オレはオレの幸せに会いに行く   作:ほったいもいづんな

26 / 76
この時のアニメのタイトルって「その日、機動六課」っていうオシャレなんだがよく分からないタイトルなんですよね。 しかも前編と後編に分けてありますし。

まぁだからと言って私のサブタイトルの付け方の方がいい……なんて事はまぁあり得ないでしょうね。


25話 嵐の前の静けさって表現よりは終了間際のフリースロー並みの静けさの方が好き

 25話

 

 

 

 

 公開意見陳述会に実際に出席するのはなのはとフェイトとはやて、そして側に付いているシグナムのみ。 キリン達は外で待機している。 そしてなのは達はデバイスを中に持ち込めないのでティアナ達が責任を持って預かっている。 なおザフィーラ、シャマル、心悟は六課で待機している。

 

 キリン達の他にもスバルの姉であるギンガもまた会場の警備として参加している。 因みに心悟が居なくて少し不貞腐れている。

 

「あーあ、心悟さんも来てくれれば心強いのに……」

 

 珍しく公私混合しているギンガ。 その原因は意外にも心悟にあった。

 

「『何かあっても、僕が何とかするから安心しておいてね』……って言われた時は凄い嬉しかったけど……よくよく考えてみれば一緒にいた方がいいわよね……?」

 

 意外と含みのある言い方に頭を捻る、だがギンガは別に人の心理が分かる訳ではない。 心悟の全てが把握できる訳ではない……が。

 

「でも心悟さん……ちょっと辛そうな顔してたわね……多分私くらいしか分からなかったと思うけど……」

 

 常に心悟の事を見て考えているギンガの目には、普段の心悟とは違う様子を察する事が出来ていた。 だがその真意は分からない。

 

「……今日は何があっても絶対に帰ろう」

 

 ギンガ・ナカジマ、初めて仕事が早く終わる事を祈る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 心悟の事を心配するのはギンガだけにあらず。

 

「…………」

「へいへーい、どったのよ翔次君や。 めちゃくそナーバスやんけ」

 

 翔次もまた心悟の事を考えていた。

 

「……何でもない」

「えぇ……ならその三点リーダーは何なのよ」

「……何でもないと言ったら何でもない」

「むぅ……んなにツレナイ返事しなくてもええやん」

 

 キリンは今日の翔次の様子がおかしい事に早めに気付いた。 だが翔次がそのような様子になるのは決まって『()()』じゃあ気軽に話す事が出来ない話題でもある事も知っている。 だからこうやって少しでも気を紛らわせる様に話しかけている。

 

「ん〜本当にどしたのよ? 君がそんなに神妙な顔してるなんてティアナちゃんがなのはちゃんにブッパされた時くらいじゃんアゼルバイジャン?」

「…………」

「……んならティアナちゃんにお願いして聞いてもらおっかなぁ〜?」

「なっ!? 何故そこでティアナが出てくる!?」

「なぁんででしょうねぇ〜?」

 

 ウザい表情で翔次を煽る。 人をバカにした表情で笑われては顔真っ赤不可避である。 任務中だと言うのに自由な男だ。

 

「最近〜仲がよろしくて? ねぇ奥さん?」

『そうですわねぇ〜最近距離が近くなったんじゃありませんかぁ』

「た、確かに前のボクはティアナとかstrikersキャラの事が好きだったが、今のボクは違う! だれがあんなメンドくさい女……!」

『あらやだ! あぁ〜んなに可愛くて器量のあるお嬢さんを捕まえてメンドくさいだなんて……翔次様の目は節穴じゃあありませんかぁ〜?』

 

 マスターのキリンとデバイスのミョルニル。 手を組めばこれほどウザったらしいコンビはこの次元世界を探してもそうはいないだろう。 煽られたからか、翔次は仕方なさそうに息を吐く。 が、二人の煽りは止まらない。

 

「……はぁ、分かった。 分かったからあの顔止めろ」

「えぇ? 何が分かったんですかぁ?」

『ぷっぷくぷ〜! 言葉にしてくれないと分からないぴょ〜ん』

「お前ら煽りにステ振りすぎだ! 斬るぞ!?」

「切れない刀なのになぁに言ってんのよ〜」

「……始解しないで浅打ちの状態で切ればスパッといくぞ……?」

『あ、まじサーセンした』

「お慈悲^〜!!」(ケツピン)

 

 抜き身をチラリと見せると二人は手のひらを高速で返してくる。 若干見慣れた光景ではあるが、翔次は容赦なしにキリンとミョルニルを叩く。 もちろん始解の状態でだ。

 

「痛い!?」

『んほぉぉぉぉ!? 頭がこわれりゅうぅぅぅぅぅぅ!?』

「やかましい!!」

 

 今日はミョルニルがみらくらるのか……たまげたなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

「んまぁ別に聞きたい訳じゃあないのよ」

「何だと?」

 

 キリンはそこら辺の段差に腰掛け翔次に自分の今思ってる事を伝える。

 

「君がオレに何にも言わないって場合は……オレに言ったらオレがとんでも無いことをしでかすかもしれないから……だろ?」

「……よく分かってるじゃないか」

「だしょー?」

『自覚があるのに自慢げにならないでくださいよ……』

 

 キリンは自分の事を、客観的に評価できる様に鍛えてある。 それはかつて孤児院で子ども達と接していた時、孤児である子どもらの自己評価を高める為に様々な事をしていた。 そして子どもらの自分への評価の為に自分の自己評価を惜しまない様にしていた。 子どもの自己の発達の為であったが、それはキリンの自分の強化にも応用していたのだ。

 

「んまぁほら、列車の時は話してくれたじゃん? 多分それはオレが関わっても問題がないから何だろ? でも今日は話してくれない、つまりは()()()()()()なんだべ」

「…………」

 

 沈黙は肯定、誰かがそう言ったが実にその通りである。 翔次はキリンの為に何も言わなかった。 言ってしまえばキリンの『気遣い』が無駄になると察したからだ。

 

「まぁ大丈夫だろ。 これで誰かがピンチになるって聞いてオレはそこにはいかない。 ……あのロリコンやろーがいない限りはな」

「……キリン」

「あのロリコンに確かにオレは勝った。 だがそれでもあいつはオレじゃねぇと相手にならねぇ、なのはちゃんとフェイトちゃんが力合わせてようやく五分五分ってオレは見積もってる」

 

 隊長二人がかりでようやくと言っているが、それは二人が拘束目的で対峙している場合の話である。 もし殲滅目的なら一人で互角、二人なら圧勝だとキリンは見積もっていた。 そしてキリンはローリに容赦はしない、故に自分こそが最も適任だと理解していた。

 

「オレはあのヤローの手足が吹っ飛んでも問題ないと思ってる。 何せ相手は……『戦闘……機人……?』って奴だからな。 でも二人はそんな事しない、優しいからね」

「……まぁ確かにそうだな」

「ま、そういう事で」

 

 キリンは立ち上がりズボンを手で叩く。 汚れは別に付いている訳ではないが所謂癖である。

 

「オレは何かあったらあいつとやる。 君も君のやりたい奴とヤッてきな」

「…………ああ」

「いい返事だ。 ……あ、でもティアナちゃん達がピンチだったら助けてあげなよ?」

「……善処する」

 

 キリンは自分のやるべき事が分かっていた。 転生者にして確実にこの世界の魔導師達のレベルを上回る実力を持つ『小五 楼人』の相手は、同じくこの世界の常識外の存在である自分がやらなければやらないと。 同じ転生者である翔次には荷が重いと判断していた。

 

 シグナムやヴィータ以上のパワー、全力のフェイトと同等のスピード、なのはレベルの砲撃、どれを取ってもバケモノと呼ぶに相応しいレベルの持ち主。 それに対抗できるのは『無限の魔力』に『北欧の神 ソーの雷の力』を操れる『魔法を扱う力』が宿っている『都 霧刀』の身体を持つキリンだけだ。

 

 キリンは再び現れるであろうローリの事を思い出す。

 

「ローリ……『()()()()』……気のせいだといいんだけど」

 

 キリンの呟きを他所に時間は確実に動いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうだい? 新ボディの感触は」

 

 件のジェイル・スカリエッティは自身の研究所で、先ほど出来上がった『新作』を確認している。 ジェイル・スカリエッティの前には全身がメタル化された人型の存在が静かに佇んでいる。

 

「一応キミの要望通り……に、私の集めていた資料を合わせて詰め込んである。 まさに無敵にして今の私が、自力で作れる『最高傑作』だと自負しているよ」

 

 メタリックなそれは、感覚を確かめるように手を握ったり開いたりする。 その度に機械が軋み擦れ合う音が鳴る。 数回試したのち、それは静かに口を開く。

 

「……問題ない」

「そうかそうか、それはとてもよかったよ。 さて、いきなりで申し訳ないが早速私の娘達と一緒に出てもらえるかな?」

「構わない……どうせあの『キリンとかいう転生者』は私でしか相手出来ん。 例えナンバーズ共が『()()()()()()()()()()()()()』になっていたとしてもな」

「ありがとう、実際キミにはとても感謝してるよ。 キミがいなければ私は大人しく降参していただろうし」

「ふん、そのような世辞はいらん。 それよりも……」

 

 戦闘機人とも似ても似つかぬそれは外を目指し歩き始める。 絶妙に圧迫感のある金属音が少し鳴り響く。

 

「ジェイル・スカリエッティ、分かっているだろうな」

 

 そして確認するように鋭い視線を彼に向ける。

 

「全てが計画通り行った暁には……『あのロリは私のーーーー』」

「もちろん分かっているとも。 何もかも順当に行かなくとも、最後の段階まで行けば『ヴィヴィオ(あれ)』はキミの自由にして結構」

「ならいい……」

 

 冷たい視線をスカリエッティから目の前の闇に向け、静かに歩き出す。 その背を見てスカリエッティは、聞こえるのを理解した上でこう言う。

 

「私はキミの『目的の為ならば外道を歩んでも構わない漆黒の意思』を見て手を組んだんだ。 期待しているよ小五 楼人……いや」

 

 ーーーー楼人・ビレッジストレート

 

 その名に、それーーローリは反応する事はなかった。

 

 




ローリも名前違うんかい!(熱い自問自答) しかも名前は日本語なのに名字が英語とか舐めとんのか! ローリが婿入りしたみたいになっとるやないけ!!

次回は戦闘します。

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。