緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第四十五弾 変装食堂

宣戦会議(パンディーレ)があって次の日。

昨日から玉藻とメーヤがいて、アリアが騒いでいた。

めんどくさいので無視してレキを迎えに行き、一緒に登校する。

 

さて、今日は『アレ』の抽選がある。

学内では気に入っている人もいるし、大嫌いな人もいる。

まぁ、俺もそこまで好きではない。

 

ということで学校に来て、教室に入る。

教室内が少し浮き足立っているような気がする。

そこに金次が一人で来た。

 

「結局、喧嘩したまんまだったのか?」

 

「してない。よくわからんがあいつが勝手に騒いで突っぱねられたんだ。というかなんで俺の顔を見て最初の質問がそれなんだ?」

 

「ま、あれだけ騒いでたからな。で?アリアは?」

 

「知らん。学校に行けないじゃないって騒いでたし、今日は来ないかもな」

 

それで金次は自分の席に突っ伏して、もういいだろ的な雰囲気を醸し出したので、毎度ご苦労な金次に両手を合わせてから自分の席に着いて一般授業を受けていったのだった。

 

英語、化学、漢文といたって普通に授業をこなして、3クラス合同のLHRが行われる体育館に移動する直前。

 

来ないかもと言っていたアリアが、昨夜ヒルダに噛まれた首筋に絆創膏を貼って姿を現した。

……そういうことか。金次が騒がれたのは。金次が噛んだと思ったんだなぁ。

 

そんなわけで体育館に移動を終えると、騒がしく自由な2年の生徒が思い思いに誰かと会話をしていて、うるさい。

 

「ガキども! それじゃ文化祭でやる『変装食堂(リストランテ・マスケ)』の衣装決めをするぞッ!」

 

ドンッ!と騒がしい生徒を天井への威嚇射撃で黙らせて、蘭豹がそう叫ぶ。

静まったタイミングで今度はタバコを吸いながらの綴がむせながらチームごとに分かれるように指示を飛ばす。

 

俺たち『バスカービル』は合流して、俺たち2年が担当する『変装食堂』のくじ引きをする。

箱の中に何になるか書いてある紙があり、着た衣装の職業をきちんと演じ、それらしく振る舞う事が求められるのだ。

 

つまり『なんちゃって』は許されない。

 

真面目にやらないと教務科による体罰フルコースもあるとあって、みんな命がけである。

ここで金次の戦姉妹の風魔が登場。

 

先に金次がジャンヌの奴を引く。

ジャンヌは『ウェイトレス(アットホームカフェテリア)』

に決定。

実際は一度選び直すことが出来るのだが、ここにいないのでそのまま。

 

続いては俺と金次とアリア。

 

「じゃあ、行くぞ?」

 

「「「いっせーのーせ!」」」

 

そう言って三人一斉に引く。

そして、恐る恐る目を開ける。

そこには『女装(東京武偵高)』と書いてあった。

 

「ふう、良かった。そっちはどうだ?」

 

金次とアリアを見ると、顔が引きつっている。

 

金次……『神主』

アリア……『アイドル」

 

だった。

アリアは顔を真っ赤にして震えている。

 

「「チェンジだ(よ)!」」

 

そう言って、持っていた紙を放り投げ、もう一度箱の中に手を入れて抜く。

その結果……

 

金次……『警官(警視庁・巡査)』

アリア……『小学生』

 

だった。

……少し似合うと思ってしまった俺。

 

「やったーーー!やったよアリア!ある意味ハマり役だよ!きゃははははは!」

 

そんなアリアに我慢の限界が来た理子が、腹を抱えて床をゴロンゴロン転がって笑い出す。

それに釣られて我慢していた白雪や金次も一斉に吹き出した。

その金次達の反応で現実に戻ってきて壊れたアリアが怒り爆発でガバメントを抜き放つ。

 

「今のは無し! 無し無し無し無ぁーーーーーーしッ! まずアンタは死刑!」

 

自制心を失ったアリアは、箱を持つ風魔にガバメントを向けて本気で撃とうとするが、いち早く察した金次と理子に飛びかかられて動きが鈍る。

 

「やめろアリア、撃つな! 蘭豹もいるんだぞ! 俺らまとめて処分されるだろうが!」

 

「あきらめようよ『アリアちゃん』! 理子が衣装作り手伝ってあげる! きゃはははっ!」

 

「誰がアリアちゃんよ! 風穴! 風穴流星群! 風穴ビッグ・バーンッッッ!」

 

「おい、落ち着けよ。嫌なのはお前だけじゃない」

 

そう言って、金次と理子が抑えているアリアに俺の紙を見せる。

 

「……女装?」

 

「そう」

 

「きゃははは!アリアだけじゃなくて、あーくんもある意味当たりだぁ!きゃはは!」

 

「ふっ」

 

そう言って鼻で笑う。

 

「何がおかしいんだ?梓」

 

「俺にはこれがある」

 

そう言ってポケットから胡椒を取り出す。

 

「胡椒?ってまさか!」

 

「そう、俺はこうすることが出来る」

 

俺は胡椒を振って、自分の周りを風で覆う。

そして、

 

「クシュン!」

 

くしゃみをして、入れ替わる。

風を解除して、アリアを見て笑う。

 

「梓曰く、『上げてから落とす作戦』だって。残念だったね、アリア」

 

私はそう言ってニッコリと笑いかける。

アリアは梓の作戦を聞いて、更に怒りのボルテージを上げた。

 

「死ね、死ね!死ね死ね死ねみんな死ね!見た奴が死ねば、無かったことになるんだわ!むぎぃー!」

 

などと言って暴れ回るアリアを白雪が羽交い締めし、金次の理子が左右の銃を必死に押さえる。

私とレキは体育館の外に逃げて、防弾扉の陰から顔を半分だけ出してじっと見てあげる。

どうにかしろ、っていう目で金次が私を見てくるが、笑って、手を振ってあげる。

 

そして、この後体育館でアリアが「小学生やります」と言うまで蘭豹にジャーマン・スープレックスを30回ほど喰らわされていた。

 

 

 

 

 

 


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