軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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火曜日になってもまだ書き終えていなかったため、慌てて仕上げた今回のお話…。おかけで更新時間が遅れてしまいました(汗)

まことに申し訳ないですm(__)m



前回までのあらすじ『歌衣(うい)ちゃんに泳ぎを教えよう!』


第二十一話『プール(後編)』

 

 

 

 

 

 

 

 

胡桃「ん~、まぁまぁいけるようになってきたな。お前、結構運動神経良いんじゃないの?」

 

歌衣「…え、えぇ?そんなことないと思いますけど…」

 

「………」

 

訪れた室内プール…彼と胡桃はその中でも人の少ないポイントを選び、歌衣の泳ぎの練習に付き合った。…とは言っても彼は特にすることがなく、胡桃が歌衣の両手を引きながら泳ぎ方を教える様をプールサイドに腰掛けて眺めていた。

 

 

 

 

胡桃「まだ教え始めて二時間とちょっとだけど…。あとは息継ぎのタイミングさえ気を付ければ基本はオーケーだろ。お前は思ったよりのみ込みが早い。今日中にどうにかなりそうだ…」

 

歌衣「あ、ありがとうございます。全部…胡桃先輩のおかげです」

 

胡桃「へへっ、そりゃどうも。あとでアイツにもお礼言っといてやれよ。退屈してるみたいなのに、文句も言わずに付き合ってくれてるからな…」

 

胡桃はそっと目線を移し、プールサイドに座る彼の事を見つめる。歌衣に泳ぎを教えるのは胡桃だけで十分だったので彼はこの二時間ああして座っていたわけだが、文句すら吐かなかった。

 

 

 

 

歌衣「そうですね…わかりました。あとでお礼言っておきます」

 

胡桃「ああ、そうしてやってくれ。きっと喜ぶから」

 

歌衣「…そういえば、胡桃先輩は何であの人を呼んだんですか?」

 

胡桃「えっ?ほら、女二人だけだと変な(やから)に絡まれたりするかもじゃん?だからボディーガードにと思って…」

 

歌衣「あの人なら、私達を守ってくれると?」

 

胡桃「…うん、少なくともあたしはそう思ってるよ」

 

 

 

歌衣(返事を返すのがはやい。胡桃先輩、そんなにあの人の事を信頼してるのかな…?)

 

歌衣の問いに対し、胡桃は直ぐ様答える。迷いないその返事を聞いた歌衣は彼女が彼の事をどれだけ信頼してるのか…それが気になった。そして答えた彼女が少しだけ照れたように笑っていた、その理由も…。

 

 

 

 

 

胡桃「……さて!一旦休憩~っ!続きは昼飯食ったあとにしようぜ!」

 

歌衣「あっ、はいっ!」

 

胡桃が彼にどんな思いを抱いているのか…それを気にしつつ、歌衣は彼女のあとに続いて彼の元へと向かう。戻った直後、彼と会話する胡桃の表情がどこか楽しげに見えたのは歌衣の気のせいだろうか…。

 

 

 

 

胡桃「おまたせっ。うい、かなり泳げるようになってきたぞ。見てたか?」

 

「んん、見てた見てた…。お疲れさん」

 

胡桃「昼飯食べたらまた再開するつもりだけど、まだ付き合ってくれるか?まぁ、どうしてもってなら帰ってもいいけど……」

 

「逆に聞くけど僕は必要かい?この二時間、役にたった気がしないのだけど…」

 

胡桃「あたし的には、いてくれるだけで違うんだけど……」

 

「…そう。じゃあ午後も付き合うよ」

 

胡桃「わるいな。頼むわ」

 

 

歌衣「ん、ん~~…………」

 

彼が午後も付き合うと答えた瞬間、胡桃が嬉しそうに微笑むのを歌衣は見逃さなかった。胡桃は彼の事をボディーガードとして呼んだと答えたが、それにしてはやけに距離が近い気もする…。彼女は今、プールサイドに腰掛ける彼のその隣へ"当たり前のように"座っていて、あと少しで互いの手の先が触れそうな程だ。

 

 

 

歌衣(二人は付き合ってない……んだよね?)

 

思わずそんな事を思ってしまう。

前に聞いた時、彼と胡桃はただの友人同士だと聞いた歌衣だったが…今のこの様子を見てると何とも言えなくなる。

 

 

 

 

胡桃「待ってるだけだと退屈だったろ?」

 

「いや、水着美女はいくら眺めてても飽きないから大丈夫」

 

胡桃「…誰の事だ?」

 

「もちろん、胡桃ちゃんと歌衣ちゃんの事だけど」

 

胡桃「…まったく、お前ってやつは…。いや、見てんのがあたしらなら良いや…。ただ、他の女の人の事はあまりジロジロ見るなよ?」

 

「どうして?」

 

胡桃「そりゃお前…見知らぬ女の人をジロジロ見るのはいくらなんでもまずいだろ。ちょっとしたセクハラになるかも…」

 

「…見られるのが嫌なら、公共のプールになんぞ来なければ良い」

 

胡桃「まぁ…それもそうだけどさ……」

 

彼の台詞を聞いた胡桃は言葉につまり、小さくため息をつく。しかし、彼は何だかんだで真面目な面もある……きっと他人の水着姿をジロジロ眺めたりはしないだろう。胡桃はそう思っていたのだが……

 

 

 

 

 

「…あの人、スタイル良いな」

 

その矢先に彼がボソッと呟いた。思わずハッとした表情を彼に向ける胡桃だが、彼女はそちらを見てもっと驚く事になる。あろうことか、彼はその女性の事を指さしていたのだ。

 

 

胡桃「なっ!!?おいっ!指さすのはやめろっ!!」

 

「えっ?いや、胡桃ちゃんと歌衣ちゃんにも教えてやろうと思って」

 

胡桃「教える必要ねぇからっ!!」

 

目にとまったその女性を指さす彼…。本人に悪気はなかったのだが、だからといって放置も出来ず、胡桃は彼のその手を両手掴んで下げさせる。

 

 

 

胡桃「手ぇ下げろって!」グイッ!

 

「うおっ!?」

 

胡桃「まったく…マジで油断できないな…」

 

呆れたように言ってため息をつき、胡桃は彼の右手を両手でガシッと掴む。女性を指さす行為は止められたのでそのまますぐに手を離しても良かったのだが、胡桃はそうせずに彼の右手を掴み続けた…。

 

 

 

胡桃「いきなり指さすなんて、本人に気づかれたら迷惑だろ?」

 

「あ、あぁ…すいませんね…。でもさ、いきなり手を掴まれるってのも中々に……いや、これは全然迷惑ではないし、むしろありがたくもあるんだけどね…」

 

胡桃「はぁ?」

 

すぐには彼の言葉を理解出来なかった胡桃だが、スッと目線を下げる事でその意味が分かった。咄嗟に彼の右手を掴んだまでは良かったのだが、胡桃はその手が再び女性の事を指さすのを無意識に怖れたのか…彼の右手を自らの両手で強く、ギュッと……自分の太ももへと押しつけていたのだ。胡桃はその手を放して顔を真っ赤にし、彼を力強く睨む。

 

 

 

胡桃「のわっ!!?どこ触ってんだよ!!?」

 

「なっ!?触らされたんだよ!!!」

 

胡桃「べつに触らせたわけじゃ…!!っ……ごめん…」

 

思いもよらぬ事で驚いてしまったが、今のは自分がした事であって彼に罪はない。静かに頭を下げ、大声をあげた事を謝る胡桃だが、彼はちっとも気にしていない様子だった。

 

 

 

 

「いや…こっちこそごめんね。悪気はないとはいえ、触れた胡桃ちゃんの太ももがスベスベしてるとか…柔らかいとか…ずっと触ってたいとか、色んな事を思ってしまった。ほんと、悪気はないんだけどね……」

 

胡桃「ぐ…ぅっ……そこまで思ったなら、もう悪気あるだろ…。ごめん、やっぱり一発殴ってもいい?」

 

「冗談だよ!?実際は何とも思ってなかったから!!」

 

胡桃「……それはそれでムカつく」

 

拳を固める胡桃を見て慌てた彼は言い逃れようとするが、胡桃は依然としてその拳を固めたままだった。

 

 

 

「くそっ、逃げ道がない…!」

 

胡桃「……はぁ、もういい。今回はあたしに非があるし、許してやる」

 

「ど、どうも……」

 

そっと拳を解く胡桃を見た彼は一安心し、ふうっと安堵の息を吐く。その時、二人の後ろにいた歌衣はあることに気が付き、彼と胡桃へそれを告げた。

 

 

 

 

 

歌衣「先輩が指さしてた人…こっちに来ますけど……あれって」

 

「…え?」

 

胡桃「指さしてたのバレてたんだ。お前、自分で謝れよ…」

 

胡桃はそっと立ち上がり、彼を残して歌衣と共にその場を去ろうとする。しかしその場に歩み寄ってきた女性…その声はその場にいた三人全員が聞き覚えのあるものだった。

 

 

 

???「あら?やっぱり恵飛須沢さん達だ。みんなで遊びに来たの?」

 

「まぁそんなとこです。佐倉先生は何しにここへ?」

 

慈「私も同じよ。最近暑い日が続いてるから、たまには良いかな~と思って。ほら、運動にもなるしね♪」

 

胡桃「はっ?お前が指さしてたのって…」

 

歌衣「佐倉先生だったんですね…」

 

去ろうとしていた二人も慈の声を聞いた途端に振り返り、その会話に交ざる。不意に教師と会った二人は驚きの表情を浮かべたが、指さしていた張本人である彼は落ち着いた様子だった。

 

 

 

 

胡桃「お前、めぐねえだって気づいてたのか?」

 

「気づいてたよ。だから二人に教えようと思ったけど、普通に教えてもつまらないと思ってね。ただスタイルの良い人がいる、とだけ言って指さしたんだけど…」

 

歌衣「結果、胡桃先輩が大慌てしちゃったと…」

 

胡桃「っ…!普通に教えろよ!!」

 

指さした相手が慈だと分かっていたら彼の手を掴む事もなかったし、太ももを触られる事もなかった。胡桃は彼の無駄な遊び心と、そして彼が指さした相手を冷静に確認しなかった自分を恨んだ。

 

 

 

 

慈「あら、私のスタイルが良いなんて言ってくれたの?」

 

「…まぁ、はい」

 

慈「ふふっ、そんなこと言われたの初めてだから少し照れるなぁ。…ありがとね♪」

 

彼の言葉が素直に嬉しかったのか、ニッコリと微笑む慈。

薄いピンク色のビキニが包むその胸はかなり大きく、下に目を向ければ紺色のウォーターデニムからは細く、綺麗な足がスラッと伸びている…。慈のスタイルはお世辞を抜きにかなりのものであり、思わず胡桃ですら頬を赤くした。

 

 

 

 

胡桃「服の上からでも分かってたけどさ、やっぱり…めぐねえって…」

 

慈「ん?なぁに?」

 

胡桃「……ん~ん、なんでもない」

 

後ろを通りすぎていった三~四人の若い男性グループがこちらを見て、何かボソボソと言っていた気がする…。あの連中が話題にあげたのは歌衣なのか、慈なのか…どちらだろう?胡桃はそんな事を思っていた。

 

 

 

 

「先生、お一人?それとも彼氏と一緒?」

 

胡桃「えっ?めぐねえって彼氏いんの!?」

 

慈「あはは…私は彼氏とかいないから、今日は一人で来たの。残念ながら…ね」

 

少し苦い笑みを浮かべ、慈はプールサイドに座る。立ち上がっていた胡桃、歌衣もその隣へと座り、休日にも関わらず不意に出会った教師との会話を楽しんだ。

 

 

 

胡桃「でもさ、めぐねえなら彼氏くらい簡単に出来そうだけどね」

 

慈「そう簡単にはいかないものよ…。あと、めぐねえじゃなくて佐倉先生…でしょ?」

 

胡桃「今日は休みの日だし、ここは学校じゃないんだよ?なのに佐倉先生って…なんか固くない?」

 

慈「それもそうだけど…って、あなたは学校でも私の事をめぐねえって呼ぶじゃない!」

 

胡桃「あはは、バレたか……」

 

歌衣「…………」

 

慈「あなたは…二年の那珂(なか)さんね?」

 

慈の隣に座る胡桃の更に隣…そこにそっと座っている長い茶髪の少女、歌衣へと慈は声をかける。歌衣は急に声をかけられて驚いたようだったが、すぐに顔を覗かせて答えた。

 

 

 

 

歌衣「よく分かりましたね…。私、影が薄いってよく言われるのに」

 

慈「これでも教師だもの。生徒の名前くらい覚えていて当然でしょ?」

 

歌衣「そんな教師の人でも、私の名前忘れる人が結構いて…」

 

慈「えっ、そうなの…?う~ん、那珂さんは名前も変わってるし、見た目も可愛らしいから結構覚えやすいと思うんだけど…」

 

歌衣「そう…でしょうか?まぁ、変わった名前だ…とはよく言われますけど。見た目は言うほど大したものじゃ…」

 

慈「ううん、那珂さんの目って凄く綺麗だし、髪も長くて綺麗よ。まるで外国のお人形みたい♪」

 

歌衣「お、お人形……」

 

胡桃「あ…それあたしも思った!人形みたいに綺麗なやつだなぁ~って」

 

歌衣「う…うぅ……そんなことないと思いますが」

 

 

 

(いや、こんなに胸の大きな人形は見たことがない。…とか一瞬でも思ってしまった僕は心が(けが)れているのだろうな)

 

照れたようにして俯く歌衣…そんな彼女が恥じらい、両手を寄せる度に自然とその大きな胸も寄る…。先ほどまで胡桃と共にプールの中にいたからだろう…彼女の体は濡れており、その水滴が彼女の首から胸へと伝っていき、最後にはその谷間の内側へスッと消えていく…。それを見ていた彼は水滴の流れたその先を一人想像し、ゴクリと喉を鳴らした。

 

 

 

 

胡桃「あたしらは今日、ういに泳ぎを教えに来たんだ」

 

慈「へぇ、そうだったの」

 

歌衣「お恥ずかしながら…この年になってもろくに泳げなくて」

 

「でも、もうだいぶ泳げるようになってきたよね?」

 

歌衣「はい…胡桃先輩の教え方が上手かったから…」

 

胡桃「あたしの教え方どうこうじゃなく、お前がちゃんと頑張ったからだ」

 

歌衣は自分ではあまり運動が得意ではないと言っていたが、それでもこの二時間は弱音を吐かずに頑張っていた。胡桃はそんな歌衣の頑張りを褒め、彼女の頭を優しく撫でる。

 

 

 

胡桃「あと少し、午後からも頑張れるか?」

 

歌衣「は、はいっ!先輩となら…」

 

慈「ふふっ、仲良しね。…よし、みんなお昼は食べたかしら?まだなら私が何かご馳走してあげるっ」

 

胡桃「マジっ!?あたしら、ちょうどこれからだったんだ!」

 

「じゃ、お言葉に甘えますか…」

 

歌衣「…ありがとうございます」

 

慈「じゃ、行きましょうか?」

 

一同は立ち上がり、施設内にあった売店へと足を運ぶ。休日に慈と出会えた事だけでも嬉しいのに、更に食事まで奢ってもらえる…。胡桃、歌衣、そして彼は足取りを軽くして慈の後に続いたが…その途中、通りがかったプールの中から聞き覚えのある声が聞こえ、慈は足を止めた。

 

直後に彼や胡桃、歌衣も足を止めてそちらの方を見てみる。そこにいたのは二人の少女で、一人はフルーツ柄の派手なビキニを着たポニーテールの少女。胡桃は彼女の事を知らなかったが、慈・歌衣・そして彼はその少女を知っていた。

 

 

 

 

「あの娘、この前の……名前何て言ったっけな…」

 

慈「紗巴(すずは)さんよ。紗巴(すずは)果夏(かな)さん。…で、もう一人が―――」

 

慈は目線の先にいる少女、紗巴果夏と共にいるもう一人の少女の名を彼に教えようとするが、果夏が大声でその少女の名を呼んだのでそれは必要なくなった。

 

 

 

~~~

 

果夏「まったく!いつまで浅いところで遊んでるのっ!!そんなだからずっと泳げないんだよ、真冬ちゃんっ!!」

 

真冬「いいの、泳げたって良いことなんかないもん…」

 

果夏「なっ!私らはまた今度海に行くんだよ?その時泳げないでどうすんの!?」

 

真冬「いい……ボクは一人で釣りする」

 

果夏「か~っ!!可愛いけどバカだねこの子は…!海は海でも、私らの行くのは人の多いビーチなの!!そんなとこで釣りしたって釣れるのは男の人の海パンくらいだよ!!」

 

真冬「ちゃんと人のいないところまで歩くもん…。そうすれば、海パンじゃなくてちゃんとした魚が釣れるハズ」

 

果夏「そしたら私が一人になっちゃうでしょう!!……いや、私が一人になるのはまだ良いよ。人気のない場所で一人釣りをする真冬ちゃんが心配だよっ!」

 

真冬「………どうして?」

 

果夏「どうしてって…真冬ちゃんのような美少女が水着姿のまま一人でいたら悪ーい男の人が来てだね、イヤ~な事をされちゃうかもしんないわけだよ!!しかもあんた…まさか海にまでその水着で来るわけじゃないよね?」

 

真冬「うん、よく分かったね…。………ダメなの?」

 

 

果夏「海でもそのスク(みず)を着る気なのっ!?本気っ!?」

 

真冬「えっ?だって…他の水着持って無いし……」

 

果夏「真冬ちゃんみたいな娘がスクール水着なんてマニアックなもん着てたら良くない連中がホイホイ寄ってくるでしょうが!!水着なら私がいくらでも買ってやるから、早いとこ泳ぎを覚えちゃいなさいっ!!」

 

真冬「いくらでもって…一つで良いんだけど…。いや、そもそもこのスクール水着のままでも…」

 

果夏「それだけはダメっ!!なんか分かんないけど……とにかくダメっ!!」

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

胡桃「お前…あの変な奴らを知ってるのか?」

 

プールの中で言い合う二人の少女を見た胡桃は何とも言えぬ表情を彼に向ける。通っている学校自体は同じなのでもしかしたら胡桃も知っているかと思ったが、そんな事はなかったようだ。

 

 

 

「二年の娘たちだね…。この前見かけて、少しだけ喋った」

 

慈「あの二人、休みの日も一緒にいるのね」

 

胡桃「二年って事は…ういと同学年か」

 

歌衣「ええ、紗巴(すずは)さんとは何度か話したことがあります。すっごく明るいというか…テンションの高い人っていう印象で…」

 

胡桃「…たしかにやたらと元気なヤツだな。ゆきみたいだ…」

 

プールの中で騒ぐ果夏を自分の友人と重ね、胡桃はふふっと笑う。一方、そんな果夏に手を引かれて無理矢理にプールの奥へと引きずり込まれる黒髪の少女…そんな彼女も胡桃のある友人と重なって見えた。

 

 

 

 

胡桃「あっちは…美紀みたいだ」

 

「確かにちょっと似てるけど、美紀さんは海にスク水着てったり、釣りしようとしたりしないでしょ…」

 

胡桃「まぁ…な…」

 

果夏に手を引かれるスク水少女、狭山真冬を見て苦笑いする彼と胡桃…。このプールのような場所ならまだ良いが、海にまであれを着ていく勇気は美紀にはないだろう。

 

 

 

 

 

 

~~~

 

真冬「カナ…やっぱりやめようよ…。ボク、ビーチで砂遊びしてるから…」

 

果夏「え~っ!一緒に泳ごうよ~!!」

 

真冬「だって…カナ教えるの下手だから……」

 

果夏「そんなことないよっ!!ほら、もっかい!」

 

 

 

真冬「……どうやればいいの?」

 

果夏「体が沈まないように手足をバタバタっとして、息が出来なくなったら首をひねってプハーッと……ここまで出来ればあとは流れで出来るようになるから!」

 

 

 

真冬「やっぱり無理そうだから……海には浮き輪持っていくよ」

 

果夏「ああ、その手があったか…!よしっ!浮き輪も私が買ったげる!!カワイーやつ!!」

 

真冬「はぁ…ほんと、浮き輪を発明した人に感謝したい…。偉大な発明をありがとうって……」

 

果夏「そうと決まればパパっと行動っ!!真冬ちゃんっ、浮き輪と水着を買いに行くぞ!!」

 

 

 

 

~~~~

 

果夏…そして真冬はプールからあがると、そのままどこかへと消えていった…。恐らくは水着と浮き輪を買いに出掛けたのだろう。嵐のように去っていった二人を見た慈、胡桃、歌衣、そして彼はそれぞれが苦笑いを浮かべ、近くにあった売店で昼食をとった。

 

 

 

 

 





このプールの話はこれにて終わりとなっています。少し中途半端なところで終わってしまいましたね(汗)

一応設定としては、このあと歌衣ちゃんは胡桃ちゃんの指導によって無事に泳ぎを習得した事になっております。めぐねえはその間彼と会話をしたり、たまに胡桃ちゃんの手助けをしたりして、一足先に帰ったと…。

彼や胡桃ちゃん達はそんなめぐねえのちょっとあとにプールを出て、それぞれの帰路につきました。(一方、真冬&果夏のコンビは真冬が無事に果夏から水着&浮き輪をプレゼントされました)



さて、次回の話ですが……まだ考えていませんっ!(苦笑)

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