第三十九弾 Go For The Next
チーム『バスカービル』が結成されてから、約一週間。
俺はいつものようにレキと夕食を食べていた。
最近、レキがたまにだが笑みを浮かべることが増えた。
……いい変化だ。
夕食を食べ終え、皿を洗っていると電話がかかってきた。
「はい」
『こ、これは、風切梓の携帯で合ってるか?』
……誰?
「どちら様で?」
『わ、私はジャンヌだ。2年、
「ああ、イ・ウー最弱の」
『その覚え方は気にくわないが、まあいい。それより、今夜0時から『
「宣戦会議?」
『ああ』
「なんだそれ?」
『レキから聞いていないのか?適当に言えば開会式だな』
「開会式、ねぇ。どうせ危険な奴らがくるんだろ?どっかの軍隊の隊長とか人間じゃない奴とか」
『まあ、否定は出来ないな。でも、お前や遠山も人間を辞めていると思うがな』
「何を言う。俺や金次は戦いたくて戦っているわけじゃない。
ただ、守る為に戦っただけだ。お前ともな」
『……まあいい。とりあえず、レキと一緒でもいいから来ることだ。開催場所はレキから聞け』
「分かった」
そう言って電話を切る。
「レキ、今日の夜に宣戦会議があるよな?」
皿洗いの続きをしながら、レキに尋ねる。
「はい」
レキがぼーっとした表情だが、肯定する。
「何処でやるか知ってるか?」
「……何故ですか?」
「ジャンヌに呼ばれたんだ。お前も来いってな。お前はウルス代表として行くんだろ?」
「……はい。ですが、梓さんは何処の組織にも属していません」
「多分、この目だからだろ?」
「……?」
「こうして会議をするのは恐らくシャーロックがいなくなったからだろう。シャーロックは絶大な力を持っていたからな。そのシャーロックが偶然とはいえ出来たこの目の『
……ん?と言うことはアリアも来るのか?
それともアリアの、チーム『バスカービル』のリーダーとして金次が来るのか?
「それに、もしレキと結婚するなら、俺も無関係じゃない」
「……」
俺がそう言うと顔を赤らめた。
……俺も恥ずかしいが、表情には出さない。
「だから、場所を教えてくれ」
「……レインボーブリッジ寄りの学園島の南端にある、曲がった風車の下です」
「了解」
その日の11時30分。
俺はグロックにベレッタ、友人の剣「ルウト」
そして、ヘカートを背負ってレキの部屋へ行く。
レキも、ドラグノフを背負い、スカートの下に銃剣も装備している。
「行くか」
「はい」
俺はレキを抱え上げ、飛ぶ。
スピードはゆっくりで、学園島の南端の風車の上に着地した。
海の向こうを見ると、何やら嫌な雰囲気がある。
数人だが、手強そうな感じがある。
そこに、甲冑姿のジャンヌと、金次がきた。
「梓!?なんでお前」
と、金次がそう言って来るが、俺は手を挙げるだけにしておく。
金次がここへ来ると向こうの雰囲気が少しだけ変わった。
何やら金次を警戒しているようだ。
「ーーまもなく0時です」
レキが言って、その時刻が0時を告げた瞬間。
曲がり風車を大きく円形に囲むように、複数のライトが灯り、その光の中にいくつかの人影が霧の中に浮かんだ。
その影の姿形は、人影ばかりではない。明らかに巨大メカと思われる影や、魔女っぽいシルエット、何やらクネクネと体を動かすピエロのようなやつ。
……やっぱり人間じゃない奴がいるじゃないか。
「ーー先日は
その影の1つが1歩前へ出てオレ達にお辞儀をしてきた。
……なるほど、あれがココ姉妹の親玉か。
その男に続いて近くの地面で、ゾゾゾ、と黒い影がうごめいているのが見え、その影はズズズ、と人の形を成して地面から起き上がった。
「お前達がリュパン4世と共に、お父様を斃した男か。信じがたいわね」
這い上がってきた影は、白と黒を基調としたゴシック&ロリータ衣装に身を包んだ金髪ツインテールの少女で、手には夜なのにフリル付きの日傘が持たれていて、その背にはコウモリのような形の大きな翼が生えていた。
他にもデカイ十字架のような大剣を背負った白い法衣を着たシスターもいて、1人1人がリアクションに困らない存在感を放っていた。
次に現れたのは、獣耳が生えた少女に、きら、きら、と砂金を舞い上がらせて登場を演出してきた、砂礫の魔女パトラと、大鎌を担いだ金次の兄のカナ。
それで今まで黙っていたジャンヌが、役者は揃ったとでも言わんばかりに一同を見回して語り出した。
「では始めようか。各地の機関・結社・組織の大使達よ。宣戦会議――イ・ウー崩壊後、求めるものを巡り、戦い、奪い合う我々の世が――