大王の背中に蹴りを入れ吹っ飛ばす。

 

 

ゴッド悟空「たぁっ!」

 

 

蹴り飛ばされたコルド大王は雲を突き抜ける。すぐに体を回転させて態勢を立て直す。そしてニヤリと笑う。

 

コルド大王「そうこなくっちゃな」

 

 

下降するコルド大王と上昇するゴッド悟空が激突する。その動きは高速すぎるためにピッコロですらまるで見えない。

 

 

アルティメット悟飯ですら、全く太刀打ちできなかったコルド大王の攻撃を、ゴッド悟空は平然と受け止め防御してしまう。

 

 

ゴッド悟空「だぁ!」

 

続いてコルド大王の顔を蹴るゴッド悟空。しかし大王はゴッド悟空の足を掴んで、そのまま振り回して地面に叩きつける。大地は真っ二つに裂ける。先にできた巨大なクレバスにぶつかり、十字の形になった。

 

一進一退の攻防が続くが、時間が経過するに従い、コルド大王の方が優勢になっていく。ゴッド悟空のパンチが当たらない!逆にコルド大王のパンチがゴッド悟空を吹っ飛ばす。

 

ゴッド悟空「ぐああっ!」

 

ブルマが時計を見る。

 

ブルマ「爆発まで残り6分ぐらいか••孫くん頑張って」

 

ピッコロ達にも形勢が判明してきた。

 

 

ピッコロ「ま•••まずいぞ。孫でも太刀打ちできんようだ」

 

クリリン「どうなってんだよ!デタラメな強さなんだぞ今の悟空は」

 

ゴッド悟空がついに息切れする。

 

ゴッド悟空「なんて野郎だ••。悟飯が何もできずに負けちまうわけだ。一体どんな修行してきやがったんだよ••」

 

コルド大王が笑う。

 

 

コルド大王「嬉しいよ。ようやく私と互角に戦えるものが現れたようだな••」

 

ゴッド悟空は冷や汗を浮かべながら、ニヤリと笑う。

 

コルド大王「•••というのは嘘だ。その程度なのか超サイヤ人ゴッドってのは?それじゃあ、いよいよ私が本気になってやるが良いかな?」

 

唖然とする悟空。

 

ゴッド悟空「おいおい•••冗談は•••」

 

コルド大王「いい準備運動になったよ孫悟空。今ので2割程度の力は出せてたかな?」

 

そして宣言通りにコルド大王がついに全てのパワーを解放しはじめた。ソルベとタゴマは危険を察知して、地上に降りて街の瓦礫の影に隠れた。大王の想像以上に膨れ上がったパワーに悟空は戸惑う。

 

ゴッド悟空「こいつは••まずい!」

 

 

次の瞬間、フワリと接近したコルド大王。あまりのスピードにゴッド悟空は接近に反応できない!

 

 

コルド大王の軽い掌底がゴッド悟空の鳩尾に決まる。ゴッド悟空は地の果てまで飛ばされ、そのまま巨大な山脈に激突する。

 

コルド大王「ククク。今のは軽く触った程度だぞ?まさかこれで死んだりしないよな」

 

ブルマ「孫くん!」

 

瓦礫の影に隠れているソルベ。

 

ソルベ「くく。死んだな愚か者め。超サイヤ人ゴッド対策を積んだ大王様の強さは底なしなのだ」

 

 

○○○

08/21 17:33

場面は変わる。ベジータが地球のコアを目指して進んでいた。

 

地球に空いた巨大な穴は深くなるに従いどんどん狭くなる。最後にはデスボールが通っただけの大きさしかない。そこでベジータは岩盤を突き崩しながら突き進む必要に迫られた。

 

マントルよりも深い地中を進むベジータにもコルド大王の解放された巨大パワーが伝わってくる。思わずコアへの移動を止め、地上方向を見上げる。

 

 

ベジータ「コ••コルド大王がこれほどのパワーを持ってたとは。カカロットの奴でも勝てんかもしれんぞ••」

 

険しい表情のベジータ

 

ベジータ「死ぬなよカカロット」

 

○○○

場面はビルス星へ。コルド大王の大パワーは全宇宙に伝わり、ここビルス星にも伝わった。

 

ベッドで寝ていたビルスが起きる。

 

ビルス「グー。グー。っな!なんだこの気は!」

 

ウイスが隣に現れる。

 

ウイス「どうやら地球からのようです。これは我々の知ってるコルド大王の気のようですよ」

 

ビルス「コルド大王だと?アイツにこんなにパワーがあったっけ?」

 

ウイス「どうやら修練を積んだようですね。以前とは比較になりません」

 

○○○

08/21 p.m.05:34

 

ゴッド悟空はフラフラと飛んで、コルド大王の前に現れる。ソルベは驚愕した。

 

ソルベ「信じられん!まだ生きておったのか••!」

 

 

ゴッド相手に圧倒的な力の差を見せたコルド大王は満足気に軽口を叩く。

 

コルド大王「ククク。随分と調子が悪そうだな孫悟空」

 

ゴッド悟空「オメエもフリーザと同じで嫌な奴みてえだな•••」

 

コルド大王「では次の攻撃で殺してしまうが構わないかな?虫ケラくん」

 

ブンブンと腕を回すコルド大王。追い込まれた悟空は隠していた最後の力を解放する。

 

 

ゴッド悟空「そう簡単にオラに勝てると思なよ•••。ハァァァァァ!」

 

コルド大王「なにっ!?まだ余裕があったのか••」

 

気合で目を血走らせた悟空。その姿が変貌する。赤く輝くオーラは青い光へと変わり、いっそう強い輝くを放つ。(超サイヤ人ブルーとなった)

 

クリリン「な・・なんだ!?悟空の奴がまた変化したぞ」

 

ピッコロ「ま•••まさか!悟空はゴッドをさらに超えやがったのか」

 

クリリン「凄え••。どうなってんだよ」

 

 

超サイヤ人ゴッドを超える形態となった悟空。

 

ブルーベジータ「ハァハァ••待たせたな。これがオラの奥の手さ。さあ互いに本気でやろうぜ」

 

 

地上のブルマは怒る。

 

ブルマ「なんなの孫くんの奴!奥の手があるなら最初から出しなさいよ!負けるかと思ったじゃない」

 

ブルー悟空は釈明する。可能ならブルーへの変身は避けたかったと。

 

ブルー悟空「へへ。心配させてわりぃな。でもオラはこの変身に慣れてなくてよ。上手にコントロールしないと、オラの気だけで、地球を破壊してしまうかもしんねえんだ」

 

クリリンは驚く。

 

クリリン「ぎょえ!そんな恐ろしいパワーを持った変身なのか••。めちゃくちゃだよ」

 

ピッコロ「ふふ。孫の奴め。どこまで強くなりやがるんだ••」

 

ブルマ「へ•••へー。そいういことなのねー。了解」

 

 

これまで腕組みしていたコルド大王が、ついに構える。

 

コルド大王「それではゴッドを超えた力とやらを見せてもらおうかな?そら、こい」

 

 

次の瞬間。スパンッという音とともに、ブルー悟空の蹴りがコルド大王の顎に入った。油断していたコルド大王は全く反応できなかった。

 

コルド大王「こ••こいつ!」

 

ブルー悟空「油断しすぎなんだよおめえは」

 

 

想像以上のスピードを見せた超サイヤ人ブルーを前にして、大王はようやく本気になる。

 

 

コルド大王「いいだろう!この私が本気で殺してやる。名誉に思え」

 

ブルー悟空「こいっ!」

 

 

 

コルド大王とブルー悟空が衝突する。意外な事に、実力は大王の力が、それでもまだ一段優っている。

 

不意をつけた最初の一撃を除いて、ブルー悟空の攻撃は全てコルド大王に防御され、かわされてしまっているのだ!

 

 

ブルー悟空「あ••当たらねえ••。なんて速え野郎だ」

 

コルド大王「ククク。私に一発も当てられんとはな。笑わせてくれる。何が超サイヤ人ゴッドを超えただ!」

 

 

コルド大王はお返しとばかりにブルー悟空の顎を蹴る。だがすぐにブルー悟空はクルリと一回転して態勢を立て直す。口から血が垂れるブルー悟空はニヤリと笑う。

 

ブルー悟空「へへ。一瞬でブチのめしてやるつもりだったのによ。こいつは、ちっとヤベェな」

 

だがブルー悟空も大王の苛烈な攻撃に耐えるだけの力は有している。ゴッドとは比較にならない強度だ。

 

 

コルド大王「フンッ。今の一撃で死なないだけ強くなってるというわけか•••。超サイヤ人ゴッドのままならば頭ごと破裂してるものを••」

 

地上から、人工知能搭載の最新スカウターを使って悟空の力を予測値で計測するソルベ。(ゴッドの力はスカウターで直接測れないので、計算で推定する仕組み)

 

ソルベ「信じられん奴だ。ゴッドの時とは比較にならん数値を叩き出しておる。くそ••。奴がこんな力を得ていたとは」

 

タゴマ「ソルベ様。そんなことより戦闘力の予測値は?」

 

ソルベ「そ••それならば心配いらん。コルド大王様の方が十分に上回っておる」

 

 

悟空に焦りの色が見え始める。だが焦りの原因はコルド大王の強さではなく、時限爆弾だ。実はこれのために、悟空はまるで戦いに集中できていない。

 

ブルー悟空『まだかよベジータ!早くしろ!皆が死んじまうぞ』

 

ブルマが心配そうに悟空を見守る。

 

ブルマ「あと••爆発まで5分あるかしら••」

 

○○○

08/21 17:34

ソルベ達の予想とは裏腹に、ベジータはついに地球のコアに到達した。そこにはデスボールによって削り取られた巨大な空間ができていた。(半径100メートルほどの球状空間)

 

この空間の壁は、凄まじい圧力のために物質が眩く輝いている。

 

その中で、怪しく放電しながら紫色に光るデスボール。軸を傾けながら超高速で回転している。

 

ベジータ『こいつが時限爆弾か••』

 

その横には、球体バリヤーに閉じ込められ、中で意識を失っているトランクスの姿があった。

 

ベジータ「トランクスッ!まずい••死にかけている!」

 

 

ベジータは急いでデスボールを片手で掴むが、あまりの高熱のために、手を火傷した。

 

ベジータ『クソッ』

 

○補足【酸素など存在しない超高圧の世界なので、もちろんベジータと言えど呼吸はできない。実は彼はずっと呼吸を止めている。超サイヤ人となったベジータならば10分程度呼吸を止めるのは造作もない】

 

デスボールが生み出す熱に耐え、どうにか右手で持ちかかえることに成功したベジータ。

 

そして左手でトランクスを包む球状バリヤーに触れる。ベジータが念を込めると、大王のバリヤーは破壊される。瞬時にベジータが代わりに作ったバリヤーがトランクスを保護する。バリヤーの色は青く変わり、形は正八面体状に変化した。

 

 

ベジータが通ってきた道を振り返ると、高圧のために再び閉じはじめていた。

 

ベジータ『ちっ。また一から砕かなきゃならんのか』

 

ベジータが手のひらの上に正八面体バリヤーを浮かべて、気合を込める。

 

ベジータ『上がれ!』

 

正八面体バリヤーは猛スピードで、球状空間内を移動し、地上に向かって上昇する。

 

バリヤーが岩盤と激突する寸前。デスボールを抱えたベジータが、一瞬で正八面体バリヤーを先回りして現れた。

 

トランクスのために道を作るべく、高圧灼熱の岩盤を砕きながら高速で突き進む。

 

正八面体バリヤーはベジータの後を追うように進む。

 

ベジータ『面倒させやがって!許さんぞコルド大王!』

 

 

超サイヤ人となったベジータは高温•高圧下の岩盤を蹴散らすように進む。スピードはドンドン増していく。

 

○○○

08/21 p.m.05:37

 

コルド大王とブルー悟空の戦いも激しさを増してゆく。

 

 

 

コルド大王に殴られたブルー悟空は、成層圏を越して熱圏まで吹っ飛ばされる。ブルー悟空は、高速移動している人工衛星にぶつかる。

 

 

ブルー悟空「だぁっ!」

 

すぐに人工衛星を蹴って、猛烈な勢いで下降するブルー悟空。大王に殴りかかる。劣勢ながらも、まるで疲れを知らないブルー悟空。無尽蔵のエネルギーを持ってるような猛攻をかける。

 

その猛攻を、きっちりよけて殴り返すコルド大王。だが何度殴っても、決定的なダメージを受けない悟空。すぐさま機関銃のようにパンチを繰り出して反撃に転じる。

 

コルド大王「クソッ!しつこい野郎だな!」

 

 

コルド大王の蹴りがブルー悟空の腹にマトモに決まる。

 

 

ブルー悟空「ぐうっ!」

 

 

コルド大王「へへへ。今のはさすがに効いた•••‼」

 

 

しかし次の瞬間にはブルー悟空が回し蹴りを放つ。猛スピードで回転する踵がコルド大王の顔を襲う。

 

コルド大王「くっ!」

 

ギリギリでかわしたコルド大王。だが畳み掛けるブルー悟空のパンチ攻勢が続く。

 

ブルー悟空「うらうらうらうらぁ!」

 

あまりに休みなく攻撃する悟空を前に、ついにコルド大王に隙が生まれる。その瞬間を逃さずに顔に思い切り一撃を入れたブルー悟空。

 

 

ブルー悟空「だぁぁぁぁっ!」

 

コルド大王「ぐあっ!き、貴様よくも大王の顔に••」

 

 

さらに畳み掛けるように蹴りを入れるが、これはコルド大王にかわされた。

 

 

コルド大王「ハァッハァッ。おのれえええ!カスの分際で調子に乗りおって」

 

ブルー悟空「へへ。やっと一発入れてやったぞ」

 

 

地上ではソルベとタゴマが驚いている。

 

タゴマ「どうなってるんですか!?戦闘力の予測値では奴は大王様に太刀打ちできないはずだ!」

 

 

ソルベ「心配いらん。一発入れただけだ。大王様が圧倒的に優勢なのは揺るがん」

 

 

空中で睨み合う二人。口元から零れる血を、手で拭きながら軽口を叩くブルー悟空。

 

 

ブルー悟空「オメエは恐ろしく強えけど、経験が足りねんだ。ちゃんと組手とかやってたか?」

 

コルド大王「このっ••。私に説教か••ゴミの分際で••」

 

 

 

闘いを見守るブルマ。

 

ブルマ「あと••3分」

 

 

コルド大王は依然として優勢ではあるものの、想像を超えてタフなブルー悟空に対して警戒を強める。

 

 

コルド大王『確かにサイヤ人は恐るべき才能を有しているようだな••。ならばお遊びはこの辺にしておこう』

 

 

しばし考え込むコルド大王。何か目配せする。

 

ブルー悟空「••なんだよ?今誰に合図を••」

 

 

次の瞬間、地上の斜め後方から悟空の顔めがけて気功波が飛んできた。

 

その気功波は悟空の目の付近に当たり爆発した。

 

ブルー悟空「くっ!なんだ!?」

 

この気功波が与えたブルー状態の悟空へのダメージは全くない。(ブルー悟空の体は恐ろしく頑丈なのであった。)

 

悟空は振り返り、地上を見渡す。

 

ブルー悟空「誰だ!邪魔すんな!」

 

遠くのビル影の側に、気功波を撃ったタゴマの姿がある。(タゴマは完全に気を消せるので、不意打ちが可能だった。)

 

タゴマ「おーし!ヒットだ!」

 

地上から見守るブルマが叫ぶ。

 

ブルマ「そ•••孫くん!そいつから目を離しちゃダメー!」

 

 

悟空がタゴマの方を振り返ってしまったその瞬間、背後のコルド大王の指から発されたデスビームが悟空の肩を貫く。肩を押さえる悟空。

 

 

ブルー悟空「し••しまった••!」

 

 

ブルー悟空は落下して地上に叩きつけられる。

 

コルド大王「呆気なかったな。何が宇宙最強だ!」

 

地上に降り立ったコルド大王は、

動けないブルー悟空を蹴りまくる。

 

ブルー悟空「ぐあっ」

 

コルド大王「フハハ!分かったかフリーザ一族の強さを!後悔しろ孫悟空」

 

ブルマ「孫くん!」

 

クリリン「ひでえぞありゃ!あんなのアリかよ」

 

悟空はもう起き上がれない。コルド大王は悟空の肩にできた傷を足でグリグリと踏みつける。悟空はコルド大王を睨む。

 

ブルー悟空「き••汚ねえぞ!今のはなんだよ」

 

コルド大王「はぁ?何が汚いって?」

 

 

傷口を足の爪でえぐるコルド大王。

 

ブルー悟空「ぎゃああ」

 

 

ソルベが大王の元へドタドタと走って行く。

 

ソルベ「大王様。そろそろ爆発のお時間です」

 

コルド大王「時間切れだとよ••。残念だったな雑魚くんよ。何もかも終わりだ。死ね!」

 

 

悟空がまさに殺されようとしているが、足の骨が折れてるクリリンは、見守ることしかできない。

 

クリリン「ち••ちくしょう!」

 

その時、激しい地震が起きる。デスボールが引き起こしてきた地震とは異質の激しい揺れだ。

 

 

コルド大王「な•••なんだ?この揺れは!爆発にはまだ早いはず」

 

ブルー悟空「へへへ。時間切れはオメエみてえだな••」

 

悟空はそう言うと意識を失った。ブルーの変身は解ける。

 

次の瞬間、いく重もの岩盤を突き破って、クレーターの穴から、ミサイルのようにベジータが飛び出してきた。(ベジータは超サイヤ人状態))ベジータはデスボールを両手で掴んでいる。

 

クリリン「べ••ベジータだ!」

 

ブルマ「間に合ったのね!」

 

 

ベジータは分厚い雲を突き破り、数千メートル上昇すると、デスボールを全力で、月の方角に投げる。そしてギャリック砲を撃った。

 

 

超ベジータ「だぁっ!」

 

 

ギャリック砲で吹っ飛ばされたデスボールは、猛烈な勢いで成層圏を突き抜ける。そのまま加速し、地球から離れて月に接近。ベジータはヤケドした手を冷まそうと、手のひらを振る。

 

 

超ベジータ「くそったれ!」

 

ギャリック砲が放たれて10秒ほどすると、全天が真っ白に光る。時限式デスボールが爆発を起こしたのだ。

 

クリリン「うわっ!」

 

光が収まって、再び空を見上げたベジータ。満月として夕空に浮かんでいた月が半分になって崩壊していた。月の欠片達が、半壊した月の周りに、土星の輪のように漂っている。

 

デスボールは月の軌道まで到達し、月を巻き込んで大爆発を起こしたのであった。

 

 

爆発で地球まで飛んできた月の欠片が次々に、大気圏に降り注ぐ。大半は流星となり燃え尽きる。だがごく一部は隕石となって地上に激突。大爆発を起こす。

 

 

クリリン「へへ••。ベジータの奴は荒っぽいんだよな。もっと違う方向に投げろっての」

 

ベジータは通常状態に戻る。

 

ベジータ「ふうっ。面倒なことさせやがって」

 

 

ソルベとタゴマは驚愕する。

 

タゴマ「まさか•••。本当にあれを取ってきやがったのかよ。たった10分程度で••」

 

 

クリリンは喜ぶ。

 

クリリン「やった!これで地球は助かった」

 

ピッコロ「とりあえずはな••。だがベジータでは奴に勝てんぞ」

 

クリリン「そ••そうだった」

 

ブルマ「トランクス!トランクスはどうしたのベジータ!?」

 

トランクスを包む正八面体バリヤーは、ベジータの後を追ってゆっくりと地上に出た。

 

クレーターの上空20メートル付近で上昇をやめ、キラキラと輝き回転しながら浮かんでいる。

 

 

ベジータはすぐにトランクスの元に向かう。正八面体バリヤーに触れて念を込めると、バリヤーは消え失せる。

 

意識のないトランクスは重力に従い、ベジータの腕の中に落下した。

 

ベジータ「トランクス••。こいつは酷い怪我だな」

 

 

トランクスを抱きかかえて地上に降り立ったベジータの元にブルマが駆け寄る。

 

 

ブルマ「トランクス!」

 

ベジータ「トランクスを持ってろブルマ。俺は今からやることがある••」

 

ブルマがすぐにトランクス抱きかかえる。

 

ベジータは怒りに満ちた表情で、コルド大王の方をみる。

 

ベジータ「許さんぞ••このクズ野郎•••」

 

 

コルド大王「なんだと?今のはまさかこの私に言ったんじゃないよな?」

 

ベジータはコルド大王に踏みつけられている悟空の姿に気づく。血だるま状態で意識を失っている。

 

 

ベジータ「カカロット••」

 

コルド大王「まさか時間内に戻ってくるとは思わなかったぞ〜。ベジータ。もっとも私に殺されにきたわけだがな!」

 

ベジータは険しい表情になる。

 

ベジータ「その足をどけろ。今度は俺が相手だ••」

 

コルド大王「ククク。そうはいかんな。敗者はきっちりと殺しておかないとな。それが戦士の掟だろ?」

 

 

しばらく黙った後で、ベジータはコルド大王を睨む。

 

 

ベジータ「じゃあ死ぬのはテメエの方だな••」

 

コルド大王は虚を突かれた表情をした。思わず悟空から足をどけて、ベジータと対峙してしまう。

 

 

コルド大王「ククク。気分の悪いバカだな貴様は。倒れてる孫悟空を見ろ。どっちが敗者か明白だろう?」

 

ベジータ「俺には分かるぜ••テメエは嘘つき野郎だってよ」

 

コルド大王「はぁ?なんだとゴミが••。なんて言ったかよく聞こえないなあ••」

 

 

コルド大王が明らかに冷静さを失っている。その怒りのパワーで地球全体が振動を起こす。

 

だが怒ってるのはベジータも同じ。ベジータは超サイヤ人ブルーに一気に変化した。

 

 

ベジータ「がぁぁぁぁぁぁ!」

 

コルド大王「な••なにっ!」

 

クリリン「おいおい!ベジータがゴッドを超えちまったぞ!」

 

ピッコロ「な!一体どうなってんだ••」

 

 

ブルーベジータは半ギレ気味に笑う。

 

ブルーベジータ「カカロットと毎日遊んでりゃ、勝手にこうなっちまうんだよ」

 

 

地上から様子を見守っていたソルベは驚愕する。

 

 

ソルベ「馬鹿な••。ベジータまで••。そんな」

 

タゴマ「コアまで行って戻ってくるはずだぜ••」

 

皆が驚いてる隙にピッコロは魔術を使い、悟空の体を浮遊させて救い出す。

 

ピッコロ「大丈夫か!孫」

 

悟空の意識はまだ戻らない。

 

 

コルド大王が醜い形相でベジータを睨む。ベジータも睨みかえす。

 

 

コルド大王「ククク。全く不愉快なゴミどもだよ••。フリーザの奴がサイヤ人に復讐したがるわけだ!」

 

 

コルド大王は怒りに任せて全力でブルーベジータに殴りかかる。だがキッチリと防御され、逆にベジータの蹴りを顎にもらった。クルリと一回転して態勢を立て直したコルド大王だが、ベジータの強さに驚く。動きのキレでは、さきほどの悟空をも上回っていた。

 

コルド大王「くっ。」

 

 

口から垂れる血を拭い取るコルド大王。少し冷静さを取り戻す。

 

コルド大王「口だけのカスではないようだな。だがその程度では孫悟空と同じ運命を辿るぞ」

 

ブルーベジータ「うるせえええ!よくも大事なトランクスを‼」

 

コルド大王とベジータが再び激突する。コルド大王のパンチを腕でガードしたベジータ。すかさず大王の胸に蹴りを全力で入れる。想像を超えた威力に、胸を手で押さえる大王。

 

 

コルド大王「なっ••」

 

すぐさまコルド大王の顔に5発ほど叩き込むベジータ。大王は吹っ飛ばされた。すぐさま態勢を立て直して着地する大王。顔が青ざめる。

 

コルド大王「こ•••こいつ!できる!」

 

 

次の瞬間、ベジータの蹴りがコルド大王の頭に決まるが、大王はそのままベジータの足を掴み、投げ飛ばす。

 

地面に吹っ飛ばされるベジータ。だが一瞬で起き上がる。しかし気づけば真上にニードロップの態勢のコルド大王。側転でよけると、すぐさま回し蹴りを食らわせる。

 

コルド大王「な••なにっ!」

 

 

 

息を飲んで見守るピッコロ達。戦いはベジータの圧倒的なペースで進む。

 

 

空中でコルド大王とベジータは睨みあっている。コルド大王はベジータの強さに驚愕している。

 

コルド大王「どうなってやがる••ベジータが孫悟空より遥かに強いとは•••」

 

ブルーベジータ「馬鹿め。貴様はカカロットの本当の力を知らないだけだ。迷いのない時のカカロットならば、貴様などとっくに••」

 

コルド大王「そんなはずがあるかぁベジータ!孫悟空に勝ったのは私だ!」

 

ベジータ「うるせぇぇぇ!」

 

殴りかかってきたコルド大王を、逆に殴りつけるベジータ。大王はまったく反応できなかった。もはや肉弾戦における力の差は歴然。

 

 

コルド大王「ゲ•••ゲホッ。図に乗るんじゃないぞ。孫悟空に手こずらされてなければ、お前如きに苦戦するはずがない」

 

ブルーベジータ「そんなことはどうでもいいんだよ•••。よくも••。よくもトランクスをひでえ目に合わせやがったな!絶対に許さんぞ!」

 

コルド大王「クッ••ククク。ガキのことぐらいで怒りやがって」

 

再び目でタゴマ達に合図を送る。

 

 

ブルーベジータ「!?なんだ••?」

 

地上で、タゴマとソルベが瓦礫の影から現れる。

 

タゴマは気功波で。ソルベは光線銃でベジータの顔に狙いを定める。

 

 

その時、二人の前にピッコロが目の前に現れる。

 

ピッコロ「そこから狙ってたんだな・・。ベジータの勝負の邪魔をすんじゃない」

 

ソルベ「う、うわぁ!ピッコロ!」

 

 

動揺するソルベに対し、タゴマはピッコロを討ち取るチャンスが到来したことに喜ぶ。

 

タゴマ「ふへへ。誰かと思えば、雑魚のピッコロじゃねえか。死ねぇ!!」

 

 

しかしピッコロはあっさりと、飛びかかってきたタゴマの顔を右手で掴む。そのまま右手から気功波を放つと、タゴマとソルベは一瞬で消されてしまった。

 

タゴマ「な••なにぃぃぃ!うぎゃああ!」

 

ソルベ「ぎええっ!」

 

 

ピッコロ「ハァハァ。後は頼んだ••ベジータ」

 

 

タゴマ達がピッコロに消されたことに激しく動揺するコルド大王。

 

コルド大王「お•••おのれぇ。どいつもこいつもムカつく野郎だ」

 

ブルーベジータ「なるほどな。まあそうでもせんと、カカロットに勝てんよな貴様ごときでは」

 

 

コルド大王の怒りは収まらない。

 

 

コルド大王「舐めやがって••。貴様ら全員今すぐ地獄に送ってやる」

 

ブルーベジータ「できるのか?今の貴様に」

 

コルド大王「ずぁぁぁぁっ!」

 

次の瞬間、コルド大王の全身から眩い光が放たれる。太陽拳だ。不意を突かれたベジータのみならず、遠くから見守っていたクリリンやブルマ達まで視力を奪われてしまうほど強烈な太陽拳。(コルド大王は修行を積んで、悟空らが使っていた様々な技もマスターしていたのであった)

 

 

目が見えなくなった一同。

 

クリリン「なんでアイツが太陽拳を••」

 

 

コルド大王「死ねぇ!」

 

コルド大王はベジータに向けて、凄まじい数のデスビームを乱射した。

 

ブルーベジータ「ちっ!」

 

視力を奪われた状態ながらも、飛んでくる気配を察知し、無数のデスビームをかわすブルーベジータ。しかし、かすった場所から血が噴き出す。体の至る所に傷を負ってしまう。

 

ブルーベジータ「これは•••ヤバい!」

 

危険と判断したベジータ。目を閉じた状態のまま、コルド大王から距離をとり地上に降りる。

 

 

コルド大王「グハハ。逃げやがったか。だがそうはいかんぞ」

 

ベジータの視力が回復してきた。

 

 

コルド大王「トドメだ••今度こそ死ね」

 

ブルーベジータ「!?」

 

ベジータが目を開けると、巨大な気功波が目の前に迫っていた。あまりに接近していたがため、受け止めざるを得ないベジータ。

 

この気功波は、コルド大王が右腕から放っているものだ。

 

 

コルド大王「ふはは。全てのビームをかわしきったことまでは褒めてやる。だが、所詮は二流だなサイヤ人!」

 

ブルーベジータ「クソッ。次から次と」

 

大王の気功波を両手で受け止めているベジータ。しかし手の平がジュワッと焼けただれていく。凄まじく高熱のようだ。

 

ブルーベジータ「チィッ!こいつは普通の気功波じゃないってわけか」

 

コルド大王「その通り。そいつはじきに超新星級の温度にまで上昇するから楽しみにしてろ」

 

ブルーベジータ「うおおおおっ」

 

ベジータの傷口から血が噴き出す。ギリギリで踏ん張るベジータ。しかしジリジリと後ろに押しこまれる。

 

だが大王は攻撃の手を緩めない。今度は左手で気円斬を生み出す。(かつてフリーザが悟空との戦いで用いた奥の手である)

 

コルド大王「フヒヒ。もう一つプレゼントだベジータ。フリーザの得意技で葬ってやるから感謝しろ」

 

ベジータの顔が青ざめる。

 

ブルーベジータ「こんの••!くそったれがぁ!」

 

コルド大王は気円斬も同時に放った。気円斬はカーブを描いてベジータの体を切断すべく接近する。

 

ブルーベジータ「ぐううう・・らあああああっ!」

 

ベジータは目を血走らせ、気功波を押し戻そうと気張った。あまりに力を入れたので、ポタポタと鼻血も零れてくる。

 

その結果、コルド大王の超絶高音の気功波を右手だけで抑え込むことに成功した。(だが右手のひらのヤケドは著しく、骨が軋む音もする)

ブルーベジータは、目を閉じ、迫り来る気円斬に意識を集中させた。(コルドが放った気功波が噴煙を発生させベジータの視界を奪っていた)

 

 

ブルーベジータ「そこだぁぁっ!」

 

噴煙を突き抜け、迫り来る気円斬を、ベジータは自由になった左手だけで真剣白刃取りするように受け止めた。ブルーベジータの左手から血が零れる。

 

 

クリリン「と••止めた!」

 

コルド大王「な・・・なんてヤツだ・・・。恒星だって切れるものを片手で掴みやがった」

 

 

ブルーベジータ「だぁりゃぁっ!」

 

ベジータは受けとめた気円斬を、まるでフリスビーのように、コルド大王に向けて投げ返した。とっさに飛んでかわすコルド大王。気円斬は遠くに消えて行く。

 

コルド大王「ちぃっ!」

 

 

結果、大王の放った気功波の圧力が消えた。ブルーベジータはすぐさま、両手で気功波を弾き飛ばす。するとそれは宇宙に向かって消えてゆく。

 

そしてベジータはすぐさま、ギャリック砲を撃ち放った。

 

ブルーベジータ「はぁぁぁぁっ!」

 

空中で態勢を崩していたコルド大王の眼前にギャリック砲が迫る。(ギャリック砲の大きさは通常サイズだ)

 

コルド大王「な••なにっ!」

 

大王は空中でギャリック砲を受け止める。

 

コルド大王「フハハ!何かと思えば、こんな技か!驚かせやがって」

 

必死の形相のベジータは己の限界を越えて出力を上げていく。額には血管が浮かぶ。喉が割けんばかりに、怒声をする。

 

ブルーベジータ「だああああああ!」

 

コルド大王「ククク馬鹿めが••。このまま押し返して地球ごと消しくれるわ。鬱陶しいお前も、お前の小さな息子も死ぬわけだ。ウハハハハ!」

 

しかしコルド大王は気づく。ベジータが投げ返し、大王がかわしたはずの気円斬がブーメランのように戻ってきている音に。

 

コルド大王「まさか•••アイツ。はじめからこれを狙って••」

 

 

後ろから大王の首を刈らんと、高速で再接近する気円斬。ギャリック砲を受け止めているがために動けない大王。

 

コルド大王「ヤバイッ!」

 

頭だけを動かし、ギリギリで気円斬をかわしたコルド大王。しかし大王のツノが切られてしまった。

 

コルド大王「ぐあっ!」

 

コルド大王の意識が気円斬に向いた次の瞬間、ベジータのギャリック砲は最大出力となる。

 

 

ブルーベジータ「消えやがれぇぇぇ!」

 

コルド大王「なっ!」

 

 

ギャリック砲は一気に勢いが増す。不意を突かれた大王の体に、マトモにギャリック砲が当たる。

 

 

コルド大王「ぐぁぁぉぁぁっ!」

 

ギャリック砲はコルド大王の胸を貫いた。

 

 

コルド大王「なっ!そんな・・・バカな・・」

 

 

地上に落下していくコルド大王。

 

コルド大王「つ••強い••」

 

ピッコロ「勝った!ベジータが勝ったぞ」

 

 

ベジータはコルド大王に勝利した。

 

胸を貫かれた大王は地面に激突し、倒れたまま動かない。そこにベジータが近づく。

 

 

コルド大王「トドメを•••刺しにきやがったかベジータ••」

 

ベジータ「まあな。お前の言ったように、戦士らしく葬ってやるよ」

 

コルド大王「一つだけ教えろ••。何故だ••。何故ベジータごときに私が敵わなかったのだ••」

 

 

倒れたコルド大王を黙って見下ろすベジータ

 

ベジータ「答えてやるよ••。お前がトランクスに手を出したからだ。俺はそんなに強い方じゃない」

 

ベジータの答えに一瞬、唖然とするコルド大王。

 

 

コルド大王「ククク。そりゃあ、答えになってないぞ••ゴハァ!」

 

 

吐血するコルド大王。

 

コルド大王「残念だが、息子の元へ帰る時間のようだな••」

 

 

大王にトドメを刺そうと思っていたベジータだが、その必要がないと分かり、構えを解く。

 

ベジータ「フリーザによろしくな」

 

コルド大王「ククク。ベジータよ。いずれ地獄で•••また会おう••」

 

 

 

そう言い残すとコルド大王の体は大爆発を起こして消えてしまった。(爆発にベジータも巻き込まれるが、ダメージはない)

 

 

ベジータは地面に座りこんだ。最後は無我夢中だったので何も覚えていない。そのままベジータは地面に倒れこむ。

 

ベジータ「疲れたぜ•••」

 

クリリン「やったぞベジータの奴!」

 

ベジータは起き上がり、トランクスとブルマの元へ向かう。意識を取り戻した悟空もピッコロに肩を借りてトランクスの元へ。

 

皆が意識不明のトランクスを見守っていると、トランクスが目を開けた。

 

トランクス「あ••あれ••?皆どうしたの••。あいてて。体中が痛いや」

 

トランクスの手当をしながら、自身の涙を拭き取るブルマ。

 

 

ブルマ「良かった••」

 

トランクスの無事を確認したベジータは、肩を怪我して、地面に座り込んでいた悟空に向かって軽口を叩く。

 

ベジータ「情けないぞカカロット。あの程度の奴はお前の敵じゃなかろうに。さては油断したな?」

 

悟空「いつつ••。そういうなよ。オメエもしっかり手間取ってたじゃねえか」

 

ブルマ「そうよ。いくらアンタ達でも三対一じゃ厳しいのよ。これからは考えを改めてなさい」

 

 

いっけん平和が戻ったように見えるもの、問題は残っていた。

 

地殻を砕きマントル深部まで続く穴が、大気を吸い込み、巨大な低気圧の役割を果たしている。

 

ブルマ「早くドラゴンボールを集めて、この穴とクレバスをなんとかしないといけないわ。このままじゃ地球の空気を全部飲み込んじゃいそう」

 

悟空「岩でも詰めときゃなんとかなるんじゃねえか?ピッコロ頼む。魔術でなんとかしてくれよ」

 

ピッコロ「できるかっ!」

 

 

ブルマ「すぐにドラゴンボールを集めてきてベジータ!」

 

ベジータ「なに!?俺が?」

 

ブルマ「アンタまだ余裕ありそうじゃない!はいっ。ドラゴンレーダー」

 

ベジータ「おいおいっ!俺は地球の中心まで行ってるんだぞ!」

 

だがベジータはブルマに押されてドラゴンボール集めをするハメになった•••。

 

○○○

08/28 p.m.02:00

 

場面は再びブルマの家の庭へ。天気は快晴。今日は悟飯の快気祝いが開かれている。前のメンバーに加えて、悟空、ベジータも参加していた。

 

ブルマ「良かったわねえ。悟飯くん。車椅子も必要なくなって」

 

悟飯「はい。もう完全に治りましたから」

 

 

悟天とトランクスも全快し、元気一杯に走り回っている。

 

テーブルに座り、あらゆるご馳走を口いっぱいに頬張りながらベジータが日頃の修行の不満を零している。

 

ベジータ「くそ••。あれから何度勝負してもカカロットに勝てん。おかしいな••」

 

悟空「かけっこ勝負でもムキになるんだよなベジータは••」

 

ベジータ「やはり基礎的戦闘力はカカロットの方が上なのか••。俺は所詮コイツの••」

 

悟空「いいからベジータ、辛子とってくれよ」

 

 

そこにトランクスと悟天がやってきた。

 

 

悟空「ようトランクス!もう怪我は治ったのか?」

 

トランクス「うん!治ったよ。ところでオジさん。お願いがあるんだけど」

 

悟空「なんだ?言ってみ」

 

トランクス「超サイヤ人ブルーってどうやってなるのか教えて!こんどアイツが復活してきたら、ボッコボコにしてやるんだ!悟天と二人で!」

 

懲りてないトランクスに呆れつつも、闘志を失わない姿勢を密かに嬉しく思うベジータ。

 

 

悟空「そりゃー、ベジータに聞いた方がいいぞ」

 

トランクス「で••でもパパは人に教えるのが凄く下手なんだもん」

 

ベジータ「ゲホッ!」

 

ベジータは喉に食べ物を詰まらせてむせる。

 

 

悟飯やクリリン達は苦笑いする。

 

おしまい。



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