緋弾のアリア〜傭兵からの転生者〜   作:SAMタイム

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第三十八弾 バスカービル

「知ってる天井だよ、もう」

 

天井を見上げながら言った。

何回も入院しているのでもう慣れた。

ふと、布団の中を見てみるとレキが寝ていた。

俺がどれだけ寝ていたかは知らないが、多分、また心配をかけたのだろう。

結構ぐっすりと眠っていた。

 

傷のある胸もとに手を当てる。

傷は小さく、風と防弾制服おかげだろう。

今回は早く治りそうだ。

 

「……んっ」

 

そんな事を考えていると、レキが身をよじる。

俺はレキの頭を撫でながら、ぼーっとしておく。

 

「梓さん?」

 

「レキ、おはよう。今が何時かは知らないが」

 

「おはようございます」

 

それから、事の顛末を聞いた。

ココ姉妹は全員逮捕。

俺はすぐさま病院へ搬送された。

レキは俺に付き添い、金次とアリア、白雪は帰った。

ついでに、俺が寝ていたのは丸一日だと。

 

「風の」

 

「ん?」

 

「風の声が聞こえなくなってしまいました」

 

「いいじゃないか」

 

「……」

 

「これで、お前は自由、だろ?」

 

「………はい」

 

そう言って、今まで見たことがなかった笑みを浮かべた。

 

「よかった。しっかり笑えるじゃないか。可愛いと思うぞ」

 

面と向かって言うと、照れたのか少し顔を赤らめた。

そして、はっ!と言う顔になり座り直す。

 

「梓さん。少しご相談があります」

 

「チームのことか?」

 

「はい。私は金次さんのところに入ろうと思うのですが、その為にはチーム全員、防弾制服(ディヴィーザ)(ネロ)で写真を撮る必要があります。ですから、あの」

 

「俺に無茶をしろって?」

 

「……すみません」

 

「大丈夫だ。その時、少しだけ抜けさせて貰えばいい。痛みは我慢できるさ」

 

「しかし……」

 

「ん?」

 

「その写真撮影まで、あと10分しかありません」

 

「は?」

 

……マジで?

レキの方を見ると、申し訳なさそうに目を伏せている。

 

「マジか!急ぐぞ!」

 

俺は窓を開けて、レキを抱えて飛ぶ。

風を蹴って全力で進む。

 

「レキ、俺の防弾制服・黒は持ってきてるか!?」

 

「はい!」

 

「オッケー!」

 

時々風に乗って電信柱や家を避ける。

八分後、東京武偵高についた。

 

写真を撮る場所まで痛みを我慢しながら走る。

病院服の上に を着る。

というか今、血が出始めた。

 

「梓!早く!」

 

金次が手招きをしている。

アリア、理子、白雪も待っている。

俺とレキも急いで行くが、ゴホッ!っと血を吐く。

やば、傷が開いた。

 

「おらぁ!あとちょっとやぞ!」

 

蘭豹がどんどんっ!とM500を撃つ。

口元を拭い金次たちに駆け寄る。

 

「悪い!遅くなった!」

 

「大丈夫だ。間に合ったしな」

 

「おらぁ!それじゃ締め切るぞ!」

 

「5……4……3……2……1……」

 

「0!」

 

蘭豹がカシャ、とシャッターを切る。

 

「9月23日、11時59分、チームバスカービルーー承認、結成!」

 

こうして、金次がりーだーの俺たち『バスカービル』はチームになった。

 

 


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