漁村じゃないよ、農村だよ。
10話の伏線が無え…書いて無え…orz
書き足しました。orz
やっぱり、始めてなのに伏線とかやるもんじゃ無いですね…(T^T)
…だから奴らに呪いの声を…
…赤子の赤子、ずっと先の赤子まで…
…全ての血に狂った者達よ…
竜王国に程近い所にとある農村が有りました。その農村は裕福とは言えませんが村人皆で仲良く助け合いながら毎日とある神様に感謝ながら暮らしていました。
その農村の村長の家では、目が不自由なお婆さんと村長夫婦、そしてとても可愛らしい孫の4人でくらしていました。
とある夜その孫のベッドの側でお婆さんが昔話をしていました。
「昔ね、この村には神様がいた事があるんだよ。」
「それ何回も聞いたことあるけど本当なの?お婆ちゃん。」
「本当だよ。昔この村にとても怖~い魔物が襲って来た事があってね、皆もう駄目だって、終わりだって、皆諦めたときにね、その神様が凄い魔法でその魔物を倒しちゃったんだよ。」
「お婆ちゃんも見たの?どんな神様だった?」
「ん~、もうヨボヨボのお爺さんでね、その魔物を倒した後倒れてしまってね。私達が住んでるこの家で看病していたんだ。」
「神様なのに倒れるの!?」
「神様もびっくりしていたらしいよ。私も私のお婆ちゃんから聞いただけだけど、私は本当はまだ若いんだ、まだ寿命ではないんだってうわごとでずっと言っていたらしいからね。」
「神様、死んじゃったの?」
「…うん。皆でありがとうって言って盛大にお葬式をしてね。それであの『祭壇』が出来たんだよ。」
「へー。神様がいた証拠とか無いのかな?村の他の子達は嘘だって言ってたよ?」
「罰当たりなこと言っちゃ駄目だよ。それに形見なら有るんだよ?この指輪さ。」
老婆は懐に厳重にしまっておいた小箱を取り出し中を開けて見せる。
「この指輪の事は他の村の子達や大人にも絶対に言ってはいけないよ。いいね?」
「うん、分かった。」
言いながら孫は指輪をまじまじと見る。その指輪は流れ星を象った模様が入ったシンプルなものだった。その流れ星の模様の大きさならもう少し同じ模様が入りそうそうなスペースも空いている。そして小箱もこの指輪を入れておくだけでは無駄に大きい気がした。しかし、蓋を開けるとすぐ底が見える、まるでその中に何かしまって置けるようなスペースを隠しているように。しかし孫は幼く、宝物を隠しておく宝箱には二重底の物があるという知識等、持っていなかった為、すぐに指輪に目を戻した。
「なんか地味だね。」
「ふふふ、そうだね。でもね、この指輪はとても凄い指輪なんだよ?なんたってなんでも願い事を叶えてくれる指輪なんだから!」
「それ本当!?」
「本当さ!私の母親、あなたの曾祖母が鑑定の魔法が使えてね、そう言う指輪だって分かったんだ。でも一つ問題があってね。」
「問題?」
「使い方が分からないんだよ。」
「駄目じゃん!」
実際は指輪を指に嵌めて願い事を唱えれば良かったのだが、その神様も指輪を嵌めておらず先程の小箱のなかに入っており、この祖母の家の人間も指に嵌めるのは流石に不敬だろう、という話になり実験していなかった。それに
「本当に叶えたい願い事なんてまだ無いしねぇ。私は息子達やあなたが幸せならそれでいいんだよ。」
そう言って孫の頭をなでる祖母。孫も気持ち良さそうにそれを受け入れていた。
「お休み、お婆ちゃん!」
何時までもそんなささやかな、小さい幸せで良かった。それで不満なんて無かった。
しかしそんな、小さな幸せも長くは続かなかった…
とある正午。村長である息子が玄関のドアを蹴破る勢いで入ってきた。
「皆逃げるぞ!ビーストマンが…ビーストマンがすぐ近くまで来てやがる!」
「嘘っ!」
…それからはもう滅茶苦茶だった。
あちこちから上がる悲鳴や鳴き声、その中には段々と獣の声も混じっていった。
その老婆は幸運だった。目も見えずとても老いていたため一緒に逃げず、納屋に閉じこもっていた為獣に喰われずにすんだのだから。
「お袋!済まない、一緒には連れて行けない!」
「早く行きなさい!子供と嫁を守るんだよ!」
「本当に済まない!ぎっどあどで迎えにぐる!」
最後はもう泣き声だった。孫と嫁と手を繋ぎ出て行く息子を見送って納屋に鍵をかけた。
その老婆はとても不幸だった。目も見えず、とても老いていたのに、耳だけは良く聞こえたのだから。
獣に喰われた息子夫婦と孫の悲鳴だけは聞こえてしまったのだから。
ビーストマン…ビーストマン…
血と肉に狂った獣共め…
誰か奴らに呪いの声を…
誰か奴らに我らの怒りを…
我らの神よ…
狩人をこの世に…
決して負けず決して心の折れない…
血と肉に狂った獣を狩る狩人を…
奴らに我らと同じ苦しみを…
奴らに我らの子供達と同じ死を…
奴らに報いを…
…赤子の赤子、ずっと先の赤子まで…
…永遠に狩人に狙われるがいい…
…狩人に怯え…望まれず暗澹と生きるがいい…
優しかった老婆は、最期は呪詛を吐き続けて死んだ。
しかしその顔は満足気だった。何故ならその指に嵌まった指輪から流れ星の模様が消えていたから。
老婆はなんでも願いの叶えられる指輪に自身の救済でも無く、息子夫婦や孫の復活でもなく、獣達への呪いを望んだ。それが正しいのかは分からない。しかしその顔は満足気だった。
何故なら最期に声が聞こえたから。
『狩人をご所望ならば、我ら工房の、最高傑作をお届けしよう。
なぁに、問題ない、彼ならば存分に狩り、殺すだろう。相手が血に酔った獣で有ればね…。』
…狩人よ。どうか、存分に狩り、殺したまえ、もはや血と肉に狂った獣等、
いないと分かるまで…