やっぱ最初は1話目から見るでしょうから第1話は閲覧数が多いんですね。
その後、閲覧数は回を増す事に少しずつ落ち込んでいきます…まぁなれてなかったのもあって前半の方は自分でも見直す事が出来ないくらいに、つまらなかったなぁと思っていますが…(笑)
そんな中…急に高い閲覧数を叩き出した話が一つ!!
第31話『おんせん』でした!
皆大好き温泉回!自分で言うのもアレですが…私も好きな話です!
やっぱタイトルって大事だなぁ…と実感しました。
またいつか、あんな話を書きたいですね!
今度は海にでも行きますか……
夜まで車を走らせ探索するも、解熱剤は見つからず…
結局、その日の探索は終わり、胡桃は公園に車を停めた。
胡桃「…ごめん、りーさん、今日も薬見つけられなかった。」
車を停めてから悠里の側に立ち、胡桃が謝る。
悠里「大丈夫よ、謝らないで?明日には治りそうだから。」
悠里はそう言って笑ったが…顔も未だに真っ赤で、どうみても明日治るような体調ではなかった。
夕食の時間、今回も悠里はほとんど食べなかった。
そんな夕食の片付けも終え、彼が一人外に出たところで着替えも終え、彼女達は眠りにつく準備をした。
「明日は適当にその辺の家でも漁ろう?」
彼が今一つ元気のない胡桃に言った。
胡桃「……うん」
「んじゃ、とりあえず寝ようか。」
そう言って椅子に向かう彼を胡桃が呼び止める。
胡桃「あの…寝る前にちょっとだけ付き合ってよ。」
胡桃はそれだけ言って外に出る。
「??」
美紀「どうしたんでしょうね…先輩。」
美紀が彼に言う。
由紀「寝る前の散歩かも!私も…」
由紀がそこまで言ったところで美紀が由紀を止める。
美紀「はいはい、由紀先輩はもう寝て下さい。よい子は寝る時間ですよ~」
由紀「う~。…じゃあ__くんと胡桃ちゃんは悪い子だ!」
そう言って由紀が笑う。
「…先に寝ててください。」
彼はとりあえず胡桃の後を追って外に出た。
バタン…
悠里「……美紀さん、今日…何かあった?」
彼が外に出て、そのドアが閉まった後に、悠里が美紀に尋ねた。
美紀「え?……どうしてですか?」
美紀はそう言葉を返す。
悠里「…なんか今日、あの薬局から帰ってきた時から…胡桃の様子がおかしい気がするの……だから、あそこで何かあったんじゃないかと思って。」
由紀「あ…私も思った。胡桃ちゃん、なんか元気ないなって…」
美紀(りーさんはともかく、由紀先輩まで……けれど由紀先輩も意外と鋭いとこあるからなぁ…)
美紀(でも、確かに胡桃先輩…あれからずっと落ち込んでるのが顔に出てたから、気付かれない方がおかしいかも……、私と__さんはあれから上手く表情に出さずにごまかせてるのに…まさか胡桃先輩が一番怪しまれるなんて…珍しいな。)
美紀「……いえ、大丈夫…何もなかったですよ。」
悠里の言うあの薬局とは、間違いなく岡達と出会ったあの薬局の事を指すのだろう。
今の悠里に余計な心配をかける訳にはいかない……そう考えた美紀は何もなかったと嘘をついた。
悠里「そう?…なら良いけど、もし私もせいであなた達に何かあったら……私は立ち直れないから………無理してまで薬探ししないでね。」
美紀が「分かりました」と返事をすると、悠里は微笑んでからベッドに潜り、眠りについた。
美紀「…ほら、私達も寝ますよ!」
そう言って美紀は由紀をベッドに押していく。
由紀「は~い。」
押されながら返事を返す由紀。
美紀(胡桃先輩……ダメじゃないですか。……りーさんに心配かけちゃ…)
「…何?」
外に出た彼が、車から少し離れたところにたたずむ胡桃に言う。
胡桃「りーさん、良くならないな…」
「……そうだね」
胡桃「今朝のアイツらからさ、こっそり奪えないかな?」
地面を見つめながら胡桃が尋ねる。
「…難しいね、何よりバレたら危ない。」
彼は答えた。
胡桃「…でもあたしとお前の二人なら。」
胡桃が彼を見る。
「……相手は三人だし、どうだろうね。」
胡桃「けどお前今まで色んな生存者と戦ってきたんだろ!?……ならアイツらくらい…!」
「アイツらくらい……殺せって?」
彼は胡桃の目を見てそう言った。
胡桃「あ………いや…違うよ…」
胡桃は自分の発言が彼を傷付けたと思い、後悔する。
「……僕はそう言われると思ったけど…」
胡桃から目を逸らして彼は言う。
胡桃「…ごめん」
「僕が今まで殺したのは皆、向こうから殺しにかかってきたりするような奴等だけ……今日の奴等はクズにはクズだけど、出ていく僕等を無理矢理に引き止めたりはしなかった。」
「そんな奴等の持ち物をこっそりと奪って、バレたら殺すなんて…それこそこっちが悪者だよね。」
彼がため息をついてから言った。
胡桃「……そうだな…本当にごめん。」
胡桃が再び謝る。
「いいよ別に……にしても胡桃ちゃん少し焦り過ぎだよ。りーさんはただの熱なんだからそこまで躍起になって薬を取りにいかなくても…」
胡桃「心配なんだから…躍起にもなるに決まってるだろ!!」
胡桃が彼に怒鳴る。
大声を聞いて美紀が車の窓から顔を覗かせるが、彼が大丈夫…と手を振って知らせると、少しだけ考えてから美紀はその顔を引っ込めた。
「胡桃ちゃん…大声はダメだよ、あいつらが寄ってくるかも。」
興奮気味の胡桃を、彼は落ち着かせる。
それから周囲を警戒するが、寄ってくるゾンビの姿は無い…近くにはいなかったようだ。
胡桃「……あたし達の誰かが苦しんでるのを見ると、不安になるんだよ……そのまま死んじゃうかもって…。」
目を潤ませながら胡桃は言う。
「りーさんはただの熱だよ、大丈夫…すぐに良くなる。」
胡桃の肩に手を置いて彼は言った。
胡桃「分かってるよ…だからそれならそれで早く薬をあげて、元気にしてあげたい…頭では大丈夫だって分かってるのに、元気なりーさんを見るまで安心できない……」
「だからって、危険を犯してまで薬を取りに行くのはダメだよ。…僕は今日、胡桃ちゃん達が危ない目に遭うのが嫌だったから、面倒な事になる前に君達を連れてアイツ等のところから出ていったんだ。」
彼は今にも泣きそうな胡桃の目を見ながら言った。
胡桃「……うん」
「こっそり薬を取りになんて行って……もしバレたら胡桃ちゃん、今度こそアイツ等に何をされるか分からないよ。」
胡桃「…わかった。」
目を伏せたまま、胡桃は答えた。
「…じゃあもう寝よう?明日こそきっと見つかると思うから、あまり落ち込まないで!」
彼は胡桃を元気付けながら二人で車に戻った。
車に戻ると由紀と悠里は眠っていた。
美紀は起きているようだったが、気まずい雰囲気を嗅ぎとったのか布団を被って寝たふりをしていた。
「…じゃあおやすみ、胡桃ちゃん。」
彼が胡桃の背に声をかける。
胡桃「うん…おやすみ」
そう言って胡桃はベッドに潜る。
それを見届けた後で、彼は美紀のベッドの前にしゃがみこむと、顔を布団で覆っている美紀に、そっと声をかける。
「…美紀さんもおやすみなさい」
美紀「……おやすみなさい」
顔を覆っていた布団が少しだけ隙間を開けると、その隙間から美紀が目だけをチラッと覗かせて小声で答えた。
それを見た彼は少しだけ笑うと、自分の寝床の椅子に向かい、そのまま眠った。
(胡桃ちゃん……かなりまいってるね……)
(この世界の環境のせいと…後は今朝、薬がある場所を見つけたのに取ってこれなかった歯がゆさがあるんだろうな…。)
(りーさんがダウンしてる今……僕と美紀さんと由紀ちゃんとで、胡桃ちゃんをしっかり支えてあげよう。)
そして深夜1時頃。
皆が寝静まった頃に胡桃は起き上がり、音をたてないようにドアを開け外に出る。
胡桃(ここからアイツ等のいた薬局は近い……この時間ならバレずに取ってこれるハズだ。)
胡桃「……ごめんな、__」
胡桃は一言、車内で眠る彼に謝ると、一人で…あの薬局へ向かった。
今回は少し短めの内容。
…あまり良い予感のしない終わり方となっています