いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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投稿遅くなってすみません
ついつい書いていたら、長くなってしまって...


鎮守府秋刀魚祭り12

ツン...ツン

 

「はぁ...私どうすればいいのかな...」

艤装妖精さんをつつきながら私は呟く

 

「どうしたの吹雪ちゃん?」

コトッと暖かい緑茶の入った湯飲みを置きながら、白雪ちゃんが質問する

 

「司令官がね

最近無茶ばかりして...悩みを自分だけで抱え込んでるのに...私何もできなくて」

プクッと頬を膨らめる

 

カチャと後でドアの開ける音がする

 

「なるほど...

でも、吹雪ちゃんは頑張っているよ?」

 

「そうだけど...

司令官はもっと頑張ってるし、頑張らないと

でも、どう頑張れば司令官のためになるんだろうって」

お茶を飲む

 

緑茶のいい香りと暖かさが心を癒す

 

「吹雪ちゃんは本当に司令官のことが好きなんだね!」

 

「そんなことないよ...

って、睦月ちゃん!?」

睦月ちゃんは、私に満天の笑みを浮かべて言う

 

「そろそろ昼食だから、呼びに来たんだよ!」

 

「あ!

もう、そんな時間!?」

 

ヒトフタマルマルを指す時計を見て私はお茶を飲み干す

 

「でも、吹雪ちゃん

司令官は疲れている感じとかしないよ?」

頬に手を当てて考える睦月ちゃん

 

「みんなの前では出来るだけ疲れているのを隠しているみたいで

昨日もマルヒトマルマルまで書類仕事していたし、きっとわたしが来なかったら、徹夜していたに違いないよ!」

思わず手を振り力説する

 

「確かに司令官は私達が心配するようなことは隠したがる人ですね

吹雪ちゃんも同じタイプですけど」

白雪ちゃんがドアを開けながら呆れたように話す

 

「え!

そんなことないよ!

今も白雪ちゃんや睦月ちゃんに相談してるもん」

 

「睦月、吹雪ちゃんも絶対私達に話してない悩み事あると思うな~」

睦月ちゃんも疑うような目で見てくる

 

「私が大切な姉妹や親友に相談しないなんて、あり得ないよ!」

笑顔で返すが、少し罪悪感を感じる

 

「何の話をしているっぽい~?」

いきなり後ろから夕立ちゃんが抱きついてくる

 

「わ!?

ビックリした...

司令官が無茶をしてて、どうすればいいかなって話だよ」

背中から夕立ちゃんの暖かさを感じる

 

「司令官っぽい?

夕立は、あまり話したことなかったけど、いい人っぽい!」

ぴょんぴょん跳ねながら、夕立ちゃんが言う

 

「いい人っぽいは、いいけど吹雪に抱きついて跳び跳ねるのを止めなさい」

夕立ちゃんの首を掴んで時雨ちゃんが私から夕立ちゃんを引き剥がす

 

「ぽい~!」

悲鳴をあげる夕立ちゃん

 

「時雨ちゃん、私は大丈夫だから...」

 

「駄目だよ

甘やかすと夕立は、駄目な子になっちゃうからね

ここの艦娘達はすぐ甘やかすから、僕が厳しくないと!」

どや顔で時雨ちゃんは夕立ちゃんを優しく撫でる

 

時雨ちゃんも最近は、元気そうで何よりです...

 

ほんわかした気分で時雨ちゃんと夕立ちゃんを見ていると

 

「あ、睦月ちゃん達、これから昼食かしら?」

如月ちゃんも食堂に向かっていたみたい

 

「如月ちゃんも一緒に食べましょう!」

如月ちゃんの手を持って振る睦月ちゃん

 

「そうね...うふふふ♪

誘ってくれて、ありがとう」

頬に手を当てて嬉しそうに微笑む

 

「吹雪達か

相変わらず、仲良さそうでなりよりだよ」

司令官もちょうど昼食を取るのか、秘書艦伊勢さんと挨拶してきた

 

「こんにちは、司令官!

伊勢さんもこんにちは!」

「こんにちは

吹雪ちゃんから無茶していると聞きました

特に夜更かしは体に障りますよ?」

「そうなの、司令官?

ならたまには、如月を秘書艦にしてくださいね?」

「そうにゃし

たまには、睦月達に頼るがいいぞ!」

「ぽい!!」フンス

「全く頼りないね」

 

「......」ショボーン

時雨ちゃんの言葉で落ち込む司令官と

 

「時雨ちゃんは、辛辣ね

これでも、司令官は頑張ってる方だと思うんだけど」

複雑な表情を浮かべる伊勢さん

 

伊勢さんの反応から、きっと今日も膨大な量の書類があるに違いないです!

 

「あ、そうだ、ブッキー」

 

「ブッキーじゃないです!」

私はそっぽを向く

 

「じゃあ、吹雪!

ちょっとお願いがあるんだよ」

 

「じゃあって何ですか!もう!

で、お願いって何ですか?」

膨れっ面で返事を返すが、内心はガッツポーズをしそうだった

 

「ちょっと、伊勢が書類仕事慣れてなくてさ

手伝って欲しいんだ

いいかな?」

司令官は、私の内心に気が付いてないようだった

 

「分かりました!

吹雪、もっともっと頑張ります!」

私は司令官に敬礼する

 

「別に、そこまで頑張らなくていいよ!」

と苦笑いしながら、私の頭を撫でる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊勢さんに書類仕事を教えながら、私も書類を処理する

 

少しでも、司令官の負担を減らさないと...!

 

処理していると、一枚の書類の内容に愕然とした

 

「し、司令官!!

この書類!」

司令官に書類を見せる

 

「ん...?

ああ、横鎮第一が大和と武蔵を他の鎮守府に転属させるから希望する鎮守府は立候補しろってやつか

それがどうかした?」

司令官が興味なさそうに書類の概要を話す

 

うち(呉鎮第三)も立候補するんですか?」

私は期待するように質問する

伊勢さんも興味ありげにこっちを見ている

 

「え?

しないに決まっているじゃないか

各種資源二万程度の我鎮守府に大和や武蔵が来たら大変なことになるじゃん」

当然のようにそう言う

 

「え...

でも、戦力の増強には...」

なんとか説得したい私は食い下がる

 

「今の戦力に不満はないし、まだ正規空母も戦艦も着任する

それを考えるとうちに大和や武蔵は必要ないよ

 

まあ、吹雪を頼りにしているからっていうのもあるけどね?」

真面目な顔でそう言う司令官

 

「分かりました...」

ちょっと恥ずかしくて小走りで秘書艦補佐の席に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒトヒトマルマル

 

消灯時間はヒトマルマルマルなので、ほとんどの艦娘は眠っている

 

私は艦娘寮から第二執務室に向かう

 

時たま、妖精さんにすれ違う以外は誰も会わなかった

 

第二執務室に着く

ドアをノックして、ドアを開ける

 

中では司令官が執務をしていた

 

「やっぱり、まだしてました!

寝ないと明日に響いちゃいますよ?」

 

「だって、終わんないだもん

仕方ないじゃん?」

眠そうに目を擦りながら、司令官はそう言う

 

「とにかく、執務は終わりです!

今日は、寝てください」

 

「昨日も寝たし大丈夫だって...」

嫌々ながらも、私に引っ張られる司令官

 

「もし、自室から抜け出して執務してたら、罰で私と一緒に寝てもらいますから!」

司令官はこういうのが弱いのを知っているから、恥ずかしいけど...司令官のためです!

 

「え!?

いやいや、恥ずかしくて寝れないからマジで勘弁してくれ

というか、男の人にそう言うのを言っちゃ駄目だよ?」

司令官は諭すように言う

 

「男の人は、ここに提督と司令官しかいませんよ?」

 

「あ、そっか...

提督はそういうことしない人だと思うし大丈夫だね

まあ、俺もそんなことしないけどな~」

 

そんなことってどんなことなのでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は吹雪と自室の前で別れた後、自室にこっそり持ってきた書類を処理する

 

マルマルマルマル

 

昼間の喧騒が嘘のように静かな鎮守府はちょっと怖かったりするが、まだあまり眠くない

 

そろそろ執務室に戻って大丈夫と判断した俺は秘密で妖精さんに頼んで作って貰った自室から執務室に直接行ける引き戸を開け執務室に入ろうとした

 

執務室に顔を出すと執務机に吹雪がいて書類を片付けていた

 

そして、俺に気がつく

 

「...や、やぁ、吹雪さん

こんばんは、おやすみなさい」

引き戸を閉め布団に潜る

 

何で、吹雪が書類仕事してるんだ...

 

布団で困惑していると、自室のドアが開く音がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんでこうなるんだよ...」

俺は、吹雪と同じ布団に今入っている

 

「約束を破ったからです!」

どや顔で言う吹雪

 

「でも、吹雪だって書類仕事してたじゃん

一緒にやればいいと思うんだ、俺は」

 

「駄目です、司令官は寝てないと!

それに...司令官はこうもしないと私に...私達に頼ってくれませんから」

 

出来るだけ離れてはいるのだが、これだけ近いと吹雪の暖かさを感じる

やっぱり艦娘も人間も変わらんのだな...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつも、頼ってると思うんだけどな...

そんな無理しているように見えるかな?」

司令官が申し訳なさそうにする

 

...暖かい

優しくて暖かくて...

 

いつかの夢を見た時

暖かい何かが私に抱きついた

あのときの暖かさ

冷たく暗い深海に沈み逝く私を包み込んだあの...

 

「吹雪!

大丈夫?」

司令官が心配そうに声をかける

 

いつの間にか泣いていたみたい

 

「ごめんなさい、司令官

大丈夫です

 

それと...あの時、抱きついてくれたのは司令官だったのですね」

 

「...ああ、そうだ

吹雪が辛そうだったから」

 

「ありがとうございました!

お陰であの夢も少し怖くなくなりました」

 

「そっか...

良かった」

司令官は、私に微笑む

 

「俺、吹雪の辛さは艦娘でしか分からないし、癒せないと思ってた

でも、そんなことないんだな...

俺でも、吹雪の助けになれるんだね」

 

「司令官...いつも、司令官は私達の助けになってますよ?」

私は、司令官に精一杯の笑顔を見せた




最後まで読んでくださりありがとうございます

ローソンにクリアファイルをゲットしに行きました!
ブッキーと睦月のクリアファイル手に入って満足です

E4海域は、敵が強すぎて...(涙)
あの無慈悲なほどの砲撃力は戦慄します

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