そうして、五十八弾の冒頭に戻る。
帰った俺たちは急いで武器の手入れを全員分行う。
女の人たちは大人たちの飯の準備と俺たちのサポート。
大人の奴は適当にパパッとやって、デザートイーグルやトカレフを丁寧にやる。サバイバルナイフも小さな砥石を使って研ぐ。ヘカートの手入れもしてマガジンを入れ替える。
そして、料理……は、俺らには無いのでパパッと食べて就寝する。
他の人が寝静まった後、俺はこっそり外へ出た。
俺は日課、と言ってはダメなんだろうけど、その日死んで行った仲間たちのことを弔う為に外に出ている。
大人たちは論外。
死んでしまった人数分、石を積み上げて水をかける。
そして、俺は宗教とか興味ないけど、十字を切って手を合わせる。
「海斗、琢磨、龍樹。今までありがとうな。そして、ごめん。守り……切れなかった。う、ぅぅ……」
そう呟きながら涙を流す。
いつもこうだ。
どれだけ倒しても、仲間たちが死んでしまう。
それを見て涙を流す。
これも日課だ。
誰もいないところで泣くのが一番手っ取り早く明日に向かえる。
しかし、いつも痛い、痛いと叫ぶ声。
痛みで苦しいと言う声。
それが頭から離れなくなる。
心を殺して無理矢理殺人衝動を起こす俺はもう半分死んでいるのかもしれない。
泣き終えたところで涙を拭う。
「亜紀斗」
そこで声が聞こえる。
振り向くと竜太が立っていた。
「どうした?眠れないのか?」
「いや、こんな時間に出て行くからどうしたのかなって。
……それ、あの子たちのお墓?」
「ああ。少しの弔いもしてやらないとな。報われないだろ」
「そうだっ!ね……」
いきなり竜太が倒れた。
「……は?」
後からタァーンと音が聞こえる。
俺はすぐさま竜太のところに駆け寄る。
「竜太ぁ!」
駆け寄って傷を確認する。
傷は心臓から少しずれていた。
俺は思いっきり息を吸い込んで叫ぶ。
「襲撃!襲撃!敵は数十名と仮定!即刻対処せよ!繰り返す!………」
二、三回繰り返して竜太を下ろす。
「すまん!竜太!すぐに終わらせるから!」
寝床に向かってヘカートだけを取ってくる。
『赤霧の名の下に
力を持って力を示せ
守るべきものの為に
力を用いて敵を穿て』
そう言うだけで雰囲気が変わる。
スコープを覗いて敵の位置を確認する。
そして、石を拾って空中に投げ、ヘカートで撃ち抜く。
「
石が砕け、相手に降り注ぐ。
ボルトを引いて薬莢を排出。
装填してボルトを戻す。
足を引き、銃を逆手に持つ。
「
片手を離し敵に向けて回しながら引き金を引く。
敵を貫通して倒れて行く。
「敵の沈黙を確認」
相手の状況を見てヘカートを下ろす。
そして急いで竜太のところに駆け寄る。
「竜太!」
「亜紀斗、僕は、もう、駄目だ」
血を流しながら弱々しく呟く親友。
「何言ってるんだよ!もう喋るな!大丈夫だから!」
「ありがと、ね。亜紀斗。いつも、助けて、くれて」
「だからもう喋るな!」
「僕は、ここで、死んじゃうかも、しれないけど、亜紀斗は、生きて、幸せにならなきゃ、駄目だよ?」
「ああ!なる、なるからぁ!」
「それじゃ亜紀斗、僕の、分まで、幸せに……なっ……て……」
「竜太ぁぁぁぁぁ!!」
親友が死んだ……。