悠里「…よし、これでいいわよ」
怪我していた彼の足にガーゼを貼り、応急手当を済ませた悠里が笑顔を見せる。彼にとってそれはありがたいことだったが、会ってばかりなのにここまで世話になるのは申し訳なくもあった。
「すいません、軽い応急処置は自分でしたんですけど…」
悠里「良いのよ気にしないで、私達はもう仲間同士なんだしね。」
「…そう…ですね」
(会って間もないのに…なんで僕はこの人達をこんなに信頼しているのだろう。あれだけ一人で生きていこうと決めていたのに……何だかんだで人を信じやすい性格だったのか…)
由紀「みーくんにはこの服をあげよう!」
美紀「その服…アニメキャラがプリントしてあるじゃないですか。着ませんよ、そんなの」
由紀「えぇ~!絶対似合うのに~!」
探索によって見つけた一枚の派手な服を美紀へ手渡す由紀だったが、それは拒否されてしまう。直接由紀が残念そうに肩を落とすのを見て、彼は微かに微笑んだ。
(もしかしたら……この人達の雰囲気のお陰かも知れないな)
「………ははっ」
悠里「?…ああ、由紀ちゃん?面白いでしょう?」
「ええ、面白い人達ですね」
悠里「皆救われてるの……由紀ちゃんの笑顔に……」
美紀とじゃれあう由紀を見つめて悠里が呟く。『皆が彼女の笑顔に救われている…』まだ彼は彼女らと会ってばかりだが、その言葉の意味は分かる気がした。
悠里「あの…」
「はい?」
悠里「治療するのにあなたの持ってた消毒液を少しだけ使わせてもらったわ、ごめんなさい。使っていいか確認しないで…」
「ああ、別に良いですよ。僕の治療で使ったんだし、それに仲間になった以上、物資は全部渡しておきます」
悠里「えっ?本当にいいの?」
「はい、持って消えたりしないなら」
悠里「そんな事しないわ…。それじゃあ私が管理させてもらうけど…あなたも必要な物があったら言ってね?」
「はい、そうします」
胡桃「おーい、こっちで合ってるか?」
運転席の胡桃が彼の方へ顔を振り向けて尋ねる。彼は彼女のそばへと歩みより、運転席に手をかけながら外の道路…その曲がり角を指さした。
「そこを右に…そうしたらもうすぐそこなんで」
胡桃「はいよ~………ここか?」
「んん、ここですな」
外に見えた自分の住み家を確認し、彼は車を降りようとする。必要な荷物をパパっと回収してこなくてはならないからだ。
「それじゃあ、少し待ってて下さい」
胡桃「あたしも行く。一人じゃ危ないだろ」
「そうですね…多分荷物もそれなりに多いし、頼みますかね」
由紀「私達もいこうか?」
「いいえ、すぐに戻るので…二人で大丈夫です」
由紀「ほんと?じゃあ、わかった」
美紀「二人とも気をつけて下さいね」
「はい」
胡桃「んじゃ、行ってくるわ」
悠里「何かあったらすぐに呼んでね」
胡桃「はいよ~」
皆を車内に待機させ、彼と胡桃は外へと降りる。
彼の住み家である車両整備店の大きなガレージを目の当たりにした胡桃はそれをゆっくりと見回し、シャッターに鍵穴を発見した。
胡桃「…鍵は?」
「ああ、開いてますよ」
胡桃「無用心だな…」
「鍵が見当たらなくてね…。帰って来ている時は中から閉めれますけど、外からはかけられないんです」
胡桃「ん?ここ…__さんの家族が働いてた店とかじゃないの?」
「全くの他人の店です。裏口の鍵が開いていたので利用させてもらいました」
胡桃「へぇ…そうか」
そんな会話をかわしながら、彼はガレージのシャッターに手をかける。少し重そうにも見えたシャッターは彼が力を込めるとガラガラ音をたてながら上へと上がっていき、内部へ入れるようになった。
ガラガラガラ…!
胡桃「ガレージに入るのか?」
「ええ、僕は店内ではなくこちらのガレージの中で暮らしていました」
胡桃「へぇ…なんで?」
「店の中はちょっと狭いんですよね。こっちのガレージの方が広くて落ち着くんです。地面がコンクリートなので少し冷えますけど」
胡桃「ふぅん……」
彼がスタスタと中に入っていったので、胡桃もそれに続く。彼は胡桃も中に入ったのを確認すると、もう一度入り口のシャッターを閉めた。
ガラガラガラガシャン!
胡桃「ん…?すぐに戻るんだから別に閉めなくても良いんじゃないか?また開けるのもめんどくさいだろ?」
言われてからそれもそうだと気付く…。彼が今このシャッターを閉めたのは、完全にいつもの癖だった。
「そうだった…ついつい…」
胡桃「っく…あははっ」
彼の少し間抜けな部分を見た胡桃は可笑しそうに笑う。彼はそれを見て自分が恥ずかしくなり、少しお返ししようと決めた。
「……信じて良いんですか?」
胡桃「は?何を?」
「恵飛須沢さんは今、会って間もない男とシャッター閉めたガレージの中に二人きりなんです……もしかしたらそういう事をされてしまうかもですよ?」
ニヤリと笑いながら、彼は胡桃にそう告げる。
こう言えば胡桃も多少は戸惑うかと思っていたのだが、その考えは甘かったようで……。
胡桃「…………ぶっ飛ばすぞ…マジで。」
「……すいません……冗談です」
胡桃はシャベルを構え、鋭い目付きを見せる。その凄まじい気迫に圧倒された彼は、ちょっとした遊び心を見せた事を後悔した。しかし胡桃も本気ではなかったらしく、すぐにシャベルを下ろして笑いだす。
胡桃「ははっ!分かってるって。あたしも冗談、怒ってないから安心しろ」
「はぁ……そですか」
胡桃「いやぁ、本当に__さんをからかうのは面白いなぁ。……ただせっかくからかうなら、怒るんじゃなくてまんざらじゃない顔した方が良かったかな~?」
「止めて下さい。ドキドキしてしまいます」
胡桃「へへ…そりゃどーも♪」
こんな冗談を言い合いながら、二人は彼がここに置いていた食糧などの物資をバックに詰める。作業はわりとスムーズに進んでいった。
「食糧はその机に置いてある分で全部です。あとはその下に水が少しあるんで、それも持ってって下さい」
胡桃「分かった。……ところでこれはいらないのか?」
「え…?」
振り返り、胡桃の方を見る。背後に立つ胡桃が笑顔を見せながら持っていたのは、"かれら"を模した段ボールの的…つまりは彼のトラウマだった。
「それはいらないっ!はやくどっかにやって下さい!」
胡桃「あはは、悪い悪い……。でもまぁ、思えば__さんがこれにナイフ投げなんて馬鹿な事してケガしたから、結果としてあたし達はアンタに会えたんだよな」
(…そう言えばそうだ…あれにナイフを投げて、失敗してケガをして、ガーゼや包帯がなかったから物資を探しにあそこに行ったんだ…。)
胡桃「アンタがこれにナイフを投げなかったら…それか投げてもケガしてなかったら……アンタは今日あそこに行く予定はなかったんだろ?アンタがあそこにいなかったら由紀はあの場所で奴らに殺されてたかも知れない…そう考えると凄い奇跡だよな」
「…はい…そうですね」
そう言われると、あの失敗も良い経験だったと思える。
彼がその的を見つめながらしみじみ思っていると、胡桃が意地悪な笑みを浮かべてその的を突き出した。
胡桃「てな訳で…お守りにどうだ?」
「いりませんっての……。もしかして、まだ馬鹿にしてます?」
胡桃「ああ、少しな?」
「イヤな人……」
胡桃「ふふ~ん♪」
「はぁ……持つもの持ったし…戻りましょ」
この胡桃という少女に散々イジられた彼は深くため息をつきながらバックを持ち上げ、シャッターに手をかける。その時、胡桃が彼に声をかけた。
胡桃「……あのさ」
「…はい?」
胡桃「__さんの事からかってばっかで、まだ言ってなかったな~と思って…」
「…何をですか?」
何の事なのか分からず彼が問う。すると胡桃は真剣な表情をこちらへと向け、軽く頭を下げながら言った…。
胡桃「由紀の事を助けてくれて、本当にありがとう…」
「いえ…恵飛須沢さん達がいなきゃ助けられなかった。それに、結局あの場にいた奴らも恵飛須沢さんの方が多く倒してましたし…」
胡桃「いや、あんたもかなり倒してただろ?それに倒した数の話じゃない。あたし達が駆け付けるまで由紀を守っていてくれた事が大切なんだよ。ハッキリ言ってあの状況、りーさん一人じゃ奴らから由紀を守れなかったと思う。それを__さんが守ってくれた。本当にあんたには感謝してるんだ……。由紀もりーさんも美紀も…そしてあたしも」
胡桃「だから素直に礼を言わせてくれ……ほんとにありがとう」
「じゃあ……………どういたしまして?」
胡桃「ははっ、なんで疑問系だよ。変な人だな…」
真面目な表情から一変し、胡桃はまた楽しげに微笑む。彼女の笑顔を見たのはここに来てからもう何度目だろうか?
「…恵飛須沢さんはよく笑う人ですね」
胡桃「そうか?だとすれば、それはアンタが面白いからだな」
「そーですか…」
このまま彼女と会話をしていても良いが、外の車に待たせている人がいる。彼は外に出るべくシャッターに手をかけるが…。
胡桃「……あとさ」
「まだ何か?」
その時、またしても胡桃に話しかけられて彼は先程のように振り返る。すると胡桃は少しだけ照れたような表情を浮かべ、彼にあることを告げた。
胡桃「あたしの呼び方、胡桃でいいよ…。名字で呼ばれるとなんか落ち着かないからさ…」
「……………ふむ」
彼はシャッターに視線を戻し、腕に力を入れてシャッターを上げる。ガラガラと音を立てるそのシャッターを完全に開き終えた後、彼は胡桃の方を見つめて微笑んだ。
「分かったよ…。胡桃ちゃん」
胡桃「…ん~~」
言われたとおり名前で呼んだのだが、胡桃はなにやら目線を地面に下ろし、唸りはじめる。何か納得のいかない点があったのだろうか?
「どうしました?」
胡桃「ああ……分かった。あれだな、男の人に言われるとなんか照れる…」
「胡桃ちゃんが胡桃って呼べって言ったのに、わがままだな…」
胡桃「分かってるよ!ただ…あたしの周りは女しかいなかったから、男に名前で呼ばれるのは初めてだってこと忘れてて…!」
ムキになって答える胡桃の顔がみるみる赤くなる。ならば名前で呼ぶのはよした方が良いのか…彼はそれだけ確認しておく事にした。
「じゃあ、やっぱり名字呼びに戻します?」
胡桃「……いや…そのままで良い…多分すぐ慣れる」
「じゃあ戻ろう……。胡桃ちゃん」
胡桃「…んん~」
「胡桃ちゃん、何してるんです?ほら行くよ!胡桃ちゃん!」
名前を呼ぶ度、胡桃が頬を赤くして唸る。その様がやたらと面白くて、彼はここぞと言わんばかりに彼女の名を呼ぶ。ただ、胡桃も自分がそうして小バカにされている事に気づいたらしい。
胡桃「………わざとやってるだろ。」
「あぁ、さっきからかったお返し」
胡桃「はぁ………悪かったよ」
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
胡桃「ただいま~」
「ただいま」
悠里「お帰りなさい。少し遅かったわね?」
胡桃「んん、まぁね……。ほい、これ」
胡桃が食糧等を詰めたバックを悠里に渡す。この中にある物資は彼の物だった為、悠里は改めて礼を言うことにした。
悠里「じゃあ__さん。ありがたく貰うわね」
「はいどうぞ……。あの、服とかって置く場所あります?」
悠里「ああ、後でしまって置くからその辺に置いといてもらえる?」
「はい、分かりました」
彼は服の入ったバックを適当な場所に置くとそばの席に座り、一息つく。そんな時、美紀が彼のもとへと寄ってきた。
美紀「特に問題はありませんでしたか?」
「大丈夫でしたよ。荷物集めも胡桃ちゃんが手伝ってくれたお陰で思っていたより早く終わりました」
由紀「!!……胡桃……………ちゃん!!?」
後方にいた由紀が彼の発言を聞いた直後、慌ただしく車内を駆けながら胡桃に近づく。明らかに彼と胡桃の距離が縮まっているような気がしたからだ。
由紀「短い時間に……何があったのくるみちゃん!」
胡桃「な!?…何がだよ!」
由紀「__さんがくるみちゃんの事くるみちゃんって呼ぶようになってるよ!!」
美紀「あ…言われればそうですね」
胡桃「何もねぇよ!!ただ、名字呼びは落ち着かないから名前で呼べって言っただけで…」
由紀「ほんとかな~?あやしいなぁ~?くるみちゃん顔赤いよ~?」
言葉の後半、胡桃の顔が微かに赤くなったのを由紀は決して見逃さない。由紀はそれをネタに胡桃を煽り、ニヤニヤと笑った。由紀のそんな小バカにしたような表情に胡桃は苛立ち、車内の隅に立て掛けておいたシャベルを指さす。
胡桃「美紀……そこのシャベル取ってくれ」
美紀「あ……はい」
由紀「うわぁ~!ごみん!ごみん!みーくんも取らないでいいよぉ!!」
由紀が慌てながら美紀の腕を掴み、彼女が胡桃にシャベルを渡すのを阻止する。胡桃はそんな由紀を見て呆れたような表情を見せ、そのまま席へとついた。
胡桃「…ったく」
由紀「冗談通じないな~くるみちゃんは。……でも良いな~!私も__さんに名前で呼んでほし~♪」
悠里「そうね。私も名字だと少し落ち着かないわ。」
由紀「みーくんも名前が良いよね!?」
美紀「私ですか?…ん~、そうですね。先輩達が皆名前で呼んでもらうなら、一人だけ名字は少し嫌かもです」
由紀の一言から始まり、遂には全員が似たような事を言い出す。しかし彼女達はこの先も世話になるかも知れない人達だ…確かに変に距離を開けるより、親しみをもって接した方が良いのかも知れない。彼はそう考え、それぞれの呼び名を改めた。
「ああ、分かりました。由紀ちゃん、美紀ちゃん、りーさん。」
悠里「あら?私は悠里ちゃんじゃないの?」
「まだ会って間もないですが、りーさんって頼れるお姉さん的なイメージがあるんです。…だからちゃん付けは難しくて…皆さんがりーさんって呼んでるので真似させてもらいました。…イヤですか?」
悠里「ふふっ…いいえ。私もその呼ばれ方が一番落ち着くわ」
「良かったです。………いや、少し待って下さい…美紀さんすいません、美紀ちゃんじゃなくてやっぱ美紀さんでも良いですか?」
美紀「構いませんけど……どうしてです?」
「美紀さんって雰囲気が落ち着いているから先輩感があって、ちゃんよりも、さんのイメージなんです」
美紀「はぁ………ん?あなたって何歳ですか?」
「十八です」
美紀「じゃあ由紀先輩達と同い年……私より__さんの方が先輩じゃないですか!!」
「あれ?じゃあ美紀さんって二年生なんですか?」
美紀「はい……いや、進級して三年生ですかね?」
由紀「違うよ!私がみーくんは頭良いから飛び級だって言ったでしょ!」
美紀「あ……そうでした」
胡桃「っていうか美紀はあたし達の事なんたら先輩って呼んでるだろ?…その時点で気付けよ」
(ああ、言われればそうだ……ん?それってつまり……)
「由紀ちゃんって、胡桃ちゃんやりーさんと同い年?」
由紀「え?そうだよ?」
由紀がなに食わぬ顔で答える。しかしそれは彼にとって衝撃的な台詞であり、思わず言葉を失った。
「……な!?」
胡桃「ああ…言いたい事は分かる。由紀って子供っぽいからな」
由紀「失礼だよくるみちゃん!私だって充分大人オーラ出てるよ!」
胡桃「んじゃあ聞いてみろ、何歳だと思ってた?ってさ」
由紀「何歳だと思ってた?!」
由紀が声を荒げて尋ねてきたので、彼はそっと答えを返す。本人がショックを受けたら申し訳ないと思いつつ、静かに…丁寧に…。
「あ~~……一年かなって思ってました………」
由紀「それじゃ私、一番後輩じゃん!!」
胡桃「ああ、そうだな。しかも頭も悪いから美紀のような飛び級も無理だ……一人だけ高校に残る事になるな」
由紀「違うよ!私は三年生でこの前卒業したんだから!!もう高校生を越えるりっぱな大人だよ!」
悠里「大丈夫よ由紀ちゃん。あなたはきっと、これから大人っぽくなるわ」
由紀「うぅ~~…」
美紀「りーさん…それだと今は子供っぽいって言ってるようなものじゃ……」
悠里「あら?確かにそうね…」
由紀「うぐっ!!」
悪意のない悠里の言葉にショックを受けた由紀はその場にぺたんとしゃがみ、力なく顔をうつむける…。そんな中、彼はあることを訂正したくて一同の顔を見た。由紀にこれ以上の追いうちを仕掛けるのは申し訳ないが、それでも言わずにはいられない。
「あの……違くて……」
胡桃「ん?何が違うんだ?」
「中学生だと……中学一年生かと思ってた。なんで同じ制服着てるのかずっと気になってたんだけど、由紀ちゃんも高校生だったのか…」
彼の言葉を聞いた直後、一瞬だけこの場に静寂が訪れる…。
しかしそれは長くは続かず、胡桃・悠里・美紀の笑い声によって破られた。
胡桃「あははっ!そうかそうか…!まぁ分からなくもないっ…!」
悠里「ふふっ!くるみっ、失礼でしょ…由紀ちゃんだって、立派な…っふふ!」
美紀「っく…りーさんも笑ってるじゃないですか…!」
由紀「う………」
由紀「う~~~!!!!!」
しゃがみこんでいた由紀はその体勢のまま頭を抱え、大声で呻く。彼に子供っぽいと言われる事は只でさえ屈辱なのに、悠里達すらもそれに同意して笑い始めてしまったからだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そうして一同の笑いも止まり、しばらくしてから胡桃が言った。
胡桃「そう言えばあんた、あたし達と同い年なんだな?」
「そうですね」
胡桃「じゃあ敬語も止めなよ。なんかむず痒い」
「ん~……わかった…」
胡桃「よし!」
彼が敬語を止め、胡桃に笑顔を見せる。すると胡桃はそれに満足したらしく、にっこりと笑顔を返した。
由紀「これで__くんもすぐわたし達に馴染めるね!」
「……その__くんっていうのは?」
由紀「ん?ああ君は名前が__だから__くん!!」
美紀「私と同じような呼ばれ方ですね」
彼が自分と似たように呼ばれているのを見て、美紀はこっそりと笑う。自分が初めて由紀にこう呼ばれた時、彼と同じようなリアクションをしたのを思い出したからだ。
由紀「こうやって呼んでも良いでしょ?」
「……まぁ構いませんけど。」
由紀「へへへ~~♪」
「………………」
悠里『皆救われてるの……由紀ちゃんの笑顔に……。』
目の前で笑う由紀の顔を見ている最中、悠里がそう言っていたのを不意に思い出す。子供っぽい彼女の笑顔は見ているだけでこちらも頬が緩み、温かい気持ちになった。
(確かに、なんか癒されるな……)
もっと短いエピソードのハズでしたが、書いてる内にどんどん書き足していってしまいました。
ところで途中の由紀ちゃんが彼の事を__くんと呼ぶシーンですが、そこは美紀の事をみーくんと呼ぶように、読者様が付けた名前の一文字目を取って当てはめてくれれば違和感ないと思います。
例 太郎=たーくん
こんな感じですね。
追記…2018年5月23日、文面をある程度修正しました。書き直すところがあまりにも多く、当時の自分の文章力の無さに震えました(苦笑)