怪人バッタ男 THE FIRST   作:トライアルドーパント

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三話連続投稿の三話目。これにて騎馬戦が終了し、この後で番外編を投稿します。今話のタイトルの元ネタは『アマゾンズ』の「DIE OR KILL」。

そして、今回は本来なら二話として投稿する所を、文字数が多くなって為に分割して三話にした結果、『アマゾンズ』のタイトルの様に、第12話でLを頭文字にしたタイトルを当てる事に成功。これも狙っていた訳では無いのですが、何となく上手くいって良い感じだと思っています。

6/30 誤字報告より誤字を修正しました。ありがとうございます。

8/1 誤字報告より誤字を修正しました。毎度ありがとうございます。

2018/5/21 誤字報告より誤字を修正しました。毎度報告ありがとうございます。


第12話 LOSE OR BITE

緑谷チームの要である、呉島のスタミナ切れを狙い、上鳴や八百万、飯田と言った面々が俺に協力してくれたお陰で、1000万Pの奪取に成功した。三人が俺に素直に協力してくれた事に、感謝の念を禁じ得ない。そして氷結のみで緑谷と呉島の二人を攻略できた事は、俺にとても大きな意味を与えてくれた。

 

ありがとな。呉島、緑谷。お陰で俺の目的に、また一歩近づく事が出来た。

 

「『待ちな。勝負はまだ決まっていないぜ?』と王は言っている」

 

呉島の傍にイナゴ怪人が寄り添っているが、イナゴ怪人はもはや俺の敵じゃねぇ。だが、どうやら奴等は1000万を俺達から奪還するつもりらしい。

 

「『……この呉島新は……所謂『怪人野郎』のレッテルを貼られている……。ヒーロー気取りで喧嘩を吹っ掛けてきた不良をホッパー・バイオレンスでぶちのめし、身の程を分からせてやったヤツは山ほどいる。去年相手をした、他人に取り憑くしか芸の無いヘドロみてーなヴィランは、ムショにぶち込まれた後は俺を恐れて二度と娑婆に出ようとしねぇ。人助けをしたらヴィランだと勘違いされてヒーローにボコボコにされた挙げ句、誤認逮捕されて警察の世話になるなんてのはしょっちゅうよ』」

 

……? 一体呉島は何が言いたいんだ? イナゴ怪人を介して俺達に何かを伝えようとしているのは分かるが……。

 

「『だがこんな俺でも、絶対に正しいと信じる『正義』と、絶対に叶えたい『夢』があるッ! それは『“個性”でヒーローやヴィランは決まらない』って事と、『父から受け継いだ“個性”でヒーローになる』って事だ! この呉島新にあるのはソレだッ!! ソレこそが俺の行動原理であり、満足感だッ!!』」

 

「………」

 

そうイナゴ怪人に言わせながら、呉島は先程凍結させて動きを封じたイナゴ怪人にゆっくりと近づいていた。それを見て俺は、イナゴ怪人を一度殺してから復活させるつもりなんだと思った。だが、呉島の行動は俺の予想を遙かに超えていた。

 

「『だからこそ……俺は誰にも負ける訳にはいかない! この“個性”で、この姿で、必ず勝利しなければならないッ! その為なら、過程や……方法なぞ……ッ! どうでも良いのだぁーーーーーーーーーーーーッ!!』」

 

「GURUUWHAAAAAA!! MUUUU、BUUUUU!!」

 

「「「「……は!?」」」」

 

次の瞬間に俺が、いや俺達が見たのは、イナゴ怪人の頭をもぎ取り、それを貪り食らう呉島だった。

 

『く、喰ったぁああああああああああああああああああああああああああああ!? 緑谷チームの呉島! 瞬間冷凍されたイナゴ怪人を、頭からボリボリと食い始めたぁあああああああああああああああああああああッ!!』

 

「VOOORRUU、GUUARRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「なっ………」

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」

 

「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!?」

 

呉島はイナゴ怪人の頭を食い終わると、今度は腕を引きちぎってそれを食い始める。両腕、胴体、両足と言った順番にイナゴ怪人を残すこと無く平らげ、その光景を目の当たりにした騎馬の三人が悲鳴を上げる。

 

かく言う俺も、その光景に圧倒された。だがそれはイナゴ怪人を食った事に対してだけじゃない。そこまでして勝利に執着する、呉島のイカレた執念に……ッ!!

 

『俺はな、オールマイト! 怒ってるんだ! 同じ暴力がヒーローとヴィランでカテゴライズされ、善し悪しが決まる、この世の中に! 何が平和の象徴!! 所詮、抑圧の為の暴力装置だお前は! 暴力は暴力しか生まないのだと、お前を殺すことで世に知らしめるのさ!』

 

『そう言う思想犯の目は静かに燃ゆるもの……自分が楽しみたいだけだろ? 嘘つきめ』

 

!? 何でだ? 何でこんな時に『敵連合』と相対した時の、オールマイトとヴィランのやり取りを思い出す……!!

 

「おいいいいっ!! 幾ら何でもアリって言ったってソレは、流石にダメだろ!!」

 

「そ、そうだ! そんな事する奴がヒーローの卵だなんて、認められる訳ねぇだろ!!」

 

「とっとと、ソイツを失格にしろよ!! これ以上、トラウマ映像は要らねぇんだよ!!」

 

「そーだ! そーだ!」

 

イナゴ怪人を食らう呉島に対して、観客の一人がクレームを上げると、それをきっかけに観客席からブーイングの嵐が巻き起こる。

 

「AAAAA……WWWRRRRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「そうだ王よ! 我が血と肉を食らい、その力を回復させ……GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

それでも呉島は止まらない。俺が凍らせたイナゴ怪人を食らい終わると、今度は横に侍るイナゴ怪人の背中に手を突っ込んで心臓らしい物を引き抜き、そのまま生の状態でソレを咀嚼している。

 

『呉島の共食いに、観客席の至る所からブーイングが! しかし、ぶっちゃけ俺もそう思……わあ、肘ぃっ!? 何SOON……』

 

『今、言ったのプロか? 何年目だ? 素面で言ってるなら、もう見る意味無ぇから帰れ。そんで今すぐ転職サイトでも見て、モデルか俳優の求人にでも応募しろ』

 

「RUWAA……?」

 

『成る程、確かにヒーローの戦い方ってのは、今も昔もカッコ良く見えるもんだ。だがな、そもそもカッコイイもんじゃねえんだよ……「ヒーロー」って生き方は』

 

「相澤先生……?」

 

『ヴィラン染みてるかどうかなんて知るか。「ヒーロー」に必要なのは、「誰かを助ける為に自分の“個性”を使える」かどうか。それだけだ』

 

「………」

 

『そして生きるって事は、他の命を食い物にするって事だ。直接だろうと、間接だろうとな。「ヒーロー」として生きる為に、ヴィランや他のヒーローを喰らう。そういう意味じゃ、誰でも同じだ。ココにいる“誰もが”だ。さっきまで呉島に「ヒーロー失格」みてーな戯れ言抜かしてた、お前等も含めてな』

 

相澤先生の言葉で、さっきまでの怒濤のブーイングが、嘘の様にピタリと収まった。相澤先生の言葉に、誰も反論する事が出来ねぇからだ。

 

ヒーローとして生きる為に、ヴィランや他のヒーローを食い物にする。

 

それは誰もが無自覚に避けてきた思考で、『ヒーロー飽和社会』と呼ばれる現在のヒーローの在り方を、あまりにも抜き身に表現していた。

 

「FUUUUUUUUUUUUUU……」

 

「……ッ!! よっしゃぁああああッ!!」

 

「!? 麗日さん!?」

 

「分かったよ、デク君! シン君の『覚悟』がッ! 『言葉』じゃなくて、『心』で理解できたッ! だから、取り返そうデク君ッ!! シン君と一緒に、絶対ッ!!」

 

「麗日さん……!!」

 

「FFFUUUU……WRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

2体のイナゴ怪人を食い終えると、呉島は血塗れの口を大きく開き、野獣の様な咆哮を発した。大気が震え、周囲に展開していた氷に亀裂が入り始める。どうやら、エネルギーの補給は出来たみてぇだな……!

 

「ッ! 何て、風圧だ……ッ!!」

 

「……WUUU、SYAAAAAAAAAAA!!!」

 

呉島が膝を曲げて、地面に亀裂が入るほど強く、深く踏み込む。

 

真っ正面ッ!! ここで小細工無しの真っ向勝負かッ!! そう判断した俺は、氷結で足下を凍らせ、騎馬の動きを封じる為の行動に移る。そして、正面に向かって氷結を放ったその時、不思議な事が起こった。

 

「(スゥゥゥ………)」

 

「「「「!?」」」」

 

真っ正面から向かってきた筈の緑谷チームの姿が、氷結で生成した氷と重なった瞬間、陽炎の様に消えた。馬鹿な!! 一体何処に……。

 

「GYAU!」

 

「ナイス! あっちゃん!!」

 

「!? 何ッ!!」

 

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

正面じゃなくて左!? まるで幽霊の様にいきなり現われた緑谷チームに、俺達全員は驚きによって反応が遅れ、更に裏返しにしていた鉢巻きが呉島の念力で裏返り、それぞれの鉢巻きのポイントが緑谷から丸見えになってしまった。

 

「ッ!! とった!! とったぁああああああああっ!!」

 

『緑谷チーム怒りの奪還ッ!! この土壇場で順位が目まぐるしく変わりゆく! 若気の至りだぁーーーーーっ!!』

 

「い、今のは一体……」

 

「もしや、あのサポート科の方の“個性”……?」

 

「或いは、まだ何か隠していた能力があったか……」

 

「ウェ~~~イ?」

 

「違う。コレは“個性”によるものでは無い。『フェイント』だ」

 

俺達が先程見た幻影の正体を探っていると、復活して呉島の傍に侍るイナゴ怪人が、先程の幻影の正体を俺達に教えてきた。

 

「フェイント……?」

 

「そうだ。それも只のフェイントではない。画家としての精魂を込められて作られた『贋作【フェイク】』が、何百年もの長きに渡って専門家の目を騙し続ける様に。王の殺気と執念が込められたフェイントが貴様等全員の目を欺き、貴様等はソレを本物と思って動いた。只それだけの話よ」

 

フェイント!? つまり、さっき見たアレは、呉島の“個性”じゃなくて、身につけた技術って事か!?

 

「もっとも、コレは一朝一夕で身につく様なモノでは無い。王は絶えず敵と言える存在に狙われ続けたが故に、常に野生の獣の様に、冷酷で鋭い刃の如く、絶えず五感をピリピリと研ぎ澄ませた結果として、身につける事が出来たのだ。養殖物では決して身につける事は出来ぬ技術よ」

 

野生……。絶えず戦い続けてきたからこそ、身に付けた技術だと……。

 

「しっかりしたまえ、轟君!! まだ勝負は終わっていないぞ!!」

 

「!! ああ、そうだな……!!」

 

そうだ。まだ勝負は終わってねぇ……。親父を否定する為にも、オールマイトに気に入られてるアイツ等に、俺は負ける訳にはいかねぇ……! これ以上、無様な真似は晒せねぇッ!!

 

残り約10秒。その時間内にもう一度、俺は1位に返り咲くッ!!

 

 

○○○

 

 

時間は少し遡り、イナゴ怪人2号が勇ましくラッパを鳴らし、ファンファーレを奏でた時にソレは起こった。

 

「お、おい、何だよアレ……」

 

「何が始まるんだ……?」

 

そう語る彼等の視線は、イナゴ怪人2号の上空に集まった大量のミュータントバッタに固定されている。ミュータントバッタ達はまるで一つの意思を持つ巨大な生き物の様に、不気味な動きで蠢いていた。

 

「覚悟するが良い、人間共ッ!! このイナゴ怪人の最終奥義を見せてやるッ!! トオオオオオウッ!!」

 

イナゴ怪人2号がその場から空中高くジャンプすると、イナゴ怪人2号を目がけてミュータントバッタ達が我先にと殺到する。

すると、イナゴ怪人2号は瞬く間に大量のミュータントバッタに覆われ、その姿を徐々に変化させていく。

 

そしてスタジアムの中に現われたのは、もはや怪獣と言って遜色ない程に巨大な一頭の黒馬。その背中を見てみると、まるで背中から生えているかの様に、イナゴ怪人2号の上半身が存在していた。律儀にもルールに則り、奪い取った鉢巻きをちゃんと首に巻いている。

 

「グハハハハハハハハハハハ!! どうだぁ!? 絶望したかぁ、人間共ぉおおおおッ!! コレこそが我々イナゴ怪人の持つ、本来の力よぉおおおおッ!!」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! 貴方、ルールはちゃんと理解してるのよね!?」

 

「当然だ、ミッドナイト。『崩し目的の攻撃は御法度』……だろう?」

 

「そ、そうよ!」

 

「ならば答えは簡単だ。騎馬を崩す事無く。つまりは騎手や騎馬諸共、鉢巻きを奪えば良いだけの話よ! こうやってなぁあああああッ!!」

 

イナゴ怪人2号がそう叫ぶと、巨馬が頭を下げて口を開き、地面の草を食むかの様に、スタジアムの地面を食らった。食らった場所はまるでクレーターの様に半円状になっている。

 

「さあ、覚悟しろ人間共ッ! お前達を一人残らず、食ってやるぞぉおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

「「「「「「「「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」」」」」」」」」」

 

イナゴ怪人2号が巨馬を操り、とうとう最後の攻勢に打って出た。最初のターゲットとなったのは、現在3位の鉄哲チームだ。

 

「BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU!」

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!」

 

「!? 私達を狙わないのか!? 身動きのとれない私達なら、簡単に鉢巻きを奪える! それなのに狙わないのか!?」

 

「逆だ! 身動きを封じられているから、何時でも取れるって思ってるんだよ!」

 

轟の氷結によって動きを封じられた自分達を無視して、鉄哲チームを狙うイナゴ怪人2号を見ながら、冷静に現状を分析する拳藤チームの面々。

ある意味不幸中の幸いと言えるが、鉄哲チームがやられたのなら、その次は間違いなく鉢巻きを持っている自分達である。そうなる前に何とか脱出したいが、騎馬の足が氷から解放される気配は微塵もない。

 

「いやぁあああああああああああああああああああああああああああああッッ!!」

 

「小娘が……! 貴様の“個性”が一番……なまっちょろいぞッ!」

 

悲鳴を上げながらも、塩崎が繰り出した茨のツルが巨馬の顔を捕らえたが、怪獣レベルの大きさを誇る巨馬の力は、塩崎の茨のツルを難無く引き千切る。更に骨抜の“個性”による底なし沼攻撃も効果が無く、もはや鉄哲チームは詰んだも同然だった。

 

「おお、本当に凄ぇな、アンタ。ちょっと気ぃ抜くと、惚れちまいそうだぜ」

 

「ほう……貴様、中々見所があるな」

 

「(掛かった!)」

 

そんな中でイナゴ怪人2号に話しかけたのは、C組普通科に在籍する心操人使。その“個性”は『洗脳』であり、「彼の問いかけに答えた者は彼の言いなりになってしまう」と言う、恐るべき“個性”である。

当然、イナゴ怪人2号もその例外に漏れず、彼の“個性”をまともに受けてしまったのだが……。

 

「……で? 今、何かしたか?」

 

「!? 何ッ!? どうして……」

 

「無駄だ。我々は怪人であって人間では無い。人間である貴様等とは、戦い方が違い過ぎるのだ!」

 

心操の“個性”は口田の“個性”の「他の生物を操る能力」と同様に、「人間を含めた意思ある存在」を操る事が出来るが、心操の“個性”は口田の“個性”と違い、「一定以上の外部からの刺激によって、洗脳が解除される」と言う弱点を抱えている。

そして、この外部からの刺激には精神的なものも含まれており、イナゴ怪人達はバッタの持つテレパシー能力によって常にお互いを刺激し合い、心操の“個性”を無力化する事ができるのだ。ただし、コレで解除出来る事を前もって知っていた訳では無く、無力化できたのは全くの偶然である。

 

「BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU! BGAU!」

 

「「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」」」」

 

そして再び繰り出されるモグラ叩きの様な巨馬の攻撃を、死に物狂いで回避する鉄哲チーム。その光景に多くの選手が絶望のどん底に叩き落とされる中、戦意が衰える所か更に熱く滾らせている男がいた。

 

「そいつを……寄こせぇえええええええええええええええええええええええッ!!」

 

その男の名は、爆豪勝己。怪人バッタ男の打倒を目的とする一人であり、A組の中でも戦闘力・精神力共にトップクラスの強者である。

 

「オラァッ!! テメェ、いい加減に、俺の相手をしやがれぇえええええええええええ!!」

 

「貴様か……ええーーーーいッ、五月蠅い蠅めッ!!」

 

「ウゴオオオオオオオオオッ!?」

 

巨馬の至る所を『爆破』で攻撃しながら、テクニカルな動きで背中のイナゴ怪人2号に迫る爆豪。それをイナゴ怪人2号は、それこそ顔にたかる蠅を追い払うような動作で、接近する爆豪を弾き飛ばす。

スタジアムの壁に向かって飛ばされた爆豪。しかし、爆豪はスタジアムの壁に激突する寸前、瀬呂のテープによって回収され、何とか元の位置に戻る事が出来た。

 

「跳ぶ時は言えって! つーか無茶だろ! アレは!」

 

「……いいや、まだだ!!! もう一度、攻める!!!」

 

「はぁ!? お前、マジで言ってんのか!?」

 

「無理だって! 全然効いてなかったじゃん!!」

 

「ああ、生半可な攻撃じゃ通らねぇのは分かった! なら最大威力で一気に殺るしかねぇ! だが、俺一人じゃ踏ん張りが利かねぇ! だからお前等も一緒に行け!! 奴から俺達のポイントを取り返して、1000万に行くッ! このデカブツを倒せねぇで、シンの奴に勝てる訳がねぇんだッ!!」

 

「「「!!」」」

 

爆豪の揺るぎない、絶対的な勝利への渇望。それは彼とチームを組んだ三人にも伝播し、彼等の心に闘志を湧かせるに至った。

 

「しょうゆ顔はテープ! 黒目は進行方向に弱め溶解液!」

 

「瀬呂な、っと!」

 

「あ・し・ど・み・な!」

 

「……くだらない事を。お前達が何をしようと、結果は何も変わっていないぞ……。この怪人軍団の勝利と言う結果はなああーーーーーーーーッ!!!」

 

鉄哲チームを含めた多くのチームが逃げ惑う中、果敢にも自分に向かってくる爆豪チームに、イナゴ怪人2号は狙いを変えた。そして巨馬の口による頭上からの攻撃を、爆豪チームの面々は芦戸の『酸』による摩擦の軽減と、瀬呂の『テープ』と爆豪の『爆破』による加速で巧みにかわし、黒馬の足下にたどり着く。

 

「切島ぁ!! 歯ぁ、食いしばれぇ!!」

 

「おっしゃああああああああああああああああああああああッッ!!」

 

そして、スピードが最高速度に到達した瞬間、全身を硬化した切島が、黒馬の左前足に頭から突っ込んだ。十分な加速が加わった事で、硬化した切島は一本の巨大な槍の穂先と化し、黒馬の左前足を完全に破壊した。

 

「GUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「ッッ……うおっしゃあああああああああああああああああああああッ!!」

 

「ッ!! 調子に乗るんじゃあ無いぞッ! この虫けらがぁああああああああッ!!」

 

「「「鏡を見て言えッ!!」」」

 

左前足を破壊され、バランスを崩して体勢が崩れることを恐れたのか、イナゴ怪人2号は巨馬を後ろ足だけで立ち上がらせた。立ち上がったことで、その巨大が尚更大きく感じられ、尋常では無い威圧感を発している。

 

「切島ぁ! もう一発だ!!」

 

「おうッ!!」

 

そこで爆豪は、切島に硬化した体で、左後ろ足に体当たりを仕掛ける様に指示を出す。しかし、他の三人の“個性”による補助があるとは言え、先程よりも距離が短いせいで加速が不十分であり、それだけでは巨馬の体勢を崩す事は不可能である。

 

――そう、鉄哲チームの塩崎が繰り出した茨のツルが巨馬の左後ろ足に巻き付き、切島の進行方向に向かって引っ張る力が加わっていなかったなら!

 

「ウォルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

「RUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!! な、何ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!?」

 

遂に体勢を崩し、地面に倒れる巨馬。その衝撃でスタジアムが大きく揺れ、多くのチームが足を止める。

しかし、爆豪チームの三人は違う。瀬呂の『テープ』と芦戸の『酸』でスムーズに移動し、爆豪は起き上がろうとする巨馬の頭に狙いを定める。

 

「死ぃいいいねぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッ!!!」

 

爆豪の両腕から掌に向かい、連鎖的に小さな爆発が起こったかと思うと、爆豪の両手から猛烈な爆発と爆炎が放たれ、巨馬の上半身は灼熱と衝撃の奔流に包まれた。

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

激しい閃光と大きな黒煙、そしてイナゴ怪人2号の絶叫が収まった時、巨馬の頭は完全に消失し、残された巨体は大量のミュータントバッタの死骸に変化し、スタジアムに黒焦げになったミュータントバッタの死骸の雨が降り注ぐ。

 

「おっし! 鉢巻きゲット!!」

 

『うおおおおおおおお!! 信じられねぇえええええええええええええええええええッ!! 爆豪チームッ! 巨大イナゴ怪獣を、完・全・撃・破ぁあああああああああああ!! 鉢巻きを4本奪取で、2位に浮上したぁーーーーーーーーーッ!! 喜べマスメディア! お前等好みの展開だぁーーーーーーーッ!!』

 

瀬呂がテープで鉢巻きを確保すると、興奮した様子のプレゼント・マイクに呼応するかのように、観客席が歓声に湧く。しかし、今の爆豪にとって、そんな物は只の騒音と変わりは無かった。

 

「次ッ!! デクとシンと、轟ん所だッ!!」

 

「フハハハハハッ! そうはイカン! 次はこのイナゴ怪人V3が、貴様の相手だッ!」

 

「!! クッッッソがぁあああああああああああああああああああああああああッ!!!」

 

この時点で残り約20秒。この雄英体育祭で「完膚なきまでの1位」を望む爆豪の辞書に、「妥協」と「諦め」の文字は存在しない。

 

爆豪は理想を目指す為、イナゴ怪人V3との戦いに挑んだ。

 

 

○○○

 

 

『さあさあ、時間ももうあと僅かッ! カウントいくぜ、エヴィバディセイヘイ!』

 

実況のプレゼント・マイクが、遂に競技終了を告げる10カウントに入った。残り10秒を切ったが、俺はまだ諦める訳にはいかねぇ!!  

 

「フハハハハッ! ここで間髪入れず、最後の攻撃だッ! これより終了時間10秒以内にッ! 貴様とのカタをつけるッ!!」

 

「「「「「SYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」」」」」

 

飯田はレシプロの影響で“個性”が使えねぇが、それでも近づかなきゃ緑谷から1000万は奪えねぇ! そう思う俺が飯田に指示を出そうとしたその時、地下から5体のイナゴ怪人が飛び出し、飯田達三人に掴み掛かって、身動きが取れないようにしやがった。

 

「何!? 地面からだと!? 一体どうやって!?」

 

「この氷の檻の外で、2号が暴れ回っていた時だ! 多くの者が2号に目を奪われたお陰で、我々は誰にも気づかれること無く地面に穴を掘り、この瞬間をずっと待つ事が出来たのだッ!! 更に、2号の復活に必要な分のミュータントバッタも用意しておいたッ!」

 

「ッ!! 上鳴! 八百万!」

 

「! ええッ!」

 

「ヴヴヴ、ヴェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイッッ!!!」

 

もうなりふり構っていられねぇ! 飯田は足が使えねぇし、この状態で氷結を使えば逆に身動きがとれなくなる。コイツ等を振り解くには、上鳴の放電で一気に吹き飛ばすしかねぇ!! だが……。

 

「……フッ、緩い電気だな」

 

「何……!?」

 

吹き飛ばせない!? 今の上鳴の放電は、消耗こそしているが決して弱くは無い。だが、イナゴ怪人達は上鳴の放電を全く意に介さず、それどころか拘束する力がますます強まっている!

 

「何故だ!? どうして吹き飛ばせない!?」

 

「……へっ、そんな事、俺が知るか」

 

「そしてぇえええええええ!! 虫汁、ブッシャーーーーーーーッ!!」

 

「ぬううっ!?」

 

「どうだ! このイナゴジュースの目つぶしの味はッ! 勝ったッ!! 死ねぃッ!!」

 

俺はイナゴ怪人の目つぶしを諸に食らい、目を開ける事が出来なくなった。それでもイナゴ怪人が俺の持ち点を奪うべく、猛然と迫っている事だけは分かる。だが、目の見ないこの状況では、イナゴ怪人が何処から来るのか分からない。

 

そんな暗闇の極限の中で、俺は――。

 

「轟君! 左だぁあああああああああッ!!」

 

「ッ!! ウオオオオオオオオオオオッ!!」

 

飯田の言葉に咄嗟に反応し、自分の左側を思いっきり“左手”で薙いだ。

 

「うぐおおおああああ!? なああににィィイイイッ!」

 

そう、左手で俺はイナゴ怪人をなぎ払った。絶対に使わないと決めていた『熱【ひだり】』で。持ち点を守る為に……思わず『熱【ひだり】』を使っちまったッ!!

 

「こ……コイツ……、本当は……使えるッ!! 左を使わなかったのは、使わないと思わせて……、俺を、十分に引きつける為の……フェイクだったとはッ!! ウヌヌ……! ウグァアアアッ!!」

 

涙で目潰しが洗い流され、ゆっくりと目を開けると、そこには炎に包まれたイナゴ怪人が、苦痛の叫びを上げて燃えていた。そして、イナゴ怪人が燃え尽きたと同時に、プレゼント・マイクのカウント・ダウンが終わった。

 

『TIME UP!』

 

「……ッ!」

 

……終わった。相性で勝っていた相手に、一度は勝った相手に。勝利への執念に圧倒されて、敗北した……ッ!

 

だが、それ以上にこの時の俺の頭を占めていたのは、左を使わなければ切り抜けられない状況に追い込まれ、完全に親父の言う通りになっちまっていた事。

 

そして、「決して使わないと誓った『熱【ひだり】』を使った」と言う事実が、俺の心に重くのしかかっていた。

 

 

●●●

 

 

二転三転と結果が目まぐるしく変わった第二種目が終了し、早速最終種目に進出する上位4チームがプレゼント・マイクの実況で発表される。1位は勿論……。

 

『さあ、早速上位4チーム、見てみようかぁ! まずは1位、緑谷チームッ!!』

 

「「「「「「「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!」」」」」」」

 

第一種目に続き、第二種目も1位通過と言う文句なしの戦績に、イナゴ怪人達が勝利の雄叫びを上げる。だが、会場内からは拍手や歓声が起きる気配は無く、何というか全体的に「ざわ……ざわ……」している。

 

『2位、爆豪チームッ!!』

 

『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

そして2位が発表された途端、爆発するかのように巻き起こる観客席からの拍手と喝采。

 

……アレ? おかしいな? 俺達が1位だよね? 何で2位の方が盛り上がってんの? まあ、理由は何となく分かるケド。

 

「何故だ!? 普通なら開会式から活躍しまくっている王にこそ、拍手や喝采があって然るべきではないのかッ!?」

 

……いや、何故って、そりゃあ……アレだろ。勝己のチームが、巨大怪獣と化した2号をド派手な必殺技で倒したからだろ。

しかし、俺とは別ベクトルで普段からヴィラン染みている勝己が、まるでスーパーヒーローの様に拍手や喝采の雨を浴びているのを見ると、何でか知らないが違和感がスゴイ。

 

『3位、鉄て……アレェ!? オイ、心操チーム!? 何時の間に逆転してたんだよ!?』

 

心操チーム? ああ、尾白と青山がいるチームか。

 

確かイナゴ怪人の情報では、騎手である普通科の心操とか言う奴は、第一種目で「他の生徒に神輿の様に担がれていた」らしく、それを試合前に聞いた出久は「人を操る事が出来る精神系の“個性”では無いか?」と推測していたのだが、イナゴ怪人2号の報告によると、どうやら奴の“個性”は洗脳の能力らしい。午後の本戦で当った時は気をつけなければなるまい。

 

『4位、轟チームッ!! 以上4組が最終種目へ……進出だあああーーーーーーーーーーーーッ!!』

 

そして最後は轟チーム。しかし、此方も凄ぇ歓声だ。何となく黄色い歓声の比率が高いような気がするのだが……まあ、気のせいだろう。いや、気のせいだと信じたい。

 

「……HAAHHHHHHHHHHH」

 

「うん。あっちゃん。お疲れ様」

 

「本当、シン君頑張ったよね。色んな意味で」

 

「VOW」

 

かくして、雄英体育祭の午前の部は、コレで全て終了した。この予選で失ったモノは多く、そして大きかった事を後悔する日が必ずやってくる様な気がするが、何はともあれ本戦へ進出する事に成功したのだ。今はその事を素直に喜ぼう。

 

そう心の中で自分に言い聞かせたその時、絹を裂くような複数の女の悲鳴が聞こえてきた。

 

「「「「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」

 

何事かと思い、声のする方向を見ると……何と言うことだ。俺に絡んできたB組の「にせ怪人バッタ男」こと物間が元に戻っていて、全裸で大の字に倒れているでは無いか!

 

「……ん? ここは一体……って! うわああああああああああああああああああっ!!」

 

そして意識が戻った物間は、自分が全裸である事を自覚すると、思わず股間を両手で隠した。しかし、ここでB組の豚が、またもや意味不明な言動を口走ったことで悲劇が巻き起こる。

 

「こ、この場所で大胆にも刀を抜くとは、この狼藉者ッ!! 出合え!! 出合え!!」

 

「「オオオオオオオオオッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるぅうううううッ!!」」

 

訳の分からん豚の台詞に、どう言う訳かイナゴ怪人1号と2号が反応し、物間に襲いかかって両腕を拘束すると、物間の股間が再び公衆の面前に晒される。

 

「物間寧人、乱心ッ!! 各々方、出合え!! 出合え!!」

 

「「「「「SYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」」」」」

 

そして更にヒートアップする豚の戯れ言に、何故か他のイナゴ怪人達も協力する。イナゴ怪人達は物間の股間をスタジアムの観客全員に晒すつもりなのか、物間を仰向けにして、まるで胴上げの様な形で拘束した。

 

「お、おいいい!! ちょっと、お前等、何をしているんだぁああああああ!! これじゃ、隠せないだろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「「「「「「「物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!! 物間殿ッ!! 殿中でござるッ!!」」」」」」」

 

必死の形相でイナゴ怪人達に抗議をする物間。しかし、イナゴ怪人共は壊れたテープレコーダーのように「殿中でござる」を繰り返し、物間の言う事を完全に無視すると、スタジアムの外に通じる廊下に向かってゾロゾロと動き始めた。

 

「ちょ、ちょっとおおおおおおおお!! 離してくれよおおおおおおおおッ! 止めてくれえええええええええええッ! 何すんだよおおおおおおおおおおッ!! 頼むからせめてパンツを履かせてくれよぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

そして、物間は全裸で拘束されたままスタジアムを後にし、物間の絶叫がスタジアムに続く廊下から木霊する。その謎の光景に、スタジアムは完全に静まりかえっている。

 

『………ええっと……1時間ほど昼休憩挟んでから、午後の部だぜ! じゃあなっ!』

 

うん。流石のプレゼント・マイクも言葉に詰まる光景だった為か、まるで何も無かったかのようにするのが精一杯だったらしい。まあ、気持ちは分かるが。

 

それにしても、イナゴ怪人共は何故、あの豚の言う事を聞いたのだろうか? そして俺も何故、あの豚の言う事を聞かなくちゃいけない様な気がしたのだろうか?

 

そしてそれ以上に不思議なのが、それがあの豚の“個性”だとすれば、なんであの豚は試合中にコレを使わなかったのかと言うこと。イマイチよく分からんが、あの豚には今後警戒が必要かも知れない。

 

……まあ、とりあえず昼食だ、験担ぎの意味も含めて、今日はカツカレーにしよう。

 

「……呉島、緑谷。ちょっと話がある」

 

「え?」

 

「AAA?」

 

そんな事を考えていたら、轟が神妙な面持ちで俺と出久に話しかけてきた。

 

どうやら俺と出久には、まだ何か一波乱があるらしい。

 

 

○○○

 

 

所変わって、何時の間にか心操チームに逆転されていた鉄哲チームの面々。第二種目が終わった今、彼等は非常に困惑していた。

 

「……何が起きたんだ? 何時の間にか0Pで終わってた上に、何かA組の連中から感謝されたんだが……」

 

「ええ、何故か私達が、あの巨大なアポリオンを倒す為に、彼等に協力していた事になっていましたわ……」

 

彼等の表情は暗く固い。それもそうだろう。気がついたら上位から転落していた挙げ句、何故か爆豪チームに協力して、怪獣と化したイナゴ怪人を共に倒した事になっていたのだ。

 

「納得いかねぇえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

「……フッ」

 

まるで訳が分からない。そんな不満をぶちまけるように、鉄哲は一人スタジアムで叫ぶ。

それを横目で見る心操の胸中には、誰にも知られる事の無い、彼だけが知っている大金星が燦然と輝いていた。




キャラクタァ~紹介&解説

緑谷チーム
 ジョジョネタオンパレードによって最も忙しいチーム。ギャングのボスだったり、不良少年だったり、不死身の吸血鬼だったりする怪人や、言葉で無く心で理解する無重力ガールがいるが、肝心の原作主人公にジョジョネタが振られないと言う悲劇。……発目? 後ろの方でベイビーを相手に、カビのお医者さん(外道)とそのペット(外道)みたいな事してますが、何か?

爆豪チーム
 ある意味イナゴ怪人によって救済されたと言えるチーム。特に下記の「巨大ローカスト・ホース」を撃破した甲斐あって、この騎馬戦では完全にヒーローとなっている。
 実はこの世界で適当につけた第一種目の順位で、このチームメンバーの持ち点を計算した結果、なんと合計で「555」だったと言う奇跡が起こり、この展開を思いついたと言う経緯がある。

心操チーム
 タイミングを見計らい、巨大ローカスト・ホースを操るイナゴ怪人2号に挑むも、イナゴ怪人の特性によって、“個性”をあっさりと無力化される。しかし、この後で鉄哲チームの面々を“個性”によって洗脳し、ポイントを全て奪った上でイナゴ怪人2号にぶつけ、一矢報いることに成功する。
 実は元々は口田と同様のタイミングで活躍の場を与えていたのだが、それだとそれぞれの見せ場が曖昧になってしまうので、前半戦と後半戦でそれぞれに見せ場を作る形を取った次第。そして「誰も知らない自分だけの勲章」って、何か良いと思うのは作者だけだろうか?

拳藤チーム
 轟に凍らされたお陰で難を逃れたチーム。しかし、「にせ怪人バッタ男」から人間に戻った物間の全裸を目撃してしまい、ある意味では不幸な目に遭ったチームとも言える。ちなみに、ぶりぶりざえもんとイナゴ怪人の、どこか『忠臣蔵』を面白可笑しくした様なやり取りには、終始唖然としていたりする。

イレイザー・ヘッド&プレゼント・マイク
 原作の解説コンビ。相澤先生に関しては、『アマゾンズ』の鷹山仁の台詞をどうしても言わせてみたかった次第。そして作者はこのコンビを書いてみて「やっぱりプレゼント・マイクをイナゴ怪人に乗っ取らせようか?」と、今後の展開を改めて考えている。

巨大ローカスト・ホース
 イナゴ怪人をベースに大量のミュータントバッタで構成された怪獣レベルの大きさを誇る黒馬。元ネタは劇場版『鎧武』の「サッカー大決戦! 黄金の果実争奪杯!」で、仮面ライダーマルスが操る「炎の馬」。流石に現時点では「炎の馬」の再現は不可能。
 そして『555』の「パラダイス・ロスト」の要素を取り入れた結果、勝己のフォトンバスター(ディケイド・バージョン)的な最大威力の爆撃によって敗北。まあ、今回は中ボスのポジだから仕方ない。



巨大ローカスト・ホース+イナゴ怪人2号VS爆豪チーム&鉄哲チーム
 内容としては、劇場版『鎧武』の「サッカー大決戦! 黄金の果実争奪杯!」と、劇場版『555』の「パラダイス・ロスト」におけるファイズVSエラスモテリウムオルフェノク戦をベースに、他のライダー作品の巨大戦をチラホラと入れた感じ。まあ、相手が馬なので、『555』的には木場勇治が巨大化した様な印象を受けるかも知れない。まあ、狙われた側である鉄哲チームにしてみれば、巨大なパックマンに襲われたような心境だっただろうが……。

イナゴ怪人を食らうシンさん
 元ネタは『555』のアークオルフェノク。「オルフェノクは人類の進化形」という設定なので、何とかバッタがモチーフのアークオルフェノクをネタとして使いたかった作者によって、超弩級のトラウマ映像がヒロアカ世界の全国のお茶の間に流されることになる。コレを見た大半の人間が、「北崎さんがアークオルフェノクに捕食されるのを見た琢磨君」みたいになったのは言うまでも無い。

物間寧人乱心
 元ネタは『クレしん』の「クレヨン大忠臣蔵」。ぶっちゃけ、シンさんが懸念していた事は、すべて神谷ことぶりぶりざえもんの“個性”である「ギャグ補正」の仕業。また「ギャグ補正」の恩恵により、イナゴ怪人アマゾンは流暢な日本語を喋る事ができていた。

鉢巻
 作者的に地味に凄い技術で作られていそうなのが、騎馬戦で使用された鉢巻。考えてみれば爆豪や轟の様に、物を燃やしたり破壊したりする“個性”に対して、学校側が何も考慮していないとは思えないので、非常に高い耐火性や耐久性を備えていると考えられる。だから爆豪の『爆破』の最大出力にも耐えられる筈……と思っているのですが、どうでしょう?。

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