いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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交流

「......では、探索者達は中央の部屋に戻ってきました

どうしますか?」

 

俺はシナリオを読みながら、三人の艦娘に尋ねる

 

「私は...毒入りスープを飲みます

飲むしかないという結論になりましたから」

「わ、私も飲みます」

「オレは飲まねえ

代わりに柚子に飲ませる」

 

「いいのですか?

毒入りスープを飲まなくて」

 

「ああ、構わないぜ」

 

「でも、天龍さん...」

 

「化け物が襲いかかってくるだけだろ?

問題ないぜ」

 

「分かりました

では、毒入りスープを飲むのは、奏川 吹雪、照月 茜、古西 柚子の三人でいいですね?」

 

「「「はい!(ああ)」」」

 

三人の艦娘は首を縦に振る

 

「奏川 吹雪、照月 茜はグッと赤く鉄臭い液体を飲む

まだ、その液体は生暖かい

 

POW25の対抗ロールです」

 

コロコロ

奏川 吹雪 74失敗

照月 茜 自動失敗

 

「では、二人は幻覚を見て、呼吸と心拍が激しくなっていき、一分以内に心臓は疲れ果て、即死します」

 

「あが...はぁはぁ...お母...さん...」

「...死にたく...ないよぉ...」

 

二人とも本当に苦しんでいるように聞こえる

俺はRP下手だから、結構羨ましい

 

「スープを全て飲み干し、毒の効果が発生し終えると、吹雪と茜の視界は真っ白に染まり上がります

そして吠えるような声で『勇敢なる者よ!現へと還るがいい!』と言う声が響いてきます

次に目を覚ました時、探索者達は昨夜眠っていた場所で目を覚まし、無事朝を迎えます

あの妙な部屋は何処にもなく、探索者達が夢の中で負った怪我は全て消えています

それどころか、夢の中で死んだ探索者までもが無事に目を覚ますのです」

 

「あれ...さっきのは...夢?」

 

「凄く怖い夢でした...」

 

「GM、部屋に異常はありますか?」

 

吹雪さんが俺に質問する

 

「ないね

強いて言うなら、ベッドは汗でビチャビチャだよ」

 

「ビチャビチャになっちゃった...

後で、洗わないと」

 

「私が洗いに行きます!」

 

「いや、茜は吹雪の住所知らんだろ...

 

んじゃ、次は天路 龍太だね」

 

「おう!」

 

「吹雪と茜の二人がスープを飲むと倒れ、苦しみ出す」

 

「おい、吹雪、茜!」

 

「そして、すぐ息絶える

SANチェック成功1失敗1D10」

 

コロコロ

天路 龍太 76失敗

 

コロコロ

3 残りSAN値49

 

「...くそが...

 

でも、二人は助かったんだよな?」

 

「うん、だけど、探索者は知らないけどね~」

 

「吹雪の言うことを信じて柚子に飲ませるぜ」

 

「了解

 

では、柚子は明らかに怯え震えながらも毒入りスープを飲みます

そして、苦しんで死んでしまいます

 

SANチェック

...そうだな

龍太は結構柚子と関わっているし、成功1失敗1D6かな」

 

コロコロ

59失敗

 

コロコロ

3 残り46

 

「うわ...大丈夫か、これ」

 

「大丈夫、大丈夫、SAN値は40切ってから本番だから

 

さて、天路は何か行動する?」

 

「うーん

一応、22口径ショート・オートマチックを持っておく」

 

「初期値だっけ?」

 

「いや、40%あるぜ」

 

天龍はキャラシを見ながら答える

 

「おけ

んじゃ、チャウグナー・フォーンが活性化し、最初の部屋...つまり天路 龍太がいる部屋に入ってきます」

 

「来いよ

龍太様が相手してやるぜ」

 

「象に良く似た長い鼻、水かきみたいな大きな耳、そして透き通る牙を持つ見たこともない化け物が部屋に入ってくる

SANチェック

成功1D4失敗2D6+1」

 

『え!?』

 

吹雪さんや照月さんだけでなく、TRPGを観戦していた艦娘も驚く

 

「でかいな...」

 

「そりゃ、邪神ですから」

 

コロコロ

84失敗

 

コロコロ

2、2...5 残り41

 

「SAN値が5以上減ったので一時的の狂気になるかどうかのアイデアロール」

 

コロコロ

11成功

 

「こういう時に限って成功するんだよな」

 

「激しく同意だよ」

 

「GMさん、これ短時間にSAN値1/5減少してませんか?」

 

照月さんが指摘する

確かに、天路は1/5減っている

 

「確かに...ということで不定の狂気も追加されたよ、やったね!」

 

「全然嬉しくねぇ...」

 

コロコロ

一時的狂気6 殺人癖、自殺癖

 

コロコロ

不定の狂気10 強迫観念に取り付かれた行動

 

コロコロ

5 5ヶ月程不定の狂気は続く

 

「一時的狂気は殺人癖でいいとして、不定の狂気はどんな感じにする?」

 

「そうだな...

吹雪と茜と柚子を守るというのはどうだ?」

 

「お、それでいいよ!」

 

「俺は...吹雪や茜、柚子を守る!!

食らえっ!」

 

「天龍さん格好いいです!」

 

「本当はDEXは相手の方が早いんだけど、待ち伏せしていたから先でもいいよ」

 

まあ、こんなハンデが無意味な程強いからね

 

「マーシャルアーツキックをするぜ」

 

マーシャルアーツ、キック

31 成功、37 成功

 

ダメージ

6、3、1 10ダメージ

 

「これは効くんじゃないか?」

 

「化け物は、蹴りを気にする素振りも見せません」

 

「天龍さん...」

 

このままだとキャラロストしてしまう、照月さんはそう言いたいのだろう

 

「では、化け物の攻撃だ

 

心臓への攻撃」

 

コロコロ

5 クリティカル

 

「ダメージ二倍で」

 

「じゃあ、回避だな」

 

「いや、回避不能だよ

CON×5をロールして」

 

コロコロ

27 成功

 

「天路は胸が締め付けられる感覚を感じる」

 

「う、うぁ...」

 

「また、CON×5です」

 

コロコロ

55 失敗

 

コロコロ

4、1 5ダメージ 残り8

 

「耐えたぜ!」

 

「天龍さん!」

 

「では、天路 龍太はあまりの胸の痛さで意識を手放してしまう...

気がつくと、昨夜眠っていた場所で目を覚まします」

 

「あ、あれ...?」

 

「それと同時に胸に変な痛みを感じる」

 

「何故か、胸が...

あれは夢ではなかったのか?」

 

「という所でシナリオは終わりです!

お疲れ~」

 

「「「お疲れ様です!(だぜ)」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談等々を終わらせ、解散した

見ていてやりたいと思った子達と明日TRPGをやることを約束したりすると俺は夕食まで部屋でのんびりしようと食堂兼甘味処兼居酒屋兼待機室から出る

 

疲れたし、少し寝ようかな

 

艦娘寮のリビングで、時雨と奈々さんと二人の男性がいた

 

「あ、司令官」

そう言って、手招きするのでそのテーブルの近くまで近づく

 

「どうしたの、時雨?」

 

「命の恩人に、司令官を紹介したかったんだ

 

こちらは今の司令官

とても優しくて、がんばり屋でみんなによく心配されているんだ」

 

「呉第三鎮守府の司令官をしています

犬村 護です、よろしくお願いいたします」

 

「俺は、憲兵隊特殊部署所属、奏川 暦だ

よろしく」

 

「同じく憲兵隊特殊部署所属、平山 信一

よろしくな~」

 

「時雨は、任務遂行する上で助けたんだ

命の恩人と言われる程じゃないけどな

 

ああ、俺らの仕事がそもそも分からないか

普段は普通の憲兵と同じだが、提督の命令により艦娘が憲兵もしくは民間人に被害を及ぼすと判断されたり、艦娘達が反乱や民間人に危害を加えた時、艦娘を鎮圧するのが仕事だ」

 

「鎮圧...?」

 

鎮圧と聞くと嫌な想像をしてしまう

 

「鎮圧と言っても、捕縛するだけだ

その後、場合によっては軍法会議にかけられる事になっている

ま、俺らが出動したのは一回だけだし、軍法会議は行われたことないけどな」

 

平山さんもうんうんと頷いている

 

「そうなんですか!

でも、大変ではないですか?」

 

艤装を展開した艦娘と人間の間には力の差がある

捕縛するのは凄く大変だろう

 

「コツさえ知っていれば余程強い艦娘じゃなきゃ勝てるよ~」

 

「対深海棲艦用の武器は艦娘にも効くしな

 

それより、変な奴に好かれる方がな...」

 

「へ・ん・な人って私の事ですか、お兄ちゃん?」

 

さっきまで、TRPGをしていた吹雪さんが奏川さんに詰め寄る

 

「げ、お前いたのかよ

来ないから用事あると思ってたのに」

 

「さっきまで、犬村さんとTRPGをしていたので」

 

「てか、直ぐ俺を見つけるけど、なんでなんだよ」

 

「それはですね...

対お兄ちゃん用電探を持っているからです」ドヤッ

 

「駄目だ、こいつ...早くなんとかしないと...」

 

うちの吹雪と同じく真面目な印象だったけど、結構フリーダムらしい

でも、二人とも仲が良さそう

 

「あれ?

この子は?」

 

吹雪さんが奈々さんに気が付く

 

「この子はね

僕の鎮守府が保護したんだ

奈々ちゃん、自己紹介して?」

 

「えっと、狩川 奈々です

 

吹雪?お姉ちゃんよろしくお願いします」

 

奈々さんちょっと恥ずかしがりながら挨拶する

 

「俺と同じで、こっちの世界に迷い込んだらしくて

元々横須賀に住んでいたそうで、一緒に連れてきたんです」

 

「そうなのですか...

ですが...」

 

吹雪さんは少し言い辛そうに言葉を濁す

 

「...?」

 

吹雪さんの反応が気になったが、話題が分かってしまったため、尋ねることが出来なかった




最後まで読んで下さりありがとうございます

前半のTRPGが謎のテンションで書いていたら、長くなってしまいました、すみません

余談なのですが、キス島の羅針盤が最終鬼畜ラスボスとして立ち塞がって任務が達成できなくて困ってます
軽巡旗艦にするとボスにたどり着きやすくなるとかあるのですかね?

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