『R-18』…とまでは言いませんが、『R-17.5』くらいなお話になっているかも知れません。…とだけ事前に言っておきます(苦笑)
美紀「先輩…。少し、いいですか?」
昼を過ぎた頃の事だ。暇していた彼は一階の団らん室へと訪れ、誰かと会話でもしようと考えた。彼が訪れた時、そこにはちょうど良いことに美紀の姿があったのだが、彼女は部屋に入ってきた彼を見るや否や目を大きく見開き、そばへ歩み寄ってそう言ってきたのだ。
「ん?別に…いいけど?」
美紀「よかった…。じゃあ先輩の部屋…行きましょう?」
「僕の部屋?」
美紀「ここだと言いづらい事があるんです…。だから先輩の部屋か、もしくは私の部屋…そのどちらかでお話がしたいんです…」
美紀は目の前に立つと彼の服の袖を指先でギュッと掴み、上目づかいの目線を見せる。彼の気のせいかも知れないのだが…美紀の顔は熱があるかのように真っ赤で、目も潤んでいるような気がした。
「顔赤いけど、体調とか悪くない?」
美紀「いえ…元気ですよ。だからほら…はやく……」
「あ、あぁ…。じゃあ行こうか…」
どこか変だなと思いつつも、彼は彼女を連れて団らん室をあとにする。そうして廊下に出た際、ちょうど胡桃とすれ違いになった。
胡桃「おっ、どっか行くのか?」
「いや…ちょっと僕の部屋で話を…」
胡桃「話?二人でか?」
美紀「……いけませんか?」
立ち止まった彼の背を手で押しながら、美紀は胡桃の事をギリッと睨む。彼女にこんな目を向けられた事のない胡桃は一瞬それに戸惑いつつも、どうにか明るい表情を保った。
胡桃「あはは…。いや…いけないことはないけどさ…」
ぎこちない笑みを浮かべつつ、胡桃は二人を見送る。美紀は何故、あんな目をしたのだろうか…。知らぬ間に彼女のとっておいたお菓子か何かでも食べてしまったか…もしくは無意識の内に何か気に入らない発言をしてしまったのか…様々な可能性を考える胡桃だが、やはり彼女を怒らせてしまうような事に身に覚えがない。
胡桃(まぁ…美紀もたまには、訳もなくイライラしたりするのかもな…)
そう思うことにして、胡桃は団らん室へと入る。圭一、柳の両名が美紀を探してここに訪れたのは、これから五分後の事だった…。
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バタンッ!
「……で、どういったご用件かな?」
自室へと入った彼はベッドの上に腰かけ、美紀に用を問う。しかし美紀は彼に背を向けたまま扉の前に立ったっきり、ちっとも返事を返さない…。
美紀「…………」
…ガチャッ
(鍵を閉めたのか…?)
扉から鳴るその音を聞き、美紀が部屋の鍵を閉めたのだと気付く。彼女は何故、わざわざ鍵を閉めたのだろうか…。彼がそんな事を考えていると彼女はクルッと振り向き、ニッコリと微笑んだままこちらへと歩み寄ってきた…。
美紀「先輩……先輩っ……」
「美紀…?だからその…用ってのは…?」
彼女はブツブツ呟くだけで答えず、彼の事を見つめたまま少しずつ距離を詰めてくる。うっすらと開かれたその目はやはり潤んでおり、顔も真っ赤なように見える。…いや、確実に真っ赤だ。
美紀「先輩は…横になっていいですよ」
「は?いや…ちょっとその…ワケがわからな―――」
と、そこまで言った時だった…。目の前まで迫っていた美紀は彼に飛びかかるように抱きつき、彼のことをそのままベッドへと押し倒した。
バフッ!
「み、美紀っ?本当にどうした…?」
突然押し倒され、彼は慌てたように尋ねる。美紀はそんな彼の上に馬乗りになったままじっと顔を見つめ、戸惑う彼の頬をそっと撫でた…。
美紀「どうしたって聞かれても…私にも分からないんです…。ただ、先輩を見ていたら胸が…体が熱くなっちゃって……すごく苦しいんです…」
彼の頬を細い指で撫でながら、美紀は一気に顔を寄せる。垂れる前髪が彼の鼻先に触れるくらいまで顔を寄せた彼女は熱のこもったような吐息を吐き出しつつ、細めていた瞳を潤めていった。
美紀「先輩は…私が嫌いですか…?」
「いや、もちろん嫌いじゃないけど…」
美紀「なら……いいですよね?」
彼女はそう言ってニヤリと微笑み、彼の首に顔を埋める…。それだけならまだよかったのだが、問題はこの後だ。彼女は埋めていた顔をモゾモゾ動かしたかと思うと、そのまま彼の左耳を甘噛みした。
美紀「ぁ…むっ」パクッ
「のわっ!?おいおいっ!?」
美紀「んん…んんっ…」
彼が驚いても口を離さず、美紀は耳の端をくわえる。美紀の唇の柔らかさ、口内の熱さ、ヌルッとした唾液に濡れる感覚、耳元に響く甘い声…それらを一度に味わった彼は激しく戸惑うが、美紀は一向に止まらない。
美紀「んむっ…あ…むっ……♡せん…ぱいっ…」
「う…ぐぅっ…」
いつにない甘えたような声で囁かれてしまうと、体の力が抜けていくのが分かる…。彼が抵抗する事なく目を見開く中、美紀は甘噛みしていた耳に鼻を押し当て、満足そうに微笑んだ。
美紀「ふふっ……すごく、幸せです…」
そっと囁いてから、その耳に舌先を這わせていく…。それを受けた彼がピクッと反応する最中も、美紀は耳たぶから耳の先端へ…ゆっくり舌を這わせていた。
「ぬ…ぅぅ!み、美紀…やっぱり、なんか変じゃない?」
美紀「少しだけ熱っぽいですが…あとはいつもどおりですよ。先輩は、私が変に見えるんですか…?」
「す、少し……ね」
いや、本当の事を言うなら『少し』ではなく『かなり』変だ。美紀は今も彼の耳に唇をつけ、はむはむと甘噛みを続けている。いつもの美紀なら、こんな事をするハズがない。
(絶対におかしい……とは思ってるんだけどな)
頭では分かっていてるが、それでも彼女を突き放せない…。こうして美紀とベッドの上で身を寄せ合い、耳を甘噛みされていると、どうにも心地よくなってしまうからだ。ただ耳を噛まれているだけなのに、それがやたらと気持ちよく感じてしまう。
美紀「……先輩、嬉しそうですね」
「そりゃまぁ…可愛い後輩にこんなことされたらね…」
美紀「ふふっ…よかった…」
美紀の顔は未だ真っ赤に染まっている。彼女は甘噛みを一旦止め、顔を上げてから『ふぅっ』と一息つくと、彼の上に乗ったまま部屋の中をそっと見回す。
美紀「この部屋、暑くないですか?」
「そう?普通だと思うけど…」
室温はいたって普通…。それでも暑く感じるのなら、それは互いの身を寄せ合っているからだろう。美紀の真っ赤な顔、その額には汗が溢れており、前髪がペタッと貼り付いていた。
美紀「やっぱり…暑いです…」
「…なっ!?美紀っ?」
額の汗を手で拭った後、美紀は着ていた制服に手をかける。首もとのリボンをシュルッと外し、それを彼の上に置いたかと思えば、今度はスカートの中へしまっていたシャツの裾を引っ張りだす。もちろん彼はそれに驚いたが、美紀はまるで気にしていないような表情を浮かべ、肩にかけていたサスペンダーを外した。
美紀「よい…しょっと」
パサッ…
「……」
遂に制服すらも脱ぎ、美紀は乱れた髪をガシガシ整える…。それでもまだ中に黒いインナーシャツを着ていたから良いのだが、その姿はいつもの制服姿よりも体のシルエットが分かる。彼は思わず、ノドをゴクリ鳴らした…。
美紀「これでも、まだ暑いかな…」
驚く彼の丸い目を見てニヤリと微笑み、今度はインナーシャツにすら手をかける。彼の上で馬乗りになったまま、それを両手でゆっくり捲っていく…。するとすぐに美紀の肌…綺麗なヘソが彼の視界に映る。
(これは
今の美紀は明らかにおかしい。彼もそれには気付いているのだが、彼女のような可愛い娘が自分の上に乗ったまま服を脱いでいると思うと……あと少しで、そのインナーシャツの下が見られると思うと……止めるための声も出せず、手も出せない。
美紀「ん……っと」
パサッ
あれこれ考えている間に美紀はインナーシャツを首から抜き、完全に脱ぎ終えてしまう。インナーシャツを脱いだことによって彼の視界には美紀の肌…そして胸を覆う白い下着が晒された…。彼女の胸は悠里や胡桃と比べると小さいと思うが、だからと言って魅力が無いわけではなく…
(これは…さすがにヤバいかも…)
それを間近に見た瞬間、彼は自分の体が熱くなるのをハッキリと感じた。美紀はそんな彼に自分の下着姿を凝視されているというのに恥ずかしがる素振りを見せず、まだニヤニヤと笑っている。
美紀「やっと、少しだけ涼しくなりました…」
「それはよかったけど……その……」
美紀「どうしたんですか?なにか…言いたそうですね…」
「そりゃまぁ、言いたいことは色々とあるけども………」
彼が目線を落ち着きなく動かす中、美紀は彼の胸にポスッと顔を埋める…。顔のそばに添えられている両の手はグッと丸められており、まるで甘える猫のようだ。
美紀「言いたいことがあるなら…ハッキリ言えばいいのに…」
「ハッキリ…ねぇ……」
埋めた顔をこちらへと向け、上目遣いで呟く美紀に彼は言葉を返せない。ハッキリといっても、どう言えば良いのか…そんな事を考えてしまうからだ。
(今日のあんたは明らかに変ですよ…とでも言えば良いのかね。でも、本気でこんな事をしてきているならそんな言い方は失礼な気もするし…)
色々と悩んでいる内、左手が自然と美紀の頭に伸びる…。自分に甘えるように身を寄せる彼女が可愛らしくて、彼はほとんど無意識の内に美紀の頭を撫でていた。
美紀「言葉をハッキリと伝えるお手本…見せてあげましょうか?」
「…え?」
相変わらず彼の上に馬乗りになったまま、美紀は埋めていた顔を静かに上げる…。彼女はそのまま自分の顔を彼の顔の前へと寄せ、瞳を潤ませながらそっと口を開いた…。
美紀「私、先輩のことが好きです…。どうしようもないくらい…私以外の誰にもあげたくないくらい……すっごく、すっごく大好きです……」
「な…っ………」
寄せられた顔はとても真っ赤で、やたらと熱い彼女の吐息が肌で感じられる程に近い…。彼は眼前に寄せられていた彼女の真っ赤な顔を、ただ驚いたように見つめていた。あの美紀が…自分に告白してきた…。その事実が信じられずに…。
「…本当に?」
美紀「本当に…ですよ…。私、先輩のことが大好きです。だから先輩も私の事を…私の事だけを、大好きになって下さい…」
「っ……ぐ…」
美紀はそうして言いたい事を言った後、彼の首もとに顔を寄せてキスをし始める…。一回…二回…三回…。美紀は繰り返し彼の首にキスをして、反応を楽しんでいるようだ。
美紀「ちゅ…っ……ちゅっ…♡先輩…返事はまだですか…?」
「いや…そんな事されてたら落ち着いて返事なんか…」
美紀「本当は今すぐ口にしたいけど、口にキスされてたら返事出来ないだろうと思ってわざと首にしてるんですよ?だからほら、早く言ってください…。美紀の事、大好きだよって…。そしたら私、先輩のしたいこと全部してあげます…」
「なッ…!?」
この発言を聞き、彼は確信する…。『今の美紀は明らかにおかしい』…と。しかしそれでも美紀の事を押し退けられないのは、彼の中にある男としての本能が暴走しかけているからなのだろう。
(あぁっ…どうする!?どうするっ!?)
美少女である美紀が上半身下着姿のまま自分に馬乗りになり、今も首にキスを繰り返している。それだけでももう限界なのに…『したいこと、全部してあげる』というこの言葉が、彼の理性をより奪おうとする。
美紀「っむ……ちゅっ…♡せんぱい…はやく言ってください…。美紀の事が好きだって…。たまらなく愛してるって…。先輩の口からその言葉を聞けたら、私はどれだけめちゃくちゃにされたって構いませんから…」
「むぅ…っ…」
また甘い言葉を囁かれてしまい、両手が自然と彼女の肩を掴む。触れた美紀の肩はとても火照っていて、異様なほどに熱かった…。このまま彼女を押し倒し、今度は自分が馬乗りになって、その体がどれだけ熱いのかをしっかりと確かめたい。遂に、そんな考えが止まらなくなってきてしまう…。
美紀「鍵かけましたから…誰も来ませんよ…。もし来たって、無視しちゃえば良いんです。先輩はただ私だけをじっと見つめて…隅々まで触れて下さい…」
まだ昼過ぎだが、部屋の中は薄暗い…。窓際のカーテンを閉めているのに、明かりをつけていないからだろう。そんな薄暗い空間の中、美紀はベッドの上に押し倒した彼を惑わすように耳元で囁いた……。
思い付くままに書きました。
少しだけ反省しています(苦笑)
もうみーくんのキャラが崩壊していますが、それもこれも全て惚れ薬のせい…。これにはさすがの彼ももう理性を保ちきれないでしょうね(汗)
今までにない雰囲気のみーくんを書くのはわりと楽しいのですが、見ている方からするとこんな彼女はいかがなものなのでしょう(^_^;)…たまには良いですよね?(不安そうな顔)