オレはオレの幸せに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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暑い……溶けそう……なのはキャラに氷使いってなのセントのすずかしかいないじゃないか……暑い……股間冷やされたい


31話 ナンバーズって何だよ。 今の時代遊戯王が最初に思い浮かぶわ

 31話

 

 

 

 

「……なるほどなるほど……それで戦果は二つだけというわけだねぇ」

 

 嫌ったらしく笑いながらそう言うのはジェイル・スカリエッティ。 今回の機動六課及び公開意見陳述会襲撃の元凶。 白衣を身にまとい部下であり自ら作り上げた娘であるナンバーズのウーノの報告を聞いていた。

 

「はい……回収するもの……タイプ0ファーストと聖王のクローンは問題ありませんが……被害も出ています」

「チンクに……まさか彼がやられるとはねぇ……流石にこの私もびっくりしたよ」

「現在チンクは治療させていますが……恐らくは間に合わないかと……」

「仕方ないさ、彼女だって頑張ってくれたんだ。 仮に機動六課の連中に身柄を拘束されても、彼女なら手荒な真似はされないさ」

 

 ウーノの報告。

 それは今回の襲撃によって回収したギンガとヴィヴィオの事が1つ。 ギンガ及びスバルは彼女らと同じ戦闘機人であり、かつてスカリエッティが計画していた産物であった。 それを回収し、自身の手駒にしようと言うのだ。

 そしてヴィヴィオもまた、自らの駒として扱うために……ひいてはローリとの約束のために回収したのだ。

 

「にしても……今回はあちら側に驚かされましたね……」

「あぁ……君も見ただろう? あの戦闘記録を」

 

 スカリエッティが言っているのはキリンとローリの戦闘記録である。 トーレとセッテが側にいたため記録出来たのだ。

 しかしその記録を再生しても、キリンの動きが全く見えない。 一方的にやられるローリの姿を追うだけで精一杯であった。

 

「率直な感想を聞いてもいいかい?」

「そうですね……」

 

 ウーノは映像を思い出しながら……冷や汗をかき言う。

 

「率直に…………『バケモノ』……という言葉が頭をよぎりました。 我々ですらすでに生物の標準を大きく超え、ローリは間違いなくこの世でもっとも最強に近いと確信していました……しかしアレを見てそれが間違いであることに気付きました」

「ほう……間違い?」

「アレは……人の形をしているバケモノです。 もしあのまま向こうが止めてくれなければ……人の形を捨ててくるんじゃないかと……本気で思ってしまいました」

 

 ウーノは本来冷静沈着でスカリエッティの秘書を務めているので知能も高い。 そんな彼女が、恐怖したのだ。 恐るべき怪物、キリンに。

 そんな彼女の様子を見てスカリエッティは嬉しそうである。 何故かだ。

 

「そうかそうか。 よかったじゃあないか、まだ知らないモノを知れて」

「……ドクター、もしかして私の反応を見て楽しんでますね?」

「そりゃあもちろん」

「……失礼します」

 

 無駄にいい笑顔をしているスカリエッティに腹を立てたのかウーノは少しだけ怒りながらスカリエッティの側を離れる。

 もちろんその行動もスカリエッティにとっては楽しい事なのだが。

 

「怒らせてしまったか、ふふふ。 私の娘たちの心理的成長に繋がれば、バケモノだって大歓迎さ」

 

 ジェイル・スカリエッティ。 狂気の科学者にして常軌を逸する存在。

 しかしながら、彼にも自分の作り出した存在に対する愛情というものがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカリエッティの潜伏しているアジトにはいくつもの怪しさ満点の機械やら何やらが置いてある。

 その機械の一つ、保管するためのポットの中に下半身を失ったローリが入っていた。 そしてそれを心配そうに見つめるセッテ、あとついでにいるクアットロ。

 

「ローリ…………」

「あらあら、メタルになったローリさんがこぉ〜んな姿になっちゃって、私心が痛んじゃうわ〜」

「ふん、貴様にそのような心配をされるなど虫酸が走る」

「あらぁ〜? それは何かしら? 私みたいな麗しいレディじゃダメなの? さっすが生粋のロリコンさん〜」

「違う……貴様は好かん。 それだけだ」

 

 ローリは再生可能なボディをしているが、それはあくまで破損したパーツを回収して直しているのであり、文字通りチリも残らなければ再生のしようがない。 もちろんスカリエッティなら直ぐに失ったパーツを作り上げる事は可能。 しかしそれでは激昂したキリンには手も足も出ない。

 故に現在、この状態で待機しているのだ。

 

「クアットロ……あんまり悪口……言っちゃだめ」

「あらぁ〜セッテちゃん、こんなサイコパスロリコンを庇わなくてもいいのよぉ? 負けたのもこの人がさっさと殺さなかったのが問題なんだしぃ」

「そこのクソビッチの言う通りだ。 セッテ、庇わなくて結構」

「でも……」

「……誰がクソビッチですって……ローリさぁん?」

「貴様だクアットロ。 ……あぁ失敬、クソ処女ビッチと言った方がよかったか?」

「かっちーん! 温厚な私の堪忍袋の緒が今切れましたー!」

「ほう……温厚という言葉は貴様のようなヒステリック女に当てはまるとは知らなかったな」

「あう……二人ともケンカは……よくない……」

 

 売り言葉に買い言葉……どころか泥団子の投げ合いである。 何故か幼稚だ。 相性最悪な二人のケンカにどうしたものかとオロオロしているセッテだったが、そこに一人、喧嘩を収めにきた訳ではないがやってくる。

 

「ふふふ、口喧嘩をする程の元気があるようで安心したよ」

「あ、ドクター」

「スカリエッティ……」

 

 白衣を揺らしながら近寄るスカリエッティは、クアットロとローリの姿を見で少し吹き出しながら笑う。

 

「にしても……ククッ……! 仲が良いようだねぇ二人は」

「違いますドクター!」

「そうだ、違うぞスカリエッティ」

「いやいや、二人の声……とても大きかったよ? みんなに聞こえるくらいねぇ。 それだけボリュームを上げるということは仲が良い証拠じゃあないか」

「絶対に違いますから!」

 

 珍しく声を荒げるクアットロを見てスカリエッティはまたも笑う。そしてセッテの方を見て言う。

 

「ほらセッテ、二人はとても仲良しだ。 だからケンカをしても大丈夫」

「そうなの……?」

「そうだよ」

『違うわ』

「ほら息ぴったり」

「なるほど…………おー……!」

『違う!!』

 

 不思議と息が合う二人。 何故だろうか? それはむしろ本人達が本気で知りたい。

 

「さて……もう少しクアットロをいじって遊びたい所だけども……少し大事な話をしようか……ローリ?」

「…………」

「ローリ…………?」

「? ドクター、何の話ですか? 私知りませんよ」

 

 セッテとクアットロには分からない。 だがローリはもう理解している。 と言うよりもローリはスカリエッティとすでに話していたのだ。

 

「私も……ちょうどその話をしたい所だった」

 

 ローリとスカリエッティ、二人の怪しい笑みが暗闇に光る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカリエッティアジト内、暇そうにしているウェンディはブラブラ歩いていた。 別に暇という訳ではない、やる事も当然あるし、スバルにやられたチンクの事も心配である。

 だがやる事がない。 暇をもてあそぶほか無いのだ。

 

「ヒマっすねぇ〜」

「……だからって私を巻き込むな……」

「いいじゃないっすかディエチ。 ディエチも暇っすよね?」

「……私、武器の手入れとかしたいんだけど」

 

 巻き込んだディエチと共にアジト内を散歩するウェンディ。

 進行方向先に、トーレの姿が見える。

 

「……おりょ? トーレっすね」

「珍しい……いつもセッテが側にいるのに一人だ」

 

 ディエチの言う通り、トーレの側にはいつもセッテがいた。 懐かれているのか、それとも他のナンバーズと共にいる理由がないからかは分からない所ではあるが。

 ウェンディは元気よく手を振りながらトーレに声をかける。

 

「トーレ! ボッチになったトーレ!」

「ウェンディ……とディエチか」

 

 ウェンディはそのまま元気よく側までいき、勢いよくまくしたてる。

 

「いやぁとうとうセッテをローリさんに取られたんすか? ついにボッチデビューっすか!?」

「まてウェンディ……そもそもセッテは私の所有物ではない。 それにセッテは元々ローリに懐いている。 私はその次に懐かれているだけだ」

「ありゃ、トーレママお墨付きだったんすね。 つまんないっすね」

「誰がママだ……そうだウェンディ、そんなに元気が有り余っているなら訓練でもするか?」

「うひっ!? そ、そういうのはNGで〜……」

 

 ウェンディが低姿勢で両手を揉みながら「冗談っすよ冗談……えへへ」と手の平を返している。 その光景は何ともアホらしいのだが、そんなウェンディはいつもの事。 慣れてしまったディエチらにとってなんて事はない。

 が、ここでディエチの何気ない疑問。

 

「……そう言えば」

「? どうしたっすか?」

「セッテは何故あのような……身の毛もよだつような変態に懐いているんだ?」

「……たしかし」

 

 よくよく考えれば……いやよく考えなくても良いのだが、ローリはロリコンである。 そんなロリコンにロリ(純粋培養)であるセッテが懐くとは恐ろしい話だ。 腹ペコのトラの前に生肉を置くのと同じくらい危険な行為である。

 

「トーレなんか知ってるっすか?」

「私に聞かれてもな……あぁでも」

 

 トーレには心当たりがあった。

 

「セッテは私との訓練が終われば、必ずローリの元に向かってたな」

「……え、それって……大丈夫……すか?」

「何がだ?」

「クールなセッテとはいえ訓練の後は汗くらいかくはずっすよね……」

「……汗をかいた少女が変態の元に毎回……」

「い、いらん想像をするな二人とも!!」

 

 ウェンディとトーレに嫌な電流走る。 走って欲しくなかったが。

 

「……ま、まぁローリの本体は小さなチップ。 何もやましい事は起こっていない……だろう……」

「……嫌でもドクターに頼めば……」

「だから止めろ!?」

「……トーレ、それとな〜く貞操について聞いてくれるっすか?」

「……任された」

 

 トーレとウェンディは思った。 もし赤飯を炊かねばならぬ事態ならば、優しく見守ってやろうと。 それはそれは悲しげな優しさだったそうな。

 それを見ていたディエチは呆れていたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ローリとスカリエッティの大事な話。

 それを偶々いたクアットロとセッテが聞いた。 そして……驚愕する。

 

「えぇ……っと……それは流石の私でもドン引きですわ〜……」

「本当に……やるの……ローリ……?」

 

 スカリエッティの思想に近いクアットロでさえも、『これ』には難色を示す。 何故ならそんな事をやらなくてもいい話なのに、ローリはそれを進んでやろうとしているのだ。

 

「構わん、元々そうする予定だった」

「私もこの話を聞いた時は耳を疑ったが……今となっては信憑性も出てきている。 私としても実にありがたい話なんだよ」

「だからって……えぇ……」

 

 何食わぬ、むしろ当たり前といった顔をしている二人にクアットロのメガネが落ちそうになる。 それはそうだろう……

 

「ーーーー()()()()()()()()()()()()()()()必要はないんじゃ……」

 

 恐ろしい計画が進んでいく。




超絶悲報、ヴィヴィオは普通に誘拐されてた!!

次回は六課の誰かにフォーカスします。

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

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