そして次の朝、何故かいるアリアをほっといて朝ごはんを食べる。俺はバスには乗らない主義なので歩いていくために朝は早い。時間に縛られず自由にのんびりと歩くのが一番いい。とりあえずあいつらにご飯を用意してやって、
俺の愛銃のグロック17とベレッタM9を装備して、胸元にソードブレイカーを装備して出る。
授業は滞りなく進んで、昼休み。金次がアリアと一緒に寮を出た、とか言って金次を追いかけて行った。
そして、何故か俺まで追われる羽目になった。
………何でだよ。
そして逃げてきて屋上。
追いかけてきた奴はいなかったので一安心。
ふと、気配を感じてその方向を見ると、一人の少女がいた。
「レキ」
その少女はレキ。
ロボットレキなんて呼ばれているほど、無表情だ。
「隣、座っていいか?」
そう聞くとコクンと頷いたので、隣に座って弁当を開ける。
「そういえばレキ。お前昼飯は?」
と言うと箱を見せてきた。
「カロリーメイト?」
レキはコクンと頷く。
………これはダメだろ。
「ほれ、これやるよ」
俺は二段弁当の片方を渡した。
レキはフルフルと首を振っていた。
「いいから。ほら」
俺は手をとって渡した。
レキは無言だったが、
「ありがとうございます」
そう呟いた。
俺は少し笑って食べ始める。
ふと、俺はいつも疑問に思ったことを聞いてみる。
「そういえばレキ、いつも何聴いてるんだ?」
「風を」
「風?」
「はい」
「ふぅん。そっか」
俺は手を前に出して風を起こしてみる。
何か聞こえるのか、と。
俺が手を前に出したのを不思議そうに見ていて、風を起こした瞬間、少し驚いたように見えた。
「それは?」
「ん?ああ、俺の超能力さ。あ、これは誰にも言うなよ?無理矢理、SSRに入れられかねないからな。」
「風が」
「ん?」
「風がどんなものか聞いています。」
「どんなもの?ううーん、単純に風を操る力だな。自身で風を起こすことも出来るし、大気中の風を操る事が出来る。小さな風を起こすこともできるし、サイクロン見たいな竜巻を起こすことも出来る。そんなもんかな。あ、もうそろそろ授業始まるから帰るわ。じゃな」
そうして、昼休みも終わり、授業だ。
この武偵高には様々な科がある。
俺はその中の強襲科、狙撃科、探偵科、諜報科の授業を受けている。
武偵ランクは左から、S、S、A、Bといった具合だ。
この授業中は授業を受ける代わりにクエストと言って、他の人の依頼を受けることも可能だ。その難しさによって貰える金額も変わるので、金がよく減る奴は毎回のように受けている。
俺は狙撃科で授業を受ける。
そこまで金が必要ってわけじゃないからな。
授業が終わり、寮へ帰る。
その途中、
「あの!」
声をかけられた。
その方向を見ると、先日助けた子が来ていた。
「なんだ?」
「あの、風切梓先輩、ですよね?あたし、火野ライカって言います!」
「ああ、うん。で?俺に何か用か?」
「あの、風切亜里沙先輩、ご存知ですよね?あの人に戦姉妹になって欲しいんすけど、どこにいるか知ってますか?」
俺はその言葉を聞いて溜め息をついた。
………先輩って言わなかった方が良かった。
「それは俺の苗字が風切だから知ってると思ったのか?」
「はい。苗字からして双子か何かですよね?」
「え〜、あ〜、うん。仕方ない。で、
「はい!」
「それじゃ、かかって来て。」
「は?いや、あんたじゃなくて亜里沙先輩に」
「だから、今はあいつはいないんだ。俺がテストして報告するから」
ま、俺が亜里沙なんだけどな。
今は言わないけど。
「わ、分かりました。」
「えっと、ルール確認だけど。君は銃でもナイフでも使っていいから。締め技もありだし、
「………な、舐めてんすか?」
「いや、俺はこれでもSランク武偵だからな。一年のAランク如きには負けないさ」
「言ってくれますね」
「それじゃ、強襲科に行こうか」
「はい」
………めっちゃキレてる。
挑発し過ぎたか?
「さて、勝敗は君の気絶、またはギブアップ。俺は、君の力を認めるか、気絶させられるか、ギブアップで。いいね?」
「うす!」
そう聞いて、ライカは構えをとる。
対して俺は構えなしだ。
「それじゃ何時でもいいよ」
「………構えなくていいんすか?」
「大丈夫だからかかって来な」
「それじゃ遠慮なく!」
そう言って踏み込んで上段突きで殴ってくる。それを普通に受け止める。そして蹴って来たので掴んだ手を下にやり、防ぐ。
俺はパッと手を離し、顎に掌底を打つ振りをして、逆の足を払う。
「おわっ!」
ライカが転けたのを見て後ろに下がる。
俺は手をくいっくいっとやって挑発する。
「こんにゃろ!」
ライカは突きと蹴りを織り交ぜて来るが、俺はそれを全て払う。カウンターとして殴って来たのを受け流し、後ろに回ってバックドロップをかました。
「がはっ!」
俺は手を離して、その場から離れる。
「どうした?もう終わりか?」
「!、っ、まだまだぁ!」
「その意気やよし!その意気に免じて少し本気を出すとしよう。」
「なっ!」
どうやら本気でやっていると思われていたようだ。
まだ、風使ってないしな。
「行くぞ!」
俺はすっと後ろに回り込んで膝カックンをして、座らせる。
その瞬間裏拳を放って来たので受け止めて、背中を蹴って肩を決める。そして、ギブアップの印にタップをしたので放す。
「はぁ、はぁ、くそ!」
「よく頑張った。合格だ。」
「えっ?な、なんで、負けた、のに」
「お前、俺が言ったテストの勝利条件はなんだった?」
「………気絶またはギブアップ。」
「それだけじゃない。
と言った。だから合格だ」
「っしゃ!ってあたしは亜里沙先輩にって」
「だから言っている。少し場所を変えるぞ」
俺はそのまま人目につかない場所に移動する。
「さて、亜里沙にだったな」
「はい」
「よく見ておけよ。」
俺はポケットから
「胡椒?」
ライカが頭の上にはてなを浮かべている。
胡椒をパッパッと振り、くしゃみをする。
「ハックシュン!」
すると、女に変わった。
ライカが戸惑いの声を上げている。
「えっ?あ、亜里沙先輩?」
「や。昨日ぶり」
「な、なんで」
「それは私と梓が同じだからだよ?」
「同じ?」
「そう。私たちはくしゃみをすると男と女が入れ替わる特殊体質なんだよ。」
「ええっ!?」
おお、驚いてる驚いてる。
そりゃ、求めた先輩がそんな訳の分からないやつじゃビックリするよね。
「ええっと、あ、そう。戦姉妹だっけ?それはいいけど、名前は梓で書いといてね」
「ど、どうしてです?」
「私という存在は武偵高には居ないのさ。私はあくまで風切梓だからね。二人在籍していたら困るでしょ?私が」
「そうっすか。じゃあ梓先輩で書いときます。」
「はい、よろしくね〜。あ、私のことは、というか梓の体質のことは他言無用だからね」
「はい、分かりました」
こうして私は戦姉妹を手に入れた。
寮に帰ると理子に調べさせていたのかアリアの情報を話していた。それで一度だけ強襲科に戻ることを決めていた。