軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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急に『こんな展開良いんじゃないかな…』などと思い、まだ少し先になるであろう本作の最終回手前の話を書いてしまっている今日この頃。

そして、そのせいで遅れる最新話の更新…ほんとに申し訳ないです(*_*)


四十五話『おくりもの』

 

 

 

 

 

 

 

悠里達と別れて食品売り場内を探索する彼と胡桃…

 

 

 

 

食料はかなり漁られており…およそ十五分程たってフロアの奥まで探索した今も、彼等は何一つ得ていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何もないね。」

 

彼が一つの商品棚を隅から隅まで確認して、胡桃に言った。

 

 

 

 

 

胡桃「ちゃんとチェックしろ~、棚と棚の隙間とか…そこの倒れてる棚の下とかもな。」

 

 

 

 

「………」

 

そう言われた直後、彼は無言で胡桃を睨む、何故なら…

 

 

 

 

 

胡桃「よっ!…ほっ!」ブンッ!…ブンッ!

 

彼に食料探しを任せて、胡桃本人は素振りをしていたからだ。

 

 

 

 

 

「胡桃さん……手伝ってはもらえませんかね?」

 

 

 

 

 

胡桃「…ハッキリ言うぞ、ここに食料はない!」

 

自信満々に言い放つ胡桃…そんな彼女に、彼は反論する。

 

 

 

 

「あるかも知れないでしょ?ほら…この棚と棚の隙間とかに、誰かが見落とした缶詰めとかが!」

 

 

 

 

胡桃「いや…絶対ない!そもそもそこ…さっきあたしが確認したし」

 

棚と棚の僅かな隙間に手を伸ばす彼に、胡桃は素振りを止めてから言った。

 

 

 

 

 

「なら早く言ってよ!無駄に探しちゃったじゃん!」

 

 

 

 

 

 

胡桃「だいたいの場所探したハズだけど、何もナシ!入り口の方に戻って、大人しくりーさん達待とうぜ?」

 

胡桃が彼にそう言った直後

 

 

 

 

ガタガタッ…

 

 

 

 

 

「?」 胡桃「ん?」 

 

話す二人の近くで物音聞こえ、二人はその方向を見る。

 

 

 

 

 

 

ガタガタ……

 

 

その音はだんだんと近寄ると…目の前の商品棚の裏で止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「りーさん達…じゃないよな?」

 

胡桃が小声で彼に尋ねる。

 

 

 

 

「多分違うかな…呼びかけてみる?」

 

彼の問いに、胡桃はシャベルを構えてから無言で頷く。

 

 

 

 

 

 

「…りーさんですか?」

 

彼が少しだけ大きめの声を出して、音のした方に言った。

 

 

 

 

 

 

………グァァ

 

直後、そこから微かに聞こえた呻き声…それを聞いた瞬間

彼と胡桃は薄々気づいていた音の正体に確信を持つ。

 

 

 

 

 

胡桃「ちっ…やっぱりアイツらかよ。」

 

 

 

「やっぱここにもいたんだね」

 

二人が言葉を交わす中、それは呻き声をあげながら姿を現した。

 

 

 

 

 

 

『アァ……ァ~…』

 

空の商品棚に手をつきながら、ゆっくりと彼と胡桃の方へ歩くゾンビ…

 

見たところ、数は一体のみのようだ。

 

 

 

 

 

 

胡桃「さて…ここはあたしが…」

 

そう言って胡桃がシャベルを構えなおした直後…

彼がゾンビ目掛けて何かを投げる。

するとゾンビはドサッ…と音をたて、その場に倒れた。

 

 

 

 

 

 

胡桃「今…何投げたの?」

 

不思議そうな顔をして尋ねる胡桃

 

それに対し、彼は答えた。

 

 

 

 

「ナイフだよ。」

 

 

 

 

胡桃「あぁ、そういえばそんな使い方もしてたね。」

 

思い出したように胡桃が呟く。

 

 

 

 

胡桃「6~7mくらいの距離かな…よく一発で頭に当てたね。」

 

道の先で倒れているゾンビの頭に、先程彼が投げたナイフが刺さっているのを確認して言った。

 

 

 

 

「ちまちま練習してたんでね、もうこのくらいの距離なら楽勝ですよ。」

 

そう言って、彼は少しだけ自慢げな表情を見せる。

 

 

 

 

胡桃「前はそれで怪我したってのに…懲りずによくやるな。…ま、その調子で忍者でも目指してくれ。」

 

 

 

 

「なにそのあっさりした反応!?もうちょっとその…なんかないかな?」

 

 

 

 

胡桃「なんかって?」

 

 

 

 

「ほら『カッコい~!』みたいなさ…そんな反応を少しばかり期待して投げたわけですよ。」

 

 

 

 

胡桃「あ~…ハイハイ、カッコいいカッコいい。」

 

彼の期待していた台詞を吐く胡桃…

だがそれは棒読みで感情が無く、彼の期待した物とは大きく異なっていた。

 

 

 

 

 

「…ま、良いですけどね。胡桃ちゃんがそんな事言うわけないって分かってたし……それよりも…」

 

想定の範囲内だというような表情をして、彼は上着のポケットから何かを取り出し…それを胡桃に手渡した。

 

 

 

 

 

「はい、これあげるよ。」

 

それは昨日、由紀達と共に見付けた一つの手袋だった。

 

 

 

 

胡桃「え?…なに…これ?」

 

突然の贈り物に、胡桃は戸惑う。

 

 

 

 

「前に手が冷えやすいとおっしゃっていたあなたに…私めからのプレゼントでございます。まぁ由紀ちゃん、美紀さんにも選ぶのを手伝ってもらいましたけど…」

 

彼は丁寧な口調でそう告げると、それを彼女に手渡した。

 

 

 

 

胡桃「これ…いつ手に入れたの?」

 

それを受け取って少し眺めてから、胡桃は尋ねる。

 

 

 

 

 

「昨日だね、んで…その途中で誠さんを拾ったと…」

 

 

 

 

 

胡桃「あたしにくれるの?」

 

 

 

「ん?そう言ったでしょ?一緒に探索したいって言ったのも、胡桃ちゃんにこれを渡したかったからだしね」

 

目を丸くして尋ねる胡桃を少しだけ不思議に思いながらも、彼は答えた。

 

 

 

 

 

胡桃「……ふぅん」

 

もう一度、改めてそれを眺める胡桃

 

 

 

 

「もしかして…あまりお気に召さない?ならこの近くにそれ見付けた店あるからさ…その中から胡桃ちゃんが好きなのを…」

 

 

 

 

 

胡桃「ううん、大丈夫。これで良い…」

 

そう呟きながら、胡桃は今着けている手袋を外す…そしてその代わりに、貰ったその手袋を身につけた。

 

 

 

 

 

「デザインはいつも胡桃ちゃんが着けてるのと殆ど一緒だけど、暖かい素材で出来てるとかなんとか……どうかな?」

 

両手にそれを着けた胡桃に、彼は感想を尋ねる。

 

 

 

 

胡桃「…あったかい」

 

彼女はそう一言だけ、静かに呟いた。

 

 

 

 

 

「まぁタダで手にいれた物なんでありがたみ半減だけどね…」

 

少しだけ気まずそうに、彼が言う。

 

 

 

 

胡桃「ははっ、お金払おうにも払う相手がいないんだ…そこは気にするなよ。」

 

 

 

 

「それもそうだけどね…」

 

そう彼が呟いた直後、胡桃は少しだけ顔を赤くして言った。

 

 

 

 

 

 

胡桃「プレゼントとかあんまり貰った事ないからさ……なんていうか…ちょっと照れるけど、でも……」

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「…わりと嬉しい!ありがと!」

 

胡桃は彼にそう言って、ニッコリと嬉しそうな笑顔を見せる。

 

 

 

 

 

「いえいえ、喜んで貰えたなら何よりです。」

 

彼女のそんな笑顔を見た彼は、自身もとても満足そうに笑顔を返した。

 

 

 

 

 

「さて、見る物見て…渡す物渡したし、集合場所に戻りますかね。」

 

 

 

 

 

胡桃「だな。………あ、お前あのナイフは回収しないの?まだ刺さりっぱなしだぞ」

 

集合地点に戻ろうとする彼、そんな彼が先程投げたナイフを未回収な事に気付いた胡桃は彼にそれを教えた。

 

 

 

 

「おっと…忘れてた。」

 

彼が慌ててそれを回収しに向かう。

 

 

 

 

胡桃「……」

 

そんな彼を見つめてから、胡桃は視線を自分の手に移す。

 

 

 

 

 

 

 

胡桃(だんだん感覚が薄れてきてる…。本当は…あったかいのか、そうでもないのかも…あんまり分からないんだ…)

 

 

 

胡桃(せっかくあたしの為にプレゼントしてくれたのに……なんか悪いな)

 

感覚の薄れた自身の体…その手のひらを見つめながら、胡桃は暗い表情をする。

 

 

 

 

 

「…よっと」

 

背後に立つ胡桃のそんな心情には気付かずに、彼はゾンビからナイフを引き抜く。

 

 

 

 

 

「投げただけなのに、けっこうしっかり刺さるもんだな……ん?」

 

ナイフを引き抜く為に目線を低くしていた彼は、商品棚の下…その奥にある物を発見した。

 

 

 

 

「………」ゴソゴソ

 

 

彼は手を伸ばし、それを手に取って確認する。

 

 

 

 

 

 

 

「………んお!!?」

 

 

 

胡桃「なっ!?なんだよ!どうした!?」

 

突然の奇声に胡桃は驚くと、彼の元に駆け寄った。

 

 

 

 

 

彼は興奮しながら、一つの小箱に入った食品を胡桃に見せる。

 

 

 

 

「缶詰だ!しかも箱まで付いてる高級そうなやつ!!」

 

 

 

 

胡桃「なんだ缶詰かよ…んなもん、しょっちゅう…」

 

『しょっちゅう食べてる』…胡桃はそう言おうと思ったが、彼の持つその小箱に書かれた『高級缶詰シリーズ・激ウマコンビーフ』の文字に心を奪われる。

 

 

 

 

 

胡桃「おお!ちょっと旨そう!!」

 

 

 

 

「でしょ!?」

 

 

二人はテンションを上げると念のためにもう一度、辺りをしっかりと見回した。

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「ダメだ…それ一個だけみたいだな」

 

 

 

 

「まぁ一個でも良いさ、そろそろりーさん達と合流しよう」

 

 

 

 

 

胡桃「ああ、そうしよう」

 

 

缶詰一個だけを手にして、二人は集合地点に戻る。

 

そこには既に悠里達が待っていた。

 

 

 

 

 

 

胡桃「ごめん、遅れた。」

 

 

 

美紀「いえ、私たちも今来たところですから。」

 

 

 

悠里「謝るのはこっちよ、何も見つけられなかったわ」

 

食料を一つも見つけられず、それを申し訳なさそうに詫びる悠里。

 

 

 

 

由紀「仕方ないよ、ここ…凄く漁られてたもん。それにほら!胡桃ちゃんちも何も持って帰ってきてないから大丈夫だよ。」

 

見たところ手ぶらの彼と胡桃…そんな二人を見て、由紀が言った。

 

 

 

 

胡桃「ふっふっふ…由紀、残念だったな…あたし達は収穫ゼロじゃないんだよ!」

 

怪しげに笑ってから、誇らしげな表情をする胡桃。

 

 

 

 

由紀「え!何見つけたの?」

 

 

 

 

「へへへ…缶詰です!」

 

尋ねる由紀に、彼もまた誇らしげな表情で答える。

 

 

 

 

 

美紀「缶詰…ですか。よく見つけましたね。」

 

美紀は言った。

 

 

 

 

美紀(そんな誇らしげな表情する程じゃないけど…まぁ悪いから黙っておこう…)

 

そんな事を、心の中で思いながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

由紀「なんだ缶詰か~…なんか二人とも自信満々だったからもっと凄い物かと…」

 

不満そうに由紀が呟く。

 

 

 

 

美紀「ダメですよ先輩!私も思ったけど、あえて黙っていたんですから!!」

 

そんな由紀の口を慌てて手で塞ぐと、美紀は由紀の耳元で呟いた。

 

 

 

 

胡桃「お前ら…あたし達がただの缶詰一つではしゃいでると思ってるな?」

 

 

 

 

由紀「ぷはっ!……違うの?」

 

口を塞ぐ美紀の手を振りほどき、由紀は胡桃に尋ねる。

 

 

 

 

 

胡桃「おい……見せてやれ。」

 

 

 

「へい!」

 

胡桃の指示に彼は元気よく返事を返すとポケットからそれを取り出し…由紀達三人に見せつけた。

 

 

 

 

 

 

 

美紀「なんですかこれ、…高級缶詰シリーズ…」

 

 

 

 

悠里「激ウマコンビーフ…」

 

 

 

 

由紀「おお~っ!こんな缶詰初めてみた!!」

 

高級と書かれたその箱を見て、由紀はテンションを上げる。

 

 

 

 

悠里「確かに美味しそうね、二人がそんな顔するのもわかるわ。」

 

悠里はそう言って彼と胡桃の顔を見ると、クスクスと笑った。

 

 

 

 

胡桃「な、なに?そんな変な顔してたか?」

 

 

 

 

 

美紀「変な顔ではないですけど…凄く誇らしげな顔をしてましたね。……缶詰一つで。」

 

美紀の冷静な指摘で、いくら高級でもしょせんは缶詰だということに気付いた胡桃…彼女はとたんに恥ずかしくなり、その顔を赤くした。

 

 

 

 

胡桃「だっ…だって凄く旨そうだったから…良いだろ別に!ちょっとくらいはしゃいでも!」

 

 

 

 

美紀「ええ、それはかまいませんけど…これ、五人で分けたらかなり少ないんじゃ…」

 

 

 

 

「!!」

 

美紀のその言葉にハッとした彼は、慌てて記載されている内容量を確認する。

 

 

 

 

 

(この量を五人で……となるとかなり……)

 

内容量を確認し、彼はみんなに言った。

 

 

 

 

 

「…かなり貧乏くさい光景になりそうですね。」

 

 

 

 

美紀「やっぱり…」

 

 

 

 

胡桃「想定外だ…はしゃいでて分ける事を考えてなかったぜ…」

 

頭を抱えて胡桃は呟く。

 

 

 

 

悠里「私はいいから、みんなで食べて?四人なら少しはマシになるでしょ?」

 

 

 

 

美紀「私もいいです。由紀先輩達三人で食べて下さい。」

 

自分は良いと大人の対応をする悠里と美紀、そんな二人に由紀は言った。

 

 

 

 

 

由紀「それはダメだよ!りーさん達もこれ美味しそうだと思うでしょ?」

 

 

 

悠里「う~ん、そうね…それなりには」

 

 

 

美紀「まぁ、はい。」

 

 

 

 

 

 

 

由紀「なら…、ここは公平にゲームで勝った人が独り占め出来るようにしよう!」

 

 

 

 

胡桃「ゲームって…何すんの?」

 

興奮気味の由紀に胡桃は尋ねる。

 

 

 

 

 

 

由紀「……考えとく、それまでそれは私が…」

 

 

 

 

「りーさん預かっといて下さい。」

 

さりげなく缶詰を手にしようとする由紀

 

だが彼は、それをすかさず悠里に渡してしまう。

 

 

 

 

 

悠里「分かった、預かっておくわね。」

 

 

 

 

由紀「うう~…私が預かろうと思ったのに…」

 

 

 

 

「すいません、由紀ちゃんには渡せない。」

 

彼が真顔で言い放つ。

 

 

 

 

由紀「なんで!?どうして!?」

 

 

 

 

胡桃「お前だと勝手に食いそうだからだろ…」

 

ボソッと胡桃が呟く。

 

 

 

 

由紀「失礼な!」

 

 

 

 

胡桃「聞こえてたのか、耳良いな。」

 

 

 

 

美紀「…私も、りーさんに預けたのは正解だと思いますよ。」

 

由紀が失礼だ、不満だと言って暴れる中、美紀は彼にそっと伝えた。

 

 

 

 

「…ですよね。」

 

 

 

 

 

悠里「ほら由紀ちゃん、落ち着いて。…さぁ、他のとこ見て回りましょう。」

 

 

 

 

由紀「…はぁ~い。」

 

まだ少し不満そうな由紀の手を引いて歩き出す悠里…胡桃達もそれに続く。

 

 

 

 

その後、他のフロアを見て回った一向だが…目ぼしい物を見つける事はなく、車へと戻った。

 

 

 

 

悠里は唯一の戦利品である缶詰を由紀に見つからぬよう、そっと車内の棚の奥へと隠すと…地図を確認してから適当な広場へと車を移動させ、夕飯を終える。

 

 

 

 

 

一日の終わり、彼を外に出して着替える彼女達。

全員が着替え終えると、悠里が彼を呼ぼうと席を立つ…その時

 

 

 

 

 

由紀「待って、りーさん!」

 

突然、由紀が悠里をひきとめる。

 

 

 

 

悠里「ん?何?」

 

 

 

 

由紀「私ね、面白そうなゲーム思いついたの!…これを参考にしよう!」

 

由紀はそう言って一冊の本をテーブルに置いた。

 

 

 

 

 

 

美紀「これって……」

 

 

 

悠里「こんなの…いつ拾ったの?」

 

その本を見て、悠里は尋ねる。

 

 

 

 

 

由紀「今日ショッピングモール行った時に拾った!」

 

 

 

 

美紀「いつの間に…」

 

 

 

 

胡桃「…てかこんなのを参考にするゲームって、お前…何する気だよ?」

 

 

 

由紀「えへへ~…それはね…」

 

 

由紀は、自分が思い付いたそのゲームの内容を悠里達に説明した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠里「…それを…私達がやるの?あの缶詰を賭けて?」

 

 

 

美紀「私…やっぱ缶詰いりません。」

 

 

 

由紀「ダメ!これは強制参加だよ!」

 

青ざめた顔でベッドに向かおうとする美紀を、由紀は無理やりひきとめた。

 

 

 

 

胡桃「なぁ…他のゲームにしようぜ?ほら、前みたくトランプとかで…」

 

 

 

由紀「えぇ~!せっかく面白そうなゲームだと思ったのに~!」

 

 

 

胡桃「いや、面白そうかどうかも微妙だけど…」

 

 

 

美紀「ええ、微妙ですね」

 

そう呟く胡桃と美紀を見た由紀は、眉をしかめて言った。

 

 

 

 

 

由紀「そんな事言って…胡桃ちゃん達は負けるのが怖いから逃げてるんでしょ~?」

 

 

 

 

 

 

胡桃「へぇ~…言ってくれるな…」

 

 

 

美紀「さすがの私も…たぶん由紀先輩には勝てると思いますけど。」

 

 

 

 

 

由紀「ほんと?…じゃあこの勝負、二人ともやる?」

 

 

 

 

胡桃「あたしはやる…そして由紀の目の前であの缶詰を食いつくしてやるよ」

 

 

 

美紀「私もやります。缶詰はもうどうでもいいですが…由紀先輩に馬鹿にされたままでは引き下がれないので…」

 

胡桃と美紀、どちらも怖い目をしながら由紀を睨んで答えた。

 

 

 

 

 

由紀「よ~し、…りーさんは?やる?」

 

 

 

 

悠里「ん~…そうね、一応やろうかしら?」

 

 

 

 

由紀「おおっ!やった~!」

 

 

 

 

 

胡桃「りーさんもやるのか…手強そうだな。」

 

 

 

 

 

美紀「この勝負…いつやるんですか?まさか…今からですか?」

 

 

 

 

由紀「いや、もう眠いし…明日にしよう!どうかな?みんな、それでいい?」

 

 

 

 

 

胡桃「あたしはいいぞ」

 

 

 

美紀「私もです。」

 

 

 

悠里「私もそれで良いわよ。ふふっ…ちょっと楽しみ。」

 

 

こうして明日、由紀考案のゲームが開催される事となった。

 

 

そんな中、車外では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんか、今日はみんな着替え遅くないかな……寒いんだけど)

 

 

彼が震えながら、車内へ呼び戻されるのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は胡桃ちゃんとの好感度アップイベントでした!

現時点で主人公と一番親しいのは胡桃ちゃんでしょうが…
作者は未だにカップリングを悩んでいるので、まだまだどうなるか分かりません!


彼には悪いですが、そもそも誰ともくっつかないという選択肢も…(笑)

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