次話から舞台はゼスティリアに移ります
導師の伝承―――
遥かな神話時代、世界が闇に覆われると、いずこより現れ光を取り戻した―――
時代が移ろうとも世が乱れる度に人々は伝承を語り、救いを願う―――
その度に導師は姿を現わし、闇を振り払ったという―――
しかし、平和が訪れると再び導師は姿を消した…———
彼らはどこへ…その答えを知る者はいなかった―――
いつしか人々の記憶から、伝承の中へと消えていった―――
『まもなく、終点です。お忘れ物の無いよう、確認の上――――』
流れてくるアナウンスで目を覚ました。
電車の窓から外を見ると田畑に山々と、よく言えば自然豊か、悪く言えばド田舎な景色が見える。
季節は8月、都会の大学に通っていた青年、結城誠人はお盆期間ということで実家に帰る最中だった。新幹線に乗り、そこから3度ほど電車を乗り換えたため長旅の疲れが出たのだろう、気が付けば目的地寸前まで深く寝入ってしまっていた。
窓からの景色は別段珍しくはなく、久しぶりに見たという単純な感想。けれどそれは自分が故郷に帰ってきたということに他ならない。
電車は終点の駅に停まり、2泊3日ほどの着替えが入ったバッグを肩にかけ、外に出る。
「兄ちゃーん!」
駅を出たところには手を振っている少女が一人。誠人の妹だ。後ろの車には母親が乗っている。父親は今は仕事だろう、車には乗っていなかったが夜に仕事が終われば会えるので気にしなかった。
元気に自分を呼ぶ妹に手を振る。家族に会えるというのは少しの鬱陶しさがあるが、大きな懐かしさと安心感があった。
「ただいま。やっと帰ってこれたよ」
妹と母がお帰りと言ってくれる。都会に出て田舎は不便と思うがこういったものはとてもいいものだと思う。
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薄暗い部屋の中、6人の人間が椅子に座り円卓を囲う。
「やはり前の者はダメでしたな」
「200年もたせましたし、まあよいかと」
「今回はどのような者が来ることか」
「どのような者でも構わぬ。我らがするべきは1つだけ」
「左様。これも国のため、世界のためでございます」
「さあ、祭壇に参りましょうか――――
導師を迎えるために――――」
そして彼らは音もなく、そこに最初からいなかったように姿を消した
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雲一つ無い空、月の明かりだけが周りを照らし、星々が瞬き、涼しい風が吹く。虫たちのさざめきに耳を澄ましながら今日のことを思い出す。
帰ってきて早々、どこから聞いたのか自分が帰省することを知っていた旧友のみんなに囲まれ、いろんな場所を連れまわされた。川や森や神社や昔通い詰めていた駄菓子屋や。しばらく見ていなかったからだろう、懐かしさの反面、都会に慣れていたからだろう、新鮮さが心にあった。やはり、見ていないというだけで今まで見たことのある景色も違って見えた。
この夜も、都会ではあり得ないことで、昔何度も経験しているのに自分はまるで初めてここにきたような気持ちだった。
目の前には墓が建っている
祖父の墓は初めてとかは感じなかったが、久しぶり、と自然と声が出てしまった。明日家族みんなで来るのだが、その前に自分一人で来ておきたかった。大学に入って何をして、どんな友達ができて、といろいろと話したかったからだ。祖父と過ごした時間は少ないけど、いつも自分を気にかけてくれてて、いろんなことを教えてくれて、感謝しているから、ついつい話したくなるのだ。
午後11時、あたりは暗く、この時間は人はいないので心おきなく話しかけれる。
――――はずだったのだ
「————見つけた」
その声は女性のものだった。けれど、少し違う。声は認識できた。しかし、大きな違和感があった。今自分は女性の声を聴いたが、それは人間のものなのか疑わしいほどに澄んでいて、不気味なものだった。
後ろを振り向く、そこには女性が立っている。しかし、その顔は仮面を被っているため分からない。
年は?身長は?気になることはあるがその服装から言えることは、ここの人間ではないということだ。
そして気が付けば、すぐ目の前に、目と鼻の先にその女性の顔があった。仮面で隠れた素顔、しかし、その暗い瞳は自分を映している。
覚えているのはそこまで――――
――――そこで急に意識が途切れた
詰め込んだら意外と字数が多くなりましたが、毎パートこんなに多くは書けませんので字数は結構変わります
正直、レディレイクの地下の遺跡のことを聞いた時からこの話を考えてました
後、アニメのアリーシャの扱いに涙でますね
ゲームは分史世界でアニメが正史世界だったか