PMC装備で異世界に転勤になりました!? 作:フワフワクド
「さあ、着いて来い」
俺はステインとメイド3人で地下牢に入って行った。途中、騎士から牢の鍵をステインが受け取り、懐にしまう。
するとステインが急に止まり、牢の方を向く。
「危うく通り過ぎるところだったわ、危ない危ない」
「通り過ぎると危ないのか?」
「..危なくはないんだが、帰るとき迷いたくはないだろ?」
今の微妙な間はなんだ、まぁいいか、もう地下牢には来る事ないだろうし。
ステインは鍵を開け、俺を牢の中に入る様に促す。そして2個の鍵を渡してくる。
「この牢は2個ドアがあってな、1つはその鍵、もう1つは口枷の鍵だ。期待はしておらんが頼んだぞ」
「任せろ」
俺は一言喋ってから、ドアの1つを開けて潜る、そして目の前に居たのは布一枚を着ただけの俺と同い年位の少女だった。
俺は驚きながらも口枷を外した。
「あんた、名前は」
「...片桐 優姫」
「じゃあ日本人か、なぜこんな地下牢にいるんだ」
「な、なんで日本人だって!?あ、貴方は!貴方は誰!」
「はぁ、俺はフェルト、日本人だがアメリカ国籍取ってPMCしてた」
「なら!ここから...」
「先ずは質問に答えろ、なぜこんな薄汚い地下牢にいる?なぜ布切れ一枚の状態に陥っているのか説明してくれ」
「...それは、領主の部屋の刀を取ってくれば一生楽に暮らさせてやる、って」
第三者か、これはヤバい匂いがするな。恐らくさっき狙ってきた奴もこいつに命令した組織だと考えてもいいだろう。どうするか...
「...まだ信用した訳じゃない。枷はさせて貰う。こっちにつくなら考えてやらん事もない」
「分かった、それでもいい。だから...助けて」
俺は枷を地面に止めている錠を破壊し、強引に外に連れてでる。
案の定ステインは呆れた顔をしており、メイドまでも呆れ顔になっている。
そんなに呆れられるこたしたかな?
「まぁ大体予想はしておったわ。フェルトよ、策はあるのだろうな?」
「勿論。1日2日、出かけさせてもらいます。帰って来る頃には一報入れますんで期待してて下さいな」
「ふむ、あまり疑いたくはないがお主が此奴の手先のものだとも言えんくなったの」
ステインは睨みを利かせ、メイドは立ち尽くす。
「なら刀は置いていく。そしてこいつは貰っていく。んでさっきの奴らの対処はお前らがやる。これで解決だな。誰も嫌な思いはしないじゃん、優姫はちゃんとした生活がしたかったから今回の事に手を出しただけで、優姫自身はそんなに悪くないし」
「わ、ワシが悪かった、だからそんなに殺気を放つでない」
「まぁいい、そっちのメイドもそんな警戒するな。バレバレだ」
メイドは手首にナイフか何か隠しているのだろう。暗闇だから分からないとでも思ったのかゴソゴソして手首に隠していたのが見えた。
『強くて可愛い坊や?こっちにおいで』
どこからともなく声がこの地下空間に響き渡った。俺はステインを見た、するとまた声が響く。
『そっちじゃないわ、もっと奥深く。私を迎えに来て?』
俺はステインとは反対方向を見る。そこには暗闇と松明の光が浮かんでいるだけだった。ステインをもう一度みると焦ってるような表情をしていた。
「目覚めた時が悪かったか、フェルト、悪い事は言わん。聞いてないふりをして帰るぞ」
「それは無理なこった。アンタが何をこの地下に隠蔽してるのか暴いてやる。...何から何までおかしいと思ったんだ。普通は地下にメイドなぞ連れて入らん、それにお宅のメイドはナイフを持ち歩くのか?まあいい、じゃあな。優姫行くぞ」
俺は優姫を引っ張り深くへを走っていった。
そして目の前に4つの松明の光が見えた。その前まで行くと目の前には大きな門があり、そこには古代文字みたいなのが書かれていた。おそらく封印とかその系統だろう。
俺はその一部を手で擦り、文としての役を果たさないようにする。それで恐らく封印は解ける。さ
「優姫、勢いで連れて来たがもしかしたらここで死ぬ事になる。悪く思うな。いや、憎め、恨め」
「大丈夫です。私が貴方を守ってみせます」
俺は苦笑いで扉を開ける。
部屋の中は真っ暗で、とても気温が低い。なぜか松明の光は効果がない。
そこには下着だけを身に付け、手足を鎖で繋がれ、目隠しまでされている女性がいた。
彼女は口角を吊り上げ口を開いた。
「やっと会えた」
「いったいどういう...」
「フェルト、逃げた方がいいって、コイツ...」
「黙りなさい小娘」
その怒気が混じった様な一言で優姫は力が抜けたかのように崩れ落ちた。俺は優姫を支えゆっくりと寝かす。
そして彼女の目隠しをとる。
その目隠しの下にあったものは白。
目が真っ白なのだ。
「目が...見えないのか?」
「なら目隠しは必要ないでしょう?」
そして彼女はニコっと微笑む。
俺は彼女に見惚れる。
「ッ!そういう事か!?」
「そう...貴方がこの現状を変えてくれるなら、私の力を貸してあげる」
彼女を見つめるが
「そんなに見つめても何もでないわよ?」
見つめるがいったい何を考えているのか分からない。ただ彼女はニコニコと笑うだけで悪巧みは考えてなさそうである。
「良いだろう、絶対に俺の敵にならないと誓うなら、ついて来い」
「口約束で解放してくれるの?」
「そんな訳ないだろ。血だ、飲めば分かる」
俺はナイフを取り出し手の甲を切る。
そして彼女の口元に垂らす。彼女は血の味を味わう様に舐める。
血の契約...主の血を摂取すると、その主の命令には絶対に逆らえない。
俺の手の甲には切った傷とは別に縦線が1本浮かび上がる。恐らくこれが契約の証なのだろう。
「これでいいの?さぁ、私を」
「もう自由だろ?早く来い。俺にも用事はあるんだ」
俺は魔力を垂れ流して錠を外す。あの枷に使われていた錠は魔力を注いで解除する類のものだったのだろう。パッと見鍵穴などはなく、文字が書いてあっただけだった。扉と同じ様に文字を消せば良かったのかも知れないが、俺の直感があれはブラフだと囁いていた為、この様な外し方を試してみた。
俺は優姫を肩に担ぎ、そのまま向きを変えて出口の方に歩いて行った。勿論彼女も付いてきている。
彼女は手首にあった感覚が突然なくなって違和感があるのかずっと手首を触っていた。
地下に下ってきた階段の所まで戻ると松明は全て消されるか持ち去られていた。恐らく、この地下空間に閉じ込める気だったのだろう。残念ながらナイトビジョンがある俺には無意味だったみたいだがな。
そのまま階段を登り城にでる。
出るとステインが待ち構えていた。
「どうやって解放したのだ、その魔女を」
「企業秘密だ、逆に問う。なぜ彼女を捕らえていたのか」
「其奴は魔女だ、肌も白く、その目がその証拠だ。この国に災いをもたらす存在だ、だから封印しておったのだ」
「この国の言い伝え、俺が知らないとでも?勿論、彼女に教えてもらったが。恥を知れ」
「まぁよい、この件が片付いたら2度とこの国に近づくなよ。勿論娘にもな」
「こんな腐った国には2度と近寄らねーよ」
俺はそのまま優姫を担ぎ、後ろに魔女?を従えてアジトを潰しにいくのだった。
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あと「なろう」様の方でも投稿始めましたー:))