いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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ついに最終日です...


鎮守府秋刀魚祭り14

私、古鷹は困惑してます

 

だって...

 

「あの...司令官?

なんで、そんなクダッとしているんですか?」

 

「ん...ちょっと眠いっぽい...」

司令官は、執務机に突っ伏しながら眠そうにそう答えているから...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は、鎮守府秋刀魚祭り最終日

 

古鷹は、この日に秘書艦を務めることになった

司令官とは話す機会があまりなかったが、艦娘を大切にしていてキリッとして格好いいと思っていた

 

もっと、司令官に重巡洋艦の良いところたくさん知って貰わないと!

そう張り切って執務室に入ったのだが...

 

現実は、これである

 

「あの...夕立ちゃんのような語尾使ってないで執務してください」

 

「了解...だよ...」

古鷹の中での司令官の評価は急降下しているのだが、そんなことを知ってか知らずか気だるそうに返事をする

 

「はい、これ古鷹の分ね」

全体の2割程の書類をおくと司令官は執務を始める

 

「はぁ...」

ため息をついて書類をもう3割程度取って、緑茶を入れてから執務を始める

 

「そんな気を遣わなくてもいいのに」

司令官がお茶を飲みながらそう言う

 

「いえ、秘書艦の仕事ですから」

冷たくそう言い放つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べるため食堂に向かう

途中、第六駆に出会った

 

「司令官、おはようなのです」

Доброе(ドーブラエ) утро(ウートラ)(おはよう)」

「おはようです!」

「おはよう!

司令官、帽子がズレてるわ!

直してあげる」

 

「いや、自分で直せるから大丈夫だって

それより、雷襟がくしゃくしゃじゃないか、直してやるよ」

と言って雷の襟を直す司令官

 

「も、もう、雷は大丈夫なんだから!」

顔を真っ赤にして司令官をポコポコ叩く雷ちゃん

 

「だったら、襟をきちんとしなよ...」

呆れたように呟く響ちゃん

 

第六駆の子達は私より秘書艦経験があるはずだけど、司令官が子供っぽい所があることを知っているのだろうか

 

「ん?

古鷹どうかした?」

 

「いえ、なんでもないです」

 

「ならいいけど」

そう言って司令官は第六駆の子達と話し始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ...」

食堂に着くと司令官とは離れた席に座った

 

「どうしたのですか?

古鷹さん」

 

「あ、翔鶴さん

おはようございます

 

実は──」

今日の朝のことを話す

 

クスッと翔鶴さんは笑うと

「それは、司令官が信頼している...ということではないでしょうか?」

 

「そうでしょうか...

正直、司令官があんな人だとは思ってなくて」

 

「失望しました?」

 

「ええ、まぁ...」

 

「そうですか...

司令官は、私に砕けた所を見せないので羨ましいですけど」

寂しそうに笑う翔鶴さん

 

「見ても呆れるだけですよ?」

翔鶴さんのことが気になったが、私はそう返すだけにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務を開始して暫くたった時

いきなり司令官が立ち上がり私の所に来る

 

「どうしたのですか?」

 

「ん?

ああ、もう俺終わりそうだから、古鷹の分の書類取りに来たんだよ

これ俺が処理しないといけない書類?」

 

「あ、はい、そうです」

確かに執務机には、ほとんど書類が残っていない

 

「了解~」

そう言って私がやる分の書類も取っていく

 

「司令官!

それは、私がやります」

今日は、最終日で夜の出撃分はないから少し楽とはいえそこそこ数がある

 

「いいって、古鷹はソファーで本でも読んでれば?」

司令官は手慣れているのか、瞬く間に処理していく

少なくとも、私にはそう見えた

 

自分の中で司令官の評価が分からなくなっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前で執務が終わったので、午後は訓練をすることにした

埠頭から海に出る

 

「えっと、全員集まりましたか?」

今回の教官の吹雪ちゃんが点呼を取る

 

今いるのは、駆逐隊は

第十一駆

第六駆

第二十二駆(皐月ちゃん、長月ちゃん、文月ちゃん)

第三十駆(睦月ちゃん、如月ちゃん、弥生ちゃん、望月ちゃん)

軽巡洋艦は、那珂ちゃんと阿武隈ちゃんと北上ちゃん

重巡洋艦は、私と青葉

空母は、鳳翔さんと祥鳳さん

戦艦は、扶桑さんと金剛さん

 

「今回の訓練は対空戦闘と砲撃、雷撃訓練を行います

対空戦闘は、鳳翔さんと祥鳳さんの放つ艦載機を演習用の砲弾で迎撃しながら、回避運動するいつものです

 

砲撃、雷撃訓練もいつものなので、説明はいらないと思います

対空戦闘は二セット、砲撃、雷撃訓練は三セットを目標に頑張りましょう!」

吹雪ちゃんはチラッと訓練を眺めている司令官を見た後にグッと拳を握る

 

ちなみに、対空戦闘もかなり疲れるが砲撃、雷撃訓練もかなり疲れる

目標にただ砲弾を放てばいいという訳ではなく

敵役の娘が演習用の砲弾を放ちそれを回避しながら行うというかなり実戦に近い訓練だ

 

今日も、ハードですね...

吹雪ちゃんは、こんなのどこの鎮守府も当たり前です!ってこの前言っていたけど、本当なんでしょうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練が終わって埠頭に戻ると、司令官が紅茶を淹れていた

お菓子はもうすぐ晩飯だからなしだったけど

紅茶は、おいしかった

 

「流石、司令官ネ!

私が教えた甲斐がありマシター」

司令官の淹れた紅茶で一息いれている金剛が呟く

 

「司令官...

司令官の淹れた紅茶本当に美味しいです!

いつもありがとうございます♪」

紅茶を飲んでクタァとなっている吹雪ちゃん

 

「たまには屋外で飲むのもいいよね~

なんか、心が落ち着くというか...」

 

「司令官、寝ないでくださいよ...」

そんなに司令官は寝たいのでしょうか...呆れちゃいます

 

ぽぉーとする司令官を見てそう思った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一週間本当お疲れ様

漁師さんは、本当に感謝しているそうだ!

お礼で新鮮な魚介類をたくさん貰ったから、鳳翔と間宮に調理して貰った

ありがとう、鳳翔、間宮」

 

「いえ、感謝して貰わなくても...」

「こちらこそ、こんないい食材を用意して貰えて嬉しいです」

 

テーブルには、秋刀魚の刺身だけでなく色々な魚の刺身があり

他にも魚料理がある

 

艦娘達は目を輝かせている...が、まだ早い!!

 

「間宮に無理を言ってこんなものも作って貰ったぞ」

 

妖精さん達が色々なケーキを持ってくる

 

凄く美味しそう...ヤバい絶対今俺の目輝いてるよ

いかんいかん...つい見とれちゃった

 

「一人一個までしかないが、そこは我慢してくれ

じゃあ、乾杯しようか

乾杯!!」

 

『乾杯!!』

 

俺も早速夕食に手をつける

刺身もいいが...この煮付け...絶対おいしいよな...

 

旨い!

魚の旨味とたれ?の甘味がマッチングしてなんとも...

これは、南蛮漬け?

ちょっとピリ辛なのが尚いい!ご飯がすすむな...

 

艦娘のみんなも幸せそうに食べていて

妖精さんも妖精さん用のケーキを食べてぽわぁーとしてる

 

一通り腹が膨れた所で、ケーキを一つ取る

俺はショートケーキを選んだ

 

席に戻ると隣に吹雪が座る

手にはシュークリームがあった

 

「吹雪は、シュークリームか...シュークリームもいいよな!」

 

「司令官...あの...良かったら半分こにしませんか?

ショートケーキも食べてみたいので...」

 

「分かったよ、ありがとな、吹雪

俺のこと気を使わせちゃったかな?」

 

「いえ!

そんなことないです!」

吹雪が首をブンブン振る

 

その仕草がかわいくて顔が綻びる

 

ショートケーキを半分程食べて吹雪に渡す

初めて作ったとか言っていたけど、本当に初めてなのか疑う程おいしかった...間宮凄い...

 

吹雪がはふっとシュークリームを食べて半分程食べると俺に手渡してきた

 

「吹雪、頬にクリーム付いてるよ?」

吹雪の頬に付いたクリームを布巾で拭いてあげる

 

「す、すいません、司令官!!」

顔を真っ赤にしてそっぽを向く吹雪

 

あ...吹雪嫌だったのかな

ごめんね

 

と心の中で謝ってシュークリームを頬張る

口の中に甘さがパァーと広がる

痺れる程甘いのに変な後味がしない

きっと百人食べたら百人おいしいと言うに違いない

 

隣では、吹雪が俺のショートケーキを美味しそうに食べていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤城は、高らかに作戦開始を宣言した

 

「これより、ドーリットル作戦を決行します

決行は明後日、目標は大日本共和国の各都市

 

配置についている全部隊に準備を命じてください!」

 

私は人間に真珠湾と呼ばれていた場所に置かれた深海棲艦の鎮守府にいるレ級です

 

どうやら、人間に攻撃を敢行するらしいのです

 

私はこのことを新しく仲良くなった友達に話しに向かうことにした

 

何処かな...あ、いた!

 

《電ちゃん、こんばんは》

 

「あ、レ級ちゃんこんばんは...なのです!」

 

彼女は、電

舞鶴第三鎮守府という所にいたのだけれど、深海棲艦側に付くか否かでの艦娘との争いが怖くて震えていたら、いつの間にか深海棲艦に付く側が勝っちゃって付いて来たらしい

本人は人間も深海棲艦も仲良くなればいいと思っていて私と同じだった

 

「どうかしたのです?」

 

《さっき赤城さんが人間を攻撃する作戦を発令したみたいなんだ》

 

「はわわ!

それは大変なのです

 

でも、私達にはどうしょうもないのです...」

 

《そうだね...》

 

「なんで...みんな仲良く出来ないのだろう...」

 

《......》

 

私達は、その答えを出すことが出来なかった




最後まで読んでくださりありがとうございます

グダグダした感じがしないか不安です

最後にちょっと(というかかなり?)変わったレ級が出てきますが、今後本編に出てくるかは未定です

次回は、私のファッションセンスが試される回ですね...
頑張ります!(自信なさげ)

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