HUNTER LORD   作:なかじめ

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タイトルからしてハム助が出ると思ったか?
…ゴメンナサイ…本当に…


4話 森の支配者達

ルドウイークは先程のオーガが来た方向に歩いていた。道中、何匹かオーガやそれより小さいゴブリンに絡まれ、面倒なので一応話し合いで済ませようとしたのだが殆ど会話にならずに諦めた。

面倒な時にヤーナムでやっていたように走り抜けてみようかと思ったのだが

「流石に闇雲に走って気づいたら崖から落ちてましたなんて事になったら全く笑えんしな…、はぁ…地形を把握していないという事がこんなに大変だとは…相手が弱いから良い物の…しかし奴らはオーガと言うのか。名前負けしてないか?」

そう呟きながら最後のゴブリンを仕込み杖で吹き飛ばす。

あれから何匹かのオーガに適当に攻撃しているうちに、今装備している自分の武器は余りに過剰な破壊力だと言うことに気づき、ヤーナムで手に入れたは良い物の、既に最大まで強化したものを持っているため不要な、本来は保管箱の中で埃を被っているはずだった未強化の武器を装備している。一応サブには最大強化した鋸鉈を装備しているので余程の敵が出てこない限り大丈夫だろう。

「オイ!変なニンゲン!」

「はぁ…ん?」

またオーガかぁ…と若干ウンザリした気持ちで振り向くと、そこにはオーガより二周りほど巨大な巨人がグレートソードを肩に担いで立っていた。

「俺に何か用かな?」

「オマエ、俺の部下殺したな!?」

「部下?さっきのオーガの事か?」

「そうだ!」

「ああ、なる程。本当に済まない事をしたな。彼らは俺の事を食べようとするのでね。適当に反撃していたら皆死んでしまったんだ。それで?どうすれば許してくれるんだ?」

「俺と戦え!それで俺に喰われろ!」

「結局それか…まぁ良いか、それとお前もオーガか?」

「俺はトロールだ!」

 

ルドウイークは在らぬほうをチラッと見て、グに問いかける。そちらの方向からは驚いたような気配があった。

 

「んで1対1でいいのか?」

 

「ブハハハ!ニンゲン相手だぞ!1対1に決まってる!俺はトロールのグ!」

 

トロールはさっき聞いただろうが…

 

「グ?」

 

「そうだ!お前の名前は?」

 

「ああ、名前か。そうかグか。俺はルドウイークだ。」

「ブハハハ!」

 

名前を名乗っただけで笑われ、若干だがイラっとする。

(グの方が余程笑えるだろうが…!こっちは吹き出すの我慢したってのに!)

 

「何が、可笑しいのかな?」

 

「ルドウイークだと!やはりお前は臆病者だ!」

 

「…臆病者だと?」

 

「そうだ!そんな長い名前は臆病者の名前だ!」

 

ルドウイークは黙って武器を未強化の仕込み杖からサブの鋸鉈に持ち替える。

(…俺は別にルドウイークとは関わりもない。狩人の悪夢で出会い、聖剣を託されただけだ。なのになんでこの名前を馬鹿にされるとこんなに苛つくんだ?ただ自分の名前を思い出せなくて勝手に借りた名前なのに。)

 

かつて悪夢の世界で出会い、打ち倒し、自分のよすがだった聖剣を自分に託してきた男の事を思い出す。

 

(…ああ。なる程な。ふふっ、俺はやはりあの男に憧れたんだ。自分の理想とは違う形になっていった協会に振り回され、獣を狩らされて、最期は自分も獣になったのに、最期の最期まで自分を見失わなかったあの男に!)

 

「なる程…では俺が臆病者かどうか、試してやろう。かかってこい。」

「ブハハハ、臆病者者め、死ネええええ!」

 

グは先程のオーガ達と同じようにグレートソードを振り回し、どんどんと前に突っ込んでくる。 

 

(…オーガとそんなに変わりないが、やはりリーチはこいつの方が長いな。試したい事も有るし少し相手の攻撃を見るか。)

 

「グオオオオ!」

ブン!

風邪を切る凄まじい音、風圧と共にグレートソードがルドウイークの頭のすぐ上を流れて行く。次は縦振り、次は切り上げ。全てステップを踏み、潜り込み回り込みかわしていく。

かわしていくと

「避けるなああぁあ!!」

むちゃくちゃな要求をしてくるグ

(はぁ…バカか?こいつは…いや、バカなんだろうなぁ…もういいか。次の縦振りに…)

 

「グオオオオ!!!!」

(コイツ、止まった!!疲れたな、ニンゲンめ!!)

グは動きを止めたルドウイークに向かいグレートソードを大上段から振り下ろす!

(俺の勝ちだああぁあ!!)

 

しかし

 

 

一瞬体に衝撃が走ったと思ったらいつの間にか膝を付き、グレートソードを取り落としていた。衝撃の走った方を見るとグレートソードを握っていた右腕が肩口からなくなっていた。

変わりに何かの触手が蠢き、消えていくのが見えた。

 

 

「パリイ成功。」

 

そんな声が聞こえ、グはルドウイークと名乗ったニンゲンを見てみる。

何か奇妙な、ナメクジのような物がその手に収まっていた。

 

 

金縛りにあったように動けないでいるグに対しルドウイークは右腕を腹に突き刺す。そしてその腕を引き抜く、グチャグチャブチブチっという嫌な、本当に嫌な音と共に。

 

「ゴボボボボ、グバア!!オゲエエエ!」

 

グは吐き気をこらえ切れず地面に向かって嘔吐するが、出てきた吐瀉物は、真っ赤だった、血と内臓の混合物だった。あまりの痛みにもんどりうって仰向けに倒れるグ。

 

 

 

「…こりゃ、人がいるところじゃ使えないな。流石にグロテスクに過ぎる…」

 

グに視線を戻すと何やら信じられないような光景だった。傷がみるみるうちに塞がっていく。右腕も生えて来ていた。

 

「再生能力…なのか?」

 

しかしグは傷が塞がっても立ってこない。

 

「ん?」

 

「ぐるじいいい、何でだァ?傷は塞がっているのにいい!!」

 

一応プライドは有るのだろう、血を吐き出しながらも、ヨロヨロと立ち上がってくる。

 

「内蔵は再生に時間がかかるのか?それにしても凄いな、あれを喰らって立ってくるとは…。良い根性だよ。お前に対する評価を、トロールに対する評価を引き上げよう。さて、もういいか…終わらせる!」

 

ルドウイークは発火するヤスリを鋸鉈に擦り付け、炎を起こす。

 

「ヒっ!?」

 

「やはり恐いか?再生しないように傷口を焼くってのはお約束だしな。行くぞ!臆病者め!」

 

「ぐあああ!!オマエええええ!」

 

最後の意地で向かってくるグ、そのグのグレートソードを横に薙払う攻撃を避けざまルドウイークは燃える鋸鉈を、後の先でグの脳天に叩きつける。

 

サクッ!!

「ゴひゅっ!」

 

その声と共にグの頭は燃え上がり、動かなくなった、立ったままの大往生だった。

 

「んで?そこのお前はいつ俺に襲いかかってくるんだ?ずっと俺達の戦いを見ていたが?」

先程から姿は見えないものの、気配を感じていた方向に問いかける。

「…お主は、…いやあなたは何者なのですか?ワシの透明化能力が通用しないなんて…それにグはバカだったが、力だけならこの森で最強であったのに…」

(別に見破ったというよりも、何というか気配がしただけなんだけどな。)

 

これはプレイヤーから見ると普通に見えないけどロックオン出来たという事で狩人には不可視化を見破る能力はない。

ルドウイークは本能的にロックオン機能を使っているだけだった。

 

「この森で最強ね…。他に強いのはいるのか?というか姿を見せてくれないか?」

そう言うと何やら人間の老人の上半身に蛇の下半身を持つモンスターが現れる。

「どうか、どうか命だけは…」

ルドウイークは何だか老人を苛めているような気になってきた。

 

「取らないから安心してくれ、さっきの奴らは問答無用で襲いかかってきたから反撃しただけだ。襲いかかってこなきゃ何もしやしない。」

 

「ははぁー!」

 

「…はぁ。さっきの話しの続きなんだが幾つか質問しても良いか?」

 

「はい!何でも聞いて下さいませ!ワシはリュラリュースと申します!」

 

やっとまともに会話可能な奴と出会えた。少し感動するルドウイーク。相変わらず人間じゃないが…

 

それから幾つか質問しリュラリュースと別れた。分かったことと言えばこの森は西をリュラリュース、東をグ、そして南には白銀の毛をもつ大魔獣、『森の賢王』が支配しているらしい。今日はグと結託してその森の賢王をなんとかしようと話し合いにきた所に俺が来てしまったという事だった。

 

そして何より一番大事な事だが、南に森を抜ければ人間の集落があるという事も分かった。

最後にリュラリュースには東も支配し余り森からモンスターが出ないようにしろと言い含め、自分のねぐらに帰した。

 

 

「さてと、南に向かって行くか。ってゆーか灯りはどこに有るんだ…。頼む!その人間の集落に有ってくれ!」

 

 




オバロの名有りキャラの初めてが…グって…

グが見た奇妙なナメクジは、エーブリエタース(通称エブたそ)の先触れというブラボの秘技(ブラボの魔法)で銃と同様パリイが取れます。
ブラボでは魔法=秘技でオバロで言うマジックアイテムからしか魔法が使えません。

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