平和の使者   作:おゆ

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第五十二話488年12月 ご招待

 

 

 その日、いつものように同盟軍巡航艦ユリシーズがイゼルローン要塞から出て、回廊帝国側出口への哨戒任務についている。

 

 帝国の内戦はもう同盟でも大きなニュースとして取り上げられ、重大な関心を引いている。むろん、帝国が弱るのは同盟として願ってもないことである。帝室も貴族も勝手に争い、混乱し、傷つくのは拍手喝采だ。

 ただしこれを好機と見ての積極派兵には至っていない。

 なぜならアムリッツァの大敗は同盟軍からそんな余力を奪っているだけではなく、積極的意見を言うだけでもタブーとなっているからだ。

 自由の国にも立派なタブーは作られる。この時期、派兵を言おうものならアムリッツァを思い出せとばかりにヒステリックに叩かれる。かつて帝国領派兵に賛成し、心酔した市民こそ叩く側に回っているのは皮肉としか言い様がない。人は手の平を返す時には理性を捨て去る。

 

 

「帝国艦隊発見!」

「お客さんが来たのかい。久しぶりだな。あんまり大勢だと困るなあ」

 

 流行らない店の留守番のようだ。

 のんびりした口調で哨戒艦隊指揮官としてユリシーズに乗るアッテンボローが感想を述べる。

 しかし哨戒は立派に任務を果たした。帝国は内戦によってイゼルローン方面に仕掛ける余裕はないと思われるが、逆に何か変事があってもおかしくない。亡命貴族やら独立勢力などが出るかもしれず、哨戒をゆめゆめ怠ることはできない。

 

「どのくらいだ、敵さんは」

「帝国艦隊、総数およそ百隻!」

 

 思ったより多かった。慌てるほどではないが。

 

「直ちにイゼルローン要塞に報告だ。本艦隊は敵帝国艦隊の牽制に出る。そう伝えておくんだ」

 

 帝国艦隊に相対し、出方を伺う。こちらの哨戒艦隊はわずか六十隻ほどではあるが敵の出方を見るくらいのことはできる。いざとなれば逃げきれるという敗走の名人アッテンボローの自信は揺るがない。

 すると帝国艦隊はかなりの火力で撃ってきた。まだ距離は遠く、イエローゾーンなにも入っていないのに。そして砲撃を続けながらイゼルローン回廊を進んでいこうとしているではないか!

 

「イゼルローンに至急来援を求めろ! なんだって勤勉なんだ奴らは。年金が少ないのか」

「敵艦隊、艦型照合終わりました! これは、帝国軍の正規のデータベースにありません。帝国貴族の持つ私領艦艇でしょうか」

「え、帝国貴族…… 」

 

 何だろう。また伯爵令嬢なのか? しかしこの前の時は何も攻撃などしてこなかったはずだが。

 それにこれほどあっさり哨戒に見つかるなんて、ユリシーズの運がいいのか?  

 おかしい。アッテンボローにはいくつも疑問が浮かんだ。

 

 

 そしてイゼルローン要塞から救援のため千隻が急ぎ発進してきた。

 ところが次の行動も不可解なものだった。

 

 こちらの同盟艦艇千隻の接近が、帝国艦隊にも分かったはずだ。

 ところが予想と違って逃げ帰ってくれない。帝国側が撤退行動に移ってくれれば、こちらも深追いせずにすぐに要塞に戻るつもりなのに。

 互いに戦略的に意味のない遭遇戦など望むはずがないのだが……

 

 やむを得ず砲戦を仕掛けるとさすがに少し引くが、やめると近寄ってくる。

 

「帝国の奴らめ、このしつこさは何だ」

 

 こうなれば急進して一気に叩き、追い散らそうとしたが、その刹那オペレーターが叫ぶ。

 

「ジャミングに隠れていました! 別の帝国艦隊がいます、数、千隻以上!」

「……なるほど敵さんはしっかり策を打ってたということか。本当に勤勉だな。イゼルローンにまた連絡! 来援艦隊が敵の伏兵にあった!」

 

 これはまずいな。こんなところで伏兵とは。窮地というほどではないが、少しばかり厄介になった。

 

 イゼルローン要塞は一気に慌ただしくなる。

 

「アッテンボローが交戦中だ。ここはできるかぎりの大兵力をもって敵を圧倒し救出を図る。第十三艦隊ほぼ全艦で発進。要塞周辺の警戒については近くのウランフ提督にお願いしよう。至急連絡を取ってくれ」

 

 ヤンはこう言うと要塞駐留の第十三艦隊一万六千隻を引き連れ、イゼルローン回廊を帝国側へ向かう。

 途中アッテンボローと似たようなことを考える。

 おかしい。今、帝国は内乱の真っ最中、妙な策を弄してまでイゼルローン要塞に仕掛けるのは解せない。

 

 戦場に到着した。

 帝国艦隊千隻は動じた風でもなくゆったりと引いた。しかし、だからといって同盟側が引くとまた近づいてくる。アッテンボローの救出は難なく達成されたが敵の意図が不明だ。

 

 その時、同時に二方向から新たな敵影が見えた! 時間差をつけての釣り出しだったのか。

 しかしそれにしては数があまりにも少なく、わずか三百隻程度である。

 だが第十三艦隊の数を見ても怯むことなく近づいてくる。

 

 ヤンはその間、アッテンボローを旗艦ヒューベリオンに呼んで敵艦隊発見から今に至るまでの経過報告を全て聞いた。

 誰もが帝国側の謎の行動に頭をひねる。ヤン以外は。

 

 

「なんだ、そういうことか。アッテンボロー、とりあえずのんびりしていい。あ、グリーンヒル中尉、紅茶にブランデーを入れて持ってきてくれないか。それからイゼルローン要塞に連絡を」

 

 紙コップの紅茶を飲みながら、要塞との通信画面を開く。

 

「キャゼルヌ先輩、ちょっと行ってきます。ええ、この前の伯爵令嬢から招待状が届いたので。要塞の方は先輩にお任せします。じきにウランフ提督も来るでしょう」

「何だって!? 待て、ヤン! お前さん何するつもりだ」

「ちょっと遠足ですよ」

 

 ヤンの言葉にヒューベリオンの面々は驚いて固まるしかない。帝国艦隊を圧倒してから速やかに要塞へ帰還ではないのか。これから何処へいくというのだろう。

 

「ヤン、まさか、まさかだがもし回廊を抜けたら帝国領だぞ! アムリッツァの二の舞いだ!」

「そんな危険はありませんよ、先輩。伯爵令嬢が招待してくれてるんだから」

「何言ってるかちっともわからん。このまま行けばまたアムリッツァだ! それにヤン、大規模な作戦行動は政府の承認が要るのは知ってるだろ!」

「現実にこちらの哨戒艦隊が伏兵に遭って戦闘が拡大してるんです。やむを得ないことですよ。帝国側が次々と新手を出して、撤退の契機がつかめないですし」

「お前さんならどうにでもできるはずだ。それなのに…… 報告書は自分で書けよ、ヤン。手伝ってやらないからな」

 

 キャゼルヌは通信を切らざるを得なかった。

 まったく、ヤンの奴は。

 のれんに腕押し、ちっとも話にならない。しかし分かったことは、ヤンが帝国領に入ることをもう決めているらしいことだ。理由は分からない。

 ただしあのヤンが危険はないと言うのだから、おそらくその通りだろうが。

 それにしてもいったいどこまで行くつもりだ?

 

 そんなキャゼルヌの横に来て、呑気なことを言う者がいる。

 

「ヤン提督にアッテンボローやポプランまでピクニックに行ったってのに、要塞に置いてけぼりはないでしょう。副司令官殿、追いかけていっていいですかね?」

「お前さんもか!! どうなってるんだ!」

 

 キャゼルヌがシェーンコップを呆れて見るしかない。

 

 

 一方の第十三艦隊の方では、特に混乱はない。ヤンの意図を掴みかねているのは全員だが、それ以上にヤンへの信頼があるからだ。どういうことになってもイゼルローンに帰れると確信している。ならば冒険も面白いではないか。

 先の帝国艦隊の謎の行動については簡潔に説明されている。

 

「あれは伯爵令嬢の御招待だよ。そもそも帝国軍正規艦じゃないだろ。それに遠距離砲撃ばかりで実害はなく、本気で戦うつもりがないのは明白だ。それに何より、言い訳を用意するためさ。この妙な時間差を置いた伏兵は。言い訳とは、もちろんこっちが帝国領に入るためのものさ」

 

 その通り、この帝国艦隊はカロリーナ艦隊から先に分けられ、ベルゲングリューンが命じられて動いたものだった。

 正直ベルゲングリューンもまた意味が分からないのだが、命じられた通りの行動をしっかり成し遂げている。同盟の艦隊に付かず離れずの実害のない行動だ。

 

 

 ヤンと同盟軍第十三艦隊はついにイゼルローン回廊を抜け、帝国領を航行している。

 

 あれほど苦労したアムリッツァ周辺さえ通り過ぎる。

 ただしヤンも敵襲がなければどんどん行けるとまで考えてはいない。艦隊は補給がなければ動きようもなくなり、帝国領内でそうなれば万事休すである。

 しかしヤンはそれもまた解決できるのではないかと内心思っていたのだ。

 

 そしてふいに帝国軍の補給基地と思われる場所から救難信号が出ているのをキャッチした。

 

「敵襲に遭う! この補給基地はやむを得ず放棄する! 現在ここに保持している物資は備蓄食料五万トン、推進剤十万トン、反応炉触媒五千トン」

 

 ヤンがそこへ偵察に赴かせると、信号の場所には放棄されて無人の基地があった。

 またその通りの補給資材が置かれていたではないか!

 これでまたしばらく艦隊行動には困らない。

 そして、丁寧にも物資の箱の上には上等の紅茶とブランデーが一つずつ置かれてあった。

 ヤンはアッテンボローとフレデリカに言う。

 

「やれやれ、伯爵令嬢はおやつまで用意してくれた。元気を出してくれってさ」

「ヤン先輩、それはどういうことですか?」

「伯爵令嬢は第十三艦隊のことを考えてくれていたのさ。補給の心配がないように予めこれらを用意してくれた。いやまあそうじゃないかと踏んでいたんだが、これで確信したよ。アッテンボロー、次に補給の心配が出る前にまた無人の補給基地が見つかるはずだ」

「それで先輩の好きな紅茶まで用意して? 伯爵令嬢も気が利いてるなあ」

 

 確かにその通りだった。ちょうどいい具合に無人の基地を次々見つけ、補給の心配のないまま航行する。

 もちろんその無人の補給基地というのは伯爵令嬢が以前ケスラーに命じて攻略させていたものである。イゼルローン回廊から、帝国辺境星域、そして更に奥まで。

 

 

「でもヤン先輩、伯爵令嬢の招待というのが分からないんですが。同盟軍に便宜を図って呼び込むなんて、帝国からすれば重大な利敵行為じゃないですか?」

「う~ん、それはどうかなアッテンボロー、何やら伯爵令嬢は考えてることが違うようだ。あの令嬢はおそらく帝国や同盟という枠にこだわってないんじゃないかな。どちらも人の住む国だ、という程度の」

 

「ではどうしたいんでしょう、令嬢は」

「正直どんなふうにしたいのかまでわからない。既存の帝国を使って思想だけを同盟と共存できるものにするのか。単に停戦したいのか。あるいは全て壊して新しい国を作りたいのか…… こちらは給料をもらって働く身分だから自由がない。帝国貴族が少しうらやましく思うよ」

「先輩は充分自由にやってますよ。勤務時間中に昼寝をしててもいいんですか」

 

 

 こんな帝国領深くに同盟軍が侵攻したことは歴史上かつて一度もない。

 戦いは常にイゼルローン回廊内か、同盟側出口付近で行われていただけだからだ。

 

 第十三艦隊の将兵は不安と高揚が入り混じり、ただならぬ雰囲気の中にいた。

 奇跡のヤンがいるが、この旅路は喜劇に終わるのか、悲劇に終わるのか。

 ただし一つだけ言えることがある。

 今や同盟軍人として夢見た場所にいるのだ。これまでいったいどれくらいの同盟軍人がこの帝国の諸星系を見ようと志しては倒れていったことか。

 ここに歴史が作られようとしている。

 

 興奮が異様なまでに高まり、それがピークに達する時が来た!

 それはイゼルローンを出て十八日目である。

 

 眼下に輝く惑星が見える。

 

 ああ、これが銀河帝国首都星オーディンなのか。

 

 艦隊の誰もオーディンを見たことはない。しかし、幾度疑って確認してもコンピューターは間違いなくオーディンであると指し示している。

 スクリーンに映っている惑星は、その夜の側にも明かりがまるで砂糖をまぶしたように細かな光を放っている。これまで見たどんな惑星よりも膨大な人口の人間が住んでいる確かな証拠だ。それこそ同盟首都星ハイネセン以上に。

 

 

 

 このヤン提督のオーディン行きという驚くべき事件について後世の歴史家は様々な解釈を試みることになった。

 民主主義を頑ななまでに奉じ、シビリアンコントロールを絶対とするヤン提督がなぜこの挙に出たのか。それはこの時期オーディンまで帝国領にまとまった機動兵力が存在しないことを喝破していただけではとうてい説明がつかない。

 

 ヤン提督の胸中にくすぶっていた野心、政府への不満を理由にする者もいたが少数派である。

 ヤン・ウェンリーに野心などあるはずがないのだ。

 

 ただしヤンは謹厳実直というには程遠い。

 自分に課した民主主義庇護などの他は、驚くほど自由に活動しているというのが本当のところなのだ。そこには既成の軍人の枠など存在しない。正しくヤンはヤン・ファミリーの中心人物らしく、闊達さでは引けを取らない。ちょっぴり怠惰な性質と民主主義に対する頑なな行動のために誤解されている。

 スタンドプレーを嫌い、華やかな行動をしないというのも間違いである。それならばイゼルローン要塞を驚くほどの機略で陥とした理由にならない。

 

 そしてヤンの民主主義に対する思いは、権力に対する反骨精神が大いに寄与している。個人個人を大切にするのがいかに崇高なことか、権力の適切な運用がいかに大事かを常に考えている。つまり政府を信奉することとは真逆であり、民主主義を守るだけのことだ。

 

 この場合、伯爵令嬢の招待が巧妙であり、ヤンのそういう矛盾したような性質を見抜いたように同盟政府に対する言い訳が用意されていた。軍事行動継続のため撤退困難というこの言い訳のせいで、ヤンが同盟の最善の道と信ずることを実行できた。今もたぶん伯爵令嬢の艦隊ニ千隻ほどが付かず離れずのところに遊弋している。

 

 むろん、この行動が令嬢の利になることも理解している。しかし不快ではない。令嬢は自分のために行動しているのではなく、あくまで人に優しく、みんなが幸せになるのを願って動いているのだ。これまでの行動と、イゼルローン要塞での言動から自素直に信じられた。

 

 

 全く抵抗が無かったわけではない。

 六千隻ほどの帝国艦隊がオーディン防衛のために出動してきたのだ。今度は帝国軍の正規艦隊、第十三艦隊も緊張して戦闘に入ったが、帝国艦隊は上手な用兵ではなく難なく退けることができた。

 ヤンは知らなかったが、それは負傷したワーレンがオーディンで療養しているのに従ってたまたまオーディン近くにいた艦隊だった。

 

 

 これで万難を排した。

 オーディンの帝国政府に通達するとそのまま艦隊で囲んだ。

 

 オーディンにはアルテミスの首飾りのような防衛システムはない。

 優勢な宇宙艦隊が囲んだ時点で事実上の占領である。降下して兵を送り込むことをしないにしても。シェーンコップは少し不満そうな顔をしたが降下命令は出ない。

 ヤンはなるべくパニックを防いで穏便に済ませようと思っていたため、極力刺激的行動はしない。

 

「どのみち帝国を同盟が恒久占領などできっこない。戦力的にもそうだが、民衆の意識の方が問題だ。こんなに統治形態が異なるものを統合しようという方が無理なんだ。意識を変えるということには想像以上の長い時間が必要になること、それは幾多の歴史が証明している。帝国政府にはこう通達してくれ。『迷ったら来てしまったので、ちょっとだけお邪魔します。あと帰ります。治安が問題なら協力します』とだけ」

 

 帝国政府にとってこれは悪ふざけとしか思えない。動揺するに決まっている。

 

 オーディンから脱出する宇宙艇がひっきりなしに出る。ヤンはそれらを止めない、止めるつもりがない。仮に皇帝が脱出するものであったとしても。

 

 

 その中の一隻には皇帝が乗っていたわけではないが、それに等しいほど政治的に重要なことが含まれていたのだ!

 

「このオーディンで叛徒の艦隊を見るとはな。今や何があってもおかしくはないということか。フリードリヒ四世陛下の御代からたったの一年ではないか。それまでは帝国軍も貴族も永遠に続くと思っていたが。しかし、叛徒のおかげでオーディンを出られるチャンスが巡ってきた」

 

 それは何とミュッケンベルガー元元帥だった!

 今までオーディンの厳戒な哨戒網を考えて宇宙に出られなかった。それは絶対に失敗してはならない逃避行であり、ここまで辛抱してきて時期を待ってよかったのだ。

 

「早くこれを届けねば、儂は先に逝ったエーレンベルク軍務尚書とリヒテンラーデ宰相に怒られよう」

 

 今、ミュッケンベルガーは国璽とエルウィン皇帝のサインの入った文書を持ってオーディンを脱し、サビーネらのいるガイエスブルク要塞を目指す。

 

 

 

 宇宙は急変する。

 

 銀河帝国首都星オーディン陥落、皇帝脱出できず!

 ニュースの届いた宇宙のあちこちにあらん限りの大声が飛び交う。

 

 もちろんイゼルローン要塞ではキャゼルヌが呆れて言うほかはない。

 

「やってくれたな! ヤン、俺は本当に知らんぞ。もうオルタンスの料理は食わせんからな」

 

 そして同盟首都ハイネセンでは政府が対応に追われていた。

 もちろんヤンのしでかした史上最大級の不始末に対してである。

 議論は白熱して何も決まらない。

 想像のはるか彼方の事態だ。あらゆる議論が噴出した。実務官僚も政治屋も、上から下まで大騒ぎである。

 おおまかに分けると声の大きいほうから余勢をかって帝国全土の占領という勇ましいものだ。次は真逆の消極意見、帝国を刺激しないようヤンの処罰とすみやかな撤退というものである。そして一番小さな声はこれを機会とした帝国との交渉と有利な和平案であった。

 

 しかし、同盟市民の反応はもっと正直なものである。

 同盟軍第十三艦隊、銀河帝国首都星オーディンを陥とすという報が届いてから熱狂の渦にある。

 

「奇跡のヤン! 魔術師ヤン! 帝国をやったぞ!!」

「自由惑星同盟、建国して三百年、ついにこの日がやってきた。ついにこの日が!」

「アーレ・ハイネセンよ。あなたの息子たちを見届けましたか。今こそ安らかにお眠り下さい」

「四個艦隊で成しえなかったイゼルローン攻略を半個艦隊でやってのけた。八個艦隊でもできなかった帝国領侵攻を一個艦隊で成功させた。ヤン提督には当たり前なのだ!」

 

 

 史上最高の一日、同盟市民は夜を徹して歌い、踊り、心ゆくまで幸福に浸った。

 

 

 

 


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