いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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出撃編終了です!
次はほのぼのにする予定です


鎮守府秋刀魚祭り10

「次は、呉第三鎮守府の報告だけど...ここは凄く特殊だった

 

まず、提督と司令官で指揮官が二人いたよ...」

 

「なるほど?」

 

「そして、司令官はこの世界の人間じゃない

私達が元いた世界の人間だった...」

 

「な...!?」

 

「それは本当ですか?

Βерный(ヴェールヌイ)さん」

赤城が食べるのを中断して話す

 

「本当だよ...

直接会ってみたけど、不思議と殺意は起こらなかった...」

 

「......」

二人は、黙って聞いている

 

「私はおかしくなってしまったのだろうか...

あんなに、ニンゲンが憎いのに...」

 

「...推測でしかないですが...

もしかしたら、私達は...いや、元()()の私達は、艦の記憶のいい思い出も悪い記憶も残っているからかもしれません」

赤城がどこか遠い所を見ながら言う

 

「...そんな記憶いらないけどね」

苦虫を噛みつぶしたような顔で翔鶴が呟く

 

本当その通りだ

ニンゲンを殺すにあたり邪魔な記憶でしかない

 

「報告を続けてもいいかい...?」

ちょっと不機嫌そうに私は言う

 

「いいですよ」

 

「しかも、その司令官はまだニンゲンに認知されていないはずの深海棲艦の名前の一部を言い当てた上...

私達が轟沈した場合、深海棲艦になるという話を前の世界で聞いたらしいんだ...」

 

「つまり、前の世界では深海棲艦がいる...ということ?」

首を傾げる翔鶴

 

「でも、問題はそこではないわね

私達の情報を知っているということは、私達の弱点も知っているかもしれないということよ」

赤城は、危機感のある声で言う

 

「それは、ないと思う...

18才で学生と書類に書かれていたから...」

 

「信用出来るか分かりませんので、放置するにしても対策するにしても、調査が必要ね

 

それで、その鎮守府の運用は?」

 

「艦娘第一の運用で戦果を無理にあげようとしないようだね...

轟沈艦も今の所零」

 

「ふーん...

 

もう、報告はない?」

 

「ないね...」

 

本当は、言うべきことがあったが伏せておく

確証が取れてからでも、遅くはないだろう

 

「なら、ご飯にしましょう♪

雷さんや雪風さん、レ級さんもヴェルさんが帰ってくるのを首を長くして待っていたのですよ?」

 

「多分...そろそろ鍋を抱えて来る頃かな」

 

暫く経つと廊下からドタバタと走る音がした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Shit!!

まさか、敵戦艦がタ級flagshipだったトハ...

 

ドーン!!

 

何度目かの斉射を放つ

 

敵戦艦に煌めきが生じるも依然小破...火力も全然落ちていない

 

金剛は、至近弾で切り抜けたためまだ小破程度の損害しかうけていないが、16inch三連装砲...およそ41cm砲と同様の砲弾をもろに受ければ一発大破もあり得る

 

それにしてもおかしいデス

水偵も飛ばしてないのに、こんなに正確に撃ってくるなんて...このままじゃ不味いネ

 

神通達も苦戦している

神通はリ級flagshipとの交戦で大破後退して、代わりに時雨が相手にしている

 

暁と響は、へ級flagshipに果敢に攻撃するも、今一決定的な打撃を与えられない

 

一進一退する戦況を打破したのは、艦載機の少ないヲ級だった

 

金剛は、左舷から接近する十数機の艦載機を発見する

 

ヲ級まだ艦載機を残していたのデスカ!?

クッ...無視するシカ...

 

しかし、金剛の一瞬の迷いをタ級は見逃さなかった

金剛に副砲を命中させ、視界を奪う

そして、彼女の癖を見抜いていたタ級は右に回避することを想定して斉射する

 

金剛は、タ級の予想通り右に回避し三発命中してしまう

 

「ガァ...ぐぅ...

テートクから貰った大切な装備ガ...」

 

そこに敵機が雷撃と爆撃を行い金剛は吹き飛ばされる

 

『金剛さん!』

『く、私が金剛さんの援護に行く...

暁は、軽巡洋艦の足止めを...!』

『響金剛さんを頼んだよ』

 

しかし、響と金剛は離れていて援護に駆け付けるまで時間が掛かる

 

タ級が勝利を確信したように砲を金剛に向けいたぶるように一門ずつ砲撃し、命中するたび金剛は吹き飛ばされる

 

『くそ!

金剛、もう少し耐えてくれ!』

司令官の叫びが聞こえるが、もう私の体は動かない

ゆっくりと沈んでいくのが分かる

 

もう...駄目カモ...

 

「提督...どうか武運長久を...私...ヴェルハラから見ているネ...」

 

『金剛!

何処から見ているって?』

 

タ級が水柱に飲まれる

 

『川内参上!

夜戦なら、任せておいて!!』

タ級の後ろから、分離した艦隊の面々が登場する

 

『ちょっと、川内さん突出し過ぎないでください!』

川内の後ろから、吹雪がプンスカしながらついてくる

 

『いいじゃん、特型駆逐艦改!』

 

『ちょっと、川内さん、私達も特型駆逐艦よ!!』

『なのです!』

雷と電が川内につっこみ

『大丈夫かい...?

金剛』

響は、私を支えてくれる

 

「さ、サンキュー、ネ...響...」

 

『私には、吹雪って名前がちゃんとあります!』

吹雪が川内に涙目になりながら、訴えている

 

『まーま、細かいことは気にしない、気にしない』

 

「この子達なら、大丈夫そうネ...」

私は響に曳航され、神通や翔鶴のいる所まで後退した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まず、あのタ級を倒します!』

 

二発の魚雷が命中したにも関わらず中破したのみのタ級を睨む

 

金剛さんと神通さんを大破させ、響ちゃんや暁ちゃん、時雨ちゃんに怪我を負わせたこいつらをどうしてやろうか...

 

負の感情が電の心を支配しようとする

しかし、理性がそれを押し留める

 

雷が心配そうに見ている...電の感情を悟られないようにしないと

冷静にならないと...なのです

 

電は、自分自身にそう言い聞かせる

 

『特型駆逐艦!

私が先頭になるよ』

川内が自信満々に言う

 

『え、でも、私が旗艦...』

 

『いいから、軽巡洋艦は駆逐艦のお姉ちゃんみたいなもんなんだからさ

さ、行くよ!』

 

『もー

無理しないでくださいよ』

『分かったわ!』

「了解なのです」

 

川内を先頭に突撃する

 

『之字運動!

ちゃんとついて来なさいよ!』

 

乱立する水柱の中をすり抜けて雷撃する

 

『統制雷撃...撃てー!!』

 

二十本以上の魚雷がタ級に迫る

タ級は、必死に魚雷を破壊しようとするも、数が多すぎる

 

そして、複数の爆発が生じる

 

『やったぁ!!』

 

『司令官、私やりました!』

 

『早く、暁達助け──』

その瞬間、雷と川内に爆発が生じ吹き飛ばされる

 

「い、雷ちゃん!!川内さん!!」

 

電は、周りを見渡す

 

タ級の方は炎上していて、煙がもくもく出ている

そして、暁と時雨は満身創痍で倒れていた

 

相手をしていた、リ級とへ級はいない

 

まさか──

 

ギャーオオン!!

 

タ級の方から化け物の叫び声が聞こえる

そして、炎の中からタ級が姿を表す

 

『うそ...』

 

「電が足止めするのです

吹雪は、みんなの曳航を!なのです」

 

タ級が電達に砲を向ける──こともなく、タ級は空を睨む

タ級は、砲を空に向けた

 

『遅れてごめんなさい

第二攻撃隊、攻撃開始!!』

 

烈風と零戦がヲ級の艦載機を撃墜しつつ、攻撃隊がタ級に攻撃を開始した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司令官、お疲れ」

若葉が俺に話し掛ける

 

「ありがと、でも頑張ったのは俺じゃない」

 

「そんなことない

だって待っているだけというのは...とても辛いだろ?」

俺の顔を覗きこんで言う

 

「......」

俺は、黙って冷めた紅茶を飲んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金剛達を出迎え入渠させたり、食堂で若葉とその姉妹艦達で夕食を堪能した後

若葉に秘書艦の仕事が終わったから、自室に帰るように言って、俺は執務室で黙々と書類仕事をする

 

正直、鎮守府秋刀魚祭りの書類仕事は昼の処理くらいじゃ、とてもじゃないけど間に合わない

だから、夜な夜な処理している

 

コンコン

 

誰かが執務室のドアを叩く

 

誰だ?

 

と思いながら処理している書類を隠す

 

「どうぞ」

 

「やっぱりか...」

入ってきたのは、別れたばかりの若葉だった

 

「どうした?

何か用か?」

 

「誤魔化さないでくれ

書類仕事、終わってないのだろう?」

若葉が冷めた目で俺を睨み付ける

 

「そんなことは...」

 

「じゃあ、机の下にある書類は何のためだ?」

 

「......ああ、そうだよ

確かに、書類仕事は終わってない

吹雪達には言わないでくれ

滅茶苦茶怒られるから...お願いだ!」

俺は、観念して若葉に頼む

 

「その代わり私が書類仕事を手伝う」

 

「分かったそれで手を打とう」

こうして、俺と若葉で書類仕事を片付けることとなった




最後まで読んでくださりありがとうございます

毎回翔鶴さんが最後決めているような気がしないでもないです...

艦これアーケードでは、初めての戦艦比叡が着任したのですが...
旗艦電

高雄
蒼龍
飛鷹
比叡
でE4挑んで粉砕されました
駆逐艦二隻入れている我艦隊に、あれは地獄過ぎる...(涙)

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