軌跡〜ひとりからみんなへ〜   作:チモシー

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前回、穂村がりーさん用にと用意した惚れ薬が巡り巡って彼の手に渡ってしまいました。彼はその惚れ薬の効果を受けて暴走し、目の前にいた胡桃ちゃんをベッドへ押し倒したわけなのですが…。

前にみーくんが暴走した時もそうでしたが、今回もほんのちょっぴりエッチな感じでお送りします。ちょっと長めですが、のんびり楽しんで下さいませ!


『ヒーロー』

 

 

 

胡桃「んっ…っっ!!」

 

ベッドの上でジタバタと抵抗する胡桃の手足をしっかりと押さえ込んだ後に腰の上へ跨がり、彼はその顔を見下ろす…。どうしてこうなったのか…どうしてこんなことをしてしまっているのか…自分でも理解出来ない。何だか胡桃の事がやけに魅力的に思えてしまい、気付けば彼女の事をベッドの上へと押し倒していた…。

 

 

胡桃「おい、ほんとに…どうしたんだよ」

 

「さぁ………どうしたんだろうな」

 

何でこうなったのか…自分でも分からずに彼は苦笑いする…。

本当なら今すぐにでも胡桃から離れて謝るべきなのだろうが、体が全く思い通りにならない。じわじわと赤く染まっていく胡桃の顔を見れば見るだけ愛しさが増してしまい、その身にもっと触れたくなってしまう…。彼の右手は考えるよりも早く動き、胡桃の着ている黒のタンクトップへと伸びた。

 

 

胡桃「うぉっ!?お、おいっ!!」

 

服の裾を掴まれた胡桃は大慌てで抵抗を試みる……が、両手は彼の左手によってしっかりと押さえつけられていて動かせない。彼の力がこんなにも強いなんて知らなかった…。両手が動かせない胡桃はせめてもの抵抗として身を揺らすが、大した効果は無い。彼は体に跨がったままそのタンクトップを一気に捲り上げ、無理やりに脱がしていく…。

 

 

胡桃「っ!!やめ…っ…!」

 

スルッと捲り上げられていったタンクトップはそのまま胡桃の頭や両手から抜けていき、ベッド横へと投げ捨てられる…。その際、胡桃は一瞬の隙を突いて彼の手を振りほどいて自らの両手を自由にし、その手で胸元を覆い隠した。身の上に跨がったままこちらを見下ろす彼の視線から、少しでもそこを隠せるようにと……

 

 

胡桃「お前っ…これ以上おかしな真似したら…本気で…!!」

 

本気で怒るぞ……と言うつもりだったが、緊張のあまり口が動かなくなってしまう。ベッドの上で彼に跨がられ、服を脱がされてしまい、顔がジリジリと熱くなる…。いや、顔どころか頭の中まで熱くなっているような気がして、胡桃は落ち着きなく瞳を泳がせた。

 

 

「……今日の胡桃は、何時にも増して可愛いな」

 

胡桃「な…っ…!!?な、何を言って………」

 

突然の言葉に耳まで熱くなる感覚を覚える胡桃だが、彼は彼女が戸惑うのもお構い無しに顔を寄せると、今度は耳元で言葉を放つ…。

 

 

「こんなに可愛い女の子…誰にも渡したくない。だからさ…胡桃はずっと僕の……俺の側にいてよ。いっぱい、いっぱい愛してやるから……」

 

胡桃「な…?!な…っ!??」

 

耳に寄せられた唇が触れてしまうくらいの距離で囁かれ、胡桃の顔はタコのように赤くなる。何時もとは明らかに違う彼の様子に戸惑う胡桃だが、彼はそんな胡桃を見て満足げに微笑んでいた。

 

 

「手…どかそうか」

 

胡桃「やっ…やだっ……」

 

胸元を隠していた胡桃の両手は彼の手に掴まれ、無理やりに胸元から離されていく…。胡桃も抵抗はしたが、やはり彼の力には敵わない。彼女の両手は胸元から完全に離され、隠していた胸元を彼の視界へと晒す…。小さなフリルが付いた緑色のブラジャーと、それに包まれている胸の谷間…。只でさえ胡桃に夢中になっている彼がこの光景を見て興奮しない訳が無い。その証拠に、彼の吐息は少しずつ荒くなっていった。

 

 

胡桃「っあ……っ……ぅぅ」

 

彼が胸元を凝視している間、胡桃は瞳をギュッと閉じて震えた…。

胡桃の呼吸は彼以上に荒くなっており、閉じている瞳からは涙が溢れかけている。いつの間にか両手も自由になっていたが、緊張と恥ずかしさのあまり動けない。

 

胡桃が小さく震え続ける一方、彼はその胸元を眺めたまま右手をスッと伸ばし、彼女の腹部を手のひらで撫でた…。ヒンヤリと冷たくてスベスベした肌に触れた瞬間、胡桃の体がピクッと跳ねる。

 

 

胡桃「っ…!」

 

「…冷たい」

 

腹部を撫でた勢いのまま右手を動かし、胡桃の太ももや首筋、頬を撫でてみたが…そのどれもがヒンヤリと冷たかった。恥ずかしさのあまり真っ赤に染まっている肌はとても熱そうなのに、触れてみると驚くくらいに冷たい…。

 

いくらか触れていたら熱くなるのだろうか…。熱くなっている所は無いのだろうか…。胡桃の事をもっと深くまで知りたくなり、彼は彼女の履いていた短パンに手をかける。

 

 

胡桃「っ!!も、もうやめようぜ?ほんの冗談…なんだよな?」

 

短パンに伸びていた手をガシッと掴み、胡桃は額に汗を浮かべながら力無い笑みを浮かべる。冗談なんかじゃないと分かってはいるが、こうやって言えば彼もやめるタイミングを見付けられると思った…。が、やはり止まってはくれない。

 

 

「…冗談なんかじゃない。胡桃の事が…本当に好きだ」

 

胡桃「……そ、そんな……」

 

彼は短パンにかけた手に力を入れ、それを脱がしていく…。太ももから膝へと下ろしたところで短パンの下に履いていたショーツが露となり、胡桃は真っ赤な顔を横へと背けた…。ブラジャーと同じ緑色をした可愛らしいショーツを見てゴクリと喉を鳴らしたところで、彼は彼女の短パンを爪先から抜いてまたベッドの横へと放り投げる。

 

 

「…くるみ」

 

胡桃を下着姿にしたところでその頬に手を伸ばし、もう一方の手で頭を撫でる…。そうしたまま彼女の上に覆い被さり顔を寄せると、胡桃は横を向いたまま小さく口を動かした。

 

 

胡桃「ほ…んとに……好きなのか…?あたしなんかの…事が……」

 

その口から出た声は震えており、胡桃はそれだけを言ってから目線を彼の方へと向ける…。彼は胡桃の頬に添えていた手に力を込めてその顔をこちらへ向かせると、彼女の前髪を捲ってから互いの額を触れ合わせる…。これまで無いくらいに顔が近くなり、胡桃の瞳が大きく開く。

 

 

「…好きだよ。誰よりも愛してる……」

 

胡桃「っ……そんなこと言われても……あたし、どうすれば…」

 

彼からの告白を聞き、頭が真っ白になるようなボンヤリとした感覚が胡桃を襲う。どう答えるのが正解なのだろう……あれこれ考えていると、眼前にいる彼が小さく呟く。

 

 

「胡桃は俺の事が嫌い…?」

 

目の前にいる彼の雰囲気や口調がいつもと違うのは、それだけ本気になってくれているからという事なのだろうか…。胡桃は少し戸惑いつつ、彼と自分の額を触れ合わせたまま微かに首を動かした。

 

 

胡桃「嫌いってことは…無い…。お前はさ…あたしらにとってヒーローみたいな存在なんだよ…」

 

「…ヒーロー?」

 

胡桃「…ああ。お前って変なヤツだし、どうしようもないなぁって呆れる時もあるけど…それでもわりと頼りにしてるし、信頼だってしてるんだ。だからお前はみんなにとって……少なくとも、あたしにとってはヒーローみたいな存在で…」

 

自分でも何を言っているのか分からず、視線が落ち着きなく泳ぐ…。しかし、彼の事を信頼しているというのは胡桃にとって紛れも無い本心だった。

 

 

 

胡桃「だからさ、上手く言えないけど……あたしも、お前の事が…」

 

そこまで言った後、胡桃は彼の目を見つめたまま震えるだけで口を動かさなくなってしまう…。続きの言葉が出せず、困惑しているのだろう。胡桃の瞳はまた涙に潤み、それが溢れかけた時だった…。

 

彼がそっと顔を動かし、自身の唇と胡桃の唇を重ねた…。

 

 

 

胡桃「んっ…!?」

 

互いの唇が重なった瞬間、胡桃の瞳が大きく開く。

彼とキスをしてしまった…彼とキスをしてしまった…。

それを実感した胡桃の顔はまた一層に濃い赤に染まり、大きく見開かれた瞳から涙が溢れる。しかし彼はそこから離れようとせず、胡桃の唇の感触を味わっていた…。ふにっとしていて柔らかな唇は先程触れた頬や腹部と同様にヒンヤリとしている。…が、興奮して体が火照っている彼にとってはその冷たさがかえって心地よい。

 

 

「っ……くるみ…」

 

胡桃「だ…だめっ……だめ、だって…っ…!」

 

一回目のキスは大人しく受けてしまった胡桃だが、続いて放たれたキスに関しては抵抗を見せる。彼の胸を両手で押しながら、顔を横へと背けていくが……

 

 

 

胡桃「ん…!んっ……っ」

 

結局は二度、三度とキスされてしまい、小さく肩を震わせる…。

彼とキスするのが嫌だ……という訳ではないのだが、自分にはこれを拒まなくてはならない理由がある気がした。しかし、頭がボーッとしてしまってそれが何なのか分からない…。

 

 

胡桃「っ…あ……」

 

幾度目かのキスの途中、彼の右手が胡桃のショーツに引っ掛かる。

彼は右手の親指だけをショーツの端へと引っ掛け、それをゆっくりと下げていこうとした…。当然胡桃はそれに気付いたが、決して抵抗はしない。彼とキスしていく内にビリビリと痺れるような感覚が全身を走り、思考が鈍くなっていく…。

 

 

胡桃「ん…ぅ…っっ…」

 

重なっていた唇を離し、胡桃は視線を下げる…。

彼の手によって少しずつずり下ろされていく緑色のショーツを見つめながら、胡桃は吐息を荒くした。

 

ただ風邪薬を渡しにきただけだったのに、自分はこのまま彼とそういう関係になってしまうのだろうか…。

 

 

胡桃(いや……もう、それでもいっか……)

 

思い返してみれば、これまで色んな事で悩んできた。

だから今日くらいは難しい事など考えず、流れに身を任せても良いかも知れない…。胡桃は静かに瞳を閉じ、全てを受け入れる覚悟を決めた…。

 

 

 

と…その時、二人のいる部屋の入り口から"コンコンッ"とノック音が響き、続いて"ガチャッ"と扉の開く音がして、そこから一人の人物が顔を覗かせる。

 

 

美紀「あの~、すいません、ここに胡桃せんぱ――――」

 

扉の向こうから顔を覗かせていたのは美紀だった。

彼女は胡桃を探してこの部屋へとやって来たらしく、彼へ向けた言葉を放ちながら部屋の中へと上がり込む…。美紀が予想していた通り、胡桃はこの部屋にいたのだが……

 

 

胡桃「っ……あ……」

 

その胡桃が下着姿のままベッドに横たわり、彼とキスをしている最中……というのは流石に予想していなかったのだろう。ベッド上の彼と胡桃を見た美紀は最初の数秒間、何も言わずに佇んでいた…。しかし、その顔は段々と赤くなっていき……

 

 

美紀「ご、ごめんなさいっ!!!」

 

と、一言だけ謝ってからすぐにクルッと振り返り、美紀はそのまま部屋を出ていった。凄まじい勢いで部屋を出ていった彼女を見た後、胡桃は彼と見つめ合う…。

 

 

胡桃「…!!?や、やばっ…!!」

 

少しの間彼と見つめ合った後にゆっくりと思考が働き始め、とんでもない光景を美紀に見られてしまった…と胡桃は焦る。胡桃は大慌てで彼の身を押し退け、ベッド横に投げ捨てられていた衣服を着直していった。

 

 

胡桃「おい、大丈夫か?」

 

「ん、んん……」

 

たった今押し退けた直後から、彼の様子がどうにもおかしい…。

彼は右手で頭を抱えたまま静かに悶えており、どこか具合が悪そうだ。

 

 

 

胡桃「………っ!ちょっと来いっ!!」

 

少しずつ冷静な判断が出来るようになってきた頃、胡桃の脳裏に嫌な事が思い浮かぶ。彼女はそのまま彼の腕を掴むと勢いよく部屋を飛び出し、柳の部屋へと真っ直ぐに向かっていった。

 

 

胡桃「柳さん!ちょっといいか!?」

 

扉を開けてすぐに言葉を放ち、奥にいた柳の返答を待たずにズカズカと上がり込む。そうして部屋の隅にあった椅子を引っ張ると連れてきた彼をそこへと座らせ、胡桃は柳の方へと進む。柳は部屋の奥にあるデスクの前で椅子にもたれ、くつろいでいたようだった。

 

 

柳「おお、こんな夜にどうしたのかな?」

 

胡桃「そのっ…アイツの様子がおかしくて…。それで、もしかしたらあたし…アイツにウイルスを移しちゃったかも知れなくて…」

 

柳「移した?ええっと…どういう事かな?」

 

座っていた椅子を動かして身をこちらへと向けた柳を前にして、胡桃は少しだけ言葉を詰まらせる…。しかし、彼の為には全て言っておかなくてはダメだろう。胡桃は柳の顔を真っ直ぐに見つめると、小さな声で呟いていく。

 

 

 

胡桃「キスしちゃった……。だから、それがきっかけで……」

 

彼とキスした時に感じた不安の正体はこれだった…。

あの時は思考が鈍くなっていて忘れていたが、自分はウイルスに感染している。だからそんな自分とキスなんかしてしまったら彼にもそれが移ってしまうのでは…という不安。胡桃が静かに口を開くと、柳は小さく頷いて立ち上がる。

 

 

柳「……なるほどね。よし、じゃあ恵飛須沢君はあっちで待っていてくれ。彼に異常が無いかどうか、調べておくよ」

 

胡桃「うん……頼む」

 

恥ずかしそうに…それでいて申し訳なさそうに頭を下げる胡桃を部屋の隅に座らせた後、柳は彼を連れて部屋の奥へと行く。カーテンで仕切られた空間にある椅子の上に彼を座らせていくらか調べた後、柳は苦い表情を浮かべる…。

 

 

 

柳「これは…まさか…」

 

「……ヤバいですか」

 

この部屋に連れてこられた当初はぐったりとしていた彼も今は落ち着きを取り戻し、柳と同じ様な苦い表情を浮かべていた。

 

 

柳「まず安心して欲しいんだが、君は恵飛須沢君にウイルスを移されてはいない…。しかしだね…その……さっきまでの君の様子を見て、少し嫌な予感がしたんだ…。もしかして君、突如としてどうしようもない衝動に駆られてしまい、そのまま恵飛須沢君を襲ったんじゃないか?いくらダメだダメだと分かっていても、体が勝手に動いてしまうような…そんな感じで」

 

「…ああ、あんなことするつもりは無かったのに、まるで抑えがきかなくて」

 

柳「ん~…やはりそうだったか」

 

その後も彼から事情を聞き、柳は確信する…。

今回、彼が暴走して胡桃を襲ったのには"ある薬"が関係していると。

 

 

 

柳「間違いない、君は私の作った惚れ薬を飲んだな?」

 

「惚れ薬…前に美紀が飲んだアレか。いや、そんなの飲んだ覚えは…」

 

彼には身に覚えが無いようなので、柳は部屋の隅に待たせていた胡桃を呼んで事情を説明する事にした。全ての事情を知らされた胡桃は微かに頬を赤らめ、そっと顔を俯ける。

 

 

胡桃「惚れ…薬…」

 

柳「ああ、彼に飲ませたか?」

 

胡桃「ばっ…!?バカ言うなって!あたしがコイツにそんなのを飲ませるわけ無いだろっ!!」

 

柳「…だろうね。だとすると、考えられるのは……」

 

柳の言葉を真っ向から否定した胡桃はその直後、彼に視線を向ける…。何ともいえぬ、ジトーッとした視線を浴びせながら彼の側へと座り、柳には聞こえぬよう小さな声でボソッと呟いた。

 

 

 

胡桃「そんな薬に負けて、あたしを襲ったのか……」

 

「…申し訳ない」

 

素直に謝り、頭を下げる。

あの薬の効果は実際に体験した人間じゃないと分からないと思うくらいに強烈であり、抗う事など無理なのだが…彼は素直に謝った。薬のせいとはいえ、あんな事を…胡桃の唇を奪うような事をしてしまったのだから、いくら謝っても足りない。

 

 

 

「これはもう…死んで詫びるしか…」

 

胡桃「バカ、そんな事されても困るって。あたしは大して気にしてないから、お前も気にすんな」

 

「は…?えっと…気にしてない?」

 

胡桃「………まぁ、思ったよりはな」

 

胡桃はそっと立ち上がり、彼に背を向けたまま前を見る。

彼には"気にしてない"と言ったものの、実際は違った…。

自分は彼に押し倒され、服を脱がされて下着姿を見られ、その上キスをされた…。それら全てを気にしないなんて胡桃には到底無理な話であり、彼女は今…彼に背を向けたまま顔を真っ赤に染めていた。

 

 

 

胡桃「と、とりあえずっ…!あたしは部屋に戻る!柳さん、また何か分かったら教えてくれよ」

 

柳「ああ、分かった」

 

真っ赤に染まってしまった顔を彼に見られぬよう部屋を出ていき、自室へと戻る…。胡桃はそのまますぐにベッドの上に飛び込むとシーツを被り、身を丸めながらあの時の事を思い出した。

 

 

 

胡桃(くそ…めちゃくちゃ恥ずい…!どうしよう…っ)

 

このままだと、明日から彼の顔をまともに見れないかも知れない。

彼の顔を見る度にあの時の事を…服を脱がされ、キスされた時の事を思い出してしまいそうで顔が熱くなる。胡桃はベッドの上で涙目になり、それから……

 

 

胡桃「…っ……ふふっ」

 

ほんの少し、幸せそうな笑みを溢した。

彼からの告白もキスも、その惚れ薬という物のせいで起きた事……明日になればまた、彼とは友人関係になると分かっている、……が、それでも笑みが溢れてしまう。彼に告白をされてキスをされるなんて…夢の中だけの事だと思っていた。現実にはあり得ない事だと思っていた。

 

 

胡桃「へへ……えへへっ…」

 

だから胡桃はシーツの中、自らの唇に指先を添えながらニヤニヤと笑い続ける。きっともう、彼とキスする事なんて二度と無い。だからあの時の感触を忘れぬようにと思いながらニヤニヤと笑い、それからまた恥ずかしさにジタバタと悶え………それらを交互に繰り返していった。

 

 

 

 




…というわけで最悪の展開こそ避けられましたが、胡桃ちゃんは彼とキスをしてしまいました。彼女は今もシーツにくるまり、その時の事を思い出して悶えている事でしょう。

というか、まだ問題は山積みなんですよね…。
例の惚れ薬がどこからやって来たのか、誰が持っていたのかを調べなくてはいけませんし、彼と胡桃ちゃんはみーくんに色々と説明しなきゃいけません。胡桃ちゃんは恥ずかしさのあまり、彼の顔をまともに見れない状態になってしまったようですし……色々大変です。この際、彼と胡桃ちゃんはそのまま付き合ってしまえば良いと思うのですが…そう簡単にはいかないのでしょうね(^_^;)

とりあえず、この日の彼は胡桃ちゃんの唇の感触や下着姿が頭から離れなくて中々寝れなくなりそうですな…。



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