「知ってる天井だよ、もう」
天井を見上げながら言った。
何回も入院しているのでもう慣れた。
ふと、布団の中を見てみるとレキが寝ていた。
俺がどれだけ寝ていたかは知らないが、多分、また心配をかけたのだろう。
結構ぐっすりと眠っていた。
傷のある胸もとに手を当てる。
傷は小さく、風と防弾制服おかげだろう。
今回は早く治りそうだ。
「……んっ」
そんな事を考えていると、レキが身をよじる。
俺はレキの頭を撫でながら、ぼーっとしておく。
「梓さん?」
「レキ、おはよう。今が何時かは知らないが」
「おはようございます」
それから、事の顛末を聞いた。
ココ姉妹は全員逮捕。
俺はすぐさま病院へ搬送された。
レキは俺に付き添い、金次とアリア、白雪は帰った。
ついでに、俺が寝ていたのは丸一日だと。
「風の」
「ん?」
「風の声が聞こえなくなってしまいました」
「いいじゃないか」
「……」
「これで、お前は自由、だろ?」
「………はい」
そう言って、今まで見たことがなかった笑みを浮かべた。
「よかった。しっかり笑えるじゃないか。可愛いと思うぞ」
面と向かって言うと、照れたのか少し顔を赤らめた。
そして、はっ!と言う顔になり座り直す。
「梓さん。少しご相談があります」
「チームのことか?」
「はい。私は金次さんのところに入ろうと思うのですが、その為にはチーム全員、
「俺に無茶をしろって?」
「……すみません」
「大丈夫だ。その時、少しだけ抜けさせて貰えばいい。痛みは我慢できるさ」
「しかし……」
「ん?」
「その写真撮影まで、あと10分しかありません」
「は?」
……マジで?
レキの方を見ると、申し訳なさそうに目を伏せている。
「マジか!急ぐぞ!」
俺は窓を開けて、レキを抱えて飛ぶ。
風を蹴って全力で進む。
「レキ、俺の防弾制服・黒は持ってきてるか!?」
「はい!」
「オッケー!」
時々風に乗って電信柱や家を避ける。
八分後、東京武偵高についた。
写真を撮る場所まで痛みを我慢しながら走る。
病院服の上に を着る。
というか今、血が出始めた。
「梓!早く!」
金次が手招きをしている。
アリア、理子、白雪も待っている。
俺とレキも急いで行くが、ゴホッ!っと血を吐く。
やば、傷が開いた。
「おらぁ!あとちょっとやぞ!」
蘭豹がどんどんっ!とM500を撃つ。
口元を拭い金次たちに駆け寄る。
「悪い!遅くなった!」
「大丈夫だ。間に合ったしな」
「おらぁ!それじゃ締め切るぞ!」
「5……4……3……2……1……」
「0!」
蘭豹がカシャ、とシャッターを切る。
「9月23日、11時59分、チームバスカービルーー承認、結成!」
こうして、金次がりーだーの俺たち『バスカービル』はチームになった。