緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第五十八弾 時

時は戻って何百年。

俺たちは走り出す。

後ろから大きな男たちの声を聞きながら走っていく。

 

「Go!Go!走れ!」

 

「行くぞ!竜太、創気、新太!」

 

「「「了解!」」」

 

そう指示して、デザートイーグルとサバイバルナイフを取り出す。

 

「竜太は俺と一緒で前線。創気、新太は後衛でサポート。時と場合は見極めろ」

 

「「「了解!」」」

 

デザートイーグルで飛んできた弾を跳ね返し、迫ってきた敵のナイフを避け、首元にサバイバルナイフを刺す。

もう1人来ていたのでナイフを奪ってそのもう1人の頭に投げる。刺さったのを確認して敵を見ていると、

 

「スナイパー!」

 

そう声が聞こえて竜太のことを呼ぶ。

 

「竜太!」

 

「了解!」

 

少しだけ前線を任せ、背負って居たヘカートⅠを下ろし構える。弾が飛んできた位置を計算してスコープで追い引き金を引く。敵の沈黙を確認しながら、ボルトを引いて薬莢を排出しボルトを戻す。

 

「碧!」

 

「おう!」

 

ヘカートⅠを背負い直し、サバイバルナイフをしまってトカレフを抜く。

そして、石を拾って空に投げて、それをデザートイーグルで狙い、

 

血の雨(レッドレイン)

 

撃つ。

弾が当たり石が砕けて相手の上に落ちて行き、身体を貫いて行く。目測だが数十人は死んだだろう。

敵が撤退して行くのを見え、デザートイーグルとトカレフをしまう。

 

「お疲れ、亜紀斗」

 

「おう。竜太もな」

 

そう言って竜太とハイタッチをする。

そして、すぐさま創気と新太を呼んで軍に帰って行った。

 

 

 

 

 

 

攫われたからどれくらい経っただろうか……。

攫われる前には呑気に遊んでいた。

海辺にいるときに急に襲われて、無理矢理船に乗せられた。

そこには、たくさんの子供たち。

みんながみんな泣き叫び、お父さん、お母さんと泣くばかり。

俺はこの光景を見て泣くことを忘れた。

全員、年端もいかない子供ばかりであり。

多分この中で一番俺の年が高いだろう。

 

「ねぇ」

 

「ん?」

 

声をかけられる。

その方を見ると、俺と同じくらいの歳の男だった。

 

「初めまして、だね。僕以外で泣いてない人を見たのは初めてだよ」

 

「ああ、泣いたところで何かが変わるわけじゃないからな」

 

「……随分と達観してるんだね」

 

「それが歳の差だ」

 

「あ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は東海林竜太。君は?」

 

「俺の名は赤井霧青。あ、でも攫われたところで本名は嫌だから、そうだな……。赤霧碧とでも呼んでくれ。ま、当て字だけどな」

 

「きりと、だね。赤井を略して赤、霧青の霧を苗字にして、赤霧。青を読み替えて碧か。いい名前だね。……そうだ、理伊那亜紀斗(りいなあきと)ってのは如何かな?並べ替えただけだけど」

 

「それじゃ、竜太はそう呼んでくれ。でも、人前では碧でな」

 

「わかった」

 

こうして、俺と竜太は出会ったのである。

 


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