時は戻って何百年。
俺たちは走り出す。
後ろから大きな男たちの声を聞きながら走っていく。
「Go!Go!走れ!」
「行くぞ!竜太、創気、新太!」
「「「了解!」」」
そう指示して、デザートイーグルとサバイバルナイフを取り出す。
「竜太は俺と一緒で前線。創気、新太は後衛でサポート。時と場合は見極めろ」
「「「了解!」」」
デザートイーグルで飛んできた弾を跳ね返し、迫ってきた敵のナイフを避け、首元にサバイバルナイフを刺す。
もう1人来ていたのでナイフを奪ってそのもう1人の頭に投げる。刺さったのを確認して敵を見ていると、
「スナイパー!」
そう声が聞こえて竜太のことを呼ぶ。
「竜太!」
「了解!」
少しだけ前線を任せ、背負って居たヘカートⅠを下ろし構える。弾が飛んできた位置を計算してスコープで追い引き金を引く。敵の沈黙を確認しながら、ボルトを引いて薬莢を排出しボルトを戻す。
「碧!」
「おう!」
ヘカートⅠを背負い直し、サバイバルナイフをしまってトカレフを抜く。
そして、石を拾って空に投げて、それをデザートイーグルで狙い、
「
撃つ。
弾が当たり石が砕けて相手の上に落ちて行き、身体を貫いて行く。目測だが数十人は死んだだろう。
敵が撤退して行くのを見え、デザートイーグルとトカレフをしまう。
「お疲れ、亜紀斗」
「おう。竜太もな」
そう言って竜太とハイタッチをする。
そして、すぐさま創気と新太を呼んで軍に帰って行った。
攫われたからどれくらい経っただろうか……。
攫われる前には呑気に遊んでいた。
海辺にいるときに急に襲われて、無理矢理船に乗せられた。
そこには、たくさんの子供たち。
みんながみんな泣き叫び、お父さん、お母さんと泣くばかり。
俺はこの光景を見て泣くことを忘れた。
全員、年端もいかない子供ばかりであり。
多分この中で一番俺の年が高いだろう。
「ねぇ」
「ん?」
声をかけられる。
その方を見ると、俺と同じくらいの歳の男だった。
「初めまして、だね。僕以外で泣いてない人を見たのは初めてだよ」
「ああ、泣いたところで何かが変わるわけじゃないからな」
「……随分と達観してるんだね」
「それが歳の差だ」
「あ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は東海林竜太。君は?」
「俺の名は赤井霧青。あ、でも攫われたところで本名は嫌だから、そうだな……。赤霧碧とでも呼んでくれ。ま、当て字だけどな」
「きりと、だね。赤井を略して赤、霧青の霧を苗字にして、赤霧。青を読み替えて碧か。いい名前だね。……そうだ、
「それじゃ、竜太はそう呼んでくれ。でも、人前では碧でな」
「わかった」
こうして、俺と竜太は出会ったのである。