親友が死んだ。
その事にとてもじゃないほど喪失感を味わった。
攫われたからずっと一緒にいた親友。
亡骸をずっと抱きしめていたところに大人がきた。
「赤霧。状況は?」
「……敵は全て倒しました。こちらは、……東海林竜太が死亡しました…」
「そうか」
そう返事を返し離れて行く。
その時、聞こえた。
この言葉が。
「所詮は奴隷か」
その時、思考が停止した。
……こいつはなんて言った?
俺の親友に。
所詮、だと?
ふざけるな。
勝手に攫ったのはどっちだ。
そのくせに所詮だと?
……もういい。
「全員、殺す」
俺はそう呟いて、ナイフを抜く。
そして、そっと近づき首を切る。
「……かっ!?……てめっ!」
そして、後ろから蹴り飛ばして捨てる。
血の付いたナイフを振り払って血を落とす。
俺はあることをしたあと基地に戻って、ヘカートの銃弾を装填する。
マガジンを過剰に持って、竜太の剣を取る。
飛鳥たちが起き上がってくるのを見ながら剣を背負う。
ひとつ、瞑想をする。
竜太が死んだ時の気持ちを殺意に変える。
殺意が頂点に達した瞬間に目を開ける。
さあ、
俺は飛鳥たち、全員に武装をさせて集まらせる。
「どうしたの?霧青?」
「ああ、これから作戦を伝える」
「作戦?」
「そうだ。奴隷から解放されるための作戦をな。相太、新太、創気、智史、健吾、優馬、幸平、浩志、太一、修平、賢治、一馬、光輝、俊樹、アンドリュー、ジェイソン、アレックス、飛鳥、朝雪、楓、瑞樹、エイラ、ライト、レベッカ、エリザ、セレナ、リリィ。やっぱり作戦は後で言う。その時の異論は認めない。分かったな」
男子から順に言って行き、女子で終わる。
総勢27名。
全員が頷いたのを確認して外に出る。
戦闘艦に背を向けるようにして、大人たちを待つ。
飛鳥たちは俺の後ろに並んでいる。
そして、ぞろぞろと大人たちが出てきた。
俺は一番先頭に立って出てきた奴にデザートイーグルの照準を合わせる。
大人たちは俺の行動に隠せなかったようだ。
「……何のつもりだ?」
「見て分からないか?お前らに銃口を向けている」
「だから何のつもりだと聞いている」
「元々、無理矢理戦わされていたんだ。俺たち奴隷は元の国へ帰る。その為に俺が殿となってお前らに反抗しているんだ」
「そんな事をしてただで済むと思っているのか?」
「思っちゃいないさ。だから少しでも抗う為に銃口を向けている。そして、竜太の仇は俺が討つ」
俺は飛鳥たちの方を向いて銃を掲げて叫ぶ。
「奴隷たちに最後の作戦を伝える!飛鳥、相太の指示に従いここより戦線を離脱!戦闘艦に乗って日本に帰れ!異論は認めん!さあ、行け!」
俺はそう言い放つ。
すると、飛鳥が少し近づいてくる。
「き、霧青は?」
「こいつらを全員殺したら自力で帰るさ」
「そんな、無茶だよ!」
「だが、やらなければならない。竜太の為に。お前たちの為に」
「……意見を変える気はないんだね」
「ああ」
「……」
飛鳥が無言で近づいてくる。
俺はそれをじっと見ている。
そして、俺に抱きついて来たかと思ったら、俺の唇に飛鳥の唇が重なった。
沈黙の後、ゆっくりと飛鳥が離れて行く。
「……生きて。生きて私たちのところへ帰ってきてね」
「ああ。善処する」
飛鳥はニッコリと笑って全員を率いて走って行く。
俺はそれを見送って、大人たちの方を向く。
「やけにすんなり倒してくれたな」
「ああ、どうせあいつらは死ぬ運命だ」
「何?」
そう言って胸元から何かのスイッチを出してくる。
「これはあの戦闘艦に設置してある爆弾のスイッチだ」
「爆弾だと?」
「ああ。逃走するならあの船だからな。あらかじめ設置して置いた」
そして、止める間もなくスイッチが押された。
しかし、爆発はしない。
「な、何故だ!何故爆発しない!?」
「当たり前だろ」
俺はデザートイーグルでスイッチを破壊して、淡々と言う。
「あの船に爆弾があるのは知っていた。だから全て昨日のうちに外しておいた」
「ば、馬鹿な!?30個はあったはずだぞ!?」
「全てと言った。さぁ、殺戮を始めるか」
『赤霧の名の下に
力を持って力を示せ
守るべきものの為に
力を用いて敵を穿て』
そう言うと雰囲気が変わる。
サバイバルナイフとトカレフも抜き、思いっきり息を吐き出す。
限界まで吐いて、思いっきり息を吸い込んで、叫ぶ。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
数は1対恐らく3000。
そこからは酷い争いだった。
俺も何千人か殺した。
グレネードを投げて、それを撃つ『
ナイフを持って接近戦を挑んでくる奴は首元を切り、盾に使う。
スナイパーは爆弾で目くらましした後に寝転がりヘカートて撃ち抜く。その時にシャーロックに撃たれたであろう痛みが浮かんだ。
その痛みを堪え、戦うが、視界が無いのは痛く、
そして、右脚の感覚がなくなり、左腕、右腕も使えなくなる。
最終的にナイフを口に咥えて戦い、
心臓を撃たれて死んだ。