いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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久しぶりの投稿になりました
本格的に時間が取れるようになるのはもう少し後になりそうです...


クリスマス

今日はクリスマスだ

 

俺は食堂のドアを開ける

 

中では、鳳翔、間宮、伊良湖、大和が朝飯の準備をしていた

 

「おはよう」

 

「「「「おはようございます」」」」

 

一言二言言葉を交わすと、俺は食堂を見渡せる席につく

 

ふと、クリスマスツリーを見る、クリスマスツリーには飾り以外に短冊もかかっている

実は艦娘達は12月24日の夜に祝うことは知っていたのだが、その後の一大イベントを誰も知らなかったのである

そもそも、クリスマスの具体的な内容も知らなかった

 

妖精さんからお茶を貰い、お礼を言って一息つく

緑茶の香りと温かさが冷えた身に染みる

 

「......」

 

ガラガラ

 

ドアが開き、菊月が入ってくる

菊月は鳳翔達に挨拶すると俺に気がつく

 

「司令官か...

こんな朝早く...珍しいな...」

 

「目が覚めちゃってな...

菊月は?」

 

「ジョギングだ...

やはり、基礎体力は大切だからな...」

 

「なるほど...

菊月は偉いな!」

 

「なに...皆もやっているから、当たり前のことだ...

それに、姉妹や皆を守るためには、強くならねばならぬしな...」

 

ちょっと顔を赤らめながらも当然という顔で菊月は言う

 

菊月と話をしていると、ドアが開き吹雪が入ってくる

 

「おはようございます!

あの、間宮さん、アレお願いします!」

 

「おはよう、吹雪ちゃん、アレね?

分かりました」

 

吹雪が俺と菊月に気がつく

 

「おはようございます、司令官!

菊月ちゃんもおはよう!」

 

「おはよ、吹雪」

 

「おはよう、吹雪...

 

ところで司令官、あれはなんだ?」

 

菊月はクリスマスツリーの方を指差す

 

クリスマスツリーの下には、大量のラッピングされた箱が置いてある

 

「ん...ああ

あれはメインイベントだよ

みんなが集まるまで楽しみにしていてくれ」

 

首を傾げる二人に俺はニヤリと笑う

 

そこに間宮がやってきて吹雪にマグカップを渡す

 

「吹雪、それなに?」

 

「これは甘酒ですよ!」

 

「ああ、甘酒か、甘酒いいよな...」

 

「司令官、甘酒飲んだことあるのですか?」

 

不思議そうな顔で吹雪が尋ねる

 

「昔よく祖母が作ってくれてね...」

家族で一緒に田舎の祖母の家に行ったのを思い出す

 

「そうだったのですか...

良かったら、一口飲みますか?」

 

「いいの?

ありがとう、吹雪」

 

吹雪からマグカップを受け取り、一口飲む

ちょっと癖があるけど、甘くて美味しい

 

「......

 

はい、吹雪

美味しかったな、今度から間宮に頼も」

 

「......」

吹雪はマグカップをずっと見ている

 

「吹雪?」

 

「あ、いえ、何でもないです!」

 

その頃には艦娘達が次々と食堂に集まってくる

俺は早めに朝食を取り、食べ終わるとみんなから見える位置に立って話す

 

「食べながらでもいいから、聞いてほしい

 

クリスマスツリーの下に箱があるが、あれはみんなのためのプレゼントだ」

 

みんながざわめく

 

「食べ終わった子から自分の名前の書いてある箱を取ってくれ

無くなるもんじゃないんだから、慌てるなよ?」

 

『はーい!!』

と言った後、駆逐艦娘達が一斉にクリスマスプレゼントへ駆け寄る

 

だから、慌てるなって...

苦笑いしながらも、微笑ましい光景を見守る

 

「司令官、幸せそうですね」

 

「みんなが幸せそうにしているのを見るのが一番の幸せだからね

高雄もプレゼント取りに行ったらどうだ?」

 

「では、お言葉に甘えて

失礼します」

 

入れ替わりで、第二十二駆逐隊の子達が来る

 

「司令官ありがとう!

これで僕もっと強くなれたみたいだ!」

 

「えへへ...

司令官、嬉しいよ、ありがとう!」

 

「喜んでくれるのは嬉しいが、一つ勘違いしているよ?

みんなのプレゼントを用意したのは俺じゃない

な、金剛?」

 

「Yes!

プレゼントを用意したのは、Santa Clausデース!」

 

『さんたくろーす?』

駆逐艦娘達が首を傾げる

 

「そう、金剛の言う通り

サンタクロースがみんなにプレゼントを届けに来たんだよ」

なんか、どや顔で教えたはいいが恥ずかしいな...

駆逐艦娘達が目を輝かせながら金剛と俺に質問する

 

質問の嵐がある程度収まった時、綾波が俺に質問する

「あの...司令官のプレゼントは何だったのですか?」

 

あ、ヤバい

俺の分用意してなかった!

 

戦艦娘や空母艦娘も貰っているし、俺だけ貰えないて言うのも可笑しい

 

「あ、えっと...」

 

答えに窮していると、大和が箱を持ってきた

 

「司令官のプレゼント、これではないでしょうか?」

 

大和から箱を受け取り、開ける

 

中には一刀の日本刀と紙が入っていた

とりあえず、紙を開けて読んでみる

 

『護くんへ

 

この刀が君に相応しいと考え、贈ることにした

きっと、君の身を護ってくれるだろう

 

サンタクロースより

 

P.S

この刀の名は《秋月(しゅうげつ)》だ

大切にしてやってくれ』

 

山口大将からの贈り物か!

深海棲艦に会うことなんて滅多にないと思うが、ありがたく頂いておこう

(既に一回会ってるけど)

 

「大和ありがとう!」

 

「お礼なら、大和が言うべきですよ」

 

「ねぇ、しれーかん!

帯刀してみてよ~」

 

「おう、どうだ!

格好いいだろ?」

 

『おお!』

 

艦娘達がどよめく

 

「司令官が軍人に見える!」

 

「軍人なんだけど!?」

 

「普段のだらけようを見てると...ねぇ...?」

 

皐月の言葉で数人の艦娘達がうんうんと頷く

 

「良かろう、ならば明日から月月火水木金金で訓練をするか!」

 

「冗談だよ!司令官!」

 

にひひっと笑う皐月

 

「ああ、勿論分かってるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて...

執務を始めるか」

 

「はい、司令官!」

 

今日は重要な要件があるため吹雪が秘書艦だ

 

俺は一枚の書類に目を落とす

 

そこには、『カムラン半島攻略作戦』と書かれていた




最後まで読んでくださりありがとうございます

次の話は司令官と山口大将が話し合いをする所まで、時間を遡らせて頂きます
時たま変更してすみません

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