第九弾 ボディーガード
さて、『武偵殺し』の件も終わり、アドシアードがもう近々ある。
まあ、俺は多分出られないけど。
身体中撃たれていたので、もちろん、足にも当たっていて今は車椅子で過ごしている。
気合を入れれば立てないこともないが痛いのでやらない。
そんな中俺は教務科に呼び出しをくらっていた。
こんな車椅子なのに呼ぶなよ。
階段登るのしんどいんだから。
「しっつれーしまーす」
扉を蹴って開けて中に入る。
そこには、
「あれ?風切君?」
白雪がいた。
大和撫子ーな少女なのだが金次のこととなると、過剰になる。前も俺が亜里沙になってしまった時に運悪く鉢合わせしてしまい、暴走していた。俺と金次はこの暴走状態を黒雪と呼んでいる。
「おー来たかぁ、風切ぃ。じゃぁー早速、やっていくかぁ」
そんなぐだぁっと喋るのが尋問科の綴先生だ。
この人に掛かればどんな犯罪者でも口を割ると言われているほどだ。
「星伽ぃー、最近……急ぅーに成績落ちてるよなぁー?」
ほう、この白雪が、ねぇ。
この武偵高のトップで生徒会長もしている白雪が。
「まぁ……勉強はぁーどーでもいいんだけどぉ。」
いいんかい。
「えーっと、あれ、あ、変化。変化はぁー気になるんだよねぇ。」
本当にだるそうに話すよな。
「ねぇー、単刀直入に聞くけどさぁ。星伽、ひょっとしてぇ、
「『
『
………上から。
まさかあいつら………。
「それはありません。と言いますか………もし本当にいるなら
私なんかよりもっと凄い人を狙うでしょう。」
「星伽ぃー。もっと自分に自信持ちなよぉ。アンタは
………今只ならぬことが聞こえたような。
「星伽ぃー何度も言ってるけどボディーガードつけろってば。
「でも……ボディーガードは……その……」
「にゃによぅ」
「私は、幼なじみの子の、身の回りのお世話をしたくて……誰かがいつもそばにいると、その……」
「星伽、教務科ウチらはアンタが心配なんだよぉ。もうすぐアドシアードだから、外部の人間もわんさか校内に入ってくる。その期間だけでも、誰か有能な武偵を――ボディーガードにつけな。これは命令だぞー」
「……でも、魔剣デュランダルなんて、そもそも存在しない犯罪者で……」
「これは命令だぞー。大事なことだから、先生2度言いました。3度目はコワいぞー」
そう言いながらタバコの煙をふぅーと吐き出した。
白雪の顔に当たり、白雪が咳き込む。
「けほっ、は、はい、分かりました」
その流れを聞いていた俺はふとした疑問をぶつける。
「それて、俺は何故呼ばれたんでしょう?白雪のボディーガードですか?」
「いやぁ、お前も守ってもらう側だ。」
………。
「………、は?俺も、ですか?」
「そうだぁ。お前は
「………俺は超能力は使えませんよ?」
「そうかぁ?風切梓。16歳。グロック17とベレッタM9の2丁拳銃。あと、ソードブレイカーのナイフを使ってるなぁ。強襲科、狙撃科でランクS。探偵科はA、諜報科はB。超能力は風。
出来るだけ隠してはいるがバレバレだぞぉ?
「…………」
「あと、亜里沙、だったかぁ?これに関してはぁ、情報は少ないなぁ。……これでも狙われないって言い切れるかぁ?」
「………」
どこまで調べてるんだよ。
風なんて人の前では使ってないのに。
でも、亜里沙の事がバレてなくて良かった。
バレたら面倒だからな。
「………分かりました」
俺がそう答えると、がシャンと上の通気口のが開いて、見覚えのあるやつらが降りてきた。
………やっぱりお前らか。
「白雪のボディーガード、あたしたちがやるわ!」
通気口から降り立って声高らかにそう宣言した。