普段、こちらの『どんな世界でも好きな人』は水曜0時更新なのですが、今回は特別回を書いたので急遽更新させてもらいました。この特別回は真冬ちゃん&果夏ちゃんのお話で、二人が初詣に行った様子を書いたものです。出来るのなら元旦に載せたかったのですが、間に合わなくて…(汗)
少し短めですが、楽しんでもらえればと思います♪
果夏「うわぁ、人がいっぱいだ…」
真冬「そりゃまぁ…初詣なんて大体そんなもんでしょ…」
一月一日の昼過ぎ…。真冬は果夏を連れ、近所の神社に訪れていた。
予想はしていたもののそこはかなり混んでおり、辺りがガヤガヤと騒がしくて隣にいる果夏の声すらも聞き取りづらい。
果夏「振り袖着てる人、結構いるね」
真冬「うん、そうだね…」
辺りを歩く人々のほとんど……とまではいかないが、それでも振り袖を着ている人は結構な割合でいる。真冬と果夏もまたその内の一人だ。真冬は青を基調とした振り袖を…果夏は桃色を基調とした振り袖を…それぞれ、家を出る際に家族から着せてもらっていた。
果夏「おおっ!見て見てっ!屋台が出てるっ!!」
真冬「屋台も良いけど、先に参拝してきた方が……」
果夏「ぐっ…それもそっか…。仕方ないっ!とっととお参りを済ませて、早く屋台めぐりをしよう!!」
真冬「とっととって……カナ、そんな態度だとバチが当たる」
呆れた表情でボソッと呟くが、果夏には聞こえていないらしい。彼女は目を輝かせながら辺りを見回し、参拝の後でどの屋台に行こうかと悩んでいるようだ。恐らく、彼女の目的は参拝ではなくこれにあったのだろう…。
真冬「ほら、早く行こうよ。もっと混んできちゃうよ?」
果夏「そうだね、ごめんごめんっ。じゃ、迷子にならないようにしっかりと手を繋いで………」
真冬「ちゃんと気を付けてれば迷子にはならないから、手を繋ぐ必要はない。カナは
果夏「うぐぅ…新年早々冷たいなぁ」
果夏が『はぁ…』とため息をつくと、それが白いモヤのようになって視界に映る。今日はかなり冷え込んでいる為、屋台で売っている温かな食べ物がやたらと美味しそうに見える。が、まずは参拝を済ませよう…。真冬は果夏の背中をポンと押し、人混みの中を進んでいった。
果夏「そういえば、先輩達も来てるのかな?」
真冬「さぁ、どうだろうね?」
果夏「メッセージ送って聞いてみよ~っと♪」
真冬「カナ、携帯いじりながら歩いちゃダメだよ」
真冬が注意すると果夏は道の横へと逸れてピタッと止まり、携帯でメッセージを送り出す。その相手は恐らく、彼や由紀達…三年生組だろう。真冬は果夏の隣へ寄ってから自身も携帯を取り出し、いつの間にか来ていたメッセージを確認した。真冬の携帯に来ていたのは、美紀達二年生組からのメッセージだった。
真冬「……美紀と圭、それに歌衣さんは家族と出掛けてるって。たぶん、今日ここで会うことはないかな」
果夏「そりゃ残念…。おっ?りーさんから返事が来た!えっとね…りーさんとくるみ先輩、それにゆき先輩は今から来るって!るーちゃんと、あの先輩も一緒に来るみたい♪」
真冬「へぇ…じゃあ、あとで会えるかもね」
果夏「うんっ!今はみんなで先輩の家に行って、迎えに行ってる途中みたい」
果夏の言う"先輩"とは"彼"の事だろう…。新年早々みんなと一緒に初詣に来る辺り、相変わらず仲が良いようだ。悠里から送られたメッセージからそれを実感した後、二人はゆっくりと歩き出して参拝に向かう。
そうして
果夏「いやぁ…すっごく緊張した…。因みに、真冬ちゃんは何をお願いしたの?」
真冬「………内緒」
参拝後、二人並びながら屋台の方へ歩いていくと果夏がそんな事を聞いてきた為、真冬はその顔を横へ逸らす。すると、果夏は真冬の肩に身を寄せながらニッコリと微笑んだ。
果夏「因みに私はね~…『今年も真冬ちゃんと一緒にいられますように』って、そうお願いしちゃった~♡」
真冬「……カナ、知ってる?願い事ってね、人に話すと叶いにくくなるって話があるみたいだよ」
果夏「なっ!?そ、そうなのっ!?それは嫌だよっ!!真冬ちゃん、今のは聞かなかった事にして~っ!!」
少しイジワルすると、果夏は瞳を潤ませながら肩にしがみつく。
ついさっきまでニヤニヤしていたかと思えば、今度は泣きそうな顔を見せる…このように、表情豊かなのは果夏の魅力の一つだ。
真冬「…ふふっ、どうしようかなぁ……」
しがみつく果夏の額を指で突つき、真冬はイタズラな笑みを浮かべる。指で突つく度に果夏が『あうっ!』と声をあげる為、おかしくて仕方ない。
果夏「真冬ちゃんと一緒にいれなくなるのは嫌だっ…!か、神様…さっきのはノーカウントでお願いしますぅぅぅ…!!」
真冬「いや、あくまでそういう話もあるってだけだから…そこまで気にしなくても大丈夫だと思うよ」
果夏「ほ、ほんとにっ…?」
真冬「…まぁ、叶う時は叶う…叶わない時は叶わない…。結局は運だね」
果夏「運……運か……運なのかぁ……」
真冬「あとは…ボクの気持ち次第だよね…。ボクがもうカナのそばにいたくないって思えば、カナの願いは潰えるわけで…」
果夏「う…っ!うわぁぁんっ!!!」
ほんの冗談なのに、果夏は子供のように泣き出した。
真冬が果夏のそばにいたくないなんて思うことは、絶対にないのに…。
真冬「ほらほら、泣かないの。冗談だよ」
果夏「うぐっ…うぅぅ……もわぁぁ……」
真冬「ふふっ、変な泣き声…」
そばにあったベンチに二人で腰掛け、真冬は果夏が泣き止むまでその頭を撫でていく。すると果夏が鼻をすすりながら、震えた声で呟いた。
果夏「わ、私の願い事がダメでも……それでもっ…真冬ちゃんのお願いだけは…ちゃんと叶って欲しい…」
真冬「……ボクのお願い事なんてどうでもいいんだよ。だから、カナのお願い事くらいは叶うと良いね」
果夏「たしかに…叶って欲しいけど…。でもっ、真冬ちゃんのお願い事も……」
真冬「ボクのはいいの。どうせ、下らない事だから…」
果夏「く、下らない事?そんなのを神様にお願いしたの?」
真冬「うん…お願いしちゃった」
そう言って、真冬はニッコリと微笑む。
せっかく参拝に来ておいて言うのも何だが、今回は自分の願い事が聞き届けられなくても良いと…真冬はそう思った。その代わりに、果夏の願い事さえ叶えばそれで良いと…。何故なら、果夏の願い事と自分の願い事の内容が、ほとんど同じだったから……。
『今年もずっと、カナと幸せな時間を過ごせますように…』
拝殿の前でそんな事を願った自分を思い返し、真冬は再び微笑む。神様は自分の願いと果夏の願い…そのどちらを聞き届けてくれるだろうか…。まぁ、どちらでも良い…。どちらか一方が叶えば、自分は今年もこの娘と一緒にいられるのだから…。
真冬「…さて、何か食べに行こうか?」
果夏「あっ…うんっ♪」
食べに行こうと言った途端、果夏の表情が明るくなる。やはり、この娘は表情が豊かで面白い。真冬は果夏と共にベンチから離れた後、そっと右手を差し出した。
真冬「さっきより、混んできたね…。これだとかなり気を付けてないと迷子になっちゃうから、手…繋ご?」
果夏「うんっ、そうだね♡」
ギュッと握った果夏の手は温かく、何だかホッとする…。
初めて会った時はただ騒がしくてうるさい娘だと思っていたのに、今はその騒がしさが無いとどうにも落ち着かない。
真冬「…カナ、今年もよろしくね?」
果夏「うんっ!こちらこそ…だよ♪」
何だかんだ、果夏ちゃんの事が大好きな真冬ちゃんなのでした(*´-`)
因みに彼を迎えに家へと行ったりーさん達ですが、そこに着いたら着いたで彼が爆睡していたため、起こすのにかなり手こずったそうです(裏話)りーさん達はその後、どうにか目を覚ました彼を連れてそのまま初詣に行き、無事に真冬ちゃん達と合流したそうな…。
今回、真冬ちゃんと果夏ちゃんは振り袖を着ていましたが…たぶん、りーさん達も着ていたのでしょうね(*´∀`)みんなの振り袖姿、可愛いだろうなぁ…。それをそばで眺め、共に初詣に行ける彼が羨ましいったらないです(苦笑)
また、今回はせっかくなので振り袖姿の真冬ちゃんを描いてみました!
有り難い事に真冬ちゃんの事を気に入ってくれている読者の方は多いので、そのイメージを崩さないよう頑張ってはみましたが…初のカラーなので上手くいったかどうか…(汗)
【挿絵表示】
ということで、どうですかね?(不安げな表情)
真冬ちゃんの可愛さを、20%でも表現出来ていれば良いのですけど…。
次はもっと上手く描けるよう、頑張ります(^∀^;)
普段の真冬ちゃんは髪の毛を弄らないのですが、今回は正月ということなので少しだけおめかしして、後ろ髪をおさげにしました(^-^)普段髪の毛を弄らない娘が髪を縛ったりすると、何だかドキっとしますよね(私だけかも…)
…というか、真冬ちゃんが首に巻いているモコモコの名前って何なのでしょう…。振り袖に合うから描いてみたのですが、正体が分かっていません…。テ○ッピーかな?(笑)