怪人バッタ男 THE FIRST   作:トライアルドーパント

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三話連続投稿の三話目。今回の投稿はこれで終了となります。

今回のタイトルは『新・仮面ライダーSPIRITS』の「たたかいおえて あさがきた」から。エピローグ的な話で、次回が本編の最終話となります。

しかし、連載当初の予定では洸汰君がシンさんと一緒に攫われる所が、エリちゃんの登場で洸汰君は攫われない他、原作で『個性特異点』を提唱したのが実はドクターだと判明する等、色々とズレが生じているのが悩み所です。

特に『個性特異点』関連は、本作品の要と言える重要な部分である事もあって、オール・フォー・ワンとドクターが『個性特異点』について会話する部分を変更・編集するべきかどうか考えております。

このままにするべきか、原作に合わせて変更・編集するべきか……残り一話で終わる作品ですが、それについて活動報告で意見を聞きたいので、宜しかったら其方の方もよろしくお願いします。

2020/3/20 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。

11/5 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。

2021/9/29 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。


第54話 戦い終えて、朝が来た

超人社会を裏から統べる闇の帝王が倒れ、『超常黎明期』から続く戦いに一応の終止符が打たれた。

 

しかし、現実では戦争か天災の如き被害を被った神野区において、今もヒーロー達による救助活動が続けられており、当初は相当数の死傷者が出ると予想されていた。

 

「………」

 

「おお……通常なら切断しなければならない様な損傷だと言うのに、見る見る内に元の形に治っていく……」

 

「……終わりました。次の方をお願いします」

 

「は、はいッ!!」

 

今回の事件において、俺は『敵連合』による拉致被害者であり、『敵連合』に深く関係する重要参考人でもあるのだが、『モーフィングパワー』による治療術が使える俺は、それこそ猫の手も借りたいと声を大にして叫び、もはやパンク状態にある病院側にとって正に渡りに船と言えた。

 

病院で検査を受け、特に怪我などの異常が無いと診断された後は、雄英から飛んできただろうリカバリーガールや現場の医師達の指示の元、リカバリーガールでも治せない四肢欠損と言った大怪我を負った一般人やプロヒーローの治療に当たっていた。

警察としては俺から『敵連合』の事情を聞きたい所なのだろうが、神野区の戦いに巻き込まれた者の数が余りにも多く、治療に転用できる能力を持った俺を今病院から離すのは得策ではないと考え、この状況が落ち着くまで病院の外で待機して貰っている。

 

「次の方、来ました!」

 

「………」

 

「出久……」

 

そして、俺の前に現われたのは、変わり果てた姿の幼馴染みだった。右腕が失われている事もそうだが、カルテによるとそれ以外にも骨や筋肉、中でも靱帯が酷く劣化している様で、「どうなったらこんな風になるんだ?」と、医師達が首をかしげていた。

 

「右腕は?」

 

「ありません」

 

「なら新しく造って繋げます。先程と同じモノを用意して下さい」

 

「は、はい!」

 

そして、俺は出久の前に……と言うか、最初にナイトアイの治療を担当しているのだが、その時にナイトアイはレーザーで吹っ飛んだ左腕の先があるにも関わらず、俺にモーフィングパワーで左腕を新しく造り、それをくっつける事を要求した。

これは同じ様に四肢切断の重傷を負った怪我人に対し、切断された先が無い場合を想定して、ナイトアイ自らが実験台になった結果なのだが……ハッキリ言って、ナイトアイは体を張りすぎなのではないだろうか?

 

いや、此方としては非常に助かったので文句は無い。ただ、もうナイトアイには足を向けて寝られないと言うだけだ。

 

「ちなみに、彼のご家族に連絡は?」

 

「既に連絡済みです。今、此方に向かっているものかと」

 

「……では、到着する前に終わらせて、安心させてあげましょう」

 

昔はほっそりとした美人だったが、精神的な問題からか太ってしまった出久のおばちゃんは、雄英体育祭のライブ映像を見た結果7回も気絶し、ラスト2回に至っては涙と鼻水を流しすぎて脱水症状を起こしていたと出久から聞いた事がある。

 

そんな出久のおばちゃんは、今回の一件でどれだけ出久の事を心配しただろう。此処に来るまで、最悪を何回想像しているのだろう。それは俺にも言える事だが、何だかんだ言っても五体満足で俺は此処に居る。他ならぬ出久のお陰で。

 

――なら、次は俺が出久を救う番だ。何よりこの力は、悪魔に奪われた笑顔を取り戻す為に鍛えていたのだから。

 

 

○○○

 

 

翌日、警察とヒーロー公安委員会は頭を抱えていた。

 

伝説の支配者と名高いオール・フォー・ワンを捕らえたものの、死柄木弔を筆頭とした実行犯は取り逃がし、今回捕らえた脳無からも特に新しい情報は無い。更に、アジトだったバーからも『敵連合』のメンバーに関係する情報は何一つとして上がっておらず、糸の切れた凧となった『敵連合』の行方は最早誰にも分からない。

 

更に、“平和の象徴”であるオールマイトは力を使い果たし、駄目押しにエンデヴァー達トップヒーローが軒並み“無個性”になると言う想定を超えた異常事態は、神野区の壊滅による被害も合わせて、正に「悪夢」と呼ぶに相応しい惨状だ。

 

「しかし、我が王の御力を以てすれば、エンデヴァーを筆頭としたヒーロー達は、もれなくその力を取り戻すだろう」

 

「その力でオールマイトを治す事は出来ないのか?」

 

「肉体の方はある程度まで回復させる事は可能だろう。だが、“個性”の方はどう足掻いても不可能だ。我が王が6年前にオールマイトを治療出来ていれば、また話は変わったかも知れんがな」

 

「………」

 

そんな中、オールマイトと共に警察に赴いたイナゴ怪人1号は、警察とヒーロー公安委員会の幹部を前にして深々と椅子に座り、「貴様等の未来と生殺与奪権は此方にある」と言わんばかりにふんぞり返っていた。

隣に座るオールマイトが骸骨の様にガリガリなトゥルーフォームである事も相俟って、余計にイナゴ怪人1号のふてぶてしさが際立っている。

 

「しかし、我々ヒーロー事務所『秘密結社ショッカー(仮)』が貴様等に協力するかしないかは、我が王に対する貴様等の態度次第だぁ……!」

 

「いやいや、それもう完全に悪党の台詞だから。正義の味方の発言じゃないから。ヒーロー事務所の名前からして、誰がどう聞いても悪の組織だから」

 

イナゴ怪人の何時も通りにふざけているとしか思えない言動の所為で、同席したオールマイトは話が纏まる気がしなかった。むしろ大いに拗れそうだと思っていた。

 

しかし、事はオールマイトの予想を裏切り、ある意味では順当な形に収束していく事になる。

 

「一つ聞きたいのだけど、それは呉島新君の処遇についてと言う事で良いのかしら?」

 

「然り。もしも、貴様等が我が王に脳無と同じ対処をすると言うのなら、此方もそれ相応の対処をさせて貰う」

 

「それなら心配要らないわ。私達は呉島新君に、脳無と同様に逮捕・監禁と言った対処をするつもりは無いわ」

 

「ほう……その心は?」

 

「単純にその方が大きなマイナスになると判断したからよ。警察も、公安委員会も、色んな意味でね」

 

ヒーロー公安委員会会長の言葉は、イナゴ怪人1号とオールマイトを除いたこの場に居る全員の総意であり、純然たる事実として彼等は呉島新をどうこうするつもりは全く無い。それには日本のヒーロー業界における、諸々の事情が絡んでいた。

 

「色んな意味とは、具体的にどう言う事だ?」

 

「オールマイトの引退が避けられない以上、どう足掻いても今まで通りにはいかない。だが、エンデヴァー達の“個性”が復活すれば、治安の乱れは最小限に抑えられる。少なくとも、このままよりはマシだ」

 

「そうか? 我々の所見としては、オール・フォー・ワンの打倒に貢献した変態仮面を№1ヒーローにすれば、日本の治安は充分に守られると思うのだが?」

 

「そうなれば日本は治安と引き替えに、何か大切なモノを無くすだろう。いや、具体的に何かとは言えないが……」

 

「なるほどな。安心しろ、貴様等の言わんとする事は怪人でも分かる」

 

日本のヒーロー界の内情としては、ヒーローとしての実力や魅力は勿論の事、その他全ての要素において永らく№1ヒーローであるオールマイトの一強状態にあり、№1と№2の間には常に大きな開きがあった。

そして、№2ヒーローのエンデヴァーも“無個性化”によって再起不能状態にあるとなれば、必然的に№3ヒーローのホークスにお鉢が回ってくる訳なのだが、彼は名誉や名声の類いに一切頓着が無いマイペースな性格をしており、新たな№1ヒーローになるつもりが全く無い。むしろ「№1ヒーローのプロデュースがしたい」とほざいている始末だ。

 

残る選択肢は№4ヒーローのベストジーニストを№1ヒーローに担ぎ上げ、無個性化を受けたヒーロー達の穴を繰り上げで埋めていく事になる訳だが、彼等が“犯罪の抑止力”足り得るかと言われれば、言っては悪いが絶対にそうはならない。

オールマイトの弱体化と現役引退だけでも、日本におけるヴィラン犯罪の発生率が上がる事が予想されると言うのに、エンデヴァーを含めた上位のヒーロー達も引退や長期休業を余儀なくされるとなれば、日本の治安が悪化の一途を辿るのは火を見るよりも明らかだ。

 

変態仮面? 確かに犯罪率は減るかも知れないが、ありとあらゆる意味で論外である。例え、神野区に6枚の羽根を展開した変態仮面の金ぴかの像が建てられるとしてもだ。

 

「それに、人間が百人居れば、肉体の構造も百通りあると言って良い超人社会において、外科的な治療ではリカバリーガールをも上回る技術が失われるのは正直惜しい」

 

「また、君達を保険として手元に置いておきたいと言う思いもある」

 

「保険だと?」

 

「どんな時代でも“異端児”は必ず現われる。超常黎明期にオール・フォー・ワンが現われた様に、或いは今回保護された少女の様に、常識では計り知れない力を生まれ持った存在が、これから先もきっと出てくるだろう。

そんな常識破りと言える力を持った相手に対して、『対処出来る能力を持った人間』が必要になる時があるのだと、今回の一件で我々は痛感した。例え非人道的な手段で生まれた力なのだとしても、それを制御出来ている上に良識があるとなれば文句は無い」

 

「なるほど。つまり、我が王を下手に封じ込めるよりも、上手く飼い慣らした方がお互いの為になると判断した……と言う訳だな?」

 

「否定はしないわ。いざと言う時が実際に起こった際、誰一人として対抗出来ないような事態になるのは困るのよ。平和の為に何時か起こる危機に備える存在……それが『ヒーロー』なのだから」

 

「ふむ。変態仮面のヒーロー免許が剥奪されない理由の大手はソレだな?」

 

「そうだ。そして、結果的にその判断は正解だったと言える。だが、あのド変態に頼らざる得ない状況と言うのは、正直に言って余り宜しくない。その点、幸いな事に呉島新君はまともだ。いざという時、変態仮面よりもずっとアイコニックな存在にしやすいだろう」

 

実際問題、神野区の戦いで「相手を“無個性”にする能力」を手にしたオール・フォー・ワンにとって、“個性”を前提とした現代のヒーローやヴィランは最早カモでしかなく、だからと言って“無個性”ではまず太刀打ち出来ない存在だった事は間違いない。

そして、これからオール・フォー・ワンと同格、或いはそれ以上の存在が出てこない保障は何処にも無い。その度に変態仮面の世話になるのは、警察も公安委員会も色んな意味でキツイのである。本当に頼れる実力と、日本の恥部と言える部分を併せ持つが故に。

 

また、厄介な事に現在の呉島新は、その気になれば文字通り何でも出来ると言って良く、そもそも拘束する事が出来るのかさえ怪しい。

そんな相手が此方の態度次第で「頼もしい味方」にも「厄介な敵」にもなり得るとあっては、もはや警察と公安委員会に選択の余地はあってない様なモノである。

 

「良かろう。但し、その分我々には色々と便宜を諮って貰う。そして、万が一にも貴様等が約束を違えた場合、日本はおろか世界中に大飢饉を起こす事を約束しよう!」

 

「此方も頼りにさせて貰うわ。存分にね」

 

「………」

 

何処まで本気なのか分からない、非常に判断に困る言動を軽く流した公安委員会会長だが、オールマイトは知っている。

イナゴ怪人は総じて嘘をつかない。つまりは、世界中に大飢饉を起こすと豪語出来るだけの準備が既に完了していると言う事である。

 

イナゴ怪人1号の怪人スマイルを見て、「もしかしたら交渉材料として、日本はおろか世界中の食料を人質にとるつもりだったのでは……」とオールマイトは思ったが、折角話が上手く纏まった所で余計な事を言うような事は流石にしなかった。

 

 

●●●

 

 

――特殊拘置所タルタロス。

 

やらかした事の大きさから特例中の特例として、オール・フォー・ワンは裁判所を通り越して此処に収監される事になった……のだが、どう言う訳かオール・フォー・ワンが「俺にだけ真実を話す」とだけ看守に告げており、それ以外の事は一切話さないのだそうで、病院で怪我人の治療が一段落した俺は、塚内さんの案内でタルタロスに召喚される運びとなった。

 

地上からのアクセスは長い一本道に限定され、囚人は地下深くに収監された上で、幾層ものセキュリティシステムによって思考さえも制限される。そんな脱出はまず不可能とされる監獄で、俺はオール・フォー・ワンと面会室で再会した。

相変わらず頭はハゲ散らり、もはや剃った方が良いと思うヘアースタイルをしている上に、鼻は変態仮面のお仕置きによるものか、低く潰れていた。また、どう言う訳かずっと白目を剥いていて、どうも此方と視線を合わせるつもりがないらしい。

 

「僕とエリの馴れそめは、指定敵団体である『死穢八斎會』が当時裏社会に試供品として裏ルートに流していた『個性破壊弾』の未完成品を僕のシンパが入手し、解析した結果その効果が人間の“個性”に由来するモノだと分かった事から始まる。

そこで、君に投与する為の“個性”の調達と、完成したばかりのドラスの試運転も兼ねて、僕とドラスで『死穢八斎會』を襲撃・壊滅させた訳だが、その時の彼女は『死穢八斎會』本部の地下で監禁状態にあり、『個性破壊弾』を造る為の材料になっていた。彼女の身体は至る所に切り傷の跡が残っていて、見ていてとても痛々しい気分になったよ」

 

「その頃のアンタって、目ぇ見えてなかったんじゃないのか?」

 

「察してくれよ! ジョークさ! 何せ此処では会話が成り立たないものだから、リアクションが返ってくるのが嬉しくってね!」

 

「じゃあ、ずっと白目を剥いてるのはどうしてだ?」

 

「ずっと網膜に変態仮面の股間が焼き付いていてね。どうしたらいいか分からないんだ」

 

「……そうか」

 

しかし、いざ面会してみると、この男は兎に角良く喋った。喋りまくっていた。割と重大と思われる情報のオンパレードではあるのだが、その合間に挟まれるヴィラン流のジョークが非常にムカつく。

 

「そして、意識不明で寝たきりになっていた『死穢八斎會』の組長を発見した僕は、彼を治してエリにまつわる事情を聞いた。彼女は“個性”が発現した事で父親を手に掛けてしまい、組長の娘である母親に捨てられたのだそうだ。

組長は“個性”に理解がある人物で、娘の証言からエリの“個性”が『突然変異(ミューテーション)』の類いだと分かっていた。そこで、組長は若頭にエリの“個性”を調べて貰うように頼んだのだが、その若頭はエリの“個性”の本質に気付いてしまった。自分達の利益として活用する方法もね」

 

「……たった一つの原材料を確保している以上、『個性破壊弾』は『死穢八斎會』にしか造れない。必然的に市場を独占する事が出来る……と言う訳か」

 

「その通り。残された研究資料を調べた限り、完全に“個性”を破壊できる『完成品』と、“個性”を復活させる事が出来る『血清』を造り、ヴィランサイドとヒーローサイドの二つにそれぞれの商品を売りさばく事で、超人社会を裏から牛耳るつもりだった様だ。

尤も、試供品として流した未完成品が僕の所に流れてくる事と、僕達ならそれを複製出来る事は完全に想定外だったようでね。若頭が僕に“個性”を奪われ、“無個性”になった事で取り乱し、為す術無くドラスに食われていくあの死に様は、外道に相応しい最高に愉快な代物だったよ」

 

「……つまり、お前は見方によっては、人知れず世界を救っていたと言う訳か」

 

「礼には及ばないよ。そんな経緯で僕は監禁されていたエリを救い出した訳だが、今までヤクザに弾丸の材料として活用され続けていた所為か、彼女は感覚的に僕が彼女の“個性”を利用しようとしている事を看破していた。

僕としては、彼女の様な境遇の人間を仲間にするのはそれこそ朝飯前で、懐柔は容易だと思っていたのだが、これは少々計算外だった。これも彼女は母親に捨てられこそしたが、弔と違って親から虐待を受ける様な環境で育たなかった事が原因だろう」

 

「……え? 死柄木ってネグレクトだったのか?」

 

「ああ、コレがまた傑作な話でね。弔の父親は子供の頃、母親であるヒーローに里子に出されているんだ。母親としては子供を危険から遠ざけるためだったが、子供からすれば親に捨てられたも同然だ。その結果、彼はヒーローと言う存在を心底嫌悪する様になった。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いと言わんばかりにね。

父親は弔を含めた家族に幸せになって欲しかっただけらしいが、それなら尚更愚かな事だと言わざるを得ない。英雄願望なんてモノは、この超人社会では人生の中で誰でも一度は持つし、それこそかつての自分だってそうだった筈だ。子供同士のヒーローごっこすら認めないと言うのは最早病気だ。その末路が弔の手によって家族が皆殺しの憂き目に遭い、自分も殺されると言うのだから笑えるね」

 

「母親を連想させたんだろうさ。てか、アンタも昔は実はヒーローになりたかったクチだったのか?」

 

「いや、僕は悪の魔王に憧れたクチだな」

 

「……子供の頃からブレてねーってのも、ある意味凄いな」

 

「ハハハハ……話を戻そう。エリは僕達に従順ではあった。それこそ頼めば血液の提供など、協力はしてくれる。だが、そこに信頼や忠誠心は一切無く、6歳にして彼女には人生に対する諦観があった。それでは僕としては将来的に非常に困る。そこで僕はエリが僕の虜になる方法を考えた」

 

「幼女を虜にしようとするとか犯罪だろ。色んな意味で」

 

「虜と言うのは良いモノだよ。簡単には裏切らない上に、自分の意のままに動かす事が出来る。これほど都合の良い存在はいない」

 

「……まあ、アンタにとっては100歳の老婆も100歳の女の子になるか」

 

「それを言ったらおしまいだな」

 

俺がどれだけムカついても殴れない為、同じ様に煽るようなジョークで返す位しか、此方ではやり返す方法が無い。しかし、当のオール・フォー・ワンはそれすらも愉しんでいる様で、此方の攻撃ならぬ口撃はまるで効果が無い。

 

「当初の作戦はこうだ。シャドームーンとドラスの決戦において、僕はドラスと共にシャドームーンとエリを取り込み、そこで“個性”『オール・フォー・ワン』を君に与える事で、“個性”と共にある僕の記憶が君の肉体を乗っ取り、エリと共にドラスから分離する。

そして、君になった僕は『生まれ持った“個性”故に、それを利益にしようとする悪に利用された境遇』を利用し、エリに共感を持たせようと考えた。駄目押しに僕が僕に倒されれば、いずれは信頼を得る事も出来るだろう。つまりは『僕がヒーローになる』と言う事だ」

 

「……しかし、イナゴ怪人BLACKや出久の介入によって、ソレは狂った」

 

「いや、要は君に僕の“個性”を与えて身体を乗っ取り、自然な形で僕が倒れれば良いのだから、ソレ等は計画の目的を達成する分には問題の無い、修正可能な範囲の誤差だった。

むしろ、エリの信頼を得る事を考えれば、君の自我が復活したのはむしろ都合の良い展開だったとも言える。現に君はあの時、エリとテレパシーで繋がっていたんじゃないか?」

 

「……分かっていたのか?」

 

「いや、今確信した。だが、君の言動と仕草で予想はしていた。あの時の君は彼女に夢中だったようだが、僕みたいな悪党を前に迂闊な余所見はしない事だ」

 

「………」

 

「しかし、君は『オール・フォー・ワン』を含めた僕の全ての“個性”を取り込んで尚、自我を失う事は無かった。僕の記憶が君を乗っ取ったなら、こんな結末は決して望まなかっただろう」

 

……いやにニヤニヤして、何かムカつくな。まあ、良い。そのにやけ面をしかめっ面にする、会心の一撃をぶちこんでくれるわ。

 

「……まあ、アレはアンタの悪名を地に堕とす事が目的だったしな。変態に無様に負けた悪の帝王なんて、もうカリスマもクソもねぇだろ?」

 

「……とまあ、雑談を交えつつネタばらしをした訳だが、何か聞きたい事はあるかい?」

 

思ったより効かなかったな。いや、スルーして話題を逸らそうとしている以上、返答に窮する程度には効いていると思うが……。

 

「……聞きたい事は二つ。俺の細胞を使った『ガイボーグ』は他にもいるのか? 『個性破壊弾』は完成し、量産する事が出来るのか?」

 

「両方ともYESだ。しかし、前者に関しては心配要らないだろうね」

 

「どう言う事だ?」

 

「ドラスを開発・運用する上で最も気を遣ったのは、テレパシーによる精神感応によって君がドラスを同族と認識し、その所在がバレない様にする事だった。しかし、今の君ではそれこそ地球の裏側に居たって、自分の細胞を持つ同族を感知する事が出来るだろう。

僕の友達はとても用心深い性格をしていてね。自分から所在をバラす様な真似は絶対にしない。君の細胞に由来するモノは、とっくに全て破棄した後だろう。やるとするなら、君で得られたデータを元に、何か新しいモノに挑戦するんじゃないかな?」

 

「……神野区の戦いも、その友達にモニタリングされていたのか?」

 

「ああ。むしろ、何でしてないと思ったんだい?」

 

じつに腹が立つ笑顔だ。コイツは人からマウントを取ったり、煽ったりしないと死んでしまう生物なのだろうか?

牢獄のセンサーが俺の方に反応し銃口を向けているが、このまま銃弾の雨を喰らうのを覚悟で、コイツの顔面を思いっきりブン殴ってやろうかと思う位にはムカつく。

 

「ところで話は変わるが、これから言う事は取らぬ狸の皮算用と言うヤツで、失敗した作戦の次のフェーズだ。君は『異能解放軍』を知っているかい?」

 

「……“個性”が“異能”と呼ばれた時代で、『“異能”の自由行使は、人間として当然の権利である』と主張した過激派集団……だったか?」

 

「そうだね。彼等が当時、“個性”に関する法の整備を進めていた国との対立に勝利していたなら、この国もきっと今とは違った形になっていただろう。

そして、君になった僕は『仮面ライダー』のデビュー戦として、今も水面下で勢力を拡大し続けている『異能解放軍』を相手に戦う予定だった」

 

「……は?」

 

「これは当時の『異能解放軍』の主導者であるデストロ本人ですら知らない事だが、実は彼には息子がいた。かく言う僕も彼等の事を知ったのは全くの偶然でね。僕が君やドラスの為に“個性”を集めた際、その中の一人が『異能解放軍』の潜伏戦士でなかったなら、それを知る事は出来なかっただろう。ちなみに、現在の最高指導者は『リ・デストロ』と名乗っているそうだよ」

 

「………」

 

「厄介な事に『異能解放軍』のメンバーは来たる日に向けて、世代を超えて長い時間を掛けて準備していた。最高指導者である『リ・デストロ』を含めた幹部クラスは、様々な業界でそれぞれが強大な権力と影響力を有する立場にある。

具体的には、大手IT企業『Feel Good Inc.』の取締役。求心党の党首。集瑛社の専務。ライフスタイルサポートメーカー大手『デトネラット社』の代表取締役社長……と言った具合にね」

 

「何かトンデモない情報を聞いてしまった様な気がするんだが」

 

「一応、僕にもそれ相応の手札はある。それでも約11万人もの『異能解放軍』を根絶やしに出来るかと言われれば少々厳しい。何せ僕の有能な部下は、オールマイトによって悉く倒されてしまっているからね。

ぶっちゃけた話、今の日本の裏社会に『異能解放軍』と同等の勢力は存在しない。だが表側には『異能解放軍』に対抗できる勢力がある。つまりは『ヒーロー』と『警察』だ」

 

「まあ、ヒーローが飽和している程だからな。でも、そのヒーローや警察の中にも『異能解放軍』の潜伏戦士がいるんじゃないのか?」

 

「勿論、居るだろうね。下手をすればこの中にも。だからこそ、今こうして君に話している。今や僕は“無個性”で、殺そうと思えばそれこそ虫ケラの様に殺せるのだからね」

 

「………」

 

「そして、君になった僕は約11万人の『異能解放軍』を壊滅させ、その伝説を以てヒーローの頂点に君臨する予定だった。それこそ、オールマイトの様に。そうなれば、自ずと裏社会の規模は大幅に縮小される。今の弔の実力でも統べる事が出来る程度の大きさまでね」

 

「お前がヒーローとして頑張れば頑張るほど、死柄木にとって都合の良い展開になるって訳か……そして、お前からこの情報を聞いた以上、俺はある程度までお前の思い通りに動かざるを得ないって訳だ」

 

「まあ、結局は遅いか早いかの違いでしかないだろうがね。そして、全てが終わった時、君はある意味では僕と同等か、それ以上の存在として世界に知られる事になるだろう。

だが、改造された君は超人ではない。僕達がこれまでに造ってきた改人とも言えない。君はこの世界に一人だけ……言うなれば、『誰から見ても他者とされる存在』だ。そんな君はその時どちらに立つ? ヒーローか? ヴィランか? それとも、別の何かか?」

 

「………」

 

改めて覚悟の強さを問われ、静かにもう一度、この胸に聞いてみる。唯一の同類と成り得たオール・フォー・ワンは、他ならぬ俺の手で今や無個性となっている。そんな元同類に対し、俺は質問の答えを口にした。

 

「『暗闇の中で助けを求める人間を助ける』。俺が自分に定めた使命はそれだけだ」

 

「……そうか。それが今の君の答えか。よく分かった。ならば、呉島新君。そんな君に一つだけ忠告しておこう。『超人』と言う種はいずれ滅びる。自らの手で、或いは君自身の手によって、滅ぼされる事になる。いや、君達と言うべきか」

 

「何……?」

 

「それが何度も考えて行き着いた人類の末路だ。どんな事をしても“個性”を取り巻く趨勢は変わらない。変えられない。第四世代から既にその兆候はあった。『個性特異点』は目前に迫っている。

人間が超人によって駆逐された様に、超人は超人から生まれた『更なる人類』によって駆逐され、最後にはその進化に追いつかず、強大な力をコントロールする事が出来ずに自滅する。君以外の、全ての人間がそうなるだろう」

 

「………」

 

「そして、この世界の誰かが君を受け入れたとしたら、君とその誰かの子供は、世界総人口の8割を占める超人でも、我々が造り出した改人でもない。当然、“無個性”とも違う。そして、君とも異なる存在である筈だ。

つまりは、君とは別の『誰から見ても他者とされる存在』だ。そうなれば、人類が抱える“超常との戦い”は加速する。勿論、滅びに向かうと言う意味でだ」

 

「………」

 

「それで、どんな気分だい? 誰よりも人を愛しながら、人を守る為には誰よりも人に愛されてはいけない……と言うのは?」

 

「………」

 

やはり、この男は悪魔だった。その言葉は容易く人を惑わし、その心は奈落の底に突き落とされた人間達の苦痛を何よりの愉悦とする。

 

――だが、お前が与えたこの胸の、絶望の痛みこそが……俺が『人間』として戦う証なのだ。

 

「……そう言えば……」

 

「うん?」

 

「アンタは“個性”を全部無くしたって割には随分と元気だよな」

 

「経緯と結果はどうであれ、君は僕の体を治してくれたからね。普通に呼吸が出来て、固形物が食べられるって言うのは、正直感動モノだよ?」

 

「………」

 

『呉島新君。時間です。退出を』

 

放送の声に従い、重い腰を上げる。色々と考えさせられる事はあるが、情報の精査はこの後で塚内さんとの事情聴取があるから、その時に塚内さんに頼むとしよう。正直、何処までが本当なのかサッパリ分からんし。

 

「ああ、そうそう。オールマイトに伝えてくれ。弔の本名は志村転弧。父親は志村弧太朗で、志村奈々の孫だってさ」

 

分厚い鉄の扉が閉ざされる中、オール・フォー・ワンから投げかけられた情報が、オールマイトに対する特大の呪詛だと知るのは、監獄を出てそう時間は掛からなかった。

 

 

●●●

 

 

塚内さんと共に監獄を出た後、イナゴ怪人1号とオールマイト、それにグラントリノとナイトアイとが待つ警察署へ車で向かい、四人と合流してそれぞれの顛末を語った訳だが、俺に関しては特にお咎め無しで、イナゴ怪人1号曰く、「ヒーロー公安委員会と警察は俺を豚の様に養う事を約束した」……らしい。

 

一方、俺がオール・フォー・ワンから得られた情報についてだが、塚内さんとナイトアイは『異能解放軍』について呆然としつつも情報を咀嚼しようとしていたのに対し、オールマイトとグラントリノは死柄木弔の……と言うか、志村奈々なる人物について強いショックを受けていた様に見えた。

志村奈々なる人物について俺は全く知らないので、俺はどんな人物なのか説明を求めた訳だが、グラントリノの話を聞けば聞くほど、オール・フォー・ワンの人に呪いを掛ける才能は他の追随を許さないのだと再認識させられた。

 

「オールマイトの前の『ワン・フォー・オール』継承者にして、オールマイトの師匠。そしてグラントリノの盟友だった人ですか……オールマイトとグラントリノは、その志村奈々さんの血縁関係者について、本当に何も知らないんですか?」

 

「ああ……志村は夫をヴィランに殺されていてな。子供を危険から遠ざけるために里子に出している。俺や俊典には『私にもしもの事があっても、あの子には関わらないで欲しい』と言っていた。だが、それが結果としてこんな大事を招いたと考えると……やるせねぇな」

 

「……お師匠は家族を……全てをなげうってまで。『ワン・フォー・オール』を育み、それを私に託した『真のヒーロー』だった。今でも私はお師匠を誇りに思っている。それこそ母の様に。だが……」

 

「「「「………」」」」

 

オール・フォー・ワンの言う事が正しければ、死柄木は恐らくその“個性”で家族を一人残らず殺している。元々あっただろう家庭の問題を含めて、もしもオールマイトやグラントリノと交流があれば、死柄木はその時二人に助けを求めただろう。

 

それにしても、死柄木のバックボーンにせよ、『異能解放軍』の幹部クラスのメンバーにせよ、叩けば埃どころか不発弾がゴロゴロと見つかる……と言うか、自ら不発弾を掘り起こして此方に放り投げてくるとは、捕まっても尚迷惑極まりない男である。この分だと他にもドエライ地雷が埋まっている事だろう。

 

「して、何時になったら一繋ぎのテロリストを殲滅し、我が王を大首領に出来るのだ?」

 

「……『異能解放軍』か。まあ、難しいね。言っている事が本当ならヒーロー社会を揺るがす一大事だが、何かしらの証拠が無い事には、警察が彼等をヴィランとして認定する事は出来ないだろう」

 

「何かしらの証拠……試しにオール・フォー・ワンが言った連中にカマ掛けてみるとか?」

 

「無理だな。これまでヒーローや警察に存在を気取られず、オール・フォー・ワンが偶然その存在を知った様な連中だ。幹部クラスの自白はまず期待出来ないし、組織の全貌や構成員の詳細が掴めない以上、下手に接触するのは危険だ」

 

「そもそも奴の発言だから、どうにも根拠が薄いと思う部分も……いや、確かに本当だろうと思う所もあるにはあるが……」

 

「と、仰いますと?」

 

「今回保護された少女について、オール・フォー・ワンは指定敵団体『死穢八斎會』の組長の孫娘だと言っていたそうだが、その『死穢八斎會』の組長がどうなったかは奴から聞いたかい?」

 

「……いえ、寝たきりの所を治して、エリの事情を聞いたとしか……」

 

「林間合宿を襲撃したヴィランの内、コブラの様なヴィランが居ただろう? 身元を調べる為にDNA検査をした所、その正体が『死穢八斎會』の組長だと判明してね。恐らく、そのエリちゃんの事情を聞いた後で改造されたんだろう」

 

「……なるほど」

 

道理で太刀筋が妙に様になっていた訳だ。要は素体になっていた人物が、刀に使い慣れていたのである。まあ、ヤツにしてみればヤクザの組長を生かしておく理由も無いだろうが。

 

「もしも、ほんの少しだけ歯車の噛み合わせが違っていたのなら……死柄木は志村転弧のままで、今頃はもしかしたらヒーローになっていたのかも知れませんね」

 

「ナンセンス。『もし』や『たら』を考えるのは無意味だ。だが、『罪を犯すか、犯さないか』の違いは貴様の言う通り、その時に“偶然”『歯車が噛み合うか、噛み合わないか』の違いに過ぎん。勿論、それが決定していた“必然”である場合もあれば、何らかの力や意志による“作為”である場合もあるだろうがな」

 

「………」

 

幾度となく他人の人生をその“個性”で見てきたであろうナイトアイの言葉は、運命と言う名の壮大な物語の一端を語っている様に思えた。

 

志村奈々さんの行動は、自分以外の誰かを思っての行動だった。だが、それが巡り巡って超人社会の平和を脅かす存在を生み出す一助になっていた。

それに対してオール・フォー・ワンの行動は、その全て自分の為に行っていたモノだったが、結果的には超人社会の闇を滅ぼす一助になっていた。

 

何と言う皮肉だ。何と言うままならなさだ。死柄木弔もまた、『暗闇の中で助けを求める人間』の一人だった。だが、凶悪なヴィランとなった今、死柄木弔を救う手段はもはや一つしかない。

 

「いずれにせよ、お師匠がせめて平穏にと願い、決別した血縁……! 私は死柄木を見つけなければ……見つけて、彼を……」

 

「駄目だ。見つけてどうする。お前はもう奴をヴィランとして見れていない。必ず迷う。奴の素性や、ヴィランになった経緯はどうあれ、奴は犯罪者だ」

 

「………」

 

「そうだ。ここから先はジジイに任せておけ。何時の時代も頼れるのはジジイだ。苦しい時悲しい時、そんな時に頼りになるジジイ。略して――」

 

「クソジジイじゃねーか、この野郎ッ!!」

 

「……死柄木が率いる『敵連合』にせよ、水面下で勢力を拡大している『異能解放軍』にせよ、それらの調査と捜索は我々が行っていく。オールマイトとライダーは共に雄英に戻り、お互いがすべき事を全うするべきだ。例え“平和の象徴”でいられなくなったとしても、普通の体でいられなくなったとしても……生きている事で、それが救いとなる人間がいる筈だ」

 

「「………」」

 

イナゴ怪人1号のジョークの軽さと相反して、鉛の様に重い金言だった。それにはきっと、ナイトアイの本音も含まれているのだろう。

 

「所で、呉島君。昨日、爆豪君の事情聴取を行ったんだが、『メシ』と言うのは何かの隠語かい? それとも今の若者特有の流行言葉かな?」

 

「……いや、そのままの意味かと」

 

勝己がどんな事を塚内さんに言ったのか気になるが、俺はこの後無事に警察から解放され、自宅に帰る事を許されたのだった。




キャラクタァ~紹介&解説

呉島新
 警察と公安委員会から、ある意味で変態仮面と同格の扱いを受ける事になった怪人。この超人社会において貴重な『モーフィングパワー』を用いた治療術に加え、変態仮面と違って色々と使い勝手が良さそうと言う事でかなりの高評価を貰う。

オールマイト&グラントリノ
 超弩級の呪いを掛けられた師弟。原作と違ってハンドマン死柄木の経歴を聞かされた事で、精神的ダメージは原作よりも甚大。まあ、奈々さんの行動がこれ以上無い程に裏目に出ていたとなれば、それも仕方が無い事である。

サー・ナイトアイ&塚内
 トラウマを克服したリーマンと、言動を深読みし過ぎている刑事。ちなみに塚内さんの最後の言動は『すまっしゅ!!』ネタである。原作の『死穢八斎會』編に該当する時間軸において、彼等は『異能解放軍』についての調査をする事になる。実際、この二人は地道な捜査とか得意そうだなと作者は思っている。

オール・フォー・ワン
 奈落の神に囚われた闇の帝王。捕まっちゃったし、“個性”も全部無くしちゃったケド、僕は元気です。元気過ぎて思わず、気に入ったヒーローに極大の呪いをかけちゃう、非常に傍迷惑な困ったちゃん。
 尚、本体の彼は、記憶の彼と違い、『ワン・フォー・オール』の真実にも、記憶の自分が消えた事にも気付いていない。

イナゴ怪人1号
 何者にも屈さないふてぶてしさと図々しさは健在。仮にシンさんが逮捕された場合、イナゴ怪人達は宣言通り、雄英体育祭以上の数を確保したミュータントバッタを率いて、それこそ黙示録を再現するかの様に世界中に大飢饉を起こしていただろう。



神野区の悪夢
 原作との相違点は多々あるが、警察と公安委員会が重視しているのは「オールマイトの弱体化が世間に晒されていない事」と「作戦に参加したトップヒーローの何名かが無個性になっている事」の二つ。後者は解決の目処が立ったが、オールマイトの弱体化はどうしようもない為、この世界のオールマイトは現役引退の記者会見の場で「次は君だ」と言う事になる。

異能解放軍
 オール・フォー・ワンがヒーローとしてヒーロー社会の頂点に君臨する為の生け贄に選ばれていた悪の組織。しかも、幹部クラスの素性が既にバレていると言う、緊急事態が起こっている。しかし「秘密結社ショッカー(仮)VS異能解放軍」と書くと、字面的に主人公の方が悪役に見える様な気がするのは気の所為か。



後書き

次回、『怪人バッタ男 THE FIRST』最終回。

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