緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第四十四弾 鬼払結界

俺たちは宣戦会議のあと、俺たちの部屋に移動を開始していた。

その帰り道の途中で、シスターメーヤがコンビニに寄ると言い出し、金次と玉藻が先に行き、俺が同行して案内をすることとなって、メーヤと一緒にコンビニに入ったのだが、この人、コンビニの洋酒の酒ビンをほぼ全て買い占めて、菓子パンもいくつか購入。

顔をひきつらせる店員から酒ビンの入ったビニール袋を貰って外へと出て、この買い物がなんなのかを歩きながらに尋ねると、シスターメーヤは優しい笑顔で隣を歩きながら答えた。

 

「私はⅠ種超能力者でして、自分の体を削って能力(ちから)を消費します。ですから能力使用後は何かを経口摂取しないと死んでしまうのです。私の場合はアルコールでして。あ、いくら飲んでも酔わない体質なのですが、これから暴飲することをお赦しください」

 

……へぇーそーだったのか。

俺はそんなの気にしたことないな。

 

「それって、必ず経口摂取での回復方法が当てはまるのですか?」

 

「そうですねぇ。極々限られたⅠ種超能力者はそれではダメという方もいる、とは聞いたことはありますけど、噂程度ですので私には断言はできません。ですがどうしてそのようなことを?」

 

「いや、俺も超能力者なんですが、そんなこと気にしたことがなかったですから」

 

「そうなんですか」

 

俺がいきなり突っ込んだ質問をしてきたため、シスターメーヤも疑問を持って返してきたので、特に隠さずそう回答すると、何やら少し考える素振りを見せたが、すぐにやめて自己完結したようだった。

 

「それで、アリアの容態についてはどうなんですか?」

 

「『緋弾のアリア』ですね。詳しい話はタマモさんがしてくれますでしょうが、今のところは問題ないはずです」

 

「今のところは?」

 

「はい。緋弾は7枚の殻金で覆い包むことによってその力を人の操れるものとしていました。その殻金をあのヒルダが外したのです。内2枚は私達で戻しましたが、2枚では力は不安定。このままの状態が続けば、アリアさんはいずれ、『世界を壊します』」

 

あれは緋弾を覆っていた殻金?と言うものなのか。

俺のやったことでは気休めにもならないか。

 

「となると、眷属に取られた5つの殻金を取り戻すことが、アリアを救う唯一の方法、ということですね」

 

「はい。制限時間タイムリミットの方は私にはわかりませんが、今日明日でどうこうなるような事態ではないかと思われます」

 

でも、早く取り返したほうがいいだろう。

俺にはそこまで詳しいことは分からないが。

 

「大丈夫です。私も必ずや魔女狩りを完遂して、カツェ=グラッセから殻金を奪い返しますので」

 

そうやって両手をヨイショと胸元まで上げて頑張るぞと見せたシスターメーヤだったが、持っていた酒ビンの重みのせいですぐにふらつき腕を下ろした。

……不安だ。普段ほんわかしすぎだろ。

 

 

そんな少しフラフラ――超能力を使用した影響か知らないが――なシスターメーヤと一緒に第3男子寮までやって来て、俺たちの部屋まで案内してあげると、部屋のリビングでは「ももまん……天国……」と寝言を言いながらソファーに寝かされているアリアがいた。

一つ安心しつつ、メーヤの買った酒ビンをリビングのテーブルに置く。

 

「既にこの浮島に『鬼払結界(きばらいけっかい)』を張っておる。これから周辺にも広げてゆくでの、数日は守りに徹せよ」

 

と、何やら話が進んでいたようだ。

 

「さて、お主には聞きたいことがある。風切と言ったか」

 

「さっき、アリアにやったことだろ?」

 

「うむ。あれはなんじゃ?」

 

「あれは、『白銀の銃弾(プラチナブレッド)』を使ったものだ」

 

「まず、その『白銀の銃弾』とやらはなんじゃ?」

 

「『白銀の銃弾』はシャーロック曰く緋々色金、瑠璃色金、璃々色金を共鳴させてたまたま出来たものだそうだ。そして、その持ち主が一度死ぬことで発現出来る」

 

「一度死ぬじゃと?」

 

「ああ。俺は元々赤霧碧として生きていて、その時に『白銀の銃弾』を目に受けた。そして、風切梓になって発現したと言うわけだ。あと、『白銀の銃弾』って名前は緋々色金の緋、瑠璃色の青、璃々色金の黄色を混ぜて白というわけ。話が逸れたが、緋弾に抵抗させる為に瑠璃色金と璃々色金を使って覆っただけだ」

 

「ほう、という事は緋弾を無効化したということかの?」

 

「いや、アリアの『緋弾』俺の『白銀の銃弾』では質量が違う。多少時間稼ぎができる程度だ」

 

「まぁ、あるだけでもマシということじゃな」

 

「そうだ」

 

というわけで、とても濃い1日が終わった。

 

 

 

 

 


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