緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第五十七弾 赤井霧青

『僕は、もう、駄目だ……』

 

血を流しながら弱々しく呟く親友。

 

『何言ってるんだよ!もう喋るな!大丈夫だから!』

 

『ありがと、ね。亜紀斗。いつも、助けて、くれて」

 

『だからもう喋るな!」

 

『僕は、ここで、死んじゃうかも、しれないけど、亜紀斗は、生きて、幸せにならなきゃ、駄目だよ?』

 

『ああ!なる、なるからぁ!』

 

『それじゃ亜紀斗、僕の、分まで、幸せに……なっ……て……』

 

「竜太ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこで目が覚める。

嫌な汗が顔を滴る。

それを拭うために手を上げるが上がらない。

 

「大丈夫ですか。梓さん」

 

ふと俺の額に手が伸びる。

その手を見るとレキの手であった。

 

「あ、ああ。大丈夫っ!いっつつ!」

 

痛みで腹を抑える。

そこで、レキが一つの弾丸を取り出して差し出してくる。

すると、少しだけ痛みが癒える。

その弾丸は俺がアリアに渡した『白銀の弾丸(プラチナブレッド)』だった。

白く光った弾丸が徐々に色を失っていき普通の色に戻った。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ああ、ありがとう。レキ。あれから何日たった?」

 

「2日です」

 

「そうか」

 

そのまま天井を見上げる。

そんなに寝ていたのか。

 

「梓さん」

 

「ん?」

 

見上げていると、レキから声がかかった。

 

「竜太とは誰ですか。先ほど叫んでいましたが」

 

「………聞いていたのか」

 

「はい」

 

「……竜太は俺の親友だった(・・・)やつの名前だ」

 

「だった?」

 

「ああ。あいつは俺の生前の親友だ。風切ではなく、赤霧としてのな」

 

「その人に何があったのですか?」

 

「なんだ?今日はどんどん聞いてくるな」

 

「はい。その人の名前を呼びながら魘されていましたから」

 

「………そうか」

 

ここで思考に入る。

竜太のことを、俺の過去を、俺の死因を話すべきか否か。散々考えて考えて……。

 

覚悟を決めた。

 

 

 

「レキ、全員呼んでくれ」

 

「?全員とは?」

 

「バスカービル全員だ。ヒルダと多分いるだろうジーフォースは入れるな」

 

「分かりました」

 

そう言うとレキが携帯を取り出して電話をかけていく。

……久しぶりだな。記憶を遡るのは……。

生まれ変わってから、何度も何度も繰り返すことがあった。

その記憶が浮かび上がるたびに飛び起きていた。

母親に心配されていたなぁ……。

 

 

 

 

 

数十分後、バスカービル全員が集まった。

何故かジャンヌとワトソンがいたが、まあいいだろう。

 

「さて、全員集まったな」

 

「それで?何の用だ?梓」

 

「2日前にアリアたちが襲撃されたのは知ってるな?」

 

「ああ、と言うかその本人のかなめが俺の寮にいるぞ」

 

「その、かなめ?ともう1人いたのは知ってるか?」

 

「知らないが?」

 

「アリアたちは?」

 

「……居たような気がするわね」

 

「そいつは俺の親友だった奴だ。名前は東海林竜太」

 

「そいつがどうした?」

 

「だった、と言ったのは生前の親友だったからだ」

 

「生前の?」

 

「ああ、風切ではなく、赤霧の親友だ。その竜太のことをレキが聞きたいって言ってな。せっかくだから全員に言っておこうと思ってな」

 

「何を?」

 

「竜太のこと。

 

そして、俺の過去と死因だ」

 

「「「「!!」」」」

 

俺がそう言うと全員の表情が強張った。

 

「どこから話そうか……。そうだ、自己紹介からやるか。

俺の名前は赤霧碧。元の名前(・・・・)赤井霧青(あかいきりと)。聞いたことはあるだろ?多くの奴隷を解放した奴の名前を。それが赤霧碧の本名だ」

 

 




次から過去編です。

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