君たち。のその先は?   作:あず。

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ついに赤いタグが付きました。
『5』にしようか『8』にしようか……
結構迷いましたが、とりあえず『5』にしてみました。
本当にそうでしょうか?分かりません。もしかしたら変わるかもしれません。
それでは本編をお楽しみに。


さて、ブラックコーヒーや無糖紅茶が手元にある方。
準備は良いでしょうか?読み終わったらどのような味になっているでしょうか?
殴る壁が手元にない方。
もし何かを破壊してしまっても、私は責任がとれません。お気をつけください。

それでは、どうぞお楽しみいただければ幸いです。

あず。














11話

「みつは……」

 

「たきくん……」

 

涙はとうに過ぎ去った。

残ったのは、ただ、暖かい感情と、激情。

ひとつひとつ、まずは確認作業からはじめよう。

 

「すきだよ。みつは」

 

「わたしも、きみがすき、たきくん」

 

 

―俺と彼女の、最初の夜。

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

また一つ、確認して、少し距離が縮まった。

俺は本当の距離も縮めたくて、スッと腰を上げ、クッションを持ち、三葉の横にそれを置き座る。

先程のように身体が動いているのではない、心が俺の全てを支配している。

 

「みつは」

 

「たきくん」

 

じっと目が会う。三葉の目は潤んでいる。

次の言葉を、はやく、はやくと要求している。

 

「みつは、すきだよ。さっきより」

 

「わたしも、すき。5秒前よりすき」

 

また縮まった。

熱はリミッターを知らないみたいにぐんぐんと上昇し続けていて、

もう上着なんか着ていられない。

それでも三葉から目を離したくなくて、見つめたまま上着だけを脱ぐ。

続けてネクタイも外し、粗暴に邪魔なそれらを後ろに置いた。

手を伸ばして、宝物に触るように三葉の髪の毛を一撫で。

 

「んっ……」

 

まるで猫のように、極上の快感に耐えるように、くぐもった声をあげる目の前の存在。

可憐さを強調する赤いリボンに寄り道をしたりもして、

数度後ろ髪を右手が往復する。

 

「みつは、すきだよ、みつは」

 

「たき……くぅぅん」

 

一声かけると、次は犬のように甘えた声をあげる。また縮まった。

身体の距離を詰め、右手の脇が三葉の左手にまで触れるほど。

大好きな三葉の胸が、少しだけ俺の胸に当たる。

男にはない柔らかい感触に、一層の激情が湧き上がってくる。

右手はいよいよ後ろ髪ではなく、三葉の右側面にまで届くようになる。

サイドの髪をなぞって、先程と同じく後ろ髪をなぞる。

 

「ひゃんっ!」

 

数度なぞって、耳に寄り道したところで耐えられなかったのか、子犬は驚きの声を上げた。

 

「たきくぅん~~」

 

潤んだ目に、少しだけ抗議の目。

そこで、すきだよ、みつは、とまた囁くと、

 

「わたしもすき。4秒前よりすき」

 

1秒減った。距離はまた縮まった。

俺に対抗するように、三葉も俺の髪を撫ではじめた。

男の髪は三葉のそれよりもずっと短いから、耳元にも、首筋にも簡単にたどり着く。

んんっ、これは。

 

「みっ……つ、は」

 

気持ちいい。凄く気持ちいい。

 

「たきくんは、子犬ちゃんみたいやねぇ」

 

ふふっと笑って、面白い存在を見つけたみたいに、同じルートを通らないように撫でる。

 

「みつはも、さっき子犬みたいだった」

 

「じゃあ私たち、おんなじやねぇ」

 

さわさわ、さわさわ。

目を離さないように、2匹でお互いを撫で続ける。

 

「みつは」

 

「すき。3秒前よりすき」

 

ゼロに近くなる。

今の状態では、もう距離が遠すぎる。

 

「みつは、ベッドに、座りたい」

 

「うん、わたしも」

 

二人で見つめあったまま、腰を上げ、後ろのベッドに腰をかける。

ギシッ、とスプリングが音をあげ、マットが深く沈み込む。

その分だけ、数cmも距離を稼げる。

先程と同じように髪を撫であって、ふとももが触れて熱が伝わる。

不意に、俺の指はリボンに引っかかり、そのまま指を流すと、するっとそれは解けた。

バサッ、と三葉の髪は抵抗を失い、解き放たれる。

リボンは俺の指に絡みついたままだ。

 

「あっ」

 

不意の出来事に、思わず声が漏れる。

 

「たきくぅん―」

 

俺は意に介さずと、リボンを絡めたまま同じように撫で続ける。

見たことがない、髪を下ろした三葉に俺の激情はまた刺激された。

 

「くぅみひもがぁ―」

 

「くみひも?」

 

三葉の左手が俺の右手のリボン―くみひも―に伸び、スリルとそれを抜き取った。

今の自分よりも三葉の思考を奪う存在に、嫉妬を感じてしまう。

 

「これは大事なものやから、ちょっとここに置いとくよ」

 

目の前のテーブルに丁寧に畳んで、再び視線を戻してくれる。

目は相変わらず潤んでいる。

大事なもの、俺よりもか。

ウズウズと黒い感情すら湧き上がり、ふと、白くて、柔らかいほっぺに視線が釘付けになる。

ああ……

 

―ちゅ。

 

「くぅぅん」

 

子犬の手が止まり声が上がるが、意に介さない。

一度口付けると、離すのがもったいなくて、そのままほっぺを唇でなぞる。

その度に何度か、んんっ、と声が上がって、唇を一度離す。

 

「すきだよ」

 

「2秒前よりすぅきぃ」

 

そうしてまたゼロに近くなる。

髪をなぞるよりほっぺのほうが距離が近い。

俺と同様に、三葉も、ほっぺに唇をなぞらせる。

三葉の唇の感触に、俺も、んんっ、とくぐもった声をあげた。

 

「子犬ちゃん……」

 

その反応が可愛らしかったのか、また俺も子犬に見えたようだ。

少し、会話をしたくなる。

 

「じゃあ、俺達は子犬同士だなぁ」

 

唇を離し、見つめて一言。三葉の目は潤んでいる。

 

「犬でも、猫でもなんでもええよ。この時間が続くなら―」

 

再び三葉が少し倒れ込むように、俺の頬に唇を付ける。

そのまま倒れ込まないように、三葉を支え負けずに俺も、三葉のほっぺに唇を。

 

―ちゅ。ちゅ。ちゅ。ちゅ。しゅ。しゅ。ちゅ。ちゅ。

 

ほっぺに触れる音と、服が触れて衣擦れがする音だけが響く。

俺は次の段階としてほっぺから顔を下げて、首筋にちゅっ。

自然と三葉の顔が俺の上になって、三葉は耳にちゅ。

こんな宝物に、アザをつけてなるものか。

軽く、吸わないようにちゅ。ちゅ。と数度。

また一言声に出したくなる。

 

「すき」

 

「1秒前より」

 

距離が縮まる。吐き出す言葉も少なくなる。

頭を動かし、唇をつけたまま、俺は横の首筋から前側に、そして顎に。

三葉は耳から額に、鼻筋に。段々と、目的地に近づく。

目的地の前に、言葉を紡がないといけない。

 

「す」

 

「ゼロ」

 

言葉を言い終わる前に、カウントゼロ。

しかし今度は、三葉は待っている。目を瞑って。

ドクンドクン、と抑えられない高鳴りを感じる。

でももう迷いは微塵もなかった。

引かれるように、俺の唇は、三葉の唇に。

 

―ちゅ。

 

その音と、感触を俺は一生忘れないと深く、ふかく誓う。

三葉もそうだと思って欲しい。

唇を離し、三葉を見つめた。三葉の目もゆっくりと開かれる。

 

「忘れないよ。たきくん」

 

想いが言葉を越える瞬間を、俺は確かに目の前にする。

なんで、人は、こんなにも、こんなにも上手く出来ているのだろう。

だからお返しも言葉ではなくていいと思えた。

再び、キス。

苦しくならないように、離して、繋がって、また離して、また繋がって。

もう一度離した所で無くなったはずの距離は、まだ縮めれる気がした。

 

「みつは、上がろう?」

 

「はい」

 

意図を察してくれたのか、少し覚悟も含んだ返答。

隣同士になっていた体制から、ベッドに上がって今度は向かい合う体制に。

俺はまたあの感触を味わいたくて、再び唇を近づけた。

今度はただ重ねるだけではなく、少し動かして、様々な感触を楽しむように。

すぅ、と三葉の呼吸の音と、三葉の匂いが俺を刺激する。

身を任せてくれる三葉の唇に、傷つけないように優しく、でも自分を刻むように重ね続ける。

そうして一度離れる。

 

「すきだよ。みつは」

 

「すき」

 

何度確かめたって飽きないやりとり。

再び俺は唇を近づけて、次にちょっと口を開いて舌を唇に触れさせた。

ビクリっ、と三葉が揺れる。それは拒否ではないと確信。

右手を背中に回し、カーディガン越しに三葉を擦り、チロチロと舌で唇を周回した。

真っ白な子犬達が、少しずつ毛に色を持つように、その行動も大胆に。

何周かして、少しずつ扉が開く。

でも滑り込ませない。

今度は左手を右手と同じく背中に回し、両手で擦る。

抱き合うような格好になって、突如舌先に新しい感触を感じる。三葉のそれと触れ合う。

止まらない、止まりようがない。

舌先と舌先が触れて、離れて、唇にいたずらをして、また触れて、離れて。

顎に唾液を一筋感じると、顔を離した。

 

「わたしも―」

 

と一言三葉が断り、少し距離が空いて仰け反って、ゆっくりカーディガンを脱ぎ捨てようとする。

胸が強調される格好となり胸がドキリと高鳴る。

顔を見ると、両頬が薄っすらと桜がかっていて、ひどく扇情的だ。

んっ、とカーディガンを脱ぎ捨て、

三葉からまた距離を近づけ、左右の手を俺の背中に回してくる。

そこから先程の繰り返し。

触れて、なぞって、触れて、なぞって。

深度は少しずつ深くなっていって、舌の多くが交わうようになる。

酸素がだんだんと足りなくなってきたのか、雰囲気に当てられているのか、頭が回らない。

左手が自然と前に回って、三葉の柔らかなふくらみをトップス越しから、

力を入れないように掴んだ。

 

「みつはぁ」

 

顔は離さず、キスとキスの間に許しを請う。

 

「んんっ、いいよぉ」

 

許しを得た左手はゆっくりと指を動かし、ふくらみの感触を楽しみだした。

掴んで、擦って、揺らして、撫でて。

胸を楽しむと、優しい気持ち、懐かしい気持ち、支配したい気持ち、

複雑な想いが沸き上がってくる。

いくつかの動作で三葉がんんっ、と声を出すが意に介さない。

声を発する場所は二人がそれぞれ支配している。

と、三葉の右手が俺の胸前に伸びてきて、シャツのボタンをひとつずつ外そうとしてきた。

でも唇から溢れる感情のせいなのか、なかなか上手くいかない。

更にポタリと、唾液が落ちる音。

俺はそこで少し冷静を取り戻し、名残惜しいが一度離れる。

あっ、と少し落胆した声が届いた。

 

「ボタン、外してくれる?」

 

三葉の意識を確認するように一言。

 

「うんっ、外したいぃ」

 

三葉の語尾はまだあやふやだ。

でも左手も伸ばして、上からゆっくりと1つ1つボタンを外していく。

シャツがダラリと広がり、肌着が姿を表した。

三葉は肌着に右手の掌をペタペタを上から押し付けて下に進む。

 

「男の人の胸板、凄く厚いね。頼り甲斐がありそう」

 

頼り甲斐のある彼氏になってね、という裏返しなのだろうか?

いやそこまで深い意味はきっとないと思った。

でもそうならなければいけないという覚悟を俺は決める。

こういう時だけ男らしくて、普段はさっきみたいなヘタレだったらそれこそ最悪のクズだ。

 

「女性の胸は、凄く、優しいな。なんでも包んでくれそうだと思った」

 

俺は正直な想いを口にする。

胸に顔を埋めるのが男の夢というのは触っただけでもよくわかった。顔を埋めたい。

 

「そうだよ。男の人が少しぐらいヤンチャでも、ちゃんと包み込めるの。

 だから、ここからのリード、よろしくね」

 

「みつ―」

 

俺は自分が全て言い終える前に、三葉に飛び込んで唇を塞いでしまった。

今度は両手それぞれが三葉のふくらみに手を伸ばす。

三葉は右手で俺の胸を、左手で耳から首筋を通り背中を撫でた。

唇、ふくらみ、耳、首筋、それぞれへの触れ合いは一層激しくなる。

まだ縮める、距離はある。

俺は決意を抱き、左手を三葉の背中に、右手を頭に回して、ゆっくり、三葉を、押し倒した。

トサッ、という音のあと、ふわりと三葉の髪は広がり、潤んだ瞳から目が離せない。

 

「……」「……」

 

三葉は俺の言葉を、行動を待ってくれているのだろう。

期待に、答えないと。

 

「(そうだ、避妊具……)」

 

現実に直面し、大事な物の存在にぶち当たる。

考えてもいなかった状況だから、俺はそれを持っていない。

 

「ゴメン」

 

俺はまず一言謝りの言葉を発した。

 

「えっ?」

 

状況が状況だ。三葉から明らかに動揺が漏れる。

またヘタを踏んだが、でもこれは必要な確認作業だ。恥ずかしいけれど聞くしかない。

 

「俺、コンドーム持ってない……」

 

「あっ……」

 

三葉の桜色の頬が、急激に赤くなる。

流れる間、冷える空気。

俺は三葉のこれからの返答に対して、返しをほとんど決めていた。

決めていない一つの可能性は、三葉の尊厳にかけて考えないことにする。

それは男の役目だから。

三葉の目線は少し宙を彷徨い、答えを決めたのか、ふっと笑った。

 

「ええよ―」

 

「今日は、そのままで、ええよ。大丈夫やから。安全な日やから」

 

『想定の中』にあった答えに俺は少し安堵した。

でもそれは最も覚悟を決めなければいけない返答を俺に強いることになる。

 

「みつは……」

 

押し倒された三葉、馬乗りになる俺。

そろりと左手を伸ばして、頬を数度擦る。

くすぐったそうに、三葉は目を瞑って、俺に全てを任せてくれる。

すぅ、と息を吸って、吐いて、言葉を始める。

 

「みつは、今から言う言葉に一切の嘘はないから。俺自身の全存在にかけて誓うよ」

 

この言葉は三葉の予想外だったのか、目が薄っすらと開いた。

手を三葉の頬に当てたまま、言葉を続ける。

 

「みつは、俺はみつはが好きだ。大好きだ。誰よりも、何よりも、どんな存在よりも好きだ」

 

だから、

 

「なによりも大切だ。出会って3日だけど、なによりも、なによりも、大切だから」

 

代えがたい宝物だから―

 

 

「だから、『明日』、みつはの全てを手に入れたい」

 

 

「……たきくん」

 

三葉は目をはっきりと開けて、少しの間のあと一言。

ほっぺを触る左手、ただ三葉に繋がる一つの導線から、

言葉に乗り切れない全ての想いが届くように、少しだけ力を込める。

 

「みつはの全てを明日、俺が奪いたい。いや、奪う」

 

「みつはを信じてないわけじゃない。

 何があっても、どんな可能性も、どんな未来もみつはとなら歩みたい。いや、歩む」

 

「それでも、明日にしたい」

 

今日は出来ないという想いじゃない、明日奪いたいという想い。

屁理屈でも逆説的でも何とでも呼べばいい。

宝物を、ただ綺麗なまま飾っておくなんてワガママじゃない。

宝物に、無遠慮に、無思慮に、名前を刻み込みたいというワガママ。

精一杯に、言葉に想いを、繋がる手に想いを、目に想いをしっかりと乗せて伝える。

 

「……」「……」

 

伝える心、読み取ろうとする心。

ただ静寂に、二人の想いだけが何度も行き来する。

幾らかの時間がたったのか、見当もつかない。

 

「わかった」

 

先にふっと、笑ったのは三葉だった。

 

「私も、たきくんが誰よりも、何よりも、どんな存在よりもすき。大好き」

 

優しい目をして、三葉も左手を俺のほっぺに押し当てて、言葉を紡ぐ。

 

「何よりもたきくんが大切です。出会って3日だけど、もうあなたがどんなものよりも大切です」

 

「だから―」

 

 

「『明日』、私の全てを、捧げます」

 

 

「みつは……」

 

神さまありがとうございます。

こんな素敵な彼女に出会わせてくれて、ありがとうございます。

全生命、全生涯、全存在を賭けて、守り抜きます。共に歩みます。

ほっぺに当てていた左手を三葉の腰に回した。

続いて倒れ込まないように、右手で三葉の頭を支え、三葉を持ち上げる。

また二人で正対する。少しの間。

それを破ったのは三葉だった。

 

「たきくん」

 

三葉は一言、俺の名前を読んで、右手で胸をペタペタと擦り、一言。

 

「たきくん、すっごくかっこ悪いよ」

 

えっ、

 

「ウソ―」

 

そこで前からの圧力、俺はトサりと押し倒される。

今度は先程と逆の形となって、三葉を見上げる。

三葉の頬は桜色に染まっていて、目は変わらず潤んでいる。

 

「最高にかっこいいよ」

 

―ちゅ。

 

「みちゅはぁ」

 

「すき。すき。すき。すき。すき。すき―」

 

声を漏らしながら、唇を重ね、舌を重ね、想いを重ねる。

そうしてまたじっくりお互いを楽しんで、唇が離れる。

 

「ねぇ、そろそろ寝よっか」

 

ああ、確かにこのまま朝まで続けていたら流石に持たないかも。

明日は今日よりもっともっと熱くなるのだから。

 

「そうだなっ、ってえええ」

 

俺が答えると、三葉がパンツのベルトを緩め始め、少しだけ下着が覗けた。

 

「穿いたままだと暑いし、ほらたきくんも脱いで」

 

「いやいや、いやいやいやっ」

 

「脱がないと、脱がすよ?」

 

すいません自分で脱ぎます。脱がせていただきます。

言葉に出せないまま俺もベルトを緩め、パンツから脚を抜こうとする。

馬乗りになっている三葉も、よいしょと片方ずつ脚を抜いて、素足が露わにする。

引き締まった白い太ももが物凄く扇情的だ。

見惚れていると、ニヤリと三葉に笑われたので俺も急いでパンツを脱ぎ捨てた。

トップス一枚と下着で馬乗りになる三葉、乱れたシャツと肌着と下着一枚の俺。

さっきよりも遥かにおかしい状況になっている。

 

「えいっ」

 

突如三葉の声、柔らかな身体全てが俺に降ってきて、抱きとめる。

脚が絡み合い、胸では2つのやわらかみが潰れて、

鼻からは大好きな匂いがダイレクトに伝わった。

 

「えへへへへ」

 

三葉は顔を上げて、無邪気に笑い、また導かれるようにキス。

寝るどころか、これから本番が始まるかのようだ。

 

「寝るんじゃ―ちゅっ。ないのかよ。―ちゅ」

 

「寝れないよぅ―ちゅっ。たきくん―ちゅっ。すきぃ―ちゅっ」

 

下半身はスリスリと絡み合い、お互いの大事な部分を刺激する。

両手は存在を確かめるように、背中を往復する。

それでも、ここは止めないとマズい。

 

「み―ちゅ。は」

 

踵に力を込め重心を動かし、身体を半回転させ俺と三葉は添い寝をする形となった。

 

「あーしー、た―ちゅ」

 

「はぁーい。―ちゅ」

 

「ははは」

 

「えへへへ」

 

―ちゅ。

 

添い寝をする形となっても、営みは続く。

下半身は相変わらずスリスリとお互いを求め、

他愛のない会話をしながら幾つかのやりとりごとにキス。

ただ、寝転がると眠気も少しずつ襲ってくる。

視界が少しずつ朧気に、呂律も回らなくなる。

三葉もほとんど目が閉じていて、俺達は身体だけが求め合う。

 

「みちゅはぁ。―ちゅ」

 

「たきくぅぅん。―ちゅ」

 

それでも、求め合う。

ああいよいよ目が開けてれない。

ウトウトと意識も持って行かれそうになる。

 

「み、ちゅ。―ちゅ」

 

「た、き。―ちゅ」

 

おやすみなさい、大切な人。

目が覚めても、絶対に、すぐに、会えますように。

 

 

 

 

―ちゅ。

 

 

 

 

 




あず。

です。こんばんわ。まずご挨拶から。
本日―2016年10月4日―は原作『君の名は。』においてとても大切な日です。
そのような日にこうして小説を書くことが出来てとても幸せです。
新海誠監督をはじめとした全ての原作関係者の皆様、
この小説を読んでいただいている読者の皆様に、厚く御礼を申し上げます。

さて、続いて本編について。
迷いました。凄く迷いました。
理由は幾らでも付けれたと思います。付けても問題なかったかもしれません。
でも、出来ませんでした。
この状況を迎えた2人がそうするとは私の中では思えませんでした。
なので、その分の精一杯の思いを込めたつもりです。
また、この夜については全ての描写を1つたりとも飛ばさずに書き抜こうと、
最初から決めていました。
なのでいつもより長くかかってしまいましたが、今はとても爽快な気持ちです。
コーヒーや紅茶、周りの品は大丈夫ですか?壊れていませんか?
壊れるほど読んでいただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
(責任はとれませんが)

それでは、よろしければ次もお付き合いください。

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