過去の話をし終えてしばらく全員無言だった。
……まあ、人の人生をいきなり語られたらそうなるか。
「と、これが竜太のことと、俺の死因。そしてついでに飛鳥たち奴隷解放の真実だ」
『………』
未だに無言。
……どうしたものか。
「……あんたって昔から常識破りなのね」
「どう言う意味だ、こら」
アリアがさらっと罵倒してくる。
……ここにいる全員常識破りばっかりだろうが。
「さて。こうして俺の過去を語ったわけだが、何故このタイミング?って言うのは分からん。ただ今回は前世の友人竜太が出てきたことで、それを説明するために過去を語ったにすぎない。これからお前ら金次たちはジーサードと戦うことになるだろう。あいつは金次の兄弟みたいなものだからな」
「……どう言うことだ?」
「……まだ気づいてなかったのか?
「意味?」
「ジーサードとは金叉の3番目と言うことで、遺伝子状はお前の弟にあたる。ジーフォースも同様にな」
「………」
開いた口が閉まらない。
みたいな感じで呆気にとられている金次。
「ど、どうしてそんな事が言えるんだ?」
言葉を絞り出すように発する金次。
「大した確証はない。俺はジーサードの雰囲気とジーフォースの言葉を元に推理してみただけだ」
惜しげも無く告げる。
この推理も完全じゃないから、大した責任を感じるつもりもない。
「あいつは手強いぞ?金次が全力でやっても勝てない可能性だってある。そこに竜太がいるとなれば鬼に金棒だ。一応竜太は俺の剣の師匠だからな。あいつの強さは折り紙つきだ。近く、ジーサードたちと戦うことになれば竜太とは俺がやる」
「無茶よ!あんたはまだ一命を取り留めただけなのよ!?」
「だが、あいつとはお前たちでは戦えない。それこそ全員でかかっても負けるだけだ。あいつは俺と一緒に最前線を駆け、銃を一切使わず剣だけで最後の最後まで戦い抜いたやつだ。多対1になってもあいつは圧倒してくるぞ」
俺がそう言うと押し黙る。
すると、レキが一歩前に出た。
「梓さん」
「どうした?」
「……死ぬつもりではありませんね」
「当たり前だ。死ぬ直前のあいつの言葉は忘れていない。あの時は自殺紛いな感じで死んでしまったが、こうして、恋人も出来て幸せだからな。この幸せを壊さない為にも死なないさ」
恥ずかしいが顔に出さずに言い切る。
レキは俺の言葉を聞いて少し顔を赤らめた。
「ともかく。今は決戦を待つしかない。休めるうちにお前らも休んでおけよ」
話を終える為に布団を引っ張って掛ける。
金次たちは顔を見合わせて俺に返事を返し部屋を出て行った。
その夜。
ふと目が覚めた俺は、制服が置いてある位置に何やら紙が置いてある。
俺は不審に思い、風を使って引き寄せ、中身を見てみる。
『赤霧碧へ
明日の夜0時。
学園島の南端にある空き地島にて待つ。
東海林竜太』
……果たし状だった。
俺はため息をつき紙を閉じる。
大胆なことをするようになったなぁと思いつつ、
少しでも体を治す為に眠りについた。
と言うかいつの間にかベットにはレキがいた。