NARUTO筋肉伝   作:クロム・ウェルハーツ

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ポージング

 火の国、木ノ葉隠れの里。ある一人の少年が忍者になるべく新生活をスタートさせた。

 

 新生活と一口に言っても、それに対する手続きは少なくない。住居の変更、様々な書類の提出、これからお世話になる方への挨拶回りなど猫の手も借りたいほどに忙しい。

 その上、今まで身を置いてきた環境とガラリと変わる生活だ。不安も期待も多いだろう。

 

 だが、彼、うずまきナルトは普通の人間とは違う。精神を常に自らの支配下に置いている彼は感情を昂らせることはない。いや、正確には感情を表に出さないという方が正しい。肉体を変質せしめるほどの修行(筋トレ)を続けた彼は彫りの深い顔立ちとみだりに表情を変えない逞しい表情筋を手に入れた。しかし、彼の心の内は正義の心、そして、筋肉への愛により常に燃えている。

 そして、今日、彼は自分の心を熱くする同志たちと出会ったのだ。

 

「いいよ! それじゃあ、目線をこっちにしてみようか、そうそう、いいね!」

 

 白い光が一瞬、ナルトの肉体を光らせる。常よりも輝くナルトの肉体。その美しさ、逞しさを切り取り、永久に保存するために男は何度もシャッターを切る。

 

 ──こんなもんじゃない。こんなものじゃ魅力を引き出せちゃいない。

 

 男はフィルムを現像して確認せずとも理解していた。男が扱う得物(大判カメラ)は市井ではなかなかお目にかかれない。昨今は持ち運びがし易くコストも低いインスタントカメラの隆盛が凄まじい。男が使うような大判カメラを持つ者は一部のマニアと、そして、男のように写真を生業としている者ぐらいなものだ。

 大きさはコンパクトのインスタントカメラを縦横に三つずつ配置したほどだろうか。取り回しには不便だ。だが、それを補ってあまりある性能、高解像度やレンズに付け替えによる写真効果などはインスタントカメラでは到底真似できないこと。

 

 だが、写真屋の男は納得ができなかった。

 自分の未熟な腕に、そして、自らの想いを反映しないカメラに。

 

 カメラ人生、最高の素材(マテリアル)が目の前にいるというのに、なんだ、この体たらくは? これまでの経験はこの時のためにあったんじゃなかったのか?

 足りない、まだ足りない。彼を光らせるには、筋肉を光らせるためにはどうすればいい? 油をもっと塗る? 論外だ。今の油の乗り具合が最高。これ以上、油を足すと最高のバランスが崩れる結果になる。

 写真屋の男は次のフィルムをカメラに入れるべく、使用済みのフィルムをカメラから取り出し、そのフィルムを箱に保管した。そこで、男は気が付いた。保管用の金属で作られた箱の蓋に映った自らの顔に。

 

「笑顔だ! 笑顔を頼むぜ、兄ちゃん!」

「承知!」

 

 写真屋の男の親指がシャッターボタンを押し込む。その瞬間、男は確信した。

 

 ──これだ。この最高の一枚を撮るためにオレは今まで生きてきたんだ。

 

 彼が全身全霊を籠めて撮った写真は紆余曲折を経て、チタン素材の写真立ての中へ入れられてナルトの自宅へと飾られることになる。

 今日のことは、長く残る、彼にとって初めての写真撮影の思い出となったのだ。

 

 +++

 

「……」

 

 今にも胃の内容物を戻しそうな青い顔色をした三代目火影は口を紡ぐ。

 彼が視線を注ぐのは自らの手の中にある忍者登録者、その左上にはナルトの写真があった。

 

「済まぬ。店主殿と話が弾み、一番上手く撮れたという写真を頂いてきたのだが……確認を怠った己の失態。どのような罰でも受ける所存」

「むむ……罰を与えるような失敗ではないから気にするでない。だが、他に写真はないのか?」

「然り」

 

 三代目火影はナルトの写真を薄目で見る。その写真には笑顔でモストマスキュラーポーズを取るナルトが居た。臍の辺りに両手を持っていき、力を全身に籠めることで二の腕、胸筋を存分にアピールしている写真の中のナルトを見る三代目火影の顔は感情が刻々と抜けていく様子が見られる。

 また、全身に油を塗っているのかテカテカと光を反射するナルトの筋肉は、まさしくアートと呼べるものだが三代目火影の芸術性には筋肉は含まれなかったらしい。

 

「撮り直しじゃの」

「承知……」

 

 この写真は忍者登録者という公的な書類に使われる写真。自身の感情とは別の理由、局部は隠されているとはいえ、公的文書にほぼ全裸の写真を使うことは認められなかった。

 少し寂しげな様子のナルトを前に三代目火影は大きく溜息をつく。と、ガラという音と共に扉が横に開き、空いた隙間から小さな影が部屋の中へと飛び込んだ。

 

「じじィ! 勝負だァ、コレ!」

 

 ──次から次へと……。

 

「ああ! また何てことを! ……あ!」

「いってェェー!」

 

 小さな影を追って大きな影が部屋の中へと入った瞬間、小さな影は自らの足に自らの足をとられ床へと倒れ込む。

 

「くっそぉお! トラップか、コレ!?」

「だ……大丈夫でございますか? お孫様! ちなみに、どこにもトラップはありません!」

 

 床へと倒れた小さな影は自分が転んだ理由をトラップ、又は他者の妨害だと決めつけ、自分を転ばせた下手人を探す。キョロキョロと辺りを見渡す小さな彼は、自分の顔に影が差していることに気が付いた。

 

 ──こいつだ。

 

 なんの根拠もないが、小さな彼は自分の顔にかかる影こそが犯人であると決めつけて、その影を作る人物へと人差し指を向ける。

 

「そうか、貴様が何かしたんだな、コレ……って、でっけぇ!」

 

 ナルトは自らに指を指す小さな少年を見つめる。自らも昔はこの少年のように天真爛漫だったなと懐かしい気落ちになったナルトは彼に親愛の意を示すべく、彼へと笑いかける。

 だが、ナルトの気持ちとは裏腹に少年は『ひぃいいい!』という叫び声を上げてガタガタと震え出す。

 

「ナ、ナルト! お孫様が怯えてしまっただろう! その表情を止めろ! そして、小さくなれ!」

「む、済まぬな、少年。だが、体を小さくするということ、つまり、筋肉を落とすということは認められぬ!」

「なにィー!?」

「少し落ち着くのじゃ、エビス」

 

 エビスを家庭教師にしたのは間違いだったかの? 昔はもっと優秀で礼儀正しい忍だったのじゃが。

 三代目火影は二人の乱入者の代わりにナルトへと謝罪する。

 

「騒がしくてすまんの、ナルト。ここの子はワシの孫、木ノ葉丸。木ノ葉丸の後ろにいるのは家庭教師のエビスじゃ。次からはないように言い聞かせるのでな、許してくれ」

「承知」

「ナルトよ。これから、忍として精進するのじゃぞ」

「無論」

「頼もしい限りじゃ。……行って良い」

「それでは、失礼する」

「うむ」

 

 ナルトは椅子から立ち上がり、一礼する。

 部屋を出ていくナルトの後ろ姿を見ながら、小さな少年、木ノ葉丸は彼の堂々とした所作に目を輝かせていた。

 

 +++

 

 忍者登録室から退室したナルトは建物から出て木ノ葉の里を歩いていた。不意にナルトは立ち止まる。

 

「……して、貴殿は己に何か用があるのではないか?」

「フフフ……よくぞ見破った、コレ! 流石、噂通りの男」

「何分、周りの気配には敏感な方であるが故」

 

 ナルトが振り向くと、そこには先ほど出会った少年、木ノ葉丸がいた。

 

「オレ、お前……あなたさまの弟分になってやってもいいぞ、コレ。その代わり……火影のじじィを倒した“筋肉披露(おいろけ)の術”というのを教えてくれ! 頼む、兄者!」

「……善き日だ。二人目の同志に巡り合うことができようとは」

 

 ナルトは気づかない。

 木ノ葉丸は三代目火影を倒したい。だから、三代目火影を倒したという筋肉披露(おいろけ)の術を会得したい。その気持ちにナルトは気づかない。

 

 ナルトは見誤っていた。

 木ノ葉丸は自らの筋肉を鍛え、そして、披露するための場を心より求める同志(マッスル)なのだと。例え、今は鳥の雛のように弱々しくとも、自らの肉体を虐め抜き、鍛え、そして、鋼と比べても遜色のない、そんな肉体へと木ノ葉丸は成りたいのだとナルトは考えてしまっていたのだ。

 

 +++

 

 場所を森の中に移したナルトと木ノ葉丸は正面から向かい合う。それはまるで、師弟のような、兄弟のような二人だった。

 

「して、同志よ。貴殿は筋肉披露(おいろけ)の術に何が最も大切なのか知っているか?」

「もちろんだ、コレ! 筋肉だ!」

「違うのだ!」

 

 ナルトの声に木ノ葉丸は思わず姿勢を正す。

 

「確かに、筋肉は必要。だが、筋肉がどれだけあろうとも、たった一つの心も持ちようで筋肉の輝きは失せてしまう」

「なら、最も大切なものはなんだっていうんだ、コレ?」

「“自信”」

「……自信?」

 

 ナルトは頷く。

 

「自らを全て曝け出すことができるほどの自信。筋肉は過去を語るもの。どのようなトレーニングを積んできたかだけではなく、それまで食べてきた食事や、その日のコンディションまで雄弁に、な。だからこそ、羞恥心が生まれる。その羞恥心を克服してこその漢だ」

 

 腕を組むナルトは木ノ葉丸に言い放った。

 

「服を脱ぐのだ」

「へ?」

「服を脱ぎ、全てを曝け出す。それを続けることにより、羞恥心に打ち克つことができる」

 

 なるほど、と服を脱いだ木ノ葉丸であったが、その顔は赤く染まっていた。

 

「恥ずかしいぞ、コレェ……」

「羞恥心を乗り越えてこそ、筋肉披露(おいろけ)の術は完成する。……極意を教えよう。己も先ほど知ったのだが、筋肉披露(おいろけ)の術の完成への要素の一つは笑顔だ。笑うのだ」

 

 木ノ葉丸は笑った。今にも泣き出しそうに笑った。

 

 +++

 

「そこまで。少し休憩にしよう」

「分かったぞ、コレ」

 

 すぐさま、服を着込む木ノ葉丸。

 

「同志よ。水分補給は重要だ」

「ありがとう、兄者」

 

 木ノ葉丸が服を着ている間に近くにある自動販売機から飲み物を買ったのだろう。ナルトの手から飲み物を受け取った木ノ葉丸は、それに口をつけながらベンチへと腰を下ろす。

 

 逡巡。踏み込むべきかどうか悩んだナルトは意を決する。

 木ノ葉丸が座るベンチの前に立つナルトは口を開いた。

 

「貴殿に一つ尋ねたいことがある」

「ん?」

「なぜ、貴殿は三代目火影を倒そうとするか聞いてもいいか?」

 

 木ノ葉丸は目を伏せる。ややあって、地面を見ながら木ノ葉丸はポツリポツリと話し始めた。

 

「……木ノ葉丸って名前、じいちゃんがつけてくれたんだ。この里の名前に(あやか)って」

 

 木ノ葉丸の声には寂しさが滲んでいた。

 

「でも、これだけ里で聞き慣れた響きの名前なのに、誰一人、その名前で呼んでくんない!」

 

 寂しさは怒りに変わる。

 

「皆、オレを見る時やオレを呼ぶ時、ただ、火影の孫として見やがんだ。誰もオレ自身を認めてくんない。もうやなんだ、そんなの! だから、今すぐにでも火影の名前が欲しーんだ」

「……貴殿の言うことは間違っている」

「え?」

 

 ナルトの冷静な声に冷や水を浴びせられた感覚を木ノ葉丸は覚えた。目線を上げると、遥か高みにあるナルトの目と自らの目が合った。

 

「火影だから認められる。それは違う。火影は……」

「見つけましたぞ!」

 

 ナルトの言葉を遮り、無粋な声が森の中に響いた。黒い忍装束を身に着けた男、エビスの声だ。

 エビスは憎々し気に、そして、見下したようにナルトに視線を遣った後、瞬身の術で今までいた木の枝から木ノ葉丸の前に姿を現す。

 ツカツカと木ノ葉丸へと近づくエビスは動かない木ノ葉丸へと話し掛けた。

 

「さっ! お孫様、帰りましょ」

「ヤダ! オレはじじィ倒して火影の名前貰うんだ、今すぐ! 邪魔しにくんな!」

「火影様とは仁・義・礼・智・忠・信・考・悌の理を知り、千以上の術を使いこなせて初めて……」

肥大(バンプ・アップ)!」

「ん?」

「喰らえ! 筋肉披露(おいろけ)の術!」

「……」

「あれ? 効かねェ!」

 

 力瘤を自信満々に見せる木ノ葉丸へとエビスは叫んだ。

 

「何を以って効くと思ったのですか!?」

 

 お孫様が訳の分からない行動を取るようになった。その原因は……。

 エビスはナルトを睨みつけた後、木ノ葉丸の手を強引に取る。

 

「お孫様! そんな脳ミソまで筋肉でできているような輩と一緒にいると、バカになる一方ですよ! 私の言う通りにするのが、火影の名を貰う一番の近道なのですぞ! ささっ、帰りましょ!」

「ヤダァー!」

「エビス殿……で、良かったか?」

 

 ナルトの声がエビスの動きを止めた。

 

「何でしょうか?」

「貴殿が手を引いているのは弱々しい少年だ。だが、彼は強くなろうとする気概を持つ少年だ。認めてやってもよいのではないか?」

「君に言われるまでもない。私はお孫様のことを認めていますよ。何せ、“忍の神”と呼ばれた三代目火影様の血を引くのですから」

「……分からぬようだな。貴殿には同志、“木ノ葉丸”を教え導く資格はない」

「落ちこぼれがエリートである私に指図するんじゃない!」

「木ノ葉丸の輝きを分からぬ貴殿では話にならぬ。己の筋肉で以って貴殿に輝きを教え諭させて貰う」

 

 ナルトの姿がぶれる。

 

「影分身の術」

「……それは影分身の術じゃない! ただ速く動いているだけだ!」

 

 エビスは考える。ナルトが使う術は決して影分身の術などではない。高速で動き、残像を作り出している体術のようなものだ。で、あるならば私が使うべき術は……。

 

 ……土遁だ。

 それで、ナルトの足元を不安定にして機動力を奪う。

 

 だが、エビスの考えは実行されなかった。エビスが作戦を立てるためにナルトから意識を割いた一瞬、その時間もナルトは動いていたのだ。影分身の術をしただけでは、エビスに輝きを理解させることなどできはしない。そのことをナルトは理解していた。

 対する者をしっかり見ていたのはエリートを自ら称するエビスではなく、落ちこぼれと称されたナルトだった。

 

肥大(バンプ・アップ)!」

 

 何人もの姿になったナルトたちは一斉に服を脱ぎ捨てる。

 

筋肉審美(ボディビル)の術!」

 

 エビスの顔から一切の表情が消えてなくなる。

 自分の周りには筋肉が肥大し、思い思い、一人で残像を作っているこの場合は思い思いということが合っているかどうかは兎に角として、様々なポージングを決めたナルトの姿があった。

 ナルトが服を脱ぎ捨て、黒いパンツを除くと、産まれたままの姿となったために、エビスの視界は肌色に埋め尽くされている。

 

 そして、ナルトは目に捉えることができないほどの速度で動いたために体温が上がったのだろう。じわりと肌の表面に滲んだ汗が太陽の光を反射する。

 

 エビスは取り敢えず、右を向く。筋肉だ。

 エビスは続いて、左を向く。筋肉だ。

 エビスはそれから、後ろを向く。筋肉だ。

 エビスは最後に、上を向く。空だ。

 

 ──綺麗だな。

 

 エビスの最後の思考はそれだった。筋骨隆々で汗が飛び交う(ナルト)たちに囲まれたエビスの緊張の糸は空の青を見た瞬間に途切れた。

 エリートとして勉学に励み、そして、忍となり、様々な任務をこなした。殺人集団と言われる霧隠れの里が誇る忍刀七人衆とも対峙したことがあった。戦争に赴き、戦って生き抜いた自分の実力に誇りがあった。

 

 だが、今回のことは、彼にとって完全に想定の範囲外、想像を超えていた出来事であった。キャパオーバーとなり、気を失ってしまったエビスを誰が責めることが出来ようか。

 彼の人生全てにおいて、自分の周りを筋肉(マッスル)に囲まれることは予想だにしなかった出来事なのだから。

 エビスの体は吸い込まれるように地面へと顔から落ちたのだった。

 

「くっそおおお! また、めがね教師すら倒せなかった! コレ!」

 

 地面に伏せるエビスを見た木ノ葉丸は声を上げる。

 

「オレは早く皆に認められる名前が欲しーのにィ! なぜだ、コレ! 筋肉がないからか、コレ!」

「それは違う」

「兄者!?」

 

 困惑している木ノ葉丸を尻目にナルトは言葉を続ける。

 

「筋肉があろうとなかろうと関係はない。里の誰もが認める最高の忍が火影だ」

 

 ナルトは優しい笑みを浮かべた。その笑みは忍者登録室で木ノ葉丸に浮かべた笑みと同じであった。今度は、木ノ葉丸はナルトの笑顔に怯えることはなかった。

 

「己にも極最近、己のことを認めてくれる人物が一人現れた。それだけでも、想像を絶するほどに大変であった。……覚悟が必要だ」

「覚悟?」

「皆に認められる火影になるためには……絶対に近道などないということを、だ。己は夢に、火影に向かって愚直に歩き続けるのみ」

 

 木ノ葉丸の目が大きく開かれる。次いで、彼は生意気な笑みを浮かべた。

 

「フン、えらそーに説教なんかしちゃってさ、コレ。オレ、もう弟分なんかやーめた!」

 

 木ノ葉丸はナルトを正面から見る。

 

「これからは……ライバルだ」

 

 笑い合う二人。歳も、体格も違うが目指すものが同じである以上、争いは避けられない。だが、この二人なら遺憾を残すこともなく爽やかに決着をつけることができるだろうと周りに思わせるような笑顔だった。

 まさに、ボディビルダーが浮かべる笑顔と同じだ。

 

『貴殿と闘える日を楽しみにしている。同志、木ノ葉丸』とナルトが言おうとしたが、木ノ葉丸の言葉の方が一瞬早かった。

 

「あと、オレ……筋肉はいいや。ナルト兄ちゃんは多分、筋肉仲間って意味で同志って言っていたと思うけど、オレはあんまし筋肉の魅力は分からなかったし」

「む!?」

「そういうことだから、コレ。……じゃあな、兄ちゃん」

 

 手を上げ、颯爽と去っていく木ノ葉丸。

 少し浮かれていたようだとナルトは自らを叱咤する。写真屋と意気投合しただけで、同志は多いのかもしれないと思っていたナルトの考えは打ち砕かれた。筋肉に対して情熱を燃やすことができる人間は多くないということを木ノ葉丸の言の葉から理解したナルトはエビスと同じように空を見上げる。

 

 同好の士を見つけるのは難しい。そのことが深く心に刻まれたナルトであった。

 


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