いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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鎮守府秋刀魚祭り1

スースー

 

「...司令官!」

 

スヨスヨ

 

「もー、私がいないと本当に駄目ねー!」

 

むにゃむにゃ

 

「ほーら、司令官!

そろそろ起きないと秘書艦来ちゃうわよ?」

 

コンコン

 

「入っていいわよ」

 

「失礼します

あれ?

雷何をしていたのでしょうか?」

朝潮が6時きっかりに執務室に入る

 

「真夜中にちょっと用があってね」

 

「え...ま、真夜中...!?」

 

「そう、司令官にお願いしたいことがあって」

 

「お、お願い!?」

露骨に動揺する朝潮、普段の真面目な態度からは想像出来ない

 

「そうよ

って朝潮勘違いしてない?」

 

「え?

い、いえ

そんなことは...ないです」

顔を真っ赤にする朝潮に思わず雷は噴き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

「んぁ

あ、おはよう、朝潮、雷...」

 

何故か、朝潮は膨れている

あ、俺が寝てて怒ってんのかな

 

「おはよう、司令官」

「司令官、おはようございます」

 

「ごめんごめん、ちょっと仕上げたい書類があって

寝るのが遅くなっちゃって...」

 

「もう、私を頼ってくれればいいのに!

しかも、机で突っ伏して寝てるなんて駄目よ!」

「司令官、任務は大切ですが、体は大丈夫にしなければ駄目です

司令官の代わりにこの朝潮、月月火水木金金で働く覚悟です」

ズイズイと来る二人に俺は、戸惑う

 

「い、いや、雷すぐ寝ちゃったじゃないか

かなり無理していたんじゃないか?

 

そういう、朝潮の方が心配だよ

第八駆を纏めたり、他の駆逐隊の指導したり忙しいのに

これ以上は、頑張りすぎたら駄目だよ

寧ろ、今日は休んで貰わないと」

 

「もー、雷は大丈夫なんだから!

それより、司令官が無茶していないかの方が心配よ」

 

「そうです!

顔色もあまり良くないですし」

 

冷や汗をかきながら、雷と朝潮の頭を撫でて宥める

 

「俺は、大丈夫だって

さ、もう七時だ

朝食食べに行くぞ」

 

「むう」

「わ、分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、食堂でみんなに挨拶しつつ、翔鶴や金剛のいる所に向かった

 

「おはよー」

 

「おはようございます」

「Good morning!」

「司令官、どうしたの?」

 

「今日は、話しときたいことがあってな

あ、妖精さん、俺のは朝食おすすめC定食でいいよ

うん、ありがとう」

 

「話しておきたいこと...ですか?」

 

「ああ、明日から一週間、合計昼6回、夜3回出撃して欲しいんだ」

 

「どういう、編成ですか」

 

「今の所、

昼は、戦艦or空母一、駆逐艦五

夜は、重巡洋艦or軽巡洋艦一、軽巡洋艦一、駆逐艦四

にするつもりだ」

 

「戦艦は、私、日向、金剛、扶桑で四人

空母は、翔鶴、祥鳳、瑞鳳で三人

ローテーションかな?」

 

「重巡洋艦は、古鷹、青葉、那智、妙高、羽黒、高雄で、六人

軽巡洋艦は、川内型三姉妹、五十鈴、由良、名取、阿武隈、北上、球磨、多摩、天龍、龍田の十二人です」

 

「結構、戦艦、空母がハードじゃないかな?

日々の訓練もあるしさ」

 

「そんなことないですよ、司令官」

 

「それなら、いいんだけど...」

 

その後、細かい所を詰めているうちに朝食を食べ終わり工厰に行くことになった

 

 

 

 

 

 

 

「朝潮、なんか俺悪いことした?」

 

「いえ、そんなことありません」

 

「本当に?

なんか、不機嫌に見えるんだけど」

 

「気のせいです」

 

「そうなの?

なら、いいや」

 

明らかに不機嫌なんだが...

そんなことを思いながら、工厰のドアを開ける

 

妖精さんがビシッと敬礼する

 

「司令官、おはよー」

「ふぁー」

「お菓子ー!」

 

「はいはい」

そう言って、板チョコを何枚か渡す

 

「わーい!」

「万歳!」

「チョコー」

 

「所で見せたい物って?」

 

「これです!」

そこには、二つの装備品があった

 

「ふむ、探照灯か...

これは?」

 

「戦闘機なのは、分かるのですがー」

「作った妖精さんは、烈風って言ってましたー」

 

「おぉ!

これが烈風...」

烈風妖精さんがピシッと敬礼

 

「司令官、知っているのですー?」

 

「勿論、烈風は零戦の後継機で幻の機体って言われていたんだ」

 

「え?

零戦に後継機!?」

「聞いたことないよー」

 

「まぁ、試作を作って終戦になってしまったからな

朝潮、翔鶴に試験飛行頼めるか後で、聞きに行こう」

 

「分かりました」

 

「ちなみに、探照灯は使えるか試したのか?」

 

「第六駆の暁に試して貰いましたー」

 

「分かった、後、烈風量産出来ないよな?」

 

「無理ですねー

でも、妖精さんの中で作り方を共有するので、今後この二つは通常の開発で作れるようになりますよー」

 

「了解、よろしくね

今度は、ジュースも一緒に持ってくるからさ」

 

嬉しそうに跳び跳ねた後、すぐ妖精さん達は仕事をし始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

早速、翔鶴には烈風の試験飛行を頼み執務を行う

 

「朝潮は、書類のファイリングが終わったら、休んでてくれ

後、これ」

朝潮の口に一口用のチョコを入れる

 

「あ、ありがとうございます」

ちょっと、機嫌を直してくれたようだ

 

「執務終わったら、ちゃんとお菓子用意するから頑張ってね」

 

朝潮は、ファイリングを終えると、秘書艦用の椅子にピシッと座ったまま、微動だにしない

 

「ソファーに座って何か読んでていいよ?

小説とかあるし」

 

「いえ、任務中ですので」

 

「そうか

いつでも、読みたくなったら、読んでいいからな」

 

第六駆みたいに、執務室のソファーで寝られるのは困るが、朝潮みたいにちゃんとしていると緊張する

 

そんなことを思っていることを知ってか知らずか朝潮はジッと執務をしているのを見てくる

 

昼ちょっと前に執務が終わり

書類を一緒に出しに行った

 

「そういえば、第七駆はどうだ?」

 

「そうですね...

漣は、ちょっとふざけていることはありますが

みんな真面目です

 

実戦でも、連携すれば巡洋艦相手でも引けを取りません

ただ、夜戦は厳しいかもしれません」

 

「なるほど──」

 

「司令官...」

 

「ん?

翔鶴、その様子だと烈風は強かったのか?」

 

「はい!

速力は、零式戦闘機を上回り、航続距離はそのまま

武装も強化されていて

防御力も上がっていて」

 

「お、おう」

 

こんな翔鶴は、見たことがない

目を輝かせ、高揚しており

かつ、とても饒舌で...

 

翔鶴が烈風の説明をする間、ドキドキしっぱなしだった

 

「祥鳳や瑞鳳もちゃんと運用出来るのか?」

 

「勿論です」

 

「了解した、今日はありがとうな」

 

「いえ、こんな素晴らしい機体を用意してくださりありがとうございます」

 

「お礼なら、工廠妖精さんに言ってくれ」

 

そう言い、翔鶴と別れた

 

 

 

 

 

 

朝潮と一緒にお菓子を食べたり、そこに第十一駆と第六駆、第八駆が乱入してきたりしたが、ワイワイしながら楽しんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂で、人間が新たな作戦を開始すると言い、朝潮が紙を配る

多分、人間が朝食の時、翔鶴達と話していたことだろう

 

どうやら、秋刀魚を獲る漁船を護衛するようだ

 

「今回は、秋刀魚を獲る漁船を守る...鎮守府秋刀魚祭りを行う

編成は紙に書いている通りだ」

 

紙には、明日出撃の艦娘の名前が書かれている

僕の名前は出撃欄に書かれていない

 

「この作戦は、漁船を守ることであって敵を撃滅する必要はない

それを念頭に置いて、護衛して貰いたい」

 

新米の艦娘が安堵するのが分かる

 

「また、秋刀魚漁の手伝いとして、一部の艦娘は聴音機や探信儀を装備して、夜出撃の艦娘は探照灯を積んで貰う

決行は、明日だ

質問はあるか?」

 

艦娘は、誰も手をあげない

 

「ないようだな、じゃ、夕食にするか」

 

あいつは何を考えているのだろう

出撃させることもなく、ある程度訓練に参加していれば、何も言ってこない

 

艦娘のこと気遣い、大切にしている

 

駄目だ、人間は信用してはいけない

また、また騙されるんだ、きっとそうに決まってる

 

そう、時雨は自分に言い聞かせた




最後まで読んでくださりありがとうございます

時雨を演習と秋刀魚獲りに行くキス島で練度あげしてます
資源は、十分なのですが、時間が...

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