HUNTER LORD   作:なかじめ

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一度書き上げ、データ飛ぶ。悔しさで死にそうになりました。


14話 冒険者と狩人

ルドウイーク達は順調にカルネ村及びトブの大森林に向けて進んでいた。

「そう言えばンフィーレア君、なんで俺に依頼をしてきたんですか?」

そうなのだ、組合で色々有った翌日に、朝早く組合に顔を出すと既に受付にンフィーレア君がおり、ルドウイークに名指しで依頼したいと言って来たのだ。しかし、警護の依頼と言うことで1人では万全じゃないなと考えていると、漆黒の剣のルクルットが

「あんたがあのいけ好かないミスリルをぶっ飛ばしたルドウイークさんか!?すげぇ!」

と絡んで来たのだ。そこで色々有り、漆黒の剣も一緒でどうですか?と聞いた所、ンフィーレア君が快諾してくれたのだ。

「ああ、僕の家のお店にクラルグラの方が来まして、凄いルーキーがいると話してくれたんですよ!」

そこでビクゥっとなるルドウイーク。ルドウイークにとってはあれは失態なので余り、触れられたくないことだしかし、

(…え?彼等はそこらで言いふらしているのか?それは…マズい…!)

 

「え、えーと?彼等はなんと?」

「ああ、安心して下さい。彼等は凄く強いのに、謝罪もキチンと出来る良い人だと言ってましたよ。でなければ、僕も依頼しませんよ。」

 

その一言でルドウイークは深く安心した。

「にしても平和なもんだねぇ。このままモンスターが出なかったりして!」

「おいルクルット!お前のレンジャーとしての目が頼りなんだからな?警戒を怠るなよ?」

「その通りである!基本が大事なのである!」

「はいはい!ペテルさんとダインちゃんは真面目だねー!それにちゃんと見てるっての!」

「しかし、あんまり油断してると超遠距離からドラゴンが襲撃してくるかも知れませんよ?」

「おいおいニニャ。そりゃどこの物語だよ!あり得るのか?」

「まあ、あり得ませんね、エランテル近郊のドラゴンの話は大昔に天変地異を操るドラゴンがいたという眉唾な伝承と、後はアゼルリシア山脈にフロストドラゴンが生息してるという話てすね。」

その話にルドウイークは頬が緩むのを感じた。

「ニニャさん、ドラゴンは本当にいるんですか?」

「え?ルドウイークさんもドラゴンに興味が有るんですか?」

 

「いや、ふふ、ドラゴンスレイヤー、竜狩りも悪く無いと思いまして。」

 

何気なくそう言うと漆黒の剣とンフィーレア少年の喉から、ゴクリと唾を飲む音が聞こえた。

 

「し、しかし、そのドラゴンは強いのかね?ホントに。」

「ドラゴンで弱いなんて聞いた事無いですよ。」

「いやいや、以外と第三位階までしか使えないガッカリドラゴンとか、読書がすきなポッチャリドラゴンとかかもしれないぜ?」

「いやいやまさかあり得ないだろ。」

「あり得ませんね。」

「あり得ないのである!」

 

「…まあ、そんなドラゴンはあり得ないとして、この辺りに出てくるのはオーガや、ゴブリンくらいですよね?スルーするんですか?」

 

そう、話題を変えようと頭空っぽで、ヤーナムでは雑魚を避けてたしこっちでもそうだよね?というようなノリでそう聞いてみると、シーンという少しの間が空き、

 

「…スルーは難しいかと、はは」

「ンフィーレアさんもいますし、は、はは」

「少し難しいのである…」

 

と、これが乾いた笑いと言うものか、というリアクションが返ってきた。

(ぐ!そうでした!警護の依頼でした!なんも考えてなくてスミマセンでした!)

 

「それにモンスターをちゃんと狩れば強さに応じた報酬が組合から出るんですよ。」

「黄金の王女様万歳って奴だな!」

「糊口を凌ぐのに必要な仕事である!」

 

「ああ、なる程。昨日講習で習いましたね。依頼をこなしながらモンスターを狩って報酬を増やす、確かに一度の遠征で稼ぎを増やすのは利口ですもんね。」

と納得していると、ンフィーレア君が今までに無く真剣な口調で口を開いた。

「…それに、僕達のような町にすんでいれば貴方達冒険者に依頼が出来ますけど、例えば村に住んでいる人達がエランテルに来る場合、護衛無しで来る人達が多いんです。そう言う人達の為にモンスターを多く退治しておいてあげるという面も有るんですよ。」

 

その言葉にルドウイークはエンリとネム、それにこれから行くであろうカルネ村の皆の姿を思い浮かべる。

(…そうか、ンフィーレア君に言われるまでそんな事にも気づけないとは、俺もまだまだだな。冒険者か…。それだけでなく魔法に武技に…本当に色々教えて貰ったな。はー、今回の依頼は報酬無しでいいくらいだ。)

 

「…おっと、お喋りはそこまでだ。おいでなすったぜ。」

「数は?」

「こりゃ不味いな…滅茶苦茶多い。ゴブリンが20匹?オーガが…8匹か?うん、そんな所だ。」

 

「ルクルットさん、敵は一方向からですか?」

「ああ、ルドウイークさん、そっちからだ。まちがいなく接敵するな、こりゃあ。今からじゃ回避も隠れるのも無理だ。」

それを聞き、ルドウイークは足で一行の前に線を引く。そして

 

「皆さんは、この線から出ないで下さい。」

「ルドウイークさん!1人では!」

「そうなのである!我々も…!」

 

ルドウイークはそのペテルとダインの言葉を自身の背中に背負った武器を取り出す事で遮る。そして流石にむき身はどうなんだ?とその武器に巻きつけていた分厚い布をはぎ取る。

…漆黒の剣の面々は息を飲んだ。

 

「…鉈?いや、随分歪な…」

「…すげぇ、魔化されてんのか?」

「…!見たことも無い武器である!」

「…!…我々も準備だけはさせて下さい!ルドウイークさん!」

 

「ええ、ヤバくなったら早めに声を掛けます。では。」

それだけ言い、ようやく森の切れ目から顔を出したモンスターに向けて、まるで散歩に行くかのような軽いノリで歩き出すルドウイーク。

「…!アナタは、なんという!」

 

そうしてゆっくり歩き、相対距離50

メートル程になる。そこで口を開くルドウイーク

「…先に謝っておこう。お前らに罪は無く、恨みも無いが、それでも!」

そう言い、武器を、獣肉断ちを振りかぶる!

相対距離20メートル。当たる分けがない。

 

「おいおいおい!何やってんだ!!目を瞑ってんのか!?」

「ルドウイークさん!!」

 

しかし、ルドウイークが、獣肉断ちを一閃すると、ジャラララッとまるで巨大な鎖を引きずるような音がし敵の第一陣、ゴブリン13匹の頭部が、弾け飛んだ。

 

「…え?何が…」

「…あれは?ワイヤーで刃を繋げてあるのか!?」

 

その通り。ワイヤー二本で大量の刃のパーツを繋げ、狩人の仕掛け武器でも最大の攻撃範囲を誇る武器、それが獣肉断ちである。

 

そのままルドウイークは踏み込み、呆然としている第二陣、ゴブリンとオーガの混成部隊に、二撃目を繰り出す!自身の身体を回転させ更に遠心力を、上乗せして!

 

またもジャラララララッと音がし、ゴブリンの頭の高さを狙ったその一撃はゴブリンの残り7匹の頭部と、オーガ7匹の膝上を両断し、反対側に弧を描く。残った敵は、オーガ一匹だった。たったの二振り、二振りでオーガ7匹、ゴブリン20匹が壊滅した。

 

ルドウイークは最後の一匹を見やる。

明らかに呆然とし、戦意は失っていたが逃げないのは何が起こったか分かっていないのかもしれない。

「…戦意が無くなったか?だがお前らがこちらに向かって走って来たときの顔は忘れていないぞ?あれは…美味いものを見つけた顔だったな。もしここで、お前を見逃してもどうせまた…」

そこまで言うと、懐かしい言葉を思い出した。

 

『…どこもかしこも獣ばかりだ…貴様も、どうせそうなるのだろう。』

 

獣狩りの夜に、ルドウイークに襲いかかってきた、ガスコイン神父。奴に言われた言葉だ。あの時は血に酔い、頭がおかしくなった奴の言葉と気にしなかった。事実おかしかったのだろう、すぐ近くで奴の妻は死んでいたし、最期は獣に変身して襲いかかってきたんだから。だが、もし、まだ人の残滓が残っていたら。今の俺と同じ気持ちだったのかもしれない。

今はまだお前は人間だが、何時かはお前は獣になり、誰かを襲うかもしれない。そしたら自分を許せない。だからそうなる前にお前を狩る。そういう事だったのかもしれない。

「いや、奴はもういない。憶測も良いところだな、止めよう。…さて、もう一度言おう。お前に罪は無く、恨みもない。恨むのなら俺達の前に出てきてしまった悪運を恨め。」

ルドウイークはそう言うと自分の後方に獣肉断ちを降るう。そこでようやくオーガは悲鳴を上げ背中を見せる。全てが遅いのだが。

 

ジャラララララッと一番ワイヤー二本が延びきった所で、一番遠くまで攻撃出来るところで、一番遠心力を乗せられるところで、今度は全力で前に振り下ろす!…その一撃は、ルドウイークがこの世界に来て、一切の手加減をしない初めての攻撃だった。

 

獣肉断ちの先端はオーガの能天に着弾した。それは武器が当たったなんて生易しい物ではなく、まさに着弾というのが相応しい一撃だった。

 

オーガ一匹の体でその一撃を吸収するのは不可能だったらしく、まずオーガが爆発した。次いでそのまま地面に着弾し、ズンッ!という地響きとともに土煙を大量に巻き上げる。

 

オーガの立っていた場所は真っ赤なクレーターになっていた。そしてそれを行った獣肉断ちの刀身は見えなくなっていた。

最初ペテルはワイヤーが切れ、どこかに飛んで行ってしまったとおもった。しかしよく見ると違った。その刀身はクレーターを作ったあと完全に地面を切り裂き、埋まっていた。

 

「…街道から少し離れているとはいえ、この踏み固められて固い土を、いや地面を切り裂いた?凄いとしか、言えない…」

 

 

(…勝利の喜びは…無いな。まあ、弱い者をいたぶっただけだしな。だが、狩人の時は見逃していたものも冒険者では狩らなければいけない。…確かにそうだ。さっきのオーガを見逃して、誰か別の人が襲われたら俺は自分を許せない。本当に良い勉強になった…。逆に冒険者で有れば戦わなくていい、例えば依頼を受けていないモンスターとも狩人では戦わなくてはならない。そうなったらどちらを優先するか…、そんなの決まっている、この世界には狩人はいない、俺以外!)

 

「そうだ、俺は、いや…」

そうぽつりと呟き、地面に埋まった獣肉断ちを引き抜くと、地面をえぐり出しながらズボンッと、刀身が飛び出て、ジャララララ、ガチンと音がし、ルドウイークの手元にワイヤーによって引き戻され、元の形に戻る獣肉断ち。

そこでこの世界での自分の優先すべき事を宣言した。

 

「俺が…狩人だ!」

 

 






…あれ?おかしいな、1から書き直したら1000文字くらいどっか行っちゃったよ…?


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