いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

39 / 98
鎮守府秋刀魚祭り2

ぼーん!!

遠くで爆発が起こる

 

「さっすが不知火!

指揮も、実戦もばっちりだね」

私は相棒に笑いかける

 

『いえ、陽炎の方が指揮も実戦も優れています

私は、そんな陽炎を援護するのが性に合ってます』

 

「もう、嬉しいこと言ってくれるじゃない!」

と相棒を抱きしめる

 

そんな二人を呆れたように眺める三人の駆逐艦娘

 

『私が、索敵機出してるからって油断しないで!

漁船の周辺を警戒してね』

祥鳳が駆逐艦娘に指示を出す

 

私達が護衛する漁船は五隻

漁師さん達は、護衛してくれるなんて嬉しいと言ってくれた

 

漁船が魚を獲るのを見ていると、かつて私達が命をかけて守ろうとした遠い故郷を思い出す

この世界の人々も私達のいた世界の人々も違う所なんてない

本来、戦争に巻き込まれることなく平和に暮らすことが出来るはずだったんだ

だから、私達はまた守らないと...この人々を

 

 

 

 

 

 

 

「無事漁船を守り、秋刀魚を獲ることが出来ました

漁船の方々からも感謝の言葉を貰いました」

 

「そうか、良かったな!

今日は、もう出撃はないから、のんびりしてくれ

 

ここで、紅茶を飲んでいてもいいが」

執務室のソファーでお茶している金剛と出撃の終わった艦娘達が紅茶を飲みつつ、茶菓子を食べている

 

「ヘーイ、司令官!

一緒にteatimeしまショウヨー!」

 

「次で昼の出撃終わるから、そしたらなー」

 

「つれない上司は嫌われるヨー?」

 

「職務をしない上司の方が嫌われると思うなぁ」

 

そんな俺と金剛の会話を聞き、苦笑しながら祥鳳達は金剛から紅茶や茶菓子を貰う

 

「そう言えば、司令官ー

翔鶴がまた新しい装備を貰ったと聞きマシター

私も新しい装備欲しいデース!」

 

「例えば?」

 

「そうですネー

41cm──」

 

「却下」

 

「Why!?」

 

「当たり前だろ

そんなもん積んだら、重くて命中率下がるだろ」

 

「むー

でも、テートクのハートを射止めるには、火力が欲しいネ...」

 

「主砲の代わりになんか用意するから、我慢しろ」

 

「司令官...

それなら、私にも新しい装備が欲しい...」

秘書艦の響が紅茶を啜りながら、言う

 

「響達は、10cm連装高角砲あげたじゃん」

 

「もっと活躍したいんだよ...」

 

「そう言われてもなぁ...」

そう言いつつ、漁船を護衛する艦娘達の様子を見る

特別異常はないようだ

 

「活躍すれば、司令官に褒めてもらえるでしょ...?」

 

「そして、お菓子を貰うと」

 

「頑張ったんだから、それぐらいはくれないと...」

どや顔で胸を張る響

 

「はぁ、さいですか」

 

「ちょっと、司令官は私に冷たいと思うな...」

 

「え...!?

そうかな?ごめん、響!」

慌てる俺を見て、響はクスリと笑う

 

「冗談だよ...司令官」

 

「もう、からかうのは止めてくれよ」

 

「でも、司令官、ずっと艦娘の様子を見ないといけない訳じゃない...

気張りすぎでも、体がもたないよ...?」

 

「そうよ!

もっと私に頼っていいのよ?」

「たまには、私達を信頼して休憩しないと」

「なのです!」

スコーンを口に頬張りながら、口々に言う

 

いや、説得力全然ないぞ

 

と思ったが、第六駆や他の艦娘に包囲され運ばれる

 

「ちょ、待って、押さないでって」

そして、ソファーに座らされ、紅茶が手渡される

 

紅茶のいい香りと暖かさが体に伝わる

 

温かいし...

うわ、流石金剛!

紅茶うめぇ

 

急に眠気が襲う

 

うう、駄目だ...寝たら艦娘もいるのに...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うーん...

 

頭に、弾力があって暖かい枕のようなものが置いてある感触がある

 

「ん...

なんだ...」

俺は、目を開けると響が俺の顔を覗き込んでいた

 

え...!?

 

「うわぁ!?」

俺は、驚き転げ落ちる

 

そして、俺は執務室のカーペットに落ちた

「うぐ...

いてて」

 

「司令官...大丈夫かい...?」

 

「ああ、大丈夫、大丈夫」

他の艦娘達はもういなくて、響と俺だけだった

俺が寝ていたソファーをみると枕らしきものはない

 

「司令官...これが瑞鳳達の報告書...

那智が率いる艦隊は、もう出撃して漁船と合流したって...」

 

「了解だよ

所で、枕みたいのが見当たらないのだけど...」

 

「ああ...

私が膝枕していたんだ...

どうだったかな...?」

ちょっと、恥ずかしそうに訊いてくる響

 

「え...あ、うん

とても、良かったよ

おかげで、ぐっすり寝られたよ」

恥ずかしさで頭がショートしそうだったが、なんとか言葉を返す

 

「そうか...

それなら、また膝枕をしてあげようかな...

さ、食堂で夕食を食べようか...」

はにかみながら、響は執務室のドアを開ける

 

「あ、ありがとう」

恥ずかしさを誤魔化すように、響の頭を撫でて執務室を後にした




最後まで読んでくださりありがとうございます

第六駆は、昔からずっと主力として頑張ってくれた駆逐隊なのでついつい出してしまいます
次は、時雨を出していきたいと思います

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。