雷鳴が轟いたのを聞いて、俺は階段を駆け上がる。
ヘカートは持って来ていないが、「るうと」は持って来ている。
とりあえず、グロックとソードブレイカーを手に持って、ゆっくり進む。
相当上に登って、大広間に出た。
そこには見知った顔が倒れていた。
「ワトソン!」
俺はグロックとソードブレイカーをしまう。
ワトソンの背を持って座らせる。
「風切か」
「大丈夫か?」
「大丈夫だ。遠山に負けてしまった」
そう言いながら少し顔を染める。
「何だ?女とバレたか?」
「………」
俺がそう言うと顔が真っ赤になった。
「はぁ、まあいい。とりあえず傷治すから、ちょっとごめんな」
そう言ってワトソンの手を握る。
すると、手を払って来た。
「何をする」
「何って、傷を治してやろうと思っただけだ。お前も知ってるだろう。俺の目の『
「……分かった」
渋々と言った感じで手を出してくるのを握る。
すると、ワトソンの体を淡い光が覆う。
「これは凄いな。傷が消えていく」
「残念だが、失った血までは回復することは出来ない。あくまで応急処置だ」
「いや、ありがとう。傷が無くなるだけてマシだよ」
「女の子だから傷が残ったら嫌だもんな?」
「なっ!?からかうな!」
「無理して男続けるより女らしくしておいた方がいいぞ?せっかく可愛いのに」
「か、かわ!?……君と言い遠山といい、僕のことを……」
顔を真っ赤にしながらブツブツと呟く。
……おかしなこと言ったか?
その時、もう一度雷鳴が轟く。
そして、ポツポツと雨が降ってきた。
「レキは傘持ってないよな。……薄くなら行けるか」
「風切?」
ワトソンがハテナを浮かべる中、俺は手を上にかがける。
そして風を東京スカイツリーの上に形成していく。レキの
この辺りだけ雨が止み、ワトソンが疑問の声を上げる。
「……何をしたんだ?」
「ん?この辺り一帯に風を配置した。雨はレキが風邪を引いてしまうかもしれんからな」
「君は
「ああ、でも学校には明かしてない。と、早く金次のサポートに行かなきゃな」
「僕も行く」
「いいが、あいつは電気使いの
「分かっている。当たらないように気をつけるさ」
「ま、危険な場合は俺が守るから安心しろ」
「……あ、ありがとう……」
「それと、もう一度手を出せ」
「あ、ああ」
ワトソンの手を取って、力を使う。
すると、先ほどのような淡い光がワトソンの体を覆う。
「これはさっきの」
「さっきの癒す力とは違う。それは、防御膜みたいなもので、体を包んでダメージを軽減することが出来る」
「ありがとう」
「ああ、それじゃ、行くぞ!」
俺とワトソンは階段を駆け上がって行った。